レポート

価値観の違いを乗り越えて ウォーリー木下が舞台「僕はまだ死んでいない」を作った意味

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「毎回、社会にとって今、この作品を作る意味みたいなものは考えます」

演出家・ウォーリー木下は、舞台「僕はまだ死んでない」(2022年2月17~28日、東京・銀座8丁目博品館劇場)開幕前の2.5ジゲン!!のインタビューにこう応えている。そして、付け加える。

「演出の仕事も半分くらい、そこかなと思う」

舞台「僕はまだ死んでない」のテーマは、終末期医療だ。寝たきりの状態になった画家の主人公、白井直人をめぐり、幼なじみの親友の児玉碧、妻の白井朱音(演・中村静香)、父・白井慎一郎(演・松澤一之)、医師・青山樹里(演・彩吹真央)の思い、考えが、時に笑いをはさみながら、時にシリアスに展開される。白井直人と児玉碧は矢田悠祐と上口耕平が交互に演じ、筆者が観劇した2月22日の回は、上口耕平が白井直人を、矢田悠祐が児玉碧を演じた。

舞台は、幼なじみの2人が子どもの頃、川で捕ってきた錦鯉の話をするところから始まる。碧にとっては、直人は子どものころからの仲良し。そんな直人が会社を辞め、画家として独立した直後、突然、病に倒れる。手術は成功したものの、命を取り留めるだけで幸運と言われるほどだった。

回復の見込みはほとんどない。これ以上、悪くなったとき、治療を続けるのか、それとも、やめるのか。本人の意思もはっきりと分からない。

そこで、顕在化するのが、「命」をめぐる価値観、考え方の違いだ。そして、それぞれの環境、立場の違いだ。父として、妻として、親友として、医師として…。どう考えているのか。日本における法律を提示しながら、それぞれ思いが浮かび上がる。

正解はないのだろう。舞台の中盤、父・慎一郎がベッドで横たわる直人に向かって、こう語りかける場面は、その象徴に見えた。
「直人はどこまで生きたい?どの段階で死なせて欲しい?」

新型コロナウイルスの問題に直面し、人は否応がなしに命と向き合わなければならなくなった。そんなときだからこそ、いつ突然やってくるかもしれない終末期医療のことを考えるきっかけになるかもしれない。舞台の冒頭に「錦鯉」が登場するわけが最後に明らかになり、きっと人を思考へと導くだろう。そして、ウォーリー木下が提示する社会的な意味とは…。

舞台「僕はまだ死んでない」は28日まで、東京・銀座8丁目博品館劇場で上演されている。

(撮影:岡千里)
※写真は、矢田悠祐が白井直人を、上口耕平が児玉碧を演じた回。

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公演情報

タイトル

舞台『僕はまだ死んでない』

日程・会場

2022年2月17日(木)~ 28日(月)
東京・博品館劇場

原案・演出

ウォーリー木下

脚本

広田淳一

出演

矢田悠祐 上口耕平 中村静香/松澤一之・彩吹真央

公式サイト

https://www.stagegate.jp/stagegate/performance/2022/bokumada2022/index.html

公式ツイッター

@Bokumada2022

主催/企画・製作

シーエイティプロデュース

WRITER