2019年10月31日(木)、新宿FACEにてLIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』が開幕する。
原作は1974年に放映され、2000年に入ってからその独特な個性によりネットで話題となった同タイトルアニメだ。今回の舞台化も、主人公の研に4人のキャストという意外性などで注目を集めている。
2.5ジゲン!!では、研役4人のキャストにインタビューをおこなった。オファーされた時の驚きから稽古の風景まで、舞台に対する熱い思いを語った様子をお届けする。
主役の研が4人? 舞台へのオファーを受けた時のそれぞれの印象は?
――まず、オファーがあった時の率直なお気持ちをお聞かせください。
安達勇人(チャージマン研!/泉 研役):僕は、オファーを頂いてからこの作品の原作を知りました。
最初、僕のスタッフさんから「戦隊ものが決まったぞ、主役は4人いるから」と聞いて、ああなるほど、そうしたら僕はグリーンとかそういうのかな、と(笑)。
それで、話を聞いていくうちに「いや、ライブ……ミュージカル……演劇、いや、もう何かいろいろ」みたいに訳が分からず。それで原作を見てみたら主役は1人なんですよね。どういうことが起きるんだろうと思いました。
そのまま原作を見ていたら、話題になっている理由も理解できました(笑)。やったことの無いジャンルの舞台でもあり役柄でもあるので、新しい自分を発見できそうです!
髙﨑俊吾(チャージマン研!/泉 研役):僕も、原作を知らない状態で「こういう舞台の話が来たよ」と聞きました。「主役で、ヒーローものだよ」と言われたので「ああ、変身するんだな」と思っていて。
それで、70年代のアニメらしい……5分アニメ……それから「けっこうヤバいやつらしい」と。そして原作を見始めたんですが、1話見てもうヤバいやつだと思いました(笑)。それをさらに4人でやるって?
台本をもらったものの、研が一人ならすんなり読めるのに「これ……顔合わせまでどう読んでいったらいいんだろう……」という不安と楽しみな感覚で、今もその感覚が続いています(笑)。
中村誠治郎(チャージマン研!/泉 研役):すごく楽しそうに爆笑しながらの、オファーの電話だったんですよ。半笑いじゃなくてもう爆笑。
出演者のお名前を聞くとみなさん若い方だったので、俺はきっと、4人を年代別に演じ分ける中の、40代の研かなと思っていたんですけど全然違いました。
まさかこの年でこういう役をやらせて頂けるというのが…今になってあの爆笑の意味が分かります。(褒める意味で)この制作、頭おかしい……(笑)。
原作を舞台化する中でもめちゃくちゃトガったことをやってますよね。この題材をピックアップしていることも、そこにキャスティングしてもらえたことも。
すごい企画に呼んでもらったなぁと思ってます。
古谷大和(チャージマン研!/泉 研役):お電話いただいた時は、「は?」でした(笑)。
僕、クリエさんの作品が大好きなんですよ。今までも、クリエさんじゃないとできなかった作品ていっぱいあるじゃないですか。
今のこの時代に、「誰が手を付けるんだ?」ってなっていたであろう「チャージマン研!」という作品を舞台化しようとしているのがすごいと思うし、そこにキャスティングしてもらえて嬉しく思います。
受けた時は「は?」と思いましたけど(笑)。
アプローチも独特の、けれども観ればきっと納得の舞台に
――役作りについてお伺いします。4人の研、台本を初めて読んだ時はいかがでしたか。
髙﨑:最初に台本を頂いて読み始めた時と、実際に稽古に入ってからの台本の読み方が全然違うんですよ。そうか、こういうふうに読んでいくのか、と。
古谷:演出のキムラさんの、4人の研の使い方がすごいです。
早い段階から僕ら4人のいい所をとらえて、ここではこの研、というのを見破っているんですよ。観てて「ああ!」と感じると思いますよ。
ここで誠治郎さん研ね、安達さん研ね、俊吾研ね、僕研ね、って。でもここからもまた変わる気がします。例えば、正統派の安達さん研が、ひょっとしたら崩れるかも……。
――ファンの持っているイメージを活かしたそれぞれの研なのか、それとも全然違う研になるのか楽しみです。
安達:いけるところまで行きたいですね(笑)。
古谷:誠治郎さんは、どちらにでもいけますよね。40歳手前の研でもいけるし、全く逆も。俊吾は稽古場では異常なほどに「チャージマン研!」です。アプローチの仕方が鋭角。
中村:モンスターだよ、トガリすぎてて「……なぜ?」って思う。
毎回変えてくるんだよね。その7割が間違えてるんだけど(笑)。でもそれが正解なんじゃないかな、と思う。
古谷:僕はそれがすごく「泉 研」だと思う(笑)。舞台そのものも、稽古も台本の見方も、今までやったことの無いアプローチです。新しいですよ。
――アプローチの方法も他の舞台とは違うのですね。
髙﨑:キムラさんから言われたのは「人物背景いらないから」と(笑)。
役を作っていく上で、人物の背景ってすごく大事ですよね。僕も今まで役作りでは大事にしてきました。でも、そういうのを一切取っ払って「チャージマン研!」というものを作り上げたい、と。
中村:もう、最初から最後まで一貫もしてない。しかも4人だし。
普通の舞台だったらバックボーンが大事だと思うんですけれど、そういうのまったく無いんで(笑)、むしろ邪魔になる。4人でやる意味が無くなっちゃうんですよね。
そのシーンごとの研を全力でやります。同じ一人の研なんですけど、同じ人物には見えないです。
古谷:そう、それが原作そのまま。だってバックボーン無しに突然話が始まるし進むし、話ごとに顔が違うし。それが4人いる意味なのかなって。
中村:俺達の顔も全然似てないし。
髙﨑:これ(ビジュアル)だけ見ると4人の戦隊ものみたいですよね。僕は、メイクすると原作の研に一番近いといわれたので、ビジュアルを推していきます(笑)。
ぶっ飛んでるって言われるのでそういう所も含めて、僕はキャラに寄せていきたいな。
――4人の研、それぞれがみんな主役なんですね。
安達:そう、みんな個性が強いから!(笑)
古谷:もう、パパが主役の時もあるし、魔王もだし、みんなが主役感。僕たちが出ないシーンもけっこうありますよ。「チャージマン研!」なのにね!
子どもの頃に憧れた「ヒーロー」は? 4人が思い出を語る
――今回は「ヒーローもの」なのですが、皆さんが小さい頃お好きだったヒーローは何でしょう?
中村:俺はドラゴンボール。戦闘力全部言えるくらいのオタクだから。
全員:すごい!
古谷:僕ね、カクレンジャーが好きだった! ケイン・コスギさんが出てる作品。
その中で野球をする話があってね、女優さんのスカートがヒラヒラするシーンがあって……それが初めて女性を意識した瞬間でした。ああ、これは、こういうことなんだ……って。
中村:ヒーローじゃねえじゃん!(笑)
髙﨑:僕は、ウルトラマン! ウルトラマンの人形がすごい好きで。ちっちゃい頃一人で遊んでました。人形いっぱいありますよ。
赤と青がすごい好き。ティガとかダイナあたりかな、赤バージョン青バージョンとかあって。僕が幼稚園の時かな。
中村:あなたが幼稚園の時、俺もう高校生だよ……。
安達:僕は茨城でずっと育ってきてるんですけど、茨城にご当地ヒーローがいて、イバライガーっていうんですよ。
それが、地元のスーパーのバーゲンの時に必ず来るんです。で、僕イバライガーが来るたびに毎回見に行ってて、それが忘れられないですね。
変身前の人がね、普通はイケメンでしょう。でも違って、近所のマコトさんていうんです(笑)。マコトさんが来て、服ジャッて着て頭にカポって被って、そこから始まるんですよ。それが地元のヒーロー!
古谷:今もいますよね、イバライガー。
安達:うんいる! 今もいる!
――もう、皆さん今回の舞台でそれぞれのご当地ヒーローになって出てしまうというのは。
古谷:ありですね! でももう「チャージマン研!」じゃない!(笑)
笑いが絶えない明るい稽古場。チャー研愛が詰まった制作と、それに応える真剣な役者たち
――とても楽しい稽古場だと伺っていますが、稽古の様子はいかがですか。
髙﨑:もうお腹痛いですよ。「これ何の稽古してるんだろう…?」って思う時がいっぱいあります。
古谷:読んで「意味分かんない」と思った台本初めてですよ(笑)。
でもね、その「意味分かんない」を、アイデアを出し合って作ってるっていう感じ。そこが他の現場と違う感覚かな。
他の舞台って、台本がある程度分かった状態で「こういうアイデアありますよね」っていう風に作っていくんです。でもね、みんな意味分かんない状態なんです(笑)。
でも、みんなお芝居が好きで、そこは真摯です。キムラさんを先頭に全力。キムラさんの演出に忠実に、あるいは自分のアイデアを出して。いい稽古場ですよ。
安達:もう、チャー研愛がすごいなぁって。あとキャストもスタッフさんもみんな楽しそう。
髙﨑:笑い声が絶えない現場です。それだけで僕たちも楽しくなっちゃう。
中村:普通の現場って、休憩中に賑やかで「その元気稽古で出して」って感じなんですけど、逆に休憩中静かなんですよ。携帯見たり本読んだり、じっと蓄えてるの。
ヨーイ、スタートまではみんな台本に真剣で。芝居が始まった時の方が笑ってて、仲良くなれる(笑)。
安達:ほんとそう、不思議な現場。
――観客席も笑いで一杯になると思うのですが「コメディ」ではないですよね。
古谷:そう、もうここまで来ると「コメディ」っていうくくりではないですね。
髙﨑:「チャージマン研!」ていう感じ。
安達:みんな真っ直ぐですし、笑いを取りに行ってない。その真剣なものが笑いに繋がるのかな。みんなプロだなぁってあらためて思います。
ヒーローショーを観に来る感覚で、舞台観劇初めての人も、チャー研を体感しに来てください!
――最後になりますが、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
安達:原作を知っている方も知らない方も、ありのままを観に来てほしいです。「チャージマン研、ははっ」という感じで観に来た人たちを、何らかの形で感動させたいですね。
観に来てくれた以上は、何かを持って帰って欲しいです。それが舞台の良さ、なまものの良さでもあります。
それができたら、「チャージマン研!」というものがさらにかっこよくなると思うので、ぜひ楽しみに待っていて頂けたらと思います。
髙﨑:コメディとかハートフルって言うジャンルにとらわれない、「チャージマン研!」というジャンルがあるんじゃないかと思います。それを僕たちは今、稽古場で真剣に作っています。
観てくださるお客様の中に「あっ、チャー研てこれだ」「チャー研てこういうものなんだ」と、ある種の感動を与えたり、チャー研の良さ、魅力を伝えられたらと思っています。ぜひ、チャー研を体感しに来てください!
中村:舞台は観に行くのに勇気がいると思うんですけれど、何も考えずに来てください。
舞台を観たことが無い人だったら「これが舞台なのか」と思われてしまうかもしれないので、気を付けてくださいよ、と思うんですが(笑)。初めての舞台がこれっていうのも、今後の話のネタにもなると思います。
こういう作品だからこそ、僕らももちろん、思いっきり真剣にやります。ふざける気なんて毛頭ありません。これを観て、ともすれば泣く人がいてもいいんじゃないかと。
笑わせたいとはもちろん思うんですけれど、泣かせたいとも思うし、感動させたいですね。
想像を超えてる、すごい、と思ってもらいたい。
だから、舞台の入口としてはすごくいいと思います。ヒーローショーを観に来る感覚で来ていただいて、その想像の上を行きたいですね。
古谷:舞台ってお金も時間もかかるし、そう簡単に来られるものじゃないですよね。「チャージマン研!」のアニメも5分で見られるものだし。
僕たちは、お客様の1時間半という時間のために、100時間以上の時間と身体を使って作品を作り上げています。大変だと思うのですが「チャージマン研!」を舞台化したらこうだなって、身構えず、気軽な気持ちで来ていただきたいです。
何度でも観られるような作品にしたいと思っていますので、ぜひ期待と不安を持って、劇場まで足を運んでいただけたらいいなと思っております。
LIVEミュージカル演劇『チャージマン研!』は、2019年10月31日(木)から新宿FACEにて上演される。
個性的な4人の研、魔王、バリカン、キャロン、ジュラル星人。いまだ全貌が見えてこないこの舞台、真剣な『チャージマン研!』の世界観をぜひ体感してほしい。
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