「テレビ演劇 サクセス荘」がこの冬、ついに映画化。12月31日(金)からイオンシネマほか全国で公開される。
タイトルは「映画演劇 サクセス荘~侵略者Sと西荻窪の奇跡~」。今作にはドラマ版1〜3期の出演キャストが勢揃いし、さらにゲストの佐藤流司、北園涼、橋本祥平、北村諒による「S4」も登場。「本番一発勝負」の手法はそのままに、より一層のパワーアップが期待される。
2.5ジゲン!!では、テレビシリーズ1期から出演中のチャップ役・定本楓馬にインタビュー。シリーズを振り返っての心境や撮影時の様子のほか、「人生でサクセスしたいこと」などを聞いた。
誕生した「サクセス荘」の新たな魅力
――映画化決定を知ったときの心境はいかがでしたか?
一言で言うなら「マジか!」でした。メンバーとはドラマ1期の頃から「映画化したいね」という話をしていましたが、実際に決まってみると「嬉しいけど、一発撮りの映画ってどうなっちゃうの…?」という感じで。撮影時期が近づくにつれ、プレッシャーもどんどん大きくなっていきました。
――実際に撮影してみて、テレビシリーズと異なる苦労はありましたか?
新しいセットでは今までと違う位置取りをする必要があったので、そこは苦労しました。セットそのものは広くなりましたが、そこで動く登場人物も増えたので、自分がいるべき位置を掴むのが難しかったです。セリフを回す上でも混乱する瞬間があり、どう動くかはいつもより悩みました。
でも「一発撮り」ならではの大変さを一番感じたのは、本番中よりもむしろ撮影前の準備期間でした。舞台作品と違って「サクセス荘」には稽古がないので、本番までみんなで集まって合わせるというという機会が一切なくて…。撮影当日まで不安だけが心の中をぐるぐる回っていて精神的に大変でした。
――「サクセス荘」シリーズの中で、今回の映画はどのような作品になりそうですか?
とても温かいお話になっていると思います。今回は、いつも以上に「温かいサクセス荘」が見られるはずです。
――今作では新たな共演者も加わりましたね。
「S4」のキャスト4人は、俳優として大活躍されている方ばかり。ただ僕は事前情報として「ぶっこみ体質の4人が集結したよ」と聞いていたので、その点に関してはどうなることかと思いました(笑)。
――結果、いかがでしたか?
それはもう、見事にかき乱してくれました! 今までの「サクセス荘」にはいなかったようなキャラクターたちが、思う存分大暴れしていきましたよ。いい意味で僕らを刺激してくれて、新しい魅力が生まれたと思います。観てくださる皆さんには、楽しみにしていてほしいです。
――定本さんがおすすめする見どころシーンはありますか?
ネタバレになるといけないので詳しくは言えませんが、「サクセス荘」の面々と「S4」の4人が真っ向からぶつかるシーンがあります。そこで「S4」に押される、たじたじの「サクセス荘」をぜひ見ていただきたいです!
“こぶし担当”チャップとの共通点は?
――定本さんが演じていらっしゃるチャップについて伺います。サクセス荘の中で、チャップはどんな役割の人物だと思いますか?
「こぶし担当」ですね。とくに髙木俊さん演じるユッキーとの掛け合いは、僕のアドリブから始まってしまったものが、だんだんと台本に組み込まれるようになりました。
髙木さんはご存知のとおり、笑いのセンスにとても優れた方なので、本番前に相談させていただくことも多かったです。「ここでこうやって服を掴んでいいですか?」とか、「罵倒するならどういう言葉を選びましょうか?」というようなことは、2人で決めて演じていました。
――シリーズを振り返って、チャップのキャラクターが変化したと感じる部分はありますか?
大きく変わった部分はないと思いますが、1期と3期を比べると「沸点が低くなったかな」と思います。1期ではまだ理由やきっかけがあって怒っていたけど、今は理由がなくてもニュートラルで怒っていますよね(笑)。やはり「こぶし担当」ですね。
――ご自身の性格がチャップに織り込まれていると思う部分はありますか?
僕はそこまで怒りっぽい性格ではないと思いますが、「周りを俯瞰して見る」みたいなところは似ているかもしれません。チャップは、みんながわーっとふざけていてもわりと冷静に見ていて「待って、ここはちゃんと集中しよう」とギュッとまとめるときがあります。締めるところはちゃんと締めたい性格というか、そういう部分は共通しているかもしれないです。
――チャップを演じることで、ご自身の中に生まれたものはありますか?
チャップを演じてというよりは、「サクセス荘」という作品を経験したことで、対応能力が身についた気がします。
どんな作品もそうですが、特に一発撮りの「サクセス荘」では相手の言葉を常にきちんと聞いていなければお芝居に対応できません。いつどこでアドリブが飛び出してくるかも分からないし、一発で時間内に収めなければならない、という環境なので、やはり視野が広がったなと感じています。
対応能力が上がったことで、私生活や他の現場でも人のボケをちゃんと拾えるようになりました(笑)。この人いま変なこと言ったなと思ったら、そのボケを落とさないように「え、なんて?」って言えるようになりましたよ。
――チャップ以外で、シリーズ中に変化を感じたキャラクターはいますか?
振り返ってみて、1番大きな変化を感じるのはアンテナ(演:有澤樟太郎)です。本人も「1期では比較的出番が少なくてキャラクターを固めきれない部分があった」と言っていたけど、今では「サクセス荘」になくてはならない本当に魅力的な存在になっていますよね。
――3期ではマカロン(演:立石俊樹)と百鬼(演:唐橋充)のお2人も加わって、だいぶ賑やかになりましたね。
唐橋さんはいろいろな演技プランを積極的に持ってきてくださる方で、撮影時に「ここはこうした方がいいですよね」と具体的に言ってくださっていました。僕個人としても勉強させていただきましたし、「サクセス荘」のお芝居にも厚みが増したと感じています。
俊樹くんは、本当に「癒やし」です。今日も現場でご一緒しましたが、彼が歩くと風からいい匂いがするんですよ。びっくりするほどいい匂い…。サクセス荘の中に癒やしの風が吹きます。歩くリラクゼーション俳優ですよね、素敵です。
役者としての夢、認められる俳優に…
――定本さんご自身にとって「サクセス」したい夢は何ですか?
人生の中でサクセスしたい夢は、「でっかい庭付きの家に住む」です。億を超える豪邸に住みたい!
役者としてはやっぱり、いろいろな意味で「認められる俳優」になりたいなと思います。「定本がこの作品に関わっていて良かったな」と思ってもらえるような俳優。見てくださる方はもちろん、スタッフの皆さんや共演者の方々にも「定本と一緒にやれて良かった」と思っていただけるような俳優になっていきたいです。
――「サクセス荘」を作る中で、そうした手応えを感じた瞬間はありましたか?
それはやっぱり、自分ではなかなか分からないですね…。ただ僕自身は、皆さんと一緒に作ることができて本当に良かったと感じています。貴重な経験でしたし、現場にはいろいろなタイプの役者さんがいて、勉強させていただくことばかりでした。「サクセス荘」という作品に参加できて本当に良かったです。
――最後に、「映画演劇 サクセス荘」への意気込みと読者の皆さんへメッセージをお願いします。
いい意味で「サクセス荘」らしいハプニングがたくさん起きる映画版です。いつも応援してくださっている皆さんには、「サクセス荘」をもっと好きになっていただける作品になったと思います。楽しみにしていてくださいね。
また「サクセス荘」を初めて見る方にも、「なんだこれ面白いな。ドラマ版もあるのか、ちょっと見てみようかな」と思っていただけるような作品になっているはずです。
大晦日はぜひ「映画演劇 サクセス荘」をご覧ください。よろしくお願いします!
取材・文:豊島オリカ/撮影:梁瀬玉実
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