原作が「週刊少年ジャンプ」にて完結したばかりの「マッシュル-MASHLE-」初の舞台化作品「マッシュル-MASHLE-」THE STAGEが、7月4日(火)に初日を迎えた。
シュールな笑いと魔法とアクションが入り乱れる「アブノーマル・ファンタジー」は、果たしてどう舞台で表現されたのか。
2.5ジゲン!!では、「マッシュル-MASHLE-」THE STAGEのゲネプロ及び初日会見の様子をレポート。劇中ショットとともに作品や各キャラの見どころを紹介する。
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク■ライブ配信販売期間
2023年6月4日(日)12:00~6月18日(日)20:00まで■ライブ配信販売価格
各3,800円(税込)■ライブ配信時間
・2023年7月17日(月)12:30公演
2023年7月17日(月・祝)12:30~公演終了まで
・2023年7月17日(月)18:00千秋楽公演
2023年7月17日(月・祝)18:00~公演終了まで■ディレイ配信時間
準備が整い次第~2023年7月24日(月)23:59まで※ディレイ配信とは、公演の映像を後日期間限定で視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
脳天をマッシュにワンパンされたら…を疑似体験できるような、とびきり自由で、らしさ溢れる世界観が広がる「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE。観終わったあとの興奮は、そのまま初めて原作の「マッシュル-MASHLE-」に触れた際の感覚を思い出させてくれた。
まず目を引かれたのが、漫画のコマ風のセットだ。集中線やコマ枠を模したデザインが施された2次元を想起させる空間に、魔法的な演出が次々と生み出されていく。
その絶妙なミスマッチは、魔法が使えないのに魔法学校に入学する主人公・マッシュ(演:赤澤遼太郎)のキャラクター性にそのまま重なり、観客側の没入感を高めることにも一役買っているように感じた。
▲あのエプロン姿も!アドラ寮メンバー
物語はイーストン魔法学校の編入試験から始まる。
なぜ魔法を使えないマッシュがこの試験を受けるに至ったのか。その経緯をはさみながら、マッシュと学友との出会い、ライバル寮との戦いなどが描かれていく。あらすじを予習したいファンは、先日最終回を迎えたアニメを観ておけば安心だろう。
だが、この作品は原作を知らずとも初見で理解できるシンプルさが魅力でもある。魔法ものと聞くとややこしい呪文や魔法設定があるのでは…と思う人もいるかもしれないが、そんな憂いもマッシュがワンパン1つで砕いてくれる。要は筋肉なのだ。主人公が筋肉で困難を乗り越えていくのと同様、観客も「楽しもう」という気持ち1つあれば、この作品を存分に楽しみ尽くすことができるに違いない。
▲レアン寮の七魔牙(マギア・ルプス)
今作は梅棒/ゲキバカの伊藤今人が演出を手掛けるとあって、序盤から歌、ダンス、歌、ダンス、歌、歌、と想像していた以上の歌とダンスが詰め込まれている。身体を駆使してのパフォーマンスは、最後はマンパワーでどうにかするこの作品と相性がよく、ステージ上から降り注いでくる膨大なエネルギーはぜひ劇場で受け取ってみてほしい。
ここからは各キャラクターについて見どころを紹介していこう。
主人公のマッシュ・バーンデッドを演じるのは赤澤遼太郎だ。どちらかというとかわいい系の役を演じることが多い彼の仕上がった肉体にまずは意識を持っていかれるが、不思議と違和感を感じないほど、そのままに赤澤はマッシュだった。
感情の起伏が表に出ないマッシュは、ほとんど表情が変わらない。実際に、大好物のシュークリームに関しては心なしか頬が緩むのだが、それ以外はほぼ一定の表情をしている。しかしマッシュは無感情ではない。赤澤の芝居は、淡白に見えるマッシュの感情を、その瞳と拳で雄弁に物語っていた。
赤澤は筋肉がつきやすい体質とのことなので、初日から千秋楽に向けて育っていく筋肉にも注目だ。
▲マッスルズとともに筋肉で難問を打開していくマッシュ(演:赤澤遼太郎)
アドラ寮メンバーも、そんなマッシュに負けじと個性を放つ。
広井雄士演じるフィン・エイムズは気弱な苦労人。河内美里演じる思い込みが激しすぎるレモン・アーヴィンとともに、マッシュに泣きつくシーンも多く、そのかわいさはヒロイン級だ。我が強すぎる仲間たちの耳には届くことのないツッコミを1人放つ姿は、思わず応援したくなること必至だ。
▲劇中では困り顔が多いが、とびきりの笑顔もかわいいフィン(演:広井雄士)
石川凌雅が演じるランス・クラウンは、編入試験もトップ通過の「2本アザ」持ちの実力者。加えて作中で何度も「イケメン」と言及される人物だが、妹が関わると様子がおかしくなってしまう。石川が演じることでランスがイケメンであることへの説得力は抜群。だからこそ“重度のシスコン”というギャップがより際立っていた。
▲イケメンで実力もあるランス(演:石川凌雅)
自ら主人公を自称するドット・バレットを演じるのは山田ジェームス武。初日会見でも周りを引っ張っていた兄貴気質な山田は、ヤンチャな雰囲気の中に優しさを感じさせる芝居でドットを好演。無表情なマッシュに代わって感情の起爆剤となっていたのが印象的だ。
▲ドット(演:山田ジェームス武)のキャラ性を表現したソロ曲も見どころ
河内演じるレモンは、七魔牙(マギア・ルプス)のラブ・キュート(演:花奈澪)とともに、筋肉あふれる世界観に爽やかなアクセントを添えた。ヒロインが主人公をグーパンする姿を何度も目にできる作品はそうそうないと思うので、目に焼き付けておこう。
▲笑顔がキュートなレモン(演:河内美里)
アドラ寮を敵視するレアン寮は、アドラとはまた違った方向性の個性が目立つ集団だ。笹森裕貴はアベル・ウォーカーのカリスマ性と、うちに秘めた悲しさを見事に表現。その傍らに控えるアビス・レイザーを演じる京典和玖は、全身でアベルへの献身を示した。
▲「母さま」を抱いているアベル(演:笹森裕貴)
▲ある理由から普段は仮面をつけているアビス(演:京典和玖)
ランスと対峙するワース・マドルを演じるのは舞台での活躍目覚ましい中原弘貴。花奈演じるラブとともに、2幕でのアクションシーンに注目を。
▲中原弘貴演じるワース・マドル
アドラ寮の監督生で神覚者でもあるレイン・エイムズは佐々木喜英が演じる。優雅でカリスマ性あふれる歌声で生み出される存在感は圧巻。マッシュと会話を交わすシーンでは、クールでかっこいいだけではないレインの一面も垣間見えるのでお楽しみに。
▲際立つ存在感を見せたレイン(演:佐々木喜英)
歌声といえばイーストン魔法学校の校長、ウォールバーグ・バイガンを演じる岡幸二郎だろう。彼の積み重ねてきたキャリアは、そのまま「生きるレジェンド」としての説得力につながっていた。
軽妙なやりとりで観客を楽しませてくれるレグロ・バーンデッド(演:ウチクリ内倉)とブラッド・コールマン(演:澤田拓郎)、アンサンブル、そしてマッシュの筋肉役であるマッスルズも忘れてはならない。
なかでも他の作品にはいないマッスルズは、「マッシュル-MASHLE-」を演劇に昇華するためには欠かせない存在だろう。マッシュの「そんなのあり!?」な力技を、まさしく力技で押し通すマッシュと一心同体なマッスルズはどこか愛嬌もあり、思わず“箱推し”したくなるかもしれない。
▲このポーズはあの…!?
原作を知る人は、あのノリと勢いと熱さを想像してもらえれば分かると思うのだが、絶妙な間やテンポ感、マッシュの独特の存在感は、言葉で分析して味わうというより、まず食べてみてほしいというのが正直なところだ。
原作は7月3日(月)に本誌での連載に幕を閉じた。アニメも第1期が7月1日(土)に放送終了。そこからバトンを受け継いだ「マッシュル-MASHLE-」THE STAGEで、まだ終わらない魔法と筋肉の世界を旅してみてはどうだろうか。
「マッシュル-MASHLE-」THE STAGEは7月11日(火)まで東京・東京国際フォーラムホールCにて、7月15日(土)~17日(月)に兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて上演される。
初日会見レポート
ゲネプロ公演前に初日会見が実施された。主演の赤澤遼太郎のほか、広井雄士、石川凌雅、山田ジェームス武、河内美里、笹森裕貴、そして本作で演出を手掛ける伊藤今人が登壇。公演の見どころや意気込みを語った。
――お気に入りシーンやこだわったポイントなどあれば教えてください。
赤澤遼太郎(マッシュ・バーンデッド役):やっぱり魔法表現がすごく重要になっていて、人間のマンパワーでやっているところがすごく、今回の舞台の魅力なんじゃないかなって思ってます。人間の力だからこそできる表現が見どころだと思います。
広井雄士(フィン・エイムズ役):全体を通してダンスや歌が本当にたくさん溢れていて。ミュージカルと言っても過言ではないほどなので、ダンスや歌にぜひ注目して観ていただきたいなと思っております。
石川凌雅(ランス・クラウン役):物語の後半で寮同士の対決のシーンがあるんですけれども、そこがやっぱり物語の大きな見どころになっています。その中でも、マッシュとマッスルズとの連携や見せ方っていうのは、迫力ある演出なので、ぜひ、そこも注目して観てもらえたらと思ってます。
山田ジェームス武(ドット・バレット役):どなたが演じているかわかんないですけど、ドット・バレット役の方がすごくいいなと。
一同:(笑)
山田:実際のところは、今回は世界観や魔法だったりとかアクションだったりっていうのをダンスの中で織り混ぜて提示しているので、そこがめちゃくちゃ見ごたえがあると思っています。
河内美里(レモン・アーヴィン役):幕が開いた瞬間からお客さんが惹き込まれる演出になっていて、最初から最後まで飽きることもなく、ずっと魔法と筋肉の世界にどっぷり浸かることができるのがこの作品の魅力だなと思っていて。人間の持てる力をすべて出し切って、いろんなものが詰まったエンタメになっているのが、この作品のいいところだなって思っています。
笹森裕貴(アベル・ウォーカー役):全体的ないいところは皆さんがほんとにおっしゃってくださったので、個人的にはアベルの最強の呪文の演出が見どころです。
赤澤:あれすごいよね。
笹森:びっくりした。本当に。改めて、全員一丸となって作っていく演劇の力を感じさせていただきましたし、そこの一員として舞台に立てることを誇りに思います。
――「アブノーマル魔法ファンタジー」という世界観を舞台で具現化するにあたって、どのようなところが舞台ならではの見どころになっておりますでしょうか。
伊藤今人(梅棒/ゲキバカ):魔法が当たり前の世界で、魔法が使えないマッシュが打開していくっていうテーマが、ダンス表現で演劇界で戦ってきた自分に重なるところがありまして。そういう縁も感じたので、今回は自分が今まで活動の中で出会ってきた、ある意味固有の武器で業界で戦ってきたスタッフの方々をまず集めたんですよ。それがすごくうまくいって、さらにこんな素敵なキャストがこんなにそろって。本当にいろんな奇跡が掛け合わさって、この座組みができあがったなと思っています。
演出的な観点で言うと、魔法の表現だったり、その中での筋肉の表現を、各クリエイティブスタッフが自分の武器を存分に発揮してクリエーションしてくれたので、その表現っていうのをぜひ楽しみにしてほしいです。
――最後にお客様へ一言ずつメッセージお願いします。
伊藤:きっと演劇とか2.5次元とかってこういう感じだろうなっていう既成概念をお持ちのお客さまも、そういった概念をグーパンでぶっ壊されるような、本当に新しいエンターテインメントがお送りできると確信していますので、ぜひ劇場でご覧になっていただければと思います。
笹森:稽古の段階から、これはもう本当に面白くなるなという確信がありました。初日を迎えるにあたって、ドキドキよりもワクワクの方がこんなにも勝る舞台は初めてなので、皆さまの目にどう映るのか、役者一同しっかりと努めてまいりますので、最後までどうかよろしくお願いします。
河内:舞台が好きな方にも、アニメが好きな方にも、どちらもまだ見たことないよって方にも、色んな方に楽しんでもらえる作品になっているなっていうのを実感しながら稽古してきました。本当に素敵なものができあがっていると思うので、私もその中の一員としてしっかり千秋楽まで頑張りたいと思いますので、ぜひ皆さま、あの劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。
山田:今回、マジで面白くて、とにかく時間作って観に来てくれって役者仲間に言えるぐらい、本当に自分たちで作っていて楽しくて。やっぱり僕たちとしては1番嬉しいのは実際に観劇していただくことなので、たくさんの人にこの作品を見てもらって、元気になってもらえたらいいなって思っております。
石川:あらゆるエンタメ要素が集まった作品です。筋肉と魔法の世界をじっくり体感してください。「グラビオル」!
広井:原作がもともと大好きで、その世界観が舞台上で表現されるとこんなに大きいパワーになるんだなっていうのを、稽古、場当たり、そして本番を迎えるにあたって、日に日に実感しています。この感情をぜひお客さまにも感じてもらいたいなと心から思っております。
赤澤:本読みの段階ですごく熱かったんですよね。稽古期間中もその思いが途切れることなく、みんなで一丸となって頑張ってきたので、早くお客さまに届けたい思いでいっぱいです。本当に何回観ても面白い舞台ですし、目が足りないと思います。ぜひ細かいところまで楽しんでいただけると嬉しいです。グーパンで頑張ります!
取材・文・撮影:双海しお
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