今夏注目の舞台「幽☆遊☆白書」が28日、東京・シアター1010で開幕した。同日、公開されたゲネプロの様子をお届けする。
冨樫義博作の「幽☆遊☆白書」は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1990年から1994年に渡り連載され、1992年から放映のアニメも高視聴率を記録した大人気作品。
舞台化は初めてで、主演・浦飯幽助役を崎山つばさ、桑原和真役を郷本直也、蔵馬役を鈴木拡樹、飛影役を橋本祥平、コエンマ役を荒木宏文が演じる。
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物語はコエンマが幽助たちとの出会いを回想する形で進行する。
▲幽助(右)とぼたん(左)が出会うシーン。ぼたんは宙に浮く演出
不良学生の浦飯幽助はある日、子供をかばって交通事故に遭い、幽霊となってしまう。
そこに霊界の案内人・ぼたん(平田裕香)が現れ、エンマ大王が課す試練を受ければ生き返るチャンスがあると知らされる。
▲霊界を訪れた幽助(右)はエンマ大王の息子・コエンマ(左)と出会う
コエンマは幽助に霊界獣の卵をかえすという試練を課す。幽助は幼なじみの雪村螢子(未来)の夢枕に立ち、必ず生きて帰ると伝える。
コエンマの回想シーンでは、蔵馬と飛影の出会いのシーンも描かれる。
▲中学時代の蔵馬(右)と飛影(左)が戦うシーン
幽助は生き返るために自分の肉体を残しておかなければならない。それを伝えるために、霊感が強い桑原にのりうつることになった。
▲幽助(左)がのりうつった桑原(右)がけんかをする場面では、2人が見事なコラボレーションを見せた
仲間のために1週間けんかをせず、テストで50点以上をとらなければならなくなった桑原を、幽助がそっと手助けする。
▲教師を殴ろうとする桑原(中央)を止める幽助(左)
螢子の協力もあり、幽助は生き返ることができた。
復活した幽助は「霊界探偵」として働くことになる。
受けた指令は、霊界から盗まれた闇の三大秘宝(降魔の剣・暗黒鏡・餓鬼玉)を取り戻すこと。幽助は秘宝を盗んだ三人組の妖怪、蔵馬、飛影、剛鬼(新田健太)を追う。
幽助は1人目の妖怪、剛鬼を倒し、餓鬼玉を取り返す。
次に戦う相手は蔵馬。だが蔵馬は、人間に憑依した妖怪の自分を愛情を持って育ててくれた母を病気から救いたいと幽助に相談する。
蔵馬は母を助けるため、自分の命と引き換えに暗黒鏡に願いを叶えてもらおうとするが、幽助は「母親が自分のことで泣いているのを見たことがあるか?」と問いかけ、止めに入る。
▲暗黒鏡を使う蔵馬(右)を助けようとする幽助(左)
蔵馬は一命をとりとめ、幽助は暗黒鏡を回収する。
残るは降魔の剣を持つ飛影。
幽助は、飛影に連れ去られた螢子を助けに行くが、飛影の素早い動きと邪眼の力でピンチに陥る。
▲幽助と戦う飛影
そこに蔵馬が現れ、幽助をピンチから救う。幽助は飛影を倒し、無事三大秘宝を取り返すことに成功した。
▲霊丸を打つ幽助
霊界探偵として活動する幽助。そこに桑原、蔵馬、飛影が加わった。
▲桑原(右)が飛影(左)に絡むおなじみのシーン
コエンマは「幽助は強くなるために必要なのをなんとなくわかってきた」と語った。
メインキャスト5人は、いずれも主役級の俳優が揃う豪華な布陣。
蔵馬や飛影の特殊な髪形、迫力のある霊丸や華麗なローズ・ウィップといった武器も見事に再現されていた。幽助に殴られて飛ばされる桑原、宙に浮くぼたん、飛影のスピード感あふれる戦闘シーンなども見応えたっぷりだった。
ストーリーテラーとしてのコエンマが、ときにコミカルに、ときにしんみりと、「幽☆遊☆白書」の世界に引き込んでくれた。
舞台の最後には「そう遠くない未来にまたやつらにも会えるじゃろ」と続編を匂わせた。
原作の世界観を大事にしつつ、俳優たちの個性も光る本作。原作へのリスペクトと、伝説的な作品に仕上げたいという熱意があふれる舞台だった。
キャストコメント
――舞台の見どころを教えてください。
崎山つばさ(浦飯幽助役):稽古が始まって約1カ月くらい経ちました。みんなで一緒に作ってきて、演劇として見てもらいたい部分と、2.5次元という言葉がだんだん広まっていますが、そういう部分も合わせて楽しんでもらえたらなと思います。
原作を知っている方には懐かしいなと思ってもらえる舞台になればと思います。
郷本直也(桑原和真役):つばさも言っていたのですが、原作をご存じの方、大好きな方にとっても、「このシーンこうなっているんだ!」となるでしょうし、この作品を初めて見る方にもとても見やすくなっています。
本当にいいチームワークで毎日稽古してきました。それが本番に影響してくると思います。かなり楽しめる作品になっています。
鈴木拡樹(蔵馬):僕も小さいころ、漫画の読者であり、アニメ版の視聴者でもありました。幽助が登場して第一声をしゃべりはじめた瞬間に、「幽☆遊☆白書」が帰ってきたと肌で感じました。皆様にも同じ気持ちになってもらえると思います。
新たになっているけれども、どこか懐かしさを感じる「幽☆遊☆白書」を届けたいなと思っています。
橋本祥平(飛影役):顔合わせしたときに、いろいろな現場経験をされている方が多く、これほどまでにプレッシャーと緊張を感じる雰囲気を味わったのは初めてでした。
演出家もそうですし、全員がプレッシャーと戦って、全員でプレッシャーを共有して、この場にいるというのが僕の中ですごい驚きでした。
連載が始まった当初、ぼくは生まれてなかったんですけど、ぼくの世代も知ってますし、学生の頃に漫画も見ていました。それくらい幅広い世代に愛されている作品ですので、生半可な気持ちではここには立てないと、最後までプレッシャーと緊張と戦いつつ、楽しみつつ、最高のものを届けられるように頑張りたいです。
荒木宏文(コエンマ役):(おしゃぶりをしながら)本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。おしゃぶりが邪魔でマイクの持ち方がいつもと違います(笑)
稽古初日から、大変クオリティーの高い稽古、芝居を見られてすごく刺激をもらいました。
関係者の方々からすごく注目してもらっていて、見るのが楽しみだと言ってもらっている作品。その本番を迎えられるのは大きなプレッシャーがあると同時に、見せつけてやろうと。この期待を軽く超えられるような内容を作れたので、自信を持って初日を迎えたいと思います。
この作品が伝説的になるように、ご協力ください。
――ご質問はありますか。
郷本:(記者役として)郷本直也と申します。本番中はおしゃぶりはそのまま付けてしゃべるのですか。
荒木:このまま行こうと思う。
崎山:このまま話していこうと言っています。
荒木:最初に字幕が出るのかな。聞き取れなかったら字幕を出すかもな。
記者:シャッターチャンスを教えてください。
崎山:指先から出る何かが…(笑)。霊丸を打つシーンがあるのでそこに注目していただけたら。3か所あります,霊丸を打つ場所が。最後が一番かな。あ、(最後に打つのは)4つ目ですね。
鈴木:数えていないといけないんですね(笑)。
郷本:ありすぎて困るんですけど、シャッターチャンスだらけだと思います。原作の中で(幽助が桑原に)のりうつっているシーンがあり、二人の見事なコラボレーションがあります。
あと、コエンマがおしゃぶりをもしかしたら落とすかもしれません。落とした瞬間にすべて物語がだめになるかも。その瞬間を押さえてくれたらと思います。
荒木:落としちゃいけないと思う。でも落ちるかもしれない。(舞台は)生もの、怖い!
郷本:みんなの必殺技が出る瞬間があるのでお見逃しなく。
鈴木:盗賊集団3人が揃っているショットは本作ならではなので見どころと思います。
橋本:個人的にはあと数時間後にはこの額の包帯をとる瞬間が来ると思います。この日のために目を開かせました(笑)。
崎山:具体的に?
橋本:とてつもない痛みを我慢して、えぐった傷をさらにえぐったような痛みです。
荒木:演劇の表現方法の技術が現代になって上がって、いろんな手法でファンタジーの世界を表現できるようになってきました。
キャラクターが出す必殺技も現代ならではのものを使って「幽☆遊☆白書」の世界を表現しているので、そこはシャッターチャンスになると思うし、「映え」……?
崎山:「ゲネ映え」ですね。
荒木:「映え」はすると思うので見てほしいです。
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