レポート

『文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌』囲み取材&ゲネプロレポート!平野良の太宰治が賑やかし尽くす!?

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2月21日(木)に初日を迎える舞台『文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌』。公演に先立ち行われた囲み取材とゲネプロの様子をお届けする。

あらすじ
文学作品を守るためにこの世に再び転生した太宰治(平野良)、織田作之助(陳内将)、坂口安吾(小坂涼太郎)ら無頼派の3名と、かつての太宰の師匠である佐藤春夫(小南光司)。

親友たちとの再会、久々の出会いに喜ぶのも束の間、気付くと周囲には太宰の憧れの人、芥川龍之介(久保田秀敏)や、かつての天敵・志賀直哉(谷佳樹)、そして志賀と同じ白樺派の武者小路実篤(杉江大志)の姿も。

誰の仕業かと訝しむ文豪たちの前に怪しく登場した江戸川乱歩(和合真一)は、“アルケミスト”の存在によって再びこの世に転生したことを説明する。

次いで現れた中原中也(深澤大河)も合わさり全員で江戸川の話を聞いていると、早速芥川の作品が侵蝕されてしまっていることが発覚。 憧れの芥川先生の作品は俺が守る!と意気込み、仲間を引き連れ潜書する太宰だったが―。

囲み取材詳細レポート


囲み取材に登壇したのは太宰治役の平野良をはじめ織田作之助役の陳内将、坂口安吾役の小坂涼太郎、佐藤春夫役の小南光司、中原中也役の深澤大河、志賀直哉役の谷佳樹、武者小路実篤役の杉江大志、江戸川乱歩役の和合真一、そして芥川龍之介役の久保田秀敏の9名。

アンサンブル以外の全キャストが登壇するめずらしい囲み取材となった。この“全員が登壇する”というのも、本編を観ると納得できるだろう。どのキャラクターもこの物語には欠かせない“主役”なのだ。

ーー自己紹介と演じる役柄について

和合真一(江戸川乱歩役):江戸川乱歩役の、平和の“和”に合格の“合”、“真”実はいつも“一”つと書いて和合真一です。

トップバッターから濃い自己紹介が始まりざわつくキャスト陣に対し「クロストークじゃないんだから」と的確なツッコミを入れ、冒頭から笑い声あふれる会見となった。

和合:見ての通りミステリアスな役をやらせて頂きました。今回は物語の重要なストーリーテラー的な役割を担わせて頂くんですけど、原作の摩訶不思議な世界観に似つかわしい、“妖艶”の“妖”のほうの“妖しい”感じでやっていきたいと思います。

小南光司(佐藤春夫役):かなりの兄貴肌のキャラクターでして。役者として大先輩の方々の兄貴として立つことが稽古中すごく苦労した点なんですが、舞台上ではぜひ注目してみてください。

そして、武器が重いです! このなかで1番重いんですよ。それを使っての初殺陣なんで、楽しんでもらえたらなと思います。

深澤大河(中原中也役):中原中也はすごく酒豪なんですけど、僕自身そんなに飲めない体質……いえ、そういうわけじゃなくって、全然飲めるんですけど。

すかさず「どっち!?」「飲めるのと飲めないの、どっち(記事に)使ってもらいたいの!?」「梅酒は!?」と四方八方から声が上がった。この流れを受け、深澤は「梅酒飲めます!」と声高らかに宣言をしていた。

深澤:劇中ずっとお酒を飲んでいて、なおかつ言動が荒々しいんですけど、その荒々しさのなかにも繊細な気持ちが言葉に込められているそんな文豪なので、そこを伝えられたらなと思っています。

杉江大志(武者小路実篤役):優しくて強くていい子だなと感じていて、そんな強さや優しさが垣間見える武者になっていたらいいなと思います。

あとは志賀との関係性をどういうふうにお客さんが受け取ってくれるのか、自分の思う2人の関係が伝わってくれたらなと思っています。

小坂涼太郎(坂口安吾役):無頼派の3人で一緒のシーンが多くて、とくに織田作之助役の陳内将くんとはずっと一緒なので稽古場から仲良く、お世話したーー

言葉のあやで「お世話をした」と言ってしまった彼に対し、異議を唱える声が上がり、やはりクロストーク状態に。メインキャスト9名のお互いにいい意味で遠慮のない空気感を感じることができるやり取りとなった。

小坂:(仕切り直して)このお二人にお世話になりました。そんな仲の良さが舞台上で伝わればいいなと思います。

谷佳樹(志賀直哉役):志賀直哉は、芥川龍之介と太宰治の橋渡し的な重要なポジションでして。稽古の段階から演出の吉谷(光太郎)さんが、言葉と殺陣ひとつひとつに物語があるように、言葉の強さで人柄を観せれるようにと仰ってくださったんですけど。

僕は立ち回りのほうに気を取られることが多かったんですけど、座長の平野良くんからもアドバイスを頂き、悩み考え抜いた大切な人物になっています。

あと、大志くんとこの作品での白樺派をちゃんと観せられるように、そこに重きを置いていこう、と気合いが入っております。そこらへんを観て頂けたらと思っております。

陳内将(織田作之助役):生粋の大阪人で明るいムードメーカーなんですけど、実は体が弱いという設定がありまして。

それを周りに見せないようにしているんですけど、そのあたりが出ているかどうかは、劇中に細かく観て頂きたいなと。

吉谷さんが「楽しくも儚い演劇にしたい」と仰っていて、その通りになっていると思いますし、そうなるように丁寧にみせていけたらなと思っています。

久保田秀敏(芥川龍之介役):今回の作品は僕が軸になっているといっても過言ではなくて。

僕、芥川龍之介の作品の裏側でどんな人間ドラマや葛藤があるのかというのをぜひお楽しみください。

平野良(太宰治役):この作品の太宰治ですね、浮き沈みの激しい人物です。

キャスト陣からは太宰治について「愛されるクズですね」の声も。これを受けて、平野も「愛されたいですね。大丈夫かな……」と不安げな笑顔を見せた。

ーー意気込みを聞かせてください

和合:原作がある舞台になるので、作品のファンの方に向けてというところもありつつ、かつゲームをやったことがない人でも楽しめる文学ネタも多くて、老若男女楽しんで頂けると思います。みなさん楽しみにしていてください。

小南:どうやって侵蝕者と戦っていくのか、どうやって表現されているのか。あと、文学らしい表現があったりするので、そのあたりも楽しんでみてください。

深澤:文豪たちがどんな会話をしていたのかっていう“if”が、舞台では表現されているので、そこを楽しんで頂きたいです。

さらに、世界観を作り上げているアンサンブルの活躍にも触れ、ぜひ彼らにも注目してほしいと述べた。

杉江:出演が発表されたときに反響が大きくてですね、それに対するプレッシャーもありつつも、稽古が進むうちに素敵な仲間に混ぜてもらったなと思ったので、とにかく“楽しい”を更新していけたらな、と思います。

アドリブなんかも日に日に増えたらいいな、なんて思ってますけども、飽きずに観に来て頂けたらと思います。

日替わりのアドリブはファンにとっても舞台の醍醐味。ぜひ、武者小路実篤のアドリブに注目してみよう。

小坂:かっこよくてめちゃくちゃおもしろいんですけど、衝撃のラストがありますんで。結末を楽しみに、絶対観に来てください。

谷:アクションが多く、稽古中もお芝居なんですけど命がけというかギリギリのところでやっていまして。

終わったときに袖でひどい顔になってると思うんですけど、1公演ごとにそれくらいの熱量でやっていきますので、それが直でお客様に届けばいいなと思います。

陳内:ご覧頂いた通り、笑いの絶えない楽しいカンパニーなんですけど、おかげで関西人を演じるにあたって、楽しくやってこられました。

今回京都公演もありますので、本場・関西に行って、九州出身の僕の関西弁がどう言われるかは分かりませんけども(笑)そこも気にならなかったと言われるくらいしっかり織田作之助という人物と向き合ってきた所存ですので、精一杯演じたいと思います。

久保田:芥川龍之介を演じるということで、彼が降りてきてるんでしょうね。

舞台中でもタバコが吸いたくなるときがありまして、今回も吸うかもしれないんですけど、みなさん吸っているところをみた場合も係員を呼ばずに温かい目で観て頂ければ……。

というのは冗談で(笑)新しいエンタメの作品をお見せ出来るように頑張りたいと思います。

役柄に絡めたジョークも交えての挨拶に、「ボケがベテランみたいだよね」とまたもや会場は笑いに包まれた。

平野:昨今いろんな演劇ありますけど、演劇らしい演劇になっています。マンパワー、人の力で魅せる演劇になっています。文豪が主体なので、物語もとても文学的で、全体的にいうと夏目漱石作品を彷彿とさせるような展開です。

今回も、「人の心に巣食うなにか」というテーマがありますので、観てる人にもなにか感じられる作品になっているんじゃないかと思います。

個人的にはこんなきらびやかな衣装を着させて頂いて嬉しいんですが……。最年長座長なんですけど、まさかこんな賑やかしの役がくるとは思ってませんでして(笑)。

みんな軸だったりストーリーテラーだったりかっこいいシーンがあって、僕はどの役回りかというと賑やかしなので……。最後の最後まで賑やかしていこうかな、と。乞うご期待ください。

最後は平野がさすがの最年長座長らしいコメントで、囲み取材を締めくくった。

ゲネプロレポート

▲圧巻のオープニングはとにかくかっこいい!

囲み取材ではアットホームな雰囲気をみせてくれた9人。取材後に行われたゲネプロでは、それぞれが語っていた見どころが凝縮された本編が堪能できた。

今回はその様子も少しお届けしよう。もちろんネタバレはないので、観劇を控えるファンも心置きなく楽しんで欲しい。

原作はDMMにて配信されているゲーム『文豪とアルケミスト』(通称文アル)。侵蝕者によって破壊された文学書は、その本の存在自体がすべての人の記憶から消され無かったものとなってしまう。

そこでアルケミスト(プレイヤー)によって転生した文豪たちが本の中に入り=「潜書」して、本を蝕む敵を倒していく。

本編は太宰治(平野良)が転生し目覚めるところから物語が始まる。ステージ上では次々と名だたる文豪たちが目を覚ましていく。

そこには“無頼派”と呼ばれる太宰、織田作之助(陳内将)、坂口安吾(小坂涼太郎)や、太宰の師であった佐藤春夫(小南光司)、そして太宰が敬愛してやまない芥川龍之介(久保田秀敏)の姿があった。

▲次々に目覚める文豪たち

▲いつも賑やかな無頼派の3人

▲タバコをふかす姿が美しい芥川龍之介

さらには太宰の天敵である“白樺派”の志賀直哉(谷佳樹)と武者小路実篤(杉江大志)、酒瓶を片手にした中原中也(深澤大河)までもが集う。

▲白樺派の2人の関係性とは一体……

▲中原中也と太宰治は何を語らうのか

▲妖しさ漂うストーリーテラー

彼らは、転生してきた理由をストーリーテラーの役割を担う江戸川乱歩(和合真一)から聞かされる。

そしてすぐに、“侵蝕”はやってきた。その蝕まれた作品とは一体なんなのか、なぜその作品が狙われたのかーー。

本作では文豪たちが自らの意思で、文学を守るために潜書する姿が描かれている。狙われた文学書と自分の関係、その作品を執筆した文豪との関係。そういった転生前の関係性や因縁が、いまの文豪たちに受け継がれている。

同じ時代に生きていなかった文豪同士も間接的に影響を与えあい、それらが人間ドラマに落とし込まれ、この作品の核を成していた。

目を奪われたのは、なんといっても古典的とも思える演劇的手法だ。デジタルではなく人の手で紡がれた文学作品を、マンパワーで舞台作品に昇華させる。そんな意気込みが感じられた。

文学書のページをめくるように、くるくると表情を変える舞台上の景色はシンプルだが想像力を掻き立てられる。文字から無数の情景を想像する文学書と通じるところがある作品だった。

各文豪が違った武器をたずさえての殺陣アクションも迫力満点。手数が多く、息をつく暇がない構成になっていた。

どのキャラクターもしっかり見せ場が用意されていたので、ファンはお気に入りのグッとくるワンシーンが間違いなく見つかるだろう。

幕が下りたとき、爽快でいて儚い小説を読んだような感覚を味わえる『文豪とアルケミスト 余計者ノ挽歌』。ここでしか味わえない文豪たちの織りなす化学反応をぜひその目で確かめて欲しい。

©DMM GAMES / 舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

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公演情報

タイトル

文豪とアルケミスト 余計者の挽歌

原作

「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)

監修

DMM GAMES

世界観監修

イシイジロウ

脚本

なるせゆうせい

演出

吉谷光太郎

音楽

坂本英城(ノイジークローク)/tak

振付

MAMORU

アクション

奥住英明(T.P.O.office)

キャスト

太宰治:平野良
織田作之助:陳内将
坂口安吾:小坂涼太郎
佐藤春夫:小南光司
中原中也:深澤大河
志賀直哉:谷佳樹
武者小路実篤:杉江大志
江戸川乱歩:和合真一
芥川龍之介:久保田秀敏

公演期間、劇場

【東京】
2019年2月21日(木)~28日(木)
シアター1010

【京都】
2019年3月9日(土)~10日(日)
京都劇場

チケット料金

8,200円(全席指定/税込)

チケット先行受け付け

11月30日(金)19:00~12月9日(日)23:59

チケットの取り扱いについて

◆チケットぴあ
http://w.pia.jp/t/bunal/

◆ローソンチケット
https://l-tike.com/bungo/

◆e+
http://eplus.jp/bunal/

◆CNプレイガイド
http://www.cnplayguide.com/bunal-butai/

主催

舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

制作

ポリゴンマジック

公式ホームページURL

http://bunal-butai.com/
  (c)舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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