2019年9月26日(木)、誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」~闇ヲ見つめる者~が開幕した。
この舞台は、同年6月に上演され惜しまれつつ幕を閉じた舞台の再演だ。
原作は大人気シミュレーションRPGゲーム。特に人気のあるイベント部分を舞台化したもので、これまで舞台を見たことの無い層にも幅広く受け入れられた。
6月の舞台の脚本に改定を入れ、上演がされた今回の舞台。初日に先だっておこなわれたゲネプロとフォトセッション、囲み取材の様子をお届けする。
(本文中に含まれない画像は、本ページ下部の「画像一覧」に)
※前回のゲネプロレポートはこちら
それぞれの正義と誓い。何の為に戦うのか?誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」ゲネレポ
舞台のシーンとともにキャラクターを紹介! 再現性の高い衣装・武器も必見
前作ではクダンシュタインを主人公とし、彼の過去にあった出来事を軸としたストーリー展開となっていた。
今回は、ベースは変わらないもののバシーニの視点が多く取り入れられ、前回多くの謎を残した彼の「闇」の部分にクローズアップしている。再演とはいえ、違う視点から見た違うストーリーとも受け取れる。
また、上演時間が30分ほど増え、前回人気があったシーン、名セリフなどはそのままに、キャラクターの心理が深く掘り下げられている。
もちろんアクションシーンも増えているので、前回見た人は違いを楽しむのも良いだろう。
大事なものを守るためには、もっと力が無くてはいけない。クダンシュタインの過去が語られる。
登場するだけで周囲が輝くほどの光に包まれるカノンは、その明るさで世界の未来を切り開く。
ロードマスター・ザイン。白い衣装をなびかせてエクスカリバーをふるう姿は、世界を導く光そのものだ。
クダンシュタインとかつて義兄弟の契りを交わしたクウザ。男くさく、任侠みにあふれた「兄貴」的な人物だ。
舞台版のモンゼインは、人の良さがにじみ出る癒し的な存在だ。戦闘シーンでは雷的な照明効果も多いので、その点にも注目してほしい。
今回のクローズアップキャラクター・バシーニ。「力こそ正義だ」と力にとらわれ闇の力を解放する。カノンに対しては従順で可愛らしい面も見せる。
ワダツミの巫女、チハヤ。その息をのむほど美しい舞い姿は、クウザの心を動かす。
飄々として、ふざけているのか本気なのか分からないオーティマ。しかし、仲間を信じているからこそ時には強い言葉も出てしまう。
弓を引くセーダは、効率的にキックで敵を踏みつぶすときもある。モンゼインとの口げんかもお楽しみのシーンのひとつだ。
今作のヤウラスは華麗でクール。戦いのさなかでも淡々として冷静だ。美しさがほとばしる。
可愛さの中にも、ワダツミ女王の娘としての気品があるカグラ。カノンとの可愛い女子的なやりとにも注目だ。
オライオン。初代はカリスマとも言える絶対的な強さの象徴としての存在だったが、今作では人間くささが滲む「わけあり」なキャラクターとして違った魅力が出ている。
汗が飛び散る激しいバトル・アクション。コメディシーンの振り切れ具合も見どころが盛りだくさん
タガステと言えば、ゲームを再現したストーリーはもちろんのこと、キャラクターたちが繰り広げる激しいアクションが見ものだ。
大人数での入り乱れてのバトルは、手数が非常に多く、そしてキャラの特性を生かした動きになっているため見ていて美しく、楽しい。また、その武器だけで戦うわけではなく、時に手を出し足を出す、リアルな殺陣がつけられている。
注目すべき点のひとつはアンサンブルだ。メインキャラクターはもちろんだが、アンサンブルの「舞闘兵団」の動きが素晴らしい。アンデッドの集団として大勢で斬りかかる。跳び、避け、斬られては蘇る。
彼らの戦い方がリアルでハードだからこそ「恐ろしい敵と戦っている」世界観がより強まっている。振付の中村誠治郎が自ら剣をふるうシーンでは特に舞台の空気が張りつめ、剣による風を感じるほどだ。
額に頬に、汗がつたう。それでも息を切らせることなくセリフを口にする。ライトにきらめく飛び散る汗。アクションの激しさが伝わってくる。
また、コメディシーンでは、前回公演時に大きな話題となった「ザインの小部屋」が今回も健在だ。突然のピンポンが開始の合図。ゲネプロではケーキ裁判からの、突然のザイン様の誕生日会へと発展した。
「聖石イベント」のアナザーストーリーをまた別の視点で観る。力、そして正義とは?
今回の「聖石の追憶」~闇ヲ見つめる者~は、前述のとおり「6月公演の改訂版」としてスタートしている。セリフ、ストーリーの流れは再演というだけあってほぼベースは同じだ。
6月におこなったインタビューで、ザイン役の中村誠治郎は「話がしっかりとしているから誰が主役でもいい」と語っていた。そのとおり今回は「バシーニの目を通したクダンシュタインの物語」だ。
そのため、ベースは同じであるものの見方によってはまったく違う舞台となっている。
前回が「何のために戦うのか、正義とは?」が語られていたのに対して今回は、自らの闇を見つめ、強さと正義について苦悩する2人の姿が描かれている。
ゲームの世界も、先頭に持ってくるキャラクターで物語が違うように見えることがある。再演でありながら、視点の人物を変えることによってテーマが変わったこの舞台、次回があるならさらにどのように進化を遂げるのか楽しみだ。
リセットされた新しいタガステ!囲み会見レポート
ゲネプロ前に行われた囲み会見では、今作にかける意気込みや見どころなどが語られた。登壇者は、橘 龍丸・柏木佑介・花影香音・吉川 友・桃月なしこ・山口大地・中村誠治郎、プロデューサーの今泉 潤。
橘 龍丸(クダンシュタイン役):「再演」と言うよりも、一新した新しいタガステのスタートを切るのではないかと思っています。
そのため、演じるにあたってクダンシュタインの心情のあり方も1回リセットしています。
クウザの柏木さんとは初めてなのですが、初めてという感覚が無かったです。「お兄ちゃんが来たな!」っていう感覚でした。
安心して背中を預けられるクウザを見せつけてくれたので、これはうかうかしていられないな、となりました。兄弟のシーンもとても熱く、楽しい芝居をさせていただきました。
武器や衣装では、今回、槍が軽量化されて振りやすくなっています(笑)。
我々の熱い魂や、命を燃やしている姿を見て、いろいろなものを持ち帰って頂けたらと思っております。ぜひ、博品館劇場に足をお運びください。
柏木佑介(クウザ役):僕は元々原作のファンで、3年前からこのゲームをやっています。本当にこの作品が好きなので、関わっていく上ですごくプレッシャーでした。酔っ払った勢いで今泉さんにキャラクターのことを語ったりもしました(笑)
僕の演じるクウザは、クダンとどういう兄弟関係を築けるのか、というところを一番見せていかなければいけないなと思っています。
僕は、都合で稽古期間がすごく短かかったので、もうずっと稽古をしていました。龍丸くんと僕、としてではなく、クダンとクウザとして仲を深めった感覚です。
台本を読んで「いいお兄ちゃんだなぁ」と感じたので、観る方にも、こんなお兄ちゃんがいたらいいなぁと思ってもらえたら嬉しいです。
花影香音(カノン役):カノンは聖教騎士団イチの元気っ子なので、その元気さと、人を明るくさせるエネルギーがとても素敵な子だなと思います。
みんな大好きミラクルカノンスラッシュを今回も楽しみにしていてください!
吉川 友(カグラ役):カノンと一緒にきゃぴきゃぴしている役柄なのですが、原作とは声が…違ってハスキーで(笑)。でも、頑張って演じます!
桃月なしこ(ヤウラス役):ヤウラスは聖教騎士団の団長なので、もちろん強いし気品があって華麗な人なのですが、私は何一つあてはまっていなくて(笑)。
自信が無かったのですが、キャストの皆さんに「自信持って!」と言われて稽古をしていました。本番では自信を持って演じていかれたらいいなと思っています!
山口大地(バシーニ役):クダンが主役の物語ですから、そこに絡んでいくキャラクターたちがどういう人物なのかを掘り下げれば、よりクダンの成長が分かるかなということで、バシーニの出番を増やしてもらいました(笑)
見どころのひとつとして、闇を抱えているキャラクターが「闇」になると、殺陣の雰囲気が全く変わります。音響や照明にもすごくこだわっているので「闇の」アクションシーンはすごく見ごたえがあります。
殺陣もかなりグレードアップしています。初演を超えるような作品になっていますので、初演を見てくださった方はもちろん、新しく見に来ていただけるお客様が増えるといいなと思います。
中村誠治郎(ザイン役・振付):前回の殺陣を活かしつつブラッシュアップし、役にあったドラマを大事にした殺陣に改良しています。特にクライマックスのシーンでは、前回との違いがわかると思います。
手数よりも、ドラマが伝わるような殺陣ですね。音響と照明がアクションにバッチリ合わせてくれていて、アンサンブルの皆さんの動きもあって、より必殺技が引き立っています。
全員死ぬ気でやっていますので、それがお客様に伝わればいいなと思っています
今泉 潤(プロデューサー):再演にあたり「同じものを作る」のは、お客様にも僕たちにとっても面白くないな、と思いました。
キャストも半分代わっているので、やっぱりちょっと見え方を変えたいなと思ったのがひとつ。熱い熱量のドラマをさらに深めたいと言うことで脚本に手を加えたりなどしました。新しいタガステをお届けできたらと思います。
誰ガ為のアルケミスト 舞台版「聖石の追憶」~闇ヲ見つめる者~は、銀座・博品館劇場にて2019年9月29日(日)まで上演中だ。
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