2021年1月21日（木）、「怪盗探偵山猫 the stage」がヒューリックホール東京で開幕した。
原作は「心霊探偵八雲」シリーズなどで知られる神永学の小説シリーズ『怪盗探偵山猫』（KADOKAWA/角川文庫刊）。シリーズの累計発行部数は90万部を記録する人気作品で、鮮やかに金を盗み、ついでに悪事を暴いて颯爽と消え去る天才怪盗“山猫”の活躍を描く、痛快ピカレスク・アクション・ミステリーだ。
開幕に行われたゲネプロの様子と舞台写真を、主演を務める山猫役・北村諒からのコメントをお届けする。
天才怪盗“山猫”、真意と信念はどこに？
神出鬼没、謎の天才怪盗“山猫”。物語は、山猫が鮮やかに盗みを働くシーンから始まる。
舞台の天井まで届きそうなほど高い3段のセットを、山猫役の北村諒が猫のようにひらりひらりと飛び回る。盗みの現場に残された「山猫参上」の文字。原作ファンにとっては心躍る、舞台から入った観客にも世界に入り込みやすいオープニングだ。
とある強盗殺人事件から物語は大きく動き出す。現場に残されたのは「山猫参上」の文字。殺しはしないはずの山猫がなぜ…。
所轄刑事の霧島（演：和田琢磨）と同僚刑事の福原（演：瀬戸祐介）が現場の調査をしていると、そこに警視庁のエリート刑事・関本（演：徳山秀典）が現れる。
霧島に対して厳しくあたる関本。第一印象は最悪。しかし署に戻った霧島を待っていたのは、上司の森田（演：村田充）からの「関本とコンビを組め」という命令だった。
一方、殺害されたのは霧島の大学時代の後輩、雑誌記者・勝村（演：赤澤燈）の元上司・今井（演：宮下貴浩）。今井はなぜ殺されたのか。殺したのは本当に山猫なのか…。
今井の死の真相を探ろうと、勝村は霧島と情報交換をしながら事件の深部に足を踏み入れていくことになる。
それぞれの信念と思い、交差する感情
テンポの良いエンタメ作品である原作に、人が演じる重さというスパイスがたっぷり加えられた舞台。刑事サイドの一人一人が持つ信念と人間関係、山猫と勝村の奇妙な共闘関係。この2つが複雑に組み合さって、一本の太い筋のある話に仕上がっている。
演じる役者たちは実力者揃い。痛快なエンタメとしても、骨太な男たちの話としても、しっかりとした演技力で楽しめる。
また、とにかく全員顔がいい。アクションシーンの派手さと相まって、高いセットと広い舞台を駆けまわる役者たちを追うのに目が足りなくなることだろう。
正体不明、神出鬼没の謎の怪盗“山猫”。演じる北村諒は、悠々として常に人をくったような雰囲気を醸し出している。捉えどころがなく、するすると動く手足と余裕のある表情。アクションシーンでは身体能力の高さも堪能できる。
2つのストーリーのうち、刑事側の関係性は緊張感がある。エリートの関本と所轄刑事の霧島は、まるで水と油のようにまったく馬が合わない。
強い信念を持ちながらも本庁の刑事には逆らえない、いらだちを隠せない若い刑事を和田が熱演。美しく整った顔が悔しさと焦燥に歪む絶妙な表情は必見だ。
取り付く島もなし。冷徹なまでに淡々と命令を下していく本庁エリート刑事を演じる徳山はさすがの演技力。出てくるたびに舞台に緊張感がみなぎる。
片や山猫と勝村、こちらの組み合わせはコミカルだ。ひょうひょうとして悠々自適な山猫に翻弄されながら、わちゃわちゃと動き回る勝村。2人のシーンには思わず笑いがこぼれてしまうだろう。
どこまで台本でどこからアドリブだか分からないほど、息の合った2人のやりとりに注目だ。
福原はゆるゆるとした空気を持つ。必死さで空回りしがちな霧島をサポートし、ともに今回の強盗殺人事件を追っていく。演じる瀬戸自身が持つ、するっと人の心に入り込んでいきそうな雰囲気が役にマッチしている。
常にスマホゲームでゆるく遊んでいる、霧島の上司・森田を演じる村田。ふわふわとした雰囲気を出しながら、時にぞっとするほど恐ろしい何かを含む声と目線で物語を引き締めている。
霧島の青くて若い信念。勝村のジャーナリストとしての信念。人にはそれぞれ譲れないものがあり、しかし譲らざるを得なくなってしまうような壁にぶち当たることもある。
その時、人はどう動くのか…。信念に従うのか。曲げてしまうのか。人の信念が揺らぐのはどんな時なのだろう。そう強く思わせてくれる舞台だ。
本作は最終日2021年1月31日（日）11：30公演と16：30公演の生配信が決定している。生の息遣いとアクション、感情の機微が感じられる生の舞台はもちろん、配信でも「待て!! しかして期待せよ!!」だ。
北村諒 コメント
まだまだ、油断を許さない状況ですが、万全な対策をして皆様にこうして「怪盗探偵山猫 the Stage」を届けられることを嬉しく思っています。登場人物それぞれの人間味あふれるお芝居とセットを駆使したアクションをお楽しみください！ 観劇した皆様が、ワクワクしたり、笑顔になったりしてくれたら嬉しいです。千秋楽まで、よろしくお願いいたします！
公演は1月31日（日）までヒューリックホール東京で上演。なお、Blu-ray＆DVD発売が2021年5月21日（金）に発売。公演の模様に加え、バックステージ映像やキャストコメントなどの特典映像も収録予定。
（C）Manabu Kaminaga／KADOKAWA／エイベックス・ピクチャーズ
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