今年7月に上演されたプレ公演が1日限りながらも大反響となったミュージカル「伝説のリトルバスケットボール団」。2024年2・3月には待望の本公演が上演される。
まぶしいほどの青春を描く本作にちなみ、今回は“青春”を切り口にした特別インタビュー企画が実現。
人気俳優の活動前にスポットを当てたインタビュー企画『2.5の前、何してた?』とのコラボとして、主人公・スヒョンを演じる橋本祥平、ジョンウを演じる平野良に、青春時代をなつかしみながら学生時代について語り合ってもらった。
「今思うと青春だったな、と」。
――“青春”と聞いて最初に思い出すのはいつ頃のどんな思い出でしょうか。
平野:学生時代は、まだ芸能活動してない?
橋本:やってないです。高校卒業してから始めたので。
平野:じゃあ、めっちゃ青春してたんじゃない!?
橋本:そうですね、やっぱり青春っていうと高校時代ですかね。今だから言えるこんなヤンチャしてました~みたいな青春エピソードはないのですが…。
もう本当に王道ですけど、体育祭終わった後にみんなで集まってジュースで乾杯するとか、すごく青春してたなって思いますね。
平野:あ~いいね。高校の体育祭って、やっぱり(記憶に)残ってるよな。
橋本:そうですよね。
平野:俺は中学から芸能活動をやっていて、それこそ「3年B組金八先生」とか、あれも一種の青春だったけど、あくまで表に出すもので。
それが嫌で1回(芸能活動を)辞めたみたいなとこあるのよ。1回ちゃんと“本当の青春”をやってみたいなって。だから、芸能を離れてからの高校の体育祭とかは、やっぱりめっちゃ楽しかった。
橋本:それまでは、そういう行事とかも参加できなかったんですか。
平野:中学の時は部活すらできなくて、なんにもできなかった。
橋本:友達とカラオケに遊びにいくとか…。
平野:なかったねぇ。中学はもう早退して撮影行って。当時はいろいろ規制もゆるかったから、そのまま深夜まで撮影で…。そのときの22時、23時超えてきてからのテンションみたいなものも、いま思えばすごく青春だったかもしれないけど。
祥平は中学時代、何して遊んでたの?
橋本:よく行ってたのはラウンドワンですね。
平野:ラウンドワンか~超青春じゃん。
橋本:男同士でそれこそ“チャリで来た”みたいなプリクラ撮ってました(笑)。
平野:めっちゃいいな! ラウンドワンか~…なるほどね、世代か。俺のときはカラオケのチェーン店ができ始めたような時代だから、チェーン店じゃないコテージみたいな謎のカラオケ屋に行ってたな。
橋本:あとは学園祭も青春していた記憶がありますね。学園祭っていろいろ作るから、バラシの時間があるじゃないですか。あの時間ってかなり青春だったなと。
平野:バラシね! 確かに。作ってる時間もいいけど、あの余韻がいいよね。
橋本:ですよね。準備期間はみんなで買い出しにいったり。
平野:青春してんなぁ!
――ザ・青春ですね。ちなみにどういうタイプの生徒でしたか?
橋本:行事はわりと積極的にやりたいタイプでしたね。クラスで何するか決める係みたいな。
平野:へー! けっこうまとめ役だったんだ?
橋本:学級委員とか、そういうのではないんですけど、行事の時だけ「ちょっとやりますよ」って前に出るみたいな(笑)。
高校のときに親友ができて、そいつと2人で馬鹿やってみんなを笑わせるのがすごく好きで。修学旅行でも2人でコンビ組んで、クラスの出し物の時間に漫才披露するとかやっていましたね。だから学校の先生は、僕は芸人になると思っていたらしいです。
一同:(笑)
平野:俺は逆に意外と地味な生徒だったかな。芸能系じゃない一般の高校だったけど、周りは俺が芸能やっていたことを知っていたから、行事のたびに前に引っ張り出されて。文化祭とか体育祭になると、前に出てしゃしゃるヤツいるじゃない? あれです(笑)。
それ自体は全然苦じゃないから、仕事の延長みたいな気持ちでやっていたけど…本音を言えば目立ちたくはなかったかな。クラスの明るい人たちとも仲良かったけど、休み時間は、漫画や小説が好きなおとなしいタイプの人たちとしゃべっている生徒でした。
――お2人がクラスメイトだったら、どんな関係性を築いていたでしょうか。
平野:祥平に限らずだけど、このカンパニーのメンバーは(クラスメイトだったら)みんな仲良くなってそうな気がする。
橋本:確かに。僕がクラスメイトだったらずっと良さんの後を追ってる気がしますね、コバンザメみたいに(笑)。
――プレ公演時の楽屋は皆さん一緒だったんですか?
平野:一緒ですね。プレ公演の楽屋では俺と(吉高)志音と(太田)将熙がずーっと喋ってた(笑)。後半は祥平もちょっと入ってきてくれて、さすが座長ですわ。
橋本:いえいえいえ。単純に入りたい会話だったんです。
一同:(笑)
あの時期があるから、今がある
――楽屋でも青春を感じられるカンパニーだったんですね。恩師や先輩など、学生時代の忘れられない出会いはありますか?
橋本:高校のときの担任の先生ですかね。めちゃくちゃいい先生で、僕が役者を始めてからも、何回か舞台を観に来てくれて。
平野:来てくれるの!? えーめっちゃいい先生じゃん!
橋本:いまでもたまに連絡取り合っていますね。
平野:え、連絡…もしかして学生時代にLINEとかあった世代?
橋本:ありましたね。高2ぐらいからスマートフォンがだんだん流行ってきて。
平野:は~なるほどね。先生とLINEでつながれるんだ。すごいわ。そんなのうちらの時代はなかったからなぁ、それは先生とも仲良くなるね。
俺の印象的な出会いは今年出したエッセイ(平野良フォト&エッセイ「39」)に書いたんですけど、それ以外だと塾の先生かな。高校受験に向けて通っていた塾なんだけど、仕事があるから通う時間もなくって。だけどその塾は「お金もいらないから、来れるときに来な」って言って面倒みてくれたので、それにはすごく助けられましたね。
――芝居を通して青春を味わう機会も多いかと思いますが、実際に学生時代に戻れるとしたらやりたいことはありますか?
橋本:漫画的な高校生活を送りたかったなって思うんですよね。だから、窓際で読書します。で、ちょっとざわざわしてほしい。女子たちが廊下から遠まきに見てる、みたいな(笑)。
平野:いいね、少女漫画だね。俺はしっかりと授業を受けてみたい。
橋本:あ~!
平野:大学受験しないって決めてからは特に、寝に行ってるようなものでしたからね。だからちゃんと集中力を保って授業を受けていたら、今ごろどうなっていたのかなって。
歴史ものの作品とか出ることもあるじゃない。結局、今になって勉強し直してるから、学生時代にちゃんと授業を聞いていたらもっと変わってた気がするな。
橋本:いま授業受けたら楽しめそうですよね。
平野:楽しいと思うよ。「知らないことを知れる」って贅沢なことだったんだなって、いまならわかるもんね。
――逆に、青春時代に培(つちか)ったものが“今”につながっていると感じることはありますか?
橋本:学校で得たものもたくさんあるんですけど、いまにつながるっていう意味では高校時代の飲食店のバイトですかね。もう本当にめちゃくちゃ厳しくて、いまの時代じゃあり得ないくらいしごかれまして…。それを高校3年間続けて、忍耐力はついたかなと思いますね。
平野:(具体的なエピソードを聞いて)もう絶対無理でしょ、そんなの。よくやったね。でもその経験は大きいね。
橋本:本当にめちゃくちゃ厳しかったですね…。
平野:俺はなんだろうなぁ。芸能やめて青春しようと思った時の、人生を無駄にしたとしか思えないような時間の使い方とか、そのちゃらんぽらんさが、逆にこの歳になって効いてきているっていうのは感じるかな。
高校卒業後にサラリーマンを少しやって、それこそ絵に描いたようなブラック企業も経験して。だって、「お前いくつだ」「20歳です」「20歳かーっ!」って怒鳴られるのよ!?
橋本:え!?
平野:全然意味がわかないでしょ(笑)。そういうのにぶち当たったり、芸能復帰して20代の頃はギラギラしたりしてたけど、歳を重ねるごとに今はどんどんゆるくなってる。「なんでもいいんじゃない」ってゆるくいられるのは、学生時代に「ちゃんとちゃらんぽらんしよう」ってしたからなのかなって思いますね。
――素敵な青春エピソードの数々、ありがとうございます。最後に、学生時代の自分にメッセージを伝えるとしたらなにを伝えたいですか?
橋本:学生時代の自分に…。修学旅行でお笑いをやったって話をしたじゃないですか。先生のモノマネをしたんですよ。それが「死ぬほどすべるぞ!」と。
一同:(笑)
平野:マジで!? 先生のモノマネってだいたい鉄板じゃない。
橋本:だと思うじゃないですか。でもいざやったら想定していた反応と違って、すんごい冷や汗。せっかくの修学旅行で結構ズタボロになって帰ってくるぞっていうのを伝えてあげたいですね。
平野:いいね、なるほどね。そういう感じね。文化祭の後夜祭で、俺はミスターにはなれなかったんですけど、“生まれ変わったらこの人になりたい” “結婚が早そう”あたりで1位をもらいまして。憧れの眼差しみたいなものを受けて調子乗ってるけど、今「結婚してないのお前だけだぞ。周りはもう全員したぞ。調子乗ってる場合じゃないぞ」と現実を伝えたいですかね(笑)。
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頭の回転が速くトーク上手な平野に、表情を変えずに笑いの起爆剤を投げ入れる橋本の対談とあって、約30分とは思えない盛り上がりをみせた。劇中では平野はバスケチームのコーチ、橋本は特殊な事情で入部するバスケ部員を演じる。上質な青春ミュージカルを浴びて、別れと出会いの季節の前に、心に爽やかな風を吹かせてみてはどうだろうか。
取材・文:双海しお/撮影:遥南碧/ヘアメイク:杉田智子、太田夢子(earch)/衣装:小林洋治郎
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