舞台「HELI-X」シリーズの初トークイベントとなる「HELI-X Talk Meeting 2021」が7月4日(日)、都内で行われ、玉城裕規・菊池修司・後藤大・立道梨緒奈・松田昇大・塩田康平・星元裕月・北村海が舞台衣装で出席した。
舞台「HELI-X」は、毛利亘宏脚本、西森英行脚色・演出によるオリジナルシリーズ作品で、2020年12月に初演が上演された。 イベントは北村のMCで進められ、出演者とともに初演を振り返るコーナーやゲスト出演した毛利と西森を加えたトークコーナーなどが設けられ、イベントの最後には今年10月に上演予定の新作公演が発表された。
* * *
キャストからの「もう一度観たいあのシーン、あの台詞」のコーナーでは、オープニング、ゼロ(演:玉城裕規)対アンガー(演:塩田康平)、サッドネス(演:星元裕月)対シュンスイ(演:松田昇大)の3つのシーンがピックアップされた。
オープニングを選んだワカクサ役の立道は「かっこよくないですか? 好きなシーンと言えばここと、シュンスイの『感覚がキレッキレだぜ!』が二大好きなシーンなんです。(オープニングは)これこそ“HELI-X“ですっていう理由で」と熱く語ると、キャスト一同も頷いた。
アガタタカヨシ役の菊池がオープニング映像を見ながら「キャラクターが生かされている殺陣だし、アングルも凝っている」と感嘆。シデン役の後藤は「螺旋機関の衣装が黒いから見えづらい…(笑)」と苦笑いするが、内気なキャラクターを演じたことを踏まえて「この格好をしてると内気になっちゃうんですけれど」としつつ「今日は頑張って元気に喋ります」と意気込んだ。
塩田は同シーンで「(舞台の)幅が狭いから、そこで武器をぶん回すと(サッドネスの)鞭を3回くらい(棒で)取っちゃって」と当時のエピソードを披露し、場内は笑いに包まれた。
ゼロ対アンガーのシーンを選んだのは塩田。「玉ちゃん(玉城)が『あのシーンだけ気楽でいい!』って言っていて(笑)」と明かすと、それを受けて玉城は「基本的に復讐心で戦っているけれど、この戦いはゲームだし、これから向かうためのアップくらいの気持ちだから重くなくて」と、ゼロとしての心境を語る。
サッドネス対シュンスイのシーンは、サッドネスの能力「チェンジ」で2人の人格が入れ替わるという、役者にとっては難しいシーンだ。このシーンを選んだ松田は「やっていて一番気持ち良かったシーン。ゆづ(星元)がしっかりサッドネスの役を固まめていたから、それを自分に入れるだけだと思ってやりやすかった」と振り返る。
星元は「サッドネスの動きや私がやろうとしていることを(松田が)すごい速さで自分の中に落とし込んでいたから、そのスピード感がすごかった」と驚き。稽古場では、サッドネスとアンガーの能力により、複数人が入れ替わる状況を整理できなくなったそうで、「しまいにはホワイトボードに書き出したり(笑)」と思い出を語った。
続くコーナーは「脚本・毛利亘宏氏と脚色演出・西森英行氏が語る舞台HELI-Xのあれこれ」。玉城は毛利に「この作品を通して、観てくださる方に何か伝えたいものがあったら教えてください」と質問する。
毛利は、本作のテーマについて「性別そのものに向かい合うことによって、人間の本質に向かい合えるのではないかという挑戦です」と力を込める。
また、西森は玉城から「キャストのさまざまな意見や考えを取り入れる作業は大変なのでは?」と問われると、「毛利さんが脚本、僕が演出というこの形でないと作れないと思います」「パスをすると毛利さんは全てそれを汲んでくれる」と毛利に対して信頼を寄せる。
「その人がその役しかやらないという鉄則がある。その人が自分の中から生まれてきた、“こうしたい、こういうことなんじゃないか“というものをそのまま芝居にすると肉付けになるから、積極的に聞いていきたい」と、稽古場でのディスカッションから生まれる本作のキャラクター作りの秘訣を語った。
立道からの「本作の世界観、内容など何が一番最初に決まったのですか?」という質問には、毛利と西森の双方が回答。
毛利は「企画会議でジェンダーをやろうと。でも世の中がジェンダーで燃え上がっていたから、火中の栗を拾いに行くのか? と俺は思っていて(笑)」と回顧すると、西森は「そこに対して“危うい“というだけで見るのではなくて、誠実に見ていくと、何がNGで何がOKか分かってくる。そのNGラインはケアして大事にしないといけないと思った。僕はむしろやるべきだと思った」と熱く語った。
ファンからの質問コーナーでは「役作りで一番大変だったことは?」と質問が投げかけられ、菊池は「唯一(性別)転換をしていない役で、お客さんと一緒に進んでいくような役。これだけ異色な方々がいるので、僕が観ている方を引っ張らなきゃという気持ちでいました」と、役作りと共に作品における自身の役割を明かした。
玉城は「元々持っている復讐心の出し引きを西森さんとすごくお話させていただきました。どんなに戦っても何をしていても目的地にたどり着かない、むくわれない、先が見えない、そういう形だったので、心身ともにすり減りました」と役作りの苦悩を打ち明ける。
松田は「自分が持っているものと役が全然違うので、それを自分から出すのに悩んで西森さんや(後藤)大とも相談して…でも本番をやっていくうちに自分に染み付いて解放されていくのを感じました」と周囲からの協力があったことを明かした。
最後に、舞台「HELI-X」最新作の情報が解禁されると場内は大きな拍手に包まれた。新キャストとして紹介された平野良(オシリス役)と杉江大志(イモータル役)からのビデオメッセージが流れると場内のテンションはさらにアップ。少年社中の田辺幸太郎(皇光生/すめらぎこうせい役)も加わり、東京・紀伊國屋サザンシアターで10月7日(木)に開幕する。
取材・文:広瀬有希/撮影:ケイヒカル
広告
広告