2.5次元ダンスライブ「S.Q.S(スケアステージ)」の最新作、Episode 3「ROMEO -in the darkness-」が4月25日(木)ヒューリックホール東京(有楽町)にて開幕した。
本シリーズは三部作として発表されており、今作が最終章にあたる。SNSには「公演が待ち遠しい」という期待に加え、「スケステ終わっちゃうのかな?」「最終章なんて寂しい」といった声が早くも溢れている。
熱烈なファンを多数擁するこの作品。「2.5ジゲン!!」では先日、稽古場インタビュー(前半・後半) の模様をお届けしたが、今回は開幕に先駆けて行われたゲネプロの様子をご紹介する。
※以下のレポートではストーリーに関する言及も含まれるため、まだ内容を知りたくない方は上記の「画像一覧はこちら」から写真のみご覧ください。
「スケアステージ(通称スケステ)」とは、2.5次元に存在する架空の芸能事務所・ツキノ芸能プロダクションに所属するSolidS(ソリッズ)、QUELL(クヴェル)という2つの人気ユニット、通称SQ(スケア)をメインに描いた舞台だ。
原作は彼らの日常や芸能活動の様子を描いたシリーズCD。
2.5次元舞台版では、第一幕がオリジナルストーリーによるお芝居パート、第二幕が原作CDの楽曲音源×俳優たちのダンスパフォーマンスによるダンスライブパートとなっている。
※本公演では、SolidSメインのVer.REDとQUELLメインのVer.BLUEという2種類のバージョンが上演される。ゲネプロはVer.REDにて行われた。
ゲネプロレポート(第一幕・お芝居)
アイドルとして多忙な日々を送るSolidS、QUELLのメンバー。物語は彼らの貴重な休日から始まる。
とある休日。村瀬大(演・小林涼)、世良里津花(演・阿部快征)、久我壱星(演・山中健太)、久我壱流(演・山中翔太)の4人は、少し奇妙な古書店を見つけ、そこで不思議な雰囲気ただよう店主と出会った。
大はその店で、ひょんなことから『ROMEO(ロミオ)』という1冊の本を手に入れる。
しかし本を持ち帰った直後、大の身に異変が起きる。
本の表紙とよく似たバラの模様が首筋に浮かび、両目が赤く染まった上に視力が失われてしまったのだ。
そのころ、SolidSとQUELLの他のメンバー、篁志季(演・日向野祥)、奥井翼(演・瀬戸啓太)、和泉柊羽(演・田中稔彦)、堀宮英知(演・中尾拳也)は、のんびりと休日を過ごしていた。
だが大の身に起きた異変の知らせを聞き、のどかな空気が一転する。
ツキプロが誇る「不思議現象解説担当」(そう、ご想像どおりのあの男・霜月隼である)に電話で相談したところ、大が手に入れたのはどうやら強力な呪いを宿した本のようだ。
目が見えない大は、しばらく他の7人のサポートを得ながら生活することになったが、やがてある夢を見始める。夢の中で彼は別の誰かになり、大切なひとの面影を追っていた。
一方、「呪いにかかってからというもの、大はやけに寝ている時間が多い」と心配し始めるメンバーたち。正体不明の不安はすぐに現実となり、8人全員を巻き込んだ別世界での冒険譚に発展していく――。
中世ヨーロッパ風の衣装を身にまとった8人が、謎の青年ロミオ(演・平井雄基)にまつわる呪いを解くため、力を合わせてピンチを切り抜けていくさまは痛快そのものだ。
アクションあり、笑いあり、せつない異形の恋物語あり。そしてアイドルである8人の絆を感じられる場面も、もちろんある。
彼ら全員の決断、そしてストーリーが迎える結末は、ぜひ自身の目で確かめてほしい。
ちなみに、喫茶くべるも健在だ(今回は新装開店カフェくべる!)。
体当たり、かつかなり作り込まれた日替わりネタは、あなたを自然と笑顔にしてくれるだろう。
ゲネプロレポート(第二幕・ダンスライブ)
第二幕はお待ちかねのダンスライブ。ここからはスタンディングでの応援が可能だ。
推し色のサインライト、うちわの準備はOKだろうか? では始めよう。
『CRAZY BABY SHOW』SolidS
まずはSolidSの4人が、2019年新設定の衣装で登場。
初日開幕前からSNSで話題にのぼっていたこの衣装、実際に目にするとやはりその華麗さに圧倒される。腹筋に視線が釘付けになってしまう人も多いはず。
「CRAZY BABY SHOW」はダンサブルなナンバー。
セクシーさと大人の魅力が売りのSolidSが、客席を煽り、巻き込みながら、彼ららしいパフォーマンスで魅せてくれる。
『Judas』SolidS
新曲の「Judas」ではスタンドマイクが登場。あだっぽいパフォーマンスも存分に堪能できる。
全曲を通してSolidSは、見つめれば見つめた分だけ情熱が返ってくるようなダンスライブを繰り広げる。
ファンはある意味覚悟が必要だ。
『BELIEVER -祈り-』QUELL
続いて、QUELLの4人が登場。もちろんこちらも2019年新設定の衣装だ。白×淡いブルーを基調とした衣装は、清楚で凛としたまばゆさがある。
「BELIEVER -祈り-」は激しくビートを刻む曲調でありながら、なぜか心が静かに澄んでいくような不思議な曲だ。独特の世界観を持つこの難しい曲も、QUELLの4人はぴたりと息の合ったダンスで見事に表現してみせる。
『時を越えて』QUELL
「BELIEVER -祈り-」のダンスが動なら、「時を越えて」のダンスは静だ。どこかせつないメロディに乗せて踊るメンバーの、憂いを帯びた表情が美しい。
QUELLのパフォーマンスはアートとしての完成度が高く、客席に降りてなおその完成度が変わらないのはなんとも見事だ。
『花鳥風月(ハーフメドレー)』
続いてソロメドレー。ひとりひとりご紹介したい。
『Lily -寄り添う百合のように-』世良里津花
あでやかな和風の衣装に身を包んだ里津花の登場で、会場のサインライトが一気にピンク色に染まった。
大輪の白百合を愛でながら、観る者を翻弄するように舞う里津花は、まるで衣装の布地の揺れのひとつひとつまで計算しているかのようだ。
基本が中性的な分、ときおりまなざしに含まれる男性的な色気が際立つ。
『あなたの花』久我壱星
日常の寡黙な壱星からは想像できないほど激しい曲だ。その曲調にぴったりの振付は、彼の内側に秘められた熱さや激しさを垣間見せてくれる。
壱星を演じる山中健太は、稽古場インタビュー で「(壱星は)壱流のことが、何よりも誰よりも、自分のことよりも大切」と彼の想いを代弁していた。
「あなたの花」の歌詞に乗せた全力のパフォーマンスからは、その一途な想いが伝わってくる。
『Canaria -消えゆく空に』奥井翼
奔放な快活さの奥に隠れた孤独やせつなさが、一瞬ちらりと顔を覗かせる。翼のソロ・パフォーマンスは、そんな1曲に仕上がっている。
瀬戸啓太の演じる翼は、ときおり甘いマスクに似合わないほどの強い眼差しを向けてくる。
賑やかな性格で、どちらかといえばやんちゃな可愛らしさが目立つ翼。それだけに、ふとした瞬間の大人っぽい色気がより際立つ。
『眠る大鴉』久我壱流
気性の激しい壱流のナンバーは、やや静かなダンスから始まり徐々にヒートアップしていく。
サインライトで真っ赤に染まった客席を楽しげに煽る、挑発的な振付もあり、兄・壱星とのアシンメトリーな関係性を実感できる。
踊りながら次々変化していく表情も、いかにも壱流らしい。ファンはぜひオペラグラスを駆使して、細かな変化まで注目してほしい。
『Squall -冷たい衝動-』村瀬大
顔が見えないほど目深にフードをかぶって登場する演出がニクイ。
黒基調の衣装がスラリと伸びた四肢をいっそう強調し、振付には長身が活きる蹴りの動作も含まれている。必見だ。
ふだんの村瀬大が生真面目な好人物である分、ダンスで見せるちょっと毒っぽさを秘めた表情や仕草の破壊力がすごい。
『移り気な風』堀宮英知
ムードメイカー・英知の良さが最高に活きる1曲だ。中尾拳也演じる英知は、表情のはしばしに人懐こさがにじみ出ている。
その空気感のまま観客へ投げかけられるパフォーマンスは、新緑の季節の風のように爽やかで、心をホッとさせてくれる。
ただしやわらかいスマイルの合間にふっと見せる、鋭い眼差しにはご注意を。一度胸を撃ち抜かれてしまえば、きっと二度と忘れられない。
『Tide -光の射す方へ-』篁志季
ここで満を持してのリーダー登場だ。まずはSolidSの志季から。
彼らしい落ち着いた雰囲気と情熱的な激しさが同居するダンスは必見。
口数の少ない彼だけに、アグレッシブなダンス・パフォーマンスには目を奪われる。秘めた内面を盗み見ているような背徳感を感じる人もいるはずだ。
志季を演じるのは日向野祥。切れ長の瞳に吸い込まれそうな強さを乗せる、その表現力は天下一品だ。
『Pale Moonlight』和泉柊羽
ソロメドレーのトリを飾るのは、QUELLのリーダー・柊羽である。
「流れる水のように澄んだサウンド」「透き通った音の世界」というQUELLの楽曲コンセプトを体現したような、裾さばきにまで完璧に気を配る繊細なパフォーマンスを見せてくれる。
登場したとたん思わず「柊羽さま……」とひれ伏したくなってしまったほどの貫禄は、QUELLを率いるにふさわしい。音域の幅が驚くほど広い柊羽の歌声にも、ぴったりだ。
『NEMOPHILA』QUELL・『Above the best』QUELL
ソロメドレーが終われば、いよいよラストスパート。
「NEMOPHILA」「Above the best」の2曲は、ステージ上のQUELLの4人があまりにも楽しそうなので、こちらまで嬉しくなってくる。Ver.REDでは、これがQUELLが4人で披露するラストの曲となる。
『Midnight Mystery』SolidS
続いてSolidSの「Midnight Mystery」。それぞれに強い個性を持つ4人だが、この曲はとくにひとりひとりの特性が際立つ。Ver.REDでは、これがSolidSが4人で披露するラストの曲だ。
『東京LOVEジャンキー』全員
大トリは全員で「東京LOVEジャンキー」を披露。ステージから客席までめいっぱい使った8人のパフォーマンスを、最後まで堪能してほしい。
セットリスト(Ver.RED)
1.CRAZY BABY SHOW(SolidS)
2.Judas(SolidS)
3. BELIEVER -祈り-(QUELL)
4.時を越えて(QUELL)
5.花鳥風月(ハーフメドレー):Lily -寄り添う百合のように-(里津花)〜あなたの花(壱星)〜Canaria -消えゆく空に-(翼)〜眠る大鴉(壱流)〜Squall -冷たい衝動-(大)〜移り気な風(英知)〜Tide -光の射す方へ-(志季)〜Pale Moonlight(柊羽)
6.NEMOPHILA(QUELL)
7.Above the best(QUELL)
8.Midnight Mystery(SolidS)
9.東京LOVEジャンキー(全員)
ちなみに、第一幕・第二幕ともに、RED(SolidSメイン)/BLUE(QUELLメイン)どちらのバージョンを見ても、きちんと両ユニットの魅力を堪能できるよう構成されている。
どちらか一方のみ観劇予定の方も安心してほしい。
とは言え、片方を見れば「もう片方も見たい!」と感じることは間違いなしだろう。
2.5次元ダンスライブ「S.Q.S(スケアステージ)」Episode 3「ROMEO -in the darkness-」は、4月25日(木)〜5月6日(月・祝)、ヒューリックホール東京(有楽町)にて上演中。各回、当日券の販売もある。
8人の集大成をぜひあなたの記憶に刻んでほしい。
広告
広告