コラム

幽遊白書、封神演義… 近年の“舞台化”で再びスポットを浴びた昭和・平成の名作

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漫画やアニメ、ゲームを原作に舞台化やミュージカル化した作品の多くを“2.5次元作品”と呼ぶ。

近年では年末の風物詩「NHK紅白歌合戦」に、ゲームを原作としたミュージカル「刀剣乱舞」のキャスト陣が出演するなど、少しずつ“2.5次元作品”というジャンルも市民権を得つつある。

とはいえ、まだ一度もその世界に足を踏み入れたことがない人にとっては、相変わらず未知の世界だろう。

「キラキラした若い俳優がたくさん出ているみたいだから、若い女性ばかりが観に行っているのだろう。」

そういうイメージが強いかもしれないが、2.5次元界隈では1980年代や1990年代にヒットした作品が“舞台化”という形で再び脚光を浴びるケースがとても多い。

約30年前、それらの作品と青春を過ごしてきた原作ファンも、多く劇場に足を運んでいる。

今回は、舞台化で再びスポットを浴びた作品を紹介しながら、「当時好きだった作品の舞台を観に行くこと」の魅力を紹介したい。

アクションを通じてキャラへの想いが募る! 名作少年漫画の舞台化作品

実際にどんな作品が舞台化されているのか紹介していこう。

2019年大きな話題となった舞台化作品に、冨樫義博の代表作のひとつ「幽☆遊☆白書」が挙げられる。

秀逸なキャラクタービジュアルに加え、原作のエピソードを丁寧に回収したストーリーが魅力の作品だ。

「ああ、そういえばこんなコマが原作にあった!」と、懐かしさに思わず唸ってしまうようなシーンが目白押し。

なんといっても、アニメ主題歌「微笑みの爆弾」から始まるOPが、アニメを観てきたファンの心に刺さる名演出となっている。

2.5次元界でトップの人気を誇るキャスト陣が集結したとあって、「イメージとなんか違う」確率がとても低い作品といえるだろう。

まるでアニメから飛び出してきたかのような蔵馬(演:鈴木拡樹)の薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)さばきは、それが生身の人間がやっていることを失念してしまうほど惚れ惚れとする。

「幽☆遊☆白書」もそうだが、バトルアクションが描かれる少年漫画は、実は舞台化ととても相性がいい。

殺陣やアクションのシーンは、それがあるだけでストーリーに緩急がつくし、見栄えも格好いい。エンタメ要素が多く含まれているのだ。

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たとえば峰倉かずやの「最遊記」や藤崎竜の「封神演義」。どちらもミュージカル化されている。

演技に加えてアクションシーンと歌があるので、五感で登場人物たちの心情を感じやすくなるのだ。

そして、純粋に俳優陣の殺陣やアクション技術の高さに驚かされるだろう。

キャラクター達が紙や画面のなかで繰り広げてきた闘い。それが現実の世界で起こったなら、どれほど過酷で危険なものなのか。

役者たちが目の前で繰り広げる失敗の許されない真剣勝負。そんな彼らの姿を通して、より原作キャラクターへの想いが募ることは間違いない。

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あの頃の夢とロマンが詰まった世界が眼前に広がる! 名作少女漫画の舞台化作品

少年漫画原作の舞台を紹介したところで、次は少女漫画原作の作品をみていこう。

少女漫画が原作の2.5次元作品といえばミュージカル「セーラームーン」が有名だ。しかし、それ以外にも続々と舞台化されているのを知っているだろうか。

今回は、那州雪絵の「ここはグリーン・ウッド」、渡瀬悠宇の「ふしぎ遊戯」、さいとうちほの「少女革命ウテナ」を紹介したい。

「ふしぎ遊戯」と「少女革命ウテナ」はどちらも女性キャラクターが主人公。舞台版でも、女優陣の奮闘を楽しむことができる。

彼女たちもまた、華奢な身体からは想像できないスタミナとパワーでアクションも歌もこなしていく。

漫画で読んで、アニメで観て憧れた女の子たち。時を経て、10代や20代のキャストがそれらのキャラクターに息を吹き込んでいく姿は、昔からのファンにとっては親心に近いものを感じるかもしれない。

連載当時とはまた違った感覚で、主人公たちに感情移入することができるだろう。

一方で、「ここはグリーン・ウッド」はまた少し違ったテイストの作品だ。

男子校の寮を舞台に繰り広げられるどこにでもある日常……に見せかけた、賑やかで繊細な風に乗って過ぎていく青春を鮮やかに描き出すストーリーである。

舞台版では、高校生ならではの熱くて、ねじれて、敏感な感情を、各キャラクターを通して丁寧に描き出している。

この作品もまた、原作連載から時間が経ったいまだからこそ、新たに受け取れるものがあるはずだ。

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昭和・平成を駆け抜けた名作が、令和の時代に舞台で再び息吹く

キャラクターと同じ空間で彼らの生き様を直接目にできるのが、舞台の大きな魅力のひとつだろう。

そこには2次元では直に感じられない“息遣い”がある。こればかりは、実際に体感してみないことには、なかなか理解できない部分かもしれない。

どの作品も、ほとんどの場合当日券が発売されている。もし好きな作品が舞台化されることがあれば、当日券を活用して一度は実際にその目で2.5次元作品を観てみてほしい。

ステージのうえで躍動する懐かしいキャラクターたちに、胸が熱くなるはずである。

さらに、昔懐かしい作品が舞台化することのメリットは他にもある。

連載やアニメが終了して久しいと、原作サイドの新たな展開を望めないことが多い。

しかし、舞台化によって原作側に新たな動きがあることも少なくないのだ。

例えば、原作者がキャスト宛にキャラクターの描き下ろしイラストを描いて渡したり、パンフレットに原作者のコメントやイラストが掲載されたり。

「令和の時代にまさか拝めると思っていなかった!」ものに、舞台化をきっかけに出会えるかもしれないのだ。

加えて、舞台版がチケット即完売の大盛況だったとしよう。そうすれば、その作品にまだ勢いがあること、多くのファンがいることを製作サイドに知ってもらえる機会にもなるのだ。

初めての2.5次元作品、必要なものはチケットと“愛”だけ

“2.5次元作品”もブームといわれるようになって10年以上が経つ。冒頭でも述べたように、2.5次元作品というジャンルがひとつの趣味として市民権を得つつあるなかで、観客の年齢層や性別も幅広くなってきている。

「初めてだから……」「年齢が……」と気にする必要はひとつもない。

劇場に集まるのは、原作やキャストへの“愛”を持った人たちだ。原作が好きな気持ちを、ぜひ観劇という体験につなげてみてほしい。

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WRITER

双海 しお
 
								双海 しお
							

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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