コラム

【予習】舞台「文豪とアルケミスト」の魅力とは?作品の楽しみ方・見どころをご紹介

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2019年12月27日(金)に開幕する舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)。ゲーム「文豪とアルケミスト」を原作とした舞台の待望の新作である。

今作では、初演で活躍した文豪たちも登場するが、新たに登場する文豪も多い。なかにはこの2作目から観劇するという人もいるだろう。

そこで今回は、初演の見どころを振り返りながら「文豪とアルケミスト」舞台版の魅力について考えてみたい。

キャストが入れ替わって観劇しようかどうか迷っている。観劇予定だが前作を観ていないので不安、原作ゲームが分からないのでついていけるか自信がない。そんな一抹の不安を抱えている人に、ぜひ読んでほしい。

原作ゲームの予習は必要?

原作ゲームをプレイしているとより楽しめることはたしかだが、観ないと分からないということはないだろう。

前作では江戸川乱歩(演:和合真一)がストーリーテラーとなって、世界の基本設定を語ってくれた。新作でストーリーテラーにあたるキャラクターがいるかどうかは分からないが、名だたる文豪たちが転生していること、彼らは“侵蝕”により脅かされる文学を守るために“潜書”して戦うこと。この基本を押さえておけば大丈夫だ。

原作ゲームとキャラクター同士の関係値が多少違うパターンもある。例えば、転生の際に失われている記憶がどの部分なのか。それが原作と微妙に違うことで、文豪たちの間に生まれる感情のいきさつが違ったり、関係が育まれる経緯が違ったりするのだ。

だからこそ、原作ファンほど柔らかな脳みそで本作に挑むといいだろう。舞台には舞台なりの、彼らの掛け合いから生まれる新しい関係値があるのだ。

文豪の知識や代表作は知っておいたほうがいい?

原作ゲームは文豪たちの史実を織り交ぜ、ゲーム中のエピソードに昇華している部分が多い。そのため、ゲームをやっているとある程度知識がつくはずだ。

しかし、キャラクターが多いうえに、望んだキャラクターのエピソードをすべて回収できるとも限らない。原作ファンでも、かなり熱心にやりこんでいないとゲーム中の関連エピソードをすべて網羅しておくのは難しいのではないだろうか。

舞台を観るうえでは、原作ゲームのプレイが必要かどうかと同じ回答になってしまうが、必ずしも必要なわけではない。知識が多いほうが細かいセリフやネタを拾えるし、文豪の有名な言葉や言い回しが出てきた際に咄嗟にアンテナを立てることができるのはたしかだ。それによって、より鮮明にキャラクターの思いを受け取れるだろう。

とはいえ、前作を観劇した印象では、本作は基礎知識がないと楽しめないような観る人を選ぶ作品ではない。

文学の世界や文豪。そういったものにいままで興味なく生きてきた。そんな人も、観劇をきっかけにきっと気になる関係性や人物ができるはずだ。

舞台ではこんなエピソードが描かれていたけれど、それはなにか史実に関係しているのかな? なんでこの2人はこういう仲になっているのかな?

作品を観終わったあとに、気になった部分について学んで理解を深める。そしてもう一度、作品を味わい直す。実在した人物たちから生まれたキャラクターが活躍する作品だからこそ、観劇中だけでなく観劇後も余韻に浸ることができるのだ。

その際おすすめの1冊が「文豪とアルケミスト」文学全集。文豪たちの関係性に興味が出てきたという人はぜひ読んでみてほしい。

見どころ(1) 文学を肌で感じる上質な空間

文学作品は文字として後世に残されている。しかしその作品がこの世に生み出されるまでには、文豪と呼ばれるに至った作家たちの生の躍動があったはずだ。それを視覚的・聴覚的に伝えてくれるのがこの作品といえるだろう。

無機物である紙と文字の向こう側に潜む、書き手の苦悩や、文として記された登場人物たちの生き様。

それらをこちら側に伝えるための演出の工夫が凝らされている。そして言うまでもないかもしれないが、実力者ぞろいのキャスト陣によるそれぞれの人生の紡ぎ方が見事。

作品を読むだけ、史実を知るだけ、では捉えることが難しい感情の機微を、彼らの芝居から受け取ることができるだろう。

見どころ(2)文学を構成する文字のように、決して欠かせないアンサンブル

前作を観劇した人は、本作におけるアンサンブルの重要性を強く感じたのではないだろうか。

もはや“アンサンブル”という名称に収めてしまっていいのかも分からないのだが、彼らがまさにこの世界観を構築する要になっている。そう言っても過言ではないだろう。

あらゆるシーンでその場面ごとの仮面を被り、その時間を生きる。その姿はまるで、ひとつのページのうえで作中の登場人物たちを動かしていく文字そのもののようである。

ページがめくると、文字にはまた違った役割が与えられる。この舞台においても、シーンが切り替わると、アンサンブルはまた別の仮面を被るのだ。

見どころ(3)Ifの浪漫がつまった夢の時間

原作ゲームの大きな魅力でもある、If…の連続がこの作品を構成する大きな魅力といえるだろう。

もしあの文豪たちが同じ時代に生きていたら、もし面識があったら、お互いの作品を知っていたら……。

2作目でも演出を手掛ける吉谷氏は、初演に関して「ラブストーリー」という言葉を用いて語っている。

愛をもって作品を生み出し、ときに妬み憎み、打ちひしがれ、それぞれの時代を生きてきた文豪たち。彼らがステージ上で織りなす“奇跡の逢瀬”の時間を、ぜひ心ゆくまで堪能してみてほしい。

舞台版2作目舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)は、白樺派の志賀直哉(演:谷 佳樹)と武者小路実篤(演:杉江大志)をW主演に据え、2019年12月27日(金)~12月29日(日)大阪森ノ宮ピロティホール、2020年1月8日(水)~1月13日(月・祝)品川プリンスホテル ステラボールにて上演。

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公演情報

タイトル

舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)

公演日程

2019年12月27日(金)~12月29日(日)
大阪・森ノ宮ピロティホール

2020年1月8日(水)~1月13日(月・祝)
東京・品川プリンスホテル ステラボール

出演

志賀直哉:谷佳樹、武者小路実篤:杉江大志、有島武郎:杉山真宏(JB アナザーズ)、坂口安吾:小坂涼太郎、国木田独歩:斉藤秀翼、島崎藤村:小西成弥、萩原朔太郎:三津谷亮、芥川龍之介:久保田秀敏

原作

「文豪とアルケミスト」(DMM GAMES)

監修

DMM GAMES

世界観監修

イシイジロウ

脚本

なるせゆうせい

演出

吉谷光太郎

音楽

坂本英城(ノイジークローク) / tak

主催

舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

公式サイト

http://bunal-butai.com/

公式 Twitter

@bunal_butai

© DMM GAMES / 舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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