2月10日(金)、東京・EXシアター六本木で、DisGOONie Presents Vol.12 舞台「玉蜻 ~新説・八犬伝」が開幕した。
本作は小説「南総里見八犬伝」を新たな解釈で舞台化した作品で、西田大輔が作・演出・プロデュースを担う「DisGOONie」の新作公演。2.5ジゲン!!では、初日公演に先立ち行われた、会見と公開稽古をレポートする。
会見登壇者は、西田大輔、崎山つばさ、藍染カレン、糸川耀士郎、砂川脩弥、田中良子、谷口賢志、萩野崇、北村諒の9人。それぞれに、意気込みや見どころ、稽古中のエピソードなどを語った。
犬塚信乃役の崎山つばさは、意気込みと見どころについて「信乃として立つことで、(お客さまに)何か感じてもらえれば。それぞれのキャラクターの生き様を観てください」と自信を込める。
さらに「舞台は、僕たちが板の上で作ってきたものを、決められた時間に来ていただき、お金をいただいて観ていただくものです。でも、それだけではないと思うんです。ただセリフを言うだけでは伝わらない。全力でアクションをしたとしても、感じ方も様々です。ここまで使ってきた時間はとても貴重なもので、初日を迎えてお客さまに観ていただくために一丸となってやってきました。たくさんの方に観ていただくのが僕の願いですし、観てよかったと思ってもらえる作品にしなければなりません。少しでも楽しんでいただけるように頑張ります」と、これまで作り上げてきた強い思いを口にした。
夕(はろか)を演じる藍染カレンは「こんなにも大きくて美しい船に乗れたことを嬉しく思っております。全員で怪我なく楽しい航海ができたら」と「DisGOONie」参加への喜びを語り、「夕(はろか)は、それぞれの生き様を見ていろいろなことを感じるキャラクターです。大切に生きていきたいです」と締めた。
犬坂毛野役の北村諒は、「とにかく、全力でお客さまを巻き込んで演じるだけです。それぞれの葛藤や、もがいて希望を光を探していくところが、お客さまにとっても希望になったら」と見どころを語った。
さらに、崎山について「稽古中に姿が見えないと思ったら、稽古場を出た所で殺陣の自主練習をしていたんです。その姿がとてもかっこよくて、真ん中で引っ張っていってくれる強さを感じました。尊敬すると同時に安心もして。本番を楽しみにしていただきたいです」と、稽古場でのエピソードも披露した。
犬江親兵衛役の糸川耀士郎。「『DisGOONie』に呼んでもらい、犬江親兵衛という役を与えてもらった意味と価値を出せたら」と意気込み、「僕の演じる犬江親兵衛は、世にある(他の)犬江親兵衛とは違う作りになっているので、そこを注目していただきたい」と、演じる人物についても触れた。
犬川荘助を演じる砂川脩弥は、「持てる力をすべて持って公演に臨みます。最後まで集中していきたいです」と覚悟を口にし、さらに「(もし自分が)荘助だったらどうするだろう…? と考えながら観ていただけると面白いんじゃないかなと」と、見どころを紹介。
玉梓役の田中良子。「ただただ、しっかりと“この場所に立つ”ということです。自分1人では絶対に乗り越えられないことも、誰かと出会うことでひっくり返せる…。普通に生きていてもそう感じることは、皆さんもあるのではないかと。出会って変わっていく。変えられる、自分の運命や“さだめ”を感じてもらえたら」とファンへ呼びかけた。
犬飼現八を演じる谷口賢志は、「キャスト・スタッフ全員で限界を超えて楽しみ、そして観てくださる皆さまにも限界を超えて楽しんでもらいたいです。演劇は、そして『DisGOONie』はここまでいけるぞ、この野郎! というのが見どころです」と力を込めた。
金碗大輔役、萩野崇 。「僕の役は“見つめる”のが大きな役割です。舞台上で必死に生きているみんなをどこまで見つめられるかを、心につなぎ持って演じていきたいです。みんなが純粋に生きている、その姿がどこまで昇華できるのか…観てくださるお客さまがどんな色を感じられるのか。純粋に生きている姿を感じていただける作品になっていると思います」と、役に絡めて見どころを語った。
作・演出・プロデュースの西田大輔。「DisGOONieの12作目。いまだかつてないほど、最もスケールの大きな物語になりました。「南総里見八犬伝」がベースになっていますが、登場人物それぞれの心の痛みを中心とし、その中で何に希望を見出すのかを俳優たちと作り上げました」。
舞台セットと殺陣について質問が寄せられると、キャストたちはセットを振り返り「稽古場にはこの大きなセットは入らなかったから、劇場に入って見て驚きました(萩野)」「想定していたよりでかい(北村)」と、セットの大きさに驚いた様子。
さらに北村は「シーンごとにアンサンブルさんやダンサーの皆さんの協力があってセットが変わって、それから照明も加わって全然違う空間になっていくんです」と目を輝かせる。
本作は大阪公演も行われることについて問われると、「船長である西田さんがテンションが上がって“大阪バージョン”を作らないことを祈っています。ただでさえ尺が長いので(笑)」と場内の笑いを誘った。
会見後には公開稽古がおこなわれた。本作の上演時間は、休憩を挟んで約3時間45分を予定している。スマホでの撮影が可能なスペシャルカーテンコール、アフタートークのある日や大千秋楽などは、ここにさらに時間の余裕を見ておいた方がいいだろう。
新解釈で紡がれる里見八犬伝の物語。自分の“色”と“珠”を見つけに、ぜひこの船に乗船してほしい。
取材・文・撮影:広瀬有希
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