7月5日(火)、東京・日本青年館ホールでミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs聖ルドルフ・山吹が開幕。
2.5ジゲン!!では、初日に先立ち行われた公開ゲネプロと囲み取材の様子を写真とともにお届けする。
本作は、許斐 剛作『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)のミュージカル化作品で、2021年7月に上演されたミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs不動峰に続く、4thシーズンの2作目。都大会に進出した越前リョーマ(演・今牧輝琉)たち青春学園中等部は、聖ルドルフ学院中学校・山吹中学校と対決することになる。
地区大会で優勝した青学(せいがく)には、情報を集めるために去年・一昨年よりも1.75倍の他校偵察が集まってきていた。都大会を前に、レギュラー陣は各自の能力に合わせた特別メニューをこなしていく。そして、都大会のトーナメントが発表された。鎌田・秋山三中などを撃破した青学(せいがく)は、準々決勝でついに聖ルドルフと対戦する。
前作の青学(せいがく)vs不動峰同様、原作の細かいセリフやシーンまで丁寧に細かい再現がなされているので、観ていて「あのシーン、あのセリフ」と原作コミックスのコマなどが鮮明に思い出せる。中には「えっ、このシーンまで? 」と驚いてしまう部分もあるだろう。
聖ルドルフ戦・山吹戦だけではなく、青学(せいがく)内での練習風景や山吹の導入、亜久津の掘り下げなどもあるので、試合シーンの駆け足感は否めないが、原作を丁寧になぞりきれいにまとまっていると評価したい。特筆したいのは、聖ルドルフ・山吹の“校歌”とも言えるテーマソングだ。
ステンドグラスの光を浴びながらチェンバロの音色とともに情感たっぷりに踊る聖ルドルフの部員たち。中でも、出て来た瞬間からスポットの当たっていない時まで、表情や大きな動きはもちろん、指先に至るまで観月はじめでいようとする三井淳平には目を奪われる。不二裕太を演じる石原月斗のフレッシュさ、赤澤𠮷朗役・奥村等士の圧倒的な身体パフォーマンス能力の高さにも注目してもらいたい。
山吹は、自由で元気な明るい校風そのままに、溌剌(はつらつ)とした動きでワクワクする校歌を聞かせてくれる。人当たりのいい笑顔を常に見せながらも飄々として掴みどころのないクセ者・千石清純をTAISEIが好演。亜久津 仁を演じる益永拓弥は、恵まれた体躯(たいく)ゆえに努力する気持ちと情熱を持てない亜久津のいらだちを表現している。リョーマとの試合は手に汗握る迫力だ。
青学(せいがく)メンバーは、経験値を重ねて大きく頼もしくなった今牧がカンパニーを引っ張っている様子が強く伝わってくる。マサやん(池田雅也/大野紘幸)、荒井の活躍も嬉しいポイント。
また、本作からアンコールソングでの客降り演出が久しぶりに復活している(今後の情勢により変更の可能性もあり)。開演前後・休憩時間のお喋りや場内での飲食なども含めて、公式からのルールを守り、感染対策を心がけながら楽しい時間を過ごしたい。
次回が気になる終わり方になっているので、今後もさらなるテニミュの進化に期待する。
ゲネプロ前におこなわれた囲み取材には、今牧輝琉(青学(せいがく)/越前リョーマ役)、持田悠生(青学(せいがく)/不二周助役)、三井淳平(聖ルドルフ学院/観月はじめ役)、益永拓弥(山吹/亜久津 仁役)が登壇し、意気込みなどを語った。
初日を目前にした気持ちを聞かれると、まず今牧が「また熱い夏がやってきました! 新しい物語が進んでいきます。とにかく楽しみな気持ちしかないです。今回は聖ルドルフ・山吹との試合が描かれるので、また違う人間関係やドラマが観られるんじゃないかなと思っています」とコメント。持田は「不二周助として舞台に立つのは2度目なので、緊張して今からすごく足が震えています(笑)」と告白。
三井は「何よりも、今日この日を迎えられて幸せな気持ちでいっぱいです。こうして初日を迎えられたのは、乗り越えてきた仲間たちと、僕たち以上にスタッフさんが動いてくださったこと、そのおかげだと感謝しています。千秋楽まで誰一人欠けることなく走りきりたいなと思っています」と初日を迎えられた感謝を口にした。益永は「亜久津は山吹の選手としては協調性が無い人物です。そんな亜久津の背負っている過去や、なぜリョーマに執着するのかを観ていただけたら」と見どころを紹介。
各々のキャラクターへの注目ポイントに関して、持田は「弟(裕太)が出るので、弟への思いや、シングルスでの観月への思いが交差する、そこが見どころです」。三井は「お芝居や役作りに関しては、観月はじめのように徹っっっっっ…底的な調査を重ねて役作りを探究して参りました。テニミュを愛してくださっているお客様にどう満足していただけるかなとドキドキしています」と優雅に微笑みながら役作りについて語る。益永は「リョーマと亜久津の試合に特に注目してほしいです。他の試合もそうなのですが、この1試合の中に色々なドラマがいくつもあります」と自信を込めた。今牧は「今回は2校と対戦します。30人以上、これほど多くのキャストさんが集まって稽古するということもなかなかありませんし、賑やかな稽古場でした。試合だけではなく、日常シーンも楽しく観ていただけたらと思っています」と見どころを語った。
ファンへのメッセージを求められると、益永は「今回の公演で、僕は原作などの『テニスの王子様』ファンの皆さんだけではなく、実際にテニスをされている方々にも勇気を与えたいです。そして、観ていただいた方にさらに『テニスの王子様』を愛してもらえるような作品にしていきたいです」と抱負を口にした。三井は「本当に皆さんにお会いできるのが心から楽しみだなと思っております。原作の再現をスタッフ・キャストともにこだわって追求しています。テニミュファンだけではなく、テニプリファンの方々にもより楽しんでいただける公演になっていると思います。聖ルドルフ・山吹とありますので、かなりボリューム感があります。ぜひ楽しみにしていただきたいです」と呼びかけた。持田は「今年も熱い夏がやってきました」と冒頭の今牧の言葉に触れてメディアの笑いを誘いながら、「それを皆さんと迎えられるのがとても幸せです。皆さんにハッピーだったなと思ってもらえるように、僕たち全員、全力で駆け抜けていきます。ぜひご来場をお待ちしています」。
最後に今牧が「7月に入り、さらに気温が高くなりました。申し訳ありませんが、劇場内はもっと“熱い”です! …体感温度ではなく心が(笑)。皆さんにそんな気持ちになってもらえるような、素敵な熱いテニスの試合をお届けできたらと思っています」。続けて「先ほど益永くんが言ったように、原作ファンの方だけではない方々にも楽しんでいただけるような作品にしたいと思っています! 」と締め、会見は終了した。
公演は、7月16日(土)まで東京・日本青年館ホールで、その後大阪、福岡、東京凱旋公演が行われる。
取材・文:広瀬有希/撮影:ケイヒカル
(C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
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