1995年から2000年まで週刊少年ジャンプで連載されていた大人気漫画『封神演義』を原作とした、ミュージカル「封神演義-目覚めの刻-」が2019年1月13日よりEX THEATER ROPPONGIにて開幕する。
今回は、本公演に先駆けて行われた囲み取材とゲネプロの様子をお届けする。
あらすじ
そのむかしー仙人は天空の仙人界に、人間は地上の人間界で暮らしていた。
殷の第30代皇帝、若き紂王(ちゅうおう)は文武両道に長けた名君であった。
彼こそは殷を更に発展させるであろうと誰もが思っていた。絶世の美女・妲己を娶るまでは…。
妲己は邪心を持つ仙女だった。紂王に術をかけ己の操り人形にしてしまう。さらに仲間を王宮に呼び寄せ、悪しき仙人たちによって王朝の支配を始めたのだった。事態を重くみた仙人界は妲己を人間界から追い出す為、道士・太公望に「封神計画」を命じる。
「封神計画」とは人間界に蔓延る、悪しき仙人妖怪たちの魂魄を仙人界と人間界の間に新たに作った<神界(しんかい)>に封印し、人間界に平和を戻す計画であった。命を受けた太公望は旅路の途中で苦しむ多くの民を見て真の平和のためには悪しき仙人・道士たちの魂魄を封印するだけでなく、殷に代わる新たな王朝を作る必要があると決意する。殷に攻め入る準備を進める太公望の元に『殷の武成王・黄飛虎窮地』の報せが届く。妲己の策略により飛虎は愛する妻と妹を殺され失意の中で殷を捨て、西岐へ向かっているとのことだった。
一方、殷では飛虎の裏切りを知り静かに怒りの炎を燃やす男の姿が…。
彼こそは金鰲三強の一人であり、殷の太師である聞仲である。飛虎とは殷の繁栄と安寧のために苦楽を共に過ごした親友であった。自らのけじめとして九竜島の四聖(しせい)を追手に放つ聞仲。西岐の地を目前に太公望たちと聞仲らの激しい一戦が始まろうとしていた。
▲四不象(スープーシャン)に乗って旅をする太公望(たいこうぼう)。飄々としていて少年漫画の主人公らしからぬ一面がありながらも、誠実で仲間に慕われている
▲紂王(ちゅうおう)を操り、殷の民を苦しめる残酷な悪女、妲己(だっき)
▲体と一体化した宝貝(パオペエ)※を操る、宝貝人間こと哪吒(なたく)
※宝貝(パオペエ)…封神演義に登場する仙人や道士が使用する武器のこと
▲変化の天才で太公望の右腕を務める楊戩(ようぜん)
▲チャンバラにタバコがトレードマークの黄天化(こう てんか)
▲妲己にも劣らない力を持ちながらも傍観者に徹し、時に語り手ともなる申公豹(しんこうひょう)
▲酒池肉林パーティでダンスを披露する妲己。元SKEの石田安奈が披露する、艶やかなダンスと色気溢れる歌声は妲己そのもの
▲妲己の策略により愛する妻と妹を亡くし、紂王に怒りをぶつける黄飛虎(こう ひこ)
▲最後には自ら赴き、太公望一行を全滅させようとする聞仲(ぶんちゅう)
漫画「封神演義」は中国に伝えられる古典怪奇小説が原作とされているものの、明快なストーリーとなっているため歴史がわからなくても十分に楽しめる。
また、メインキャスト13名が演じた個性的なキャラクターをより際立たせるミュージカルならではの演出も光った。
特に妲己の非人道的で残酷な恐ろしい思考を歌った歌詞に対し、妖艶で美しいダンスとキュートな仕草のギャップは見る者を魅了。
黄飛虎の裏切りに怒り狂った聞仲が、九竜島の四聖を追手に放つシーンでは劇場全体が地響きのような揺れを起こし、強敵の出現を示唆。観客の誰もが四聖の強さを察したはずである。
その聞仲役を務める畠中洋は、ディズニー映画の吹き替え版声優としても活躍している実力派。重厚感のある歌声と、圧倒的な存在感を見せつけていた。
▲全キャストが登場するシーンは圧巻
戦闘シーンでは壮大な音楽によって張り詰める緊張感を演出。映像をあえて使用せず、人力で演出を作り上げる舞台だからこそ観客の想像を掻き立て、より没入感を高めていた。
公演は2019年1月20日(日)までEX THEATER ROPPONGIにて行われる。この臨場感をぜひ劇場で味わってみてはいかがだろうか。
※ゲネプロの全写真は記事下の「画像一覧」をチェック
囲み会見コメント
ゲネプロ公演前に行われた囲み取材には、大公望(たいこうぼう)役の橋本祥平さん、楊戩(ようぜん)役の安里勇哉さん、哪吒(なたく)役の輝山立さん、黄天化(こうてんか)役の陣内将さん、妲己(だっき)役の石田安奈さん、申公豹(しんこうひょう)役の大平峻也さん、そして聞仲(ぶんちゅう)役の畠中洋さんの7名が登壇。
こだわりの詰まった衣装と宝貝(パオペイ)を身につけ、本番を目前に気合いの入った表情で会見に応じた。
ーーまずは、役柄を演じる上で意識したことについて教えてください。
大平峻也(申公豹役):申公豹は物事を傍観して見るキャラクターなので、稽古中陳内君を中心に筋トレが流行っていたんですが、僕は役柄的に傍観していました。ほんとはやりたかったんですけど(笑)。
石田安奈(妲己役):妲己は物語のきっかけを作っていく人物で小悪魔以上の悪魔。テンプテーションで周りを魅了していくので、まず香水を変えました(笑)。キャラ作りのために甘めの香水に変えて、特に妲己の口調を気にしながら稽古しました。
畠中洋(聞仲):圧倒的な存在感を意識しました。みんなわーっと早く動くので、一人ゆっくり、悠然と動くようにしました。
橋本祥平(太公望):太公望はのほほんとしているのかまじめなのか、つかみにくいキャラクターですが、暗い過去をもち、安全な人間界をつくろうという一つの芯がある。力の戦いというよりは、妲己との知能戦が見どころなので、何手先も見据えてお芝居するようにしていました。
安里勇哉(楊戩):楊戩は変化(へんげ)の達人で、今回の舞台でも変化シーンが出てくるのでそこに注目してもらえたら。変化したときこそ絶対にセリフを噛まない、ミスらない、というのを意識しました。
輝山立(哪吒):哪吒は武器をたくさんつけていますが、武器をどう表現するかと戦った1ヶ月だったので、そこに注目して見ていただきたいです。あと、筋トレスース(陳内さん)にあらゆる体作りのことを教えていただいて頑張りました。
陳内将(黄天化):他のキャラクターが風を操ったり変化したりしている中、僕はチャンバラ1本で接近戦のみで戦う硬派な役です。祥平演じる太公望をあとから仲間になる僕たちがどのように受け入れて支えるか、が見どころになっているかと思います。
ーー本公演の見どころを教えてください。
大平:2.5次元って若手の子たちが頑張るというイメージが強いと思うのですが、初めからすごい熱量で演じる畠中さんや松潤さん(高松潤さん)たちの年上グループと、それに負けじと挑む若手チームが良い作用を起こしています。この熱量を劇場で感じていただければと思います。
石田:ミュージカルということで歌もあるのですが、可愛らしい妲己の歌詞は結構残酷で。そのギャップを見ていただけたらと思います。妲己を楽しみに見に来てくださる方もいると思うので、期待を裏切らないように演じていきたいです。
畠中:若さと老いがうまい具合にコラボしているんじゃないかと(笑)。ほとばしる若いエネルギーがぶつかりあった舞台に、自由に泳がせてもらっているような。すごく幸せです。そこを堪能していただきたいと思います。
安里:風を起こしたり、雷を落としたり、全て(機械ではなく)人がやっています。舞台ならではの見せ方があるのでその生感を味わってほしいと思います。
輝山:宝貝(パオペエ)同士の戦いがミュージカルでどう描かれるのか。それをいろんな演出を使って表現しているので、そこを楽しみにしていただけたらと思います。
陳内:全てのシーンを人力で行うという、泥臭さと言うか、人間がやっているからこその良さが随所に表れています。僕も他のメンバーを人力で立たせてあげれるように最後まで頑張ります。
橋本:太公望を演じる上では欠かせない、四不象(スープーシャン)というキャラクターがいます。今回は人形操作なんですが、四不象は舞台上で本当に生きているんです。動きで悲しみも喜びも表現できる。魂の入った四不象を見てほしいです。
ーー最後に、橋本さんからお客様へのメッセージをお願いします!
橋本:20年前に連載された作品で、座組の中には生まれていない人もいるんですよ。いろんな世代に愛されて根強いファンの方がいるからこそ、こうして舞台化という素敵なご縁があったわけなんですが、本当に原作がめちゃめちゃ面白いんです。
原作を知らない人でも、この舞台を見て、原作を読んでみたいと思えるきっかけになったら何よりの幸せです。
逆に原作のファンの方で、舞台を見慣れていない方が舞台への興味をもってくださったら嬉しいです。音楽の力って素晴らしくて、音楽の力で空を飛ぶこともできるし、時空も飛ぶことができます。
その力を目一杯使って完成された封神演義、ぜひお楽しみください!
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