2019年6月、大人気シミュレーションRPGゲーム「誰ガ為のアルケミスト」が舞台化される。
同舞台は、ゲーム内の人気イベントを別視点から見た新しいストーリーとして大きな話題だ。
都内の稽古場にておこなわれた通し稽古の様子と、キャスト3名(橘龍丸・小笠原健・中村誠治郎)へのインタビューの様子をお届けする。
もくじ
目を見張るアクション、ゲーム未プレイ者にも手を差し伸べるストーリー展開
この舞台は、原作ゲームのストーリーをそのままなぞったものではなく、人気イベントを別キャラ視点で見たものになっている。
そのため、ゲームを未プレイであっても話が全く分からないということはない。
キャラクターの設定はわかりやすく、そして劇中でさまざまなことが語られる。この舞台を見てキャラクターへの理解を深めてからゲームの世界に入っても問題は無いだろう。
もちろんゲームプレイヤーは、お馴染みのセリフなどでも楽しめるので世界観にどっぷり浸れること間違いなしだ。
▲この日は初の通し稽古。円陣を組み一体となって気合を入れる、熱いカンパニー。
▲聖教騎士団。それぞれの武器を手に遙か彼方を見据える。
▲もっと力が欲しい。さらなる力を求めるクダンシュタインを包むのは、光か、闇か。
▲剣をふるい弓を引き戦う。タガタメの女は、か弱く守られる存在ではない。
▲汗の流れる喉元にぴたりとあてられる剣。緊張が走る一瞬だ。
▲聖なる剣、エクスカリバー。その一振りに思いを込めて。
▲作りこまれた武具、衣装。底の見えない知性派・オーティマ。
長く厳しく、激しいアクションシーンが続く。袖にハケると同時に壁にどさりと音を立てて寄りかかり、ぜえぜえと荒い息をつくキャストたち。
アクションや殺陣はもちろん、ドラマチックなシーンに思わず鳥肌が立つ。エンディングでは思わずカメラを置き拍手を送っていた。
通し稽古の後、キャスト3名(橘龍丸・小笠原健・中村誠治郎)へのインタビューをおこなった。
キャラクター、ストーリーのことからカンパニーに対しての思いまで、始終笑いがあふれるインタビューとなった。
通し稽古をして見えてきた景色――それぞれの「正義」について考えさせられる、3キャストインタビュー
ーーご自身の演じられるキャラクターの好きな部分はどこですか?
橘 龍丸(クダンシュタイン役):クダンシュタインは……内にため込むし、かまってちゃんだし(笑)。
でも「正義を貫く」考え方やクウザとの関係性はすてきだなって思います。
中村 誠治郎(ザイン役):ザインはすごく人を信じていますよね。僕は疑い深いんですけれど(笑)。
純粋に部下の力をちゃんと信じて、任せるところは任せる、そういう所が良いですね。
小笠原 健(オライオン役):この作品には「絶対悪」な存在がいないですよね、オライオンはオライオンの正義があって、作中で2万回くらい「正義」って言うんですけれど。
正義に対しての考え方や、守るものを守る方法が違うだけ。考えに対して「確かにそうだな」って思う面もあります。
視点が変われば「正義」の見方も変わる。全員がそれぞれのストーリーの主人公
ーー今回の舞台は、カノンが主人公となっている聖石イベントを、主人公をクダンシュタインとして話が進みます。いわば原作ストーリーの「アナザー」となっているわけですが、そういう意味だと、他のキャラから見た違う聖石のストーリーも考えられますね。
小笠原:オライオンを主役にしてみると、また全然印象が変わりますよね。
中村:聖教騎士団がすげえ嫌な奴らに見えるかもしれない(笑)。
小笠原:「正義」を盾にした人斬り集団、みたいな。
橘:「綺麗ごとばっかりうたってやがる」って、現実はそうじゃないってことを教えてくれる側かもしれない……。
中村:それぞれにみんな家庭があって、見方によってはひどいことをやっているとも考えられるし、オライオンが言っていることと同じことをしているかもしれない。
いろんな見解ができますね、誰が主役でもいい。ゲームのストーリーがしっかりしているから。
シリーズ化してロングランにするのに向いてるね。今回はこのキャラが主役、とか。
ーー今回はザイン様が主役、っていう舞台もありですよね。
小笠原:見たいですよね。
中村:立ち回りめっちゃやるよ。
橘・小笠原:絶対戦いたくねえ!(2人悲鳴)
キャストはそれぞれ何属性?光、闇……そして新たなる属性も
ーーこのゲームには、火・水・風・雷・光・闇とさまざまな属性があるのですが、キャラを離れたご自身は、皆さんそれぞれ何属性だと思われますか?
中村:俺はエロ属性、色はピンク。(2人爆笑)龍丸は……闇だな、闇属性。
橘:分かります!?
中村:龍丸は一人で集中して考え込んでしまうところもあるんですけれど、次の日に課題をちゃんとクリアしているのを見ると、座長としての仕事を示しているなと感じます。
まぁ落とすときはボロッカスに落としますけど(笑)。
でもね、何も感じない人には俺は何も言いません。その時は龍丸にけっこうキツく言っちゃったんですけど、次の日に全然違う姿を見せてくれて「さすがだな」って思いました。
オガケンは火だよね。オライオンは雷だけど。
小笠原:僕は燃える男なんで火! 誠治郎くんは……何だろう。
橘:水っぽくない? 一見クールなイメージが。
中村:実際俺クールなトコひとつも無いじゃん!
橘:激しく押し寄せて流れてくるって感じで(笑)。
小笠原:マグマだよマグマ属性。
橘:ひとつの属性じゃ語りきれないですよね、時おり闇見せるかと思ったら光も見せるし。やっぱりロードマスターなんで!
中村:女の子たちは光の子が多いなぁ、梅ちゃん(梅田 悠・ヤウラス役)は風……みゆちゃん(末永 みゆ・カグラ役)は水っぽい。
海里(三浦 海里・クウザ役)はね、普段は光っぽいんだけど闇もあるよ。怒るとほんとにシュンとしちゃうから。
橘:大地さん(山口 大地・バシーニ役)は土だ、大地を揺らす土属性! 新しい属性をここで開発しちゃう!
素晴らしいアンサンブルも自慢の一致団結したカンパニー。誰一人下を向くことなく、前を向いて。
小笠原:でもみんな基本的に明るいですね、根アカ。
橘:そうですね、現場はすごく明るい。もしも心に強い闇を抱えてる人が多かったら荒れてたかもしれない。
小笠原:うん、光と炎の人が多くてすごく良かった。
橘:誰一人下を向くことなく、上を向いて前を向いて、まずは前に進もうって。
中村:四苦八苦しながら、だからこそ一致団結してるんですよね。
アンサンブルも素晴らしいです、体力的にもキツいと思うのに、文句も言わず朝から晩まで付き合ってくれて。すごく動けるし本当に信頼しています。
橘:僕も今回すごく立ち回りが多いんですけど、アンサンブルって1人何役もやったりするから、斬られてハケて一秒でまた出てきたりする。
中村:それでも『や、大丈夫ですよ』なんて言ってて本当につわものばっかりですよ、立ち回りがだいぶ多い舞台なんですけどね。
小笠原:俺今日すぐ言っちゃったもん「キツいです」って。
橘:俺、終わった瞬間衣装ベリって取って「キツい! 無理!」って!
中村:いやいや、ここからさらに地獄にするよ? この2人とクウザをボッコボコにして鍛えて、初日のお客様がぶわっと鳥肌立つような殺陣をね。
今日の通し稽古は……んん、まだ10点、20点くらいかな。
小笠原:……目が全然笑ってない。
橘:もうね、俺、殺陣を覚えるために動画をずーっと見てるんですよ、ずうっと!
中村:いいことだよ、絶対肥やしになる。
橘:俺ほんとすぐ闇落ちするし、ポジティブに見せかけたネガティブですね。
中村:クダンに合ってるよ(笑)。
きっと伝わる、このカンパニーの熱量! ぜひ劇場へいらしてください
――最後に、舞台を楽しみにしているファンの皆さんへひとことずつお願いします。
小笠原:人気シリーズ作品の初舞台化ということで、お客様にとって、嬉しいもの、楽しいもの、感動するものになるように、みんなで稽古しております。
このメンバーであれば、初日から千穐楽まで必ずいいものがお届けできると確信しています。
そしてこの作品が、2作目、3作目と続いていかれるように応援していただけたら嬉しいです。
中村:ゲームユーザーの方には「もしも人が動いたらこうかもしれない」と思っていただけるように、ゲームを知らずに舞台を見る方には、ゲームに興味を持っていただけるように。
舞台というものは、なかなか気軽には行かれないイメージがあると思うのですが、エンターテイメントな作品になっているので、ぜひ劇場へいらしてください。
橘:このカンパニー、誰か一人欠けても今日の通し稽古は迎えられなかったと実感しました。
初日まで、まだまだやれます。ひとり1人が熱量を持って、お客様が待っている、と思って稽古をしているので、その熱は絶対に舞台に反映されるはずです。
満足していただけるものがお見せできると思うので、ぜひ劇場へ足をお運びください。
舞台「誰ガ為のアルケミスト『聖石の追憶』」は、2019年6月26日(水)より、東京銀座・博品館劇場にて上演される。
終わりの無いゲームの世界の舞台はどんな幕引きを見せてくれるのか。
素晴らしいカンパニーが洗練を重ねた厳しい稽古で作り上げる物語を、ぜひ劇場で体感してほしい。
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