インタビュー

杉江大志×玉城裕規、舞台「BIRTH」で貫く“一本の筋” 役者として得られた刺激

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2020年10月10日(土)、「BIRTH」が初日を迎える。

脚本・シライケイタ、劇団温泉ドラゴンの財産演目「BIRTH」が千葉哲也の演出で上演される本作。若手実力派俳優たちがダブルキャスト、トリプルキャストで演じることでも話題になっている。

刑務所を出所したばかりのユウジは、ある“商売”を始めようとする。それはオレオレ詐欺。ユウジ、ユウジの昔の仲間・ダイゴ、ダイゴの友人・マモル、“商売”の“道具”を売るオザワ……犯罪に手を染めながらも、根底では“愛”を求める男たちを描く4人芝居だ。

2.5ジゲン!!では、ユウジ役のダブルキャストである杉江大志と玉城裕規にインタビュー。お互いの芝居に対するリスペクト、久しぶりに人前で芝居をする喜び、本作の見どころなどについて聞いた。

稽古場で再認識したお互いの魅力

ーー今回ダブルキャストで同じ役を演じますが、お互いの名前を聞いたとき、どのように感じましたか?

杉江大志:僕は玉ちゃん(玉城裕規)のお芝居が大好きなので、「玉ちゃん!!!」と思いました!(笑)。

今まで玉ちゃんとは違う役割の役を頂くことが多かったので、今回、ダブルキャストと聞いて「ああ、同じ役を演じられるんだ!」と、とても嬉しかったです。

玉城裕規:僕も「大志!!!」でした(笑)。

大志(杉江大志)とは何度か共演しているのですが、こうやって同じ役とはいえ、がっつりと絡むのは初めてです。大志に対しては、すごく自由でリラックスして現場に入る印象があります。聞いた瞬間、とても楽しみに感じました。

ーーおふたりが演じるユウジの人物像について教えてください。

杉江:初めはユウジのことをとても直情的な性格の人だと思っていました。ガラが悪くて喧嘩っ早くて、すぐに人を威嚇する。外側から彼を見ると、すごく嫌な奴だと感じるかもしれません。

でもそれは、彼の生まれながらの性分ではなくて、環境によって作られた性格なのだと思います。彼のことを知れば知るほど「複雑な人物だ」と思うようになってきました。

玉城:「こういう要素を持った人は、自分の周りにもいるかもしれない」と感じさせてくれる人間です。

まともな環境で人生を送ってきていないので、自分の感情を人に伝える手段や表現方法が少ないんです。コミュニケーション能力が低くて、不器用で気持ちをうまく伝えられない。だから荒ぶるんですよね。

杉江:守ってくれる人がいなかったから、自分で自分を必死に守ってきたんでしょうね。自分を守りたいから、初対面の人には隙を見せないようにして、必要以上に強く出る。実際は隙だらけなのにね。

ーー稽古中にお互いの演技を見て、新しい発見はありましたか?

玉城:ダブルキャストの役者同士で、これだけお互いの演技をよく見るスタイルは今までになかったです。

大志はすごく人間味のある役者です。初めて共演した舞台では、ほぼ絡みは無かったんですけれど「自由に演じる人だな」という印象があって、それをすごく覚えています。

今回がっつりと絡むことになって、大志の芝居のトリッキーな面や人間味、自由な面を見て「大志にしかできない芝居が確立されているんだな」と強く感じました。

杉江:見ていて「あっ、そのセリフ、そうなるんだ」「なるほどね。そうだよな」と感じることが本当にたくさんあります。実はそれもあって一回迷走しました。帰って来られましたけどね(笑)。

改めて思ったのは、やっぱり玉ちゃんはうまいなぁ……と。見ていてとても勉強になります。繊細にも、ナチュラルにも、フラットに演じられていますし、いわゆる演劇チックなこともできる。演出家の要求にもきちんと応えられるし、もちろんテクニックもある。

やっぱり、大好きな役者ですね。

2チーム×トリプルキャスト=6つのカラー

ーー4人の登場人物のうち、トリプルキャストのオザワ以外、全員がダブルキャストですね。どのような組み合わせになるのでしょうか?

玉城:ダイゴ、ユウジ、マモルは固定されたふたつのチームがあって、そこに3人のオザワが順繰りに入ってきます。つまり6パターンの組み合わせで構成される舞台になるんです。

固定の2チームそれぞれにカラーがあります。互いの稽古を見ながら、ここは素敵だな、ここを取り入れたいな、という工夫をしています。

杉江:どちらも本当に全くカラーが違うんですよ。そこに、陳内将くん、北園涼くん、章平さんという、個性の異なる3人のオザワが入ってくる。だから、6通りの違う芝居になるし、6通り全部観てほしいです。

将くんのオザワは、高校で言うと工業系、涼くんは情報系、章平さんは体育会系(笑)。

玉城:オザワは、バックボーンから違う人物でも成立するんです。だから三者三様で本当に面白いですよ。

ーータイプの違うオザワが入ることで、作品全体も変わってきますか?

玉城:ダブルキャストの芝居の場合、どうしても「自分のカラーを強く出したい」と思ってしまいます。でも今回は、僕たちが自由にやりすぎると、きっと作品全体の色がまったく変わったものになってしまう。

だからこそ、固定の僕たちユウジ、ダイゴ、マモルの3人は、別々のオザワが入ってもあえて大きく芝居が変わらないようにしています。演出面で言えば、動きもだいぶ細かくきっちりと決められていますね。

杉江:自由にできるところももちろんあるけれど、ポイントはきっちりと押さえています。バランスの塩梅が本当に難しいです。

与えられたスタイルの中で、どう「自分の中にある一本の筋」をきっちりと通していくか……。これが本番までの稽古での課題ですね。

玉城:うん。「役者ならそれをやってみろ、出してみろ」って言われているような気がする(笑)。すごく刺激的でやりがいがあります。

千葉哲也演出による新たな「BIRTH」

ーーこれまで何度も上演されてきた「BIRTH」ですが、千葉さんの演出によってどのような舞台になるのでしょう。

杉江:だいぶ重い話ではあるのですが、千葉さんの演出によって少しポップで親しみやすい印象に変わっていると思います。

玉城:初めの印象は「ものすごくガラの悪い連中の集まり」でした。それが「何も分かっていない人たち」になって、そんな彼らがわちゃわちゃとオレオレ詐欺をする。でも、彼らの中にある弱い部分や葛藤がとても強く描かれています。

ーー稽古場の様子はいかがですか?

杉江:やっぱり、顔を合わせて芝居の稽古ができるというのは何よりも嬉しいです。4人芝居だからずっと出ずっぱりで、頭も体も疲れてヘトヘトになるんですけれど、それがまた楽しいですね。

玉城:今はソーシャルディスタンス的なことで一緒にご飯も食べられないから、それがちょっと寂しいです。でも、全く別のカラーを持った役者たちが、ひとつのものを作り上げようと向かっていくのは、やっぱりいいなと思います。

見どころとファンへのメッセージ

ーー最後に、「BIRTH」を楽しみにしているファンの皆さんに見どころとメッセージをお願いします。

杉江:僕個人としては、久々のストレート舞台になります。こういったストレートの内容で、舞台上で役者同士、顔を合わせてお芝居ができて心から幸せです。

作品としては、外から見るとすごく重そうだなと感じるかもしれません。もちろん大きくて太いメッセージはあるのですが、ポップな部分もあって、ぎゅっと集中して観ていただける作品になっています。

お客様それぞれ異なるメッセージを受け取られると思います。ぜひそんな「何か」を拾いに劇場に来てもらえたら嬉しいです。

玉城:僕も大志と同じように久しぶりの舞台です。熱量のある役者さんたちと、日々ぶつかりあって稽古をしています。その熱量や作品の持つメッセージをお客様に伝えられたらと思っています。

こんな時期だからこそ、お客様にお会いできることを本当に大切に感じて舞台上に立ちたいです。劇場では、千葉さんと役者のみんなで作り上げたこの熱を大放出しますので! この作品の愛を感じていただけたら嬉しいです。

撮影:石川浩章

「BIRTH」生配信概要
初日10月10日(月)と千秋楽10月21日(水)の計4公演が生配信。

【配信サービス】
Streaming+
https://eplus.jp/birth-st/

【配信公演】
10月10日(土)13:00、18:00
10月21日(水)12:30、16:30
アーカイブ:配信終了後から1週間(※生配信後1週間は購入可能)

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公演情報

タイトル

「BIRTH」

公演日程

2020年10月10(土)〜10月21日(水)
東京・よみうり大手町ホール

出演

ダイゴ:梅津瑞樹、前山剛久
ユウジ:杉江大志、玉城裕規
マモル:後藤大、佐藤祐吾
オザワ:陳内将、北園涼、章平

おかあさん(声の出演):松永玲子

脚本

シライケイタ

演出

千葉哲也

企画・製作

シーエイティプロデュース、ポリゴンマジック

主催

シーエイティプロデュース、ポリゴンマジック、サンライズプロモーション大阪

公式ホームページ

http://birth-stage.com/

公式Twitter

@Birth_2020_10

(C)シライケイタ/BIRTH製作委員会

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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