※編集部注:このインタビューは、宮城紘大さん降板決定前に取材したものです。語っていただいた想いだけでも読者にお届けできればと思い、公開しています。
7月8日に東京・品川プリンスホテル ステラボールで開幕するミュージカル「DREAM!ing~Rainy Days~」(通称・Dミュ)。本作は、2020年に上演されたミュージカル「DREAM!ing」の続編。名門校・東雲(しののめ)学園を舞台に、首席を目指す候補生たちの青春が描かれる群像劇だ。
2.5ジゲン!!では、本作で「おひさまと月」ペアと呼ばれ、白寮の副寮長と寮長である浅霧巳影役の宮城紘大と虎澤一生役の白石康介に対談取材を実施。それぞれが演じる役の印象のほか、稽古で苦労していること、“Dミュ”ならではの脚本・演出、20代のうちにやっておきたいことなどについて話を聞いた。
――はじめに、本作に出演が決まった時のお気持ちから教えてください。
宮城紘大(浅霧巳影役):この役はオーディションで決まったので、本当に嬉しかったです。ファンの皆さんにとても好評だった作品の続編で、しかも重要な人物である浅霧巳影の役をいただけたのは幸せなことですね。顔合わせの時は、このがっちりとまとまったカンパニーの中に入っていけるのかな…? と本当に緊張しました。作品の完成度が高く、絆もすでにでき上がっていますからね。初演から続投している皆さんは、新しく加入してくるメンバーに対して緊張感や不安を持ったりはしていないでしょうけれど、自分がその立場になるとやっぱり緊張します(笑)。
白石康介(虎澤一生役):僕もオーディションで決まりましたのでとても嬉しかったです。同時に、この作品がファンの皆さんにとても愛されているのを知っていたので、責任の大きさを感じました。これからの稽古でできる限りのことを準備し、皆さんのご期待に応えたいです。
――第2弾である今作からの合流になりますが、前作を観ての印象はいかがですか?
宮城:“ゆめシステム”の設定と、普通の学園ものでは踏み込まないだろうところにまで踏み込んだ深いストーリーが印象的でした。特に好きだなと思った人物は(望月)悠馬です。強烈な個性を持つ登場人物の中で、誰よりも不器用で普通の子に近い。だからこそ感情移入できるし、彼の成長にとても感動しました。
白石:僕は、反橋(宗一郎)さんの演じる針宮藤次がとても印象に残りました。原作そのままじゃないか! と。実は反橋さんは、僕がアンサンブルとして出演した初舞台の時に、メインキャストとして出演されていたんです。その思いもあって、今回もものすごく頼りにしています。
舞台を観てペアの存在がすごく大きいと感じました。ぱっと見た第一印象では交わらなさそうな2人が、お互いを少しずつ知ってペアの絆を作り上げていく。演じる僕たちペアも、脚本を読みこんで関係性を深めていけたらいいなと思っています。
――演じられる一生と巳影の印象について聞かせてください。
白石:ただ明るいだけではなく、複雑でさまざまな問題を抱えながら自分の生きざまを確立していて、演じる僕自身も根本から確立していかないと負けてしまう。太陽のようにまぶしく明るい彼を表現するために、自分もストイックにやっていかなければと思っています。
宮城:巳影はものすごく屈折していて、愛に飢えている人だと感じます。誰かに本当の自分を見てほしい、気づいてほしいと願いながらも、本心とは違うことを言ったりやったりしてしまう…。だから、踏み込んで割って入って来てくれる一生に影響を受けていくんでしょうね。
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――稽古で苦労していることはありますか?
白石:セリフが多いです!(笑)
宮城:あはは! 僕たち重要な役どころだからね。
白石:はじめに脚本を読んだとき、セリフを早くインプットしていかないと後が詰まってしまうぞ…と思いました。一生の明るさや生きざまはもちろん、巳影との関係性も表現していかなければいけません。稽古は始まったばかりなのですが、もっとグイグイいかないと、と思っています。
これまでも舞台で明るい人物をたくさん演じてきましたが、どちらかと言えばかわいらしい後輩タイプが多かったんです。今回は、白寮の寮長である偉大な先輩感を出しながら、一生のさまざまな感情の動きを表現していく必要があります。そこが僕にとって今回の挑戦ですね。
宮城:一生は誰よりも明るいし、みんなの士気を上げる武将みたいなところもある人物だよね。僕はまず、演出のジョニーさん(國重直也)のやり方を見て、前作からやってきたカンパニーの流れを把握するところから始めました。
――広瀬格さんの脚本と國重さんの演出で、他の舞台とは違うと感じた点はありますか?
宮城:まず脚本が「会話だな」と感じます。きちんと人間同士の会話になっているからセリフも覚えやすいし、気持ちの動きがすごくスムーズなんですよ。ストーリーや人物の感情の流れが自然なので、演じる側が頑張って合わせていく必要が無い。すごく考えられていると思います。
白石:役者の内面から出る表現を強く求められますね。原作のある舞台では、原作にしっかりと世界観を合わせるために外側から固めていくこともあるのですが、このミュージカル「DREAM!ing」はそうではないと感じています。一生がどういう思いを抱いているのか、他の人物やペアにどういう感情をぶつけているのか…そういうことが求められるんです。人の感情と内面を丁寧に表現しないといけないので、学びが多く役者としてまた一歩成長できるのではと感じています。
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――20代のうちにやっておきたいリストを教えてください。
宮城:玉ねぎを食べられるようになりたい! お寿司のワサビがいけるようになりたい! マヨネーズが大丈夫になりたい!
白石:トマトを食べられるようになりたい! コーヒーを飲めるようになりたい!
宮城:ケチャップは大丈夫なの?
白石:ケチャップはいける。生の固体のトマトがダメ。
宮城:コーヒー牛乳は?
白石:コーヒー牛乳もダメ。あと、紅茶に砂糖を入れるのもダメ。そこらへんシビアよ。
――食べ物の好き嫌いの克服以外ではいかがですか(笑)
宮城:視野を広げるために、今まで行ったことのない所に行ってみたいですね。20代のうちに、まだやっていないことには何でもチャレンジしていきたいです。そうやって視野を広げれば人間力も高まるし、役者をやっていく上でも役立つと思うんです。
白石:僕も同じく人間力の向上と、あとは声楽をきちんと習いたいです。歌をうたう舞台の出演が多かったので、発声方法の違う色々なジャンルの歌を学んでおけばバリエーションがもっと増えて大きな力になると思うんです。
――最後に、公演への意気込みとファンの皆さんへメッセージをお願いします。
白石:一生として、カンパニーと、舞台を観てくださるお客さまを明るく照らしたいです! それと、曲にもぜひ注目してください。会場と一体となって、大いに盛り上がりたいと思っています。
宮城:今作を楽しみにしてくださっている方は、初演をご覧になっている方がほとんどだと思うんです。初演が楽しかったからこそ今作に期待をかけてくださっているのですから、その想いに応えたいですね。今作も面白かった、早く次も観たい! と思っていただけるように誠心誠意頑張ります。
取材・文/広瀬有希、撮影/遥南碧
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