舞台「HELI-X」シリーズのトークイベント「HELI-X Talk Meeting 2022」が3月5日(土)に都内で行われた。過去の2作品を振り返るコーナーやクイズ、ファンからの質問コーナーなどが設けられた。イベントの最後には今年6月に上演予定の新作公演が発表された。
舞台「HELI-X」は、毛利亘宏脚本、西森英行脚色・演出によるオリジナルシリーズ作品。2020年12月に初演が、2021年10月に第2弾が上演された。
第一部には玉城裕規、菊池修司、輝馬、松田昇大、星元裕月、服部武雄、彩凪翔、天真みちる、平野良が舞台衣装で出席。第一部は平野のMCで進められた。
イベントは、毛利から寄せられたビデオメッセージから始まった。新キャストである彩凪と天真の役名は、彩凪はセーレ、天真はフルカス。どちらも、旧約聖書に由来する「ソロモン72柱」の悪魔の名前から取られているという。
続いて、これから「HELI-X」の世界に入る初心者でも設定や世界観が分かるようにと、2020年10月に上演された第1弾のあらすじを紙芝居形式で紹介するコーナーが展開された。あらすじが書かれたスケッチブックをキャストたちが順番に読んでいく形式だ。
途中、松田昇大演じるシュンスイの「感覚がキレッキレだぜ!」のセリフを菊池(アガタ・タカヨシ役)が振り付けありでテンション高く読み上げると、松田から「素人だな」と突っ込みが。場内は笑いに包まれた。
続いて、2021年10月に上演された第2弾「HELI-X II 〜アンモナイトシンドローム〜」から、キャストが選ぶもう一度観たいお気に入りのシーンを振り返るコーナーへ。
まずは、ゼロと話していたアガタが頭痛を起こして何度も苦悶の叫び声を上げるシーン。このシーンを選んだゼロ役の玉城裕規は「本番をやっていて、最後らへんに気づいたんですけど…(アガタが)苦しむ時に『ああー!』じゃなくて『にゃー!』って(笑)」。それを聞いたMCの平野(オシリス役)は「楽屋でこのシーンの時みんなで『にゃー!』ってやってた」と、招き猫の手のポーズを取りながら当時の裏話を暴露。
次に、イモータルがメインで回していた、カンザキとの日替わりのギャグコーナー。選んだのは星元裕月(サッドネス役)と松田。そのシーンに登場していた松田は「日替わりでどんどんグレードアップしていく。笑いをこらえるのが大変で、あのシーンだけはこないでくれって毎回思っていて」と、当時を回顧。
星元は「HELI-Xの世界観って、ちょっと“陰”でダークなんですよね。でも、イモータルが来てくれたことによって空気感が変わって。あの久世さんが(日替わりのギャグを)やるとは思わなくて(笑)。いいスパイスになったシーンだなって」と、シーンの意味合いも込めて振り返った。
最後に選ばれたのは、第2弾のラストシーン。これを選んだのは菊池と松田。菊池は「玉ちゃんと一緒に作り上げていく中で、最後の最後まであがきながら考えて、僕にとって印象的なシーン。玉ちゃんと板の上でお互いを感じ合いながら作り上げた僕らの答えみたいなシーンだと思った」と選んだ理由を熱弁。
平野も「あそこに向かっての作品だったからね、集大成」と頷き、「第2弾は、すれ違いというのがテーマだった。どのチームもキャストも不条理劇のような仕組みになっていて、その一番の見せどころ」とコメントを添えた。
松田は「すれ違う儚さ、真実に向き合った瞬間のゼロの心…本当に見ていて儚いなぁって。それぞれの思いがこのシーンに詰まっているのかなって」と語った。
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次はクイズコーナー。
チーム・ゼロ(玉城・松田・服部・天真)、チーム・アガタ(菊池・輝馬・星元・彩凪)に分かれ、本作にまつわるクイズ対決が行われた。勝利チームには高級フルーツ店のスイーツが贈呈されると発表され、キャストたちはやる気を強める。
「プロットの段階でのアガタの名前は何だった?」「カンザキの能力で最初に見せた絵は何だった?」「その絵を描いてください」の3問が出され、アガタチームが勝利となった。
次に、ファンから事前に寄せられた質問に答えるコーナー。
「サッドネスの能力“チェンジ”(相手と自分の体を入れ替えられる能力)を使えるとしたら、誰と入れ替える?」の質問に、菊池は「ジャスティン・ビーバー。ちやほやされてみたい(笑)」と即答。
天真は「ピカチュウ。スペックがすごいのに忠誠心も高くて、ダメなところが一つもない」とピカチュウ愛を告白。
彩凪が「オシリス」と答えたのを受けて、演じる平野は「(オシリスは)何を考えているのか分からない。感情が動かない愉快犯」とオシリスの心理を分析する。
服部(レスター役)は「ゼロになって“タイム”を使いたい。学生時代とかに戻りたくないですか?」と呼びかけた。
輝馬は「(漫画「ONE PIECE」の)ルフィの海賊団の誰か。困って死にそうな時に『助けてルフィ!』って言ったら絶対に来てくれる。あと船の中で酒盛りしたい」と笑顔で語った。
次の質問は、新キャストである彩凪と天真へ「(本作で)どんな能力を使いたいですか?」。彩凪は「人の能力を奪って使う“コピー”」、天真は先の質問の自分の回答の「ピカチュウ」を受けて「電光石火」。「物理攻撃ね、電気使い、あるかもしれないですね」と平野も納得の様子。
能力で盛り上がるキャスト陣に対して、能力者のHELI-Xではないアガタを演じている菊池は「僕にも能力をくださいって言っているんです。でもいっこうに能力がつかない…」と腑に落ちない様子。しかし、能力を手に入れるためには性別変更のトランス手術を受けなければならないため「能力を受け継いだ瞬間にキャストチェンジになっちゃうから、なかなか叶わない」とお手上げになり、観客の笑いを誘う。
最後の質問は「アンモナイトシンドロームは、出会いと別れを繰り返す話でしたが、皆さんにとって忘れられない出会いと別れは?」。
菊池は、初演に出演していた服部と輝馬が今作で戻ってきたことに触れ「このシリーズならではだなって。楽屋で挨拶した時、ああ輝馬くんだぁ…って」と、再会の喜びを口にする。星元は「去年の末に夢咲ねねさんと、今は(別作品の稽古で)七海(ひろき)さんとご一緒させていただいていて、このイベントでも元宝塚のお2人(彩凪・天真)とお会いできて、こうしてご縁が続いているのがありがたいです」と、出会いの驚きを語った。
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続いて第3弾の告知となるイメージ映像とビジュアルがスクリーンに映し出され、会場と公演日程が発表された。玉城は映像の中のオシリスに触れ「怖すぎじゃない、あの人?」。演じる平野自身も「俺も怖かった、加工が(笑)」とインパクトを受けた様子。
最後にキャストたちが一言ずつ挨拶を寄せ、MCの平野良が最後に「愛しています!」とファンへ呼びかけイベントは終了となった。
玉城裕規
予告を見て、3回目のはずなのに「この世界観で今回はくるんだ!」という鳥肌ものでしたし、次がどう進んで終わるのか、どこに向かっていくのかと言うのが本当に分からなくて、いつも不安の中にワクワクがあります。僕が感じたものを皆さんも一緒に体感して、「HELI-X III」をすごいものにしてみせますので応援していただけたら嬉しいです。「HELI-X」シリーズを歩んでいきましょう!
菊池修司
予告映像を初めて見たのですが、1と2とやってきて色々と考えさせられるものがあったりして、アガタとゼロや周りのキャラクターたちがどうなっていくのか…役者ですけれどもいちファンとして、「HELI-X」シリーズをみんなとともに盛り上げられたらいいなと思っています。
輝馬
(イベント中は)触れなかったのですが、衣装が変わりました! 螺旋機関を思い切り裏切って違うチームに行ってしまったのですが、1での思いを引き継いで3に臨んでいきたいと思います。新しい「HELI-X III」を楽しみにしていてください。
松田昇大
(クイズで)チーム・ゼロの足を引っ張ってしまったことだけが…。素敵なキャストの皆さんとこうやって楽しくお話できて、本当に幸せでした。舞台「HELI-X III」も皆さんに楽しんでもらえればと思います。DVDも発売されますので、2もぜひ観てください!
星元裕月
アンガー・サッドネスだったのが今回はサッドネス単体なので、(1人で)舞台上に立つのは初めてになります。すごく、どうなるのかな…とは思っているのですが、愛するムチが切れるくらいに頑張りたいと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。
服部武雄
今予告を見ていただいたとおり、レスターも帰ってきます。自分は2を会場で見させてもらって、本当に面白かったので、今から3が楽しみです。皆さん楽しみにしていてください。
彩凪翔
カンパニーの中に2人で飛び込んでいくという怖さと緊張はすごくあったのですが、とても楽しく過ごさせていただきました。先ほど役名もうかがいましたし、3でどのように出ていくのか、演じていくのかとても楽しみです。精いっぱい頑張りたいと思います。
天真みちる
始まった瞬間に役名と役どころを初めて聞いたので、こういう役なんだ、と皆さまと同じ気持ちで知りました。今日この日まで心配と緊張でいっぱいだったのですが、力強い皆さまに包まれて楽しいひとときを過ごせました。公演も頑張りますのでよろしくお願いいたします。
取材・文:広瀬有希/撮影:ケイヒカル
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