2022年7月5日(火)、東京・日本青年館ホールでミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs聖ルドルフ・山吹が開幕した。
本作は、許斐剛作『テニスの王子様』(集英社 ジャンプ コミックス刊)のミュージカル作品で、2021年7月に上演されたミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs不動峰に続く、4thシーズンの2作目。都大会に進出した越前リョーマ(演・今牧輝琉)たち青春学園中等部は、全国から優秀な選手を集めている聖ルドルフ学院中学校、山吹中学校と対決することになる。
2.5ジゲン!!では、聖ルドルフのマネージャー兼プレイヤー・観月はじめ 役の三井淳平と、青学(せいがく)・不二周助の弟である不二裕太 役の石原月斗に対談取材を実施。聖ルドルフメンバーの空気感や寮について、演じるキャラクターの座右の銘に共感したこと、メンバーでアイデアを出し合って考えたという聖ルドルフ第1体操裏話など、たっぷりと語ってもらった。
――本作へ出演が決まった時のお気持ちを教えてください。
三井淳平(観月はじめ役):何としても出演したい作品だったので、日頃の練習に加えて、オーディションの課題には念入りに準備を重ねて臨みました。本作の募集要項を見た時から絶対に観月はじめを演じたいと思っていたんです。歌やダンスなどの課題でも、彼だったらどんな見せ方をするだろうという事を常に念頭に置いていました。出演が決まった時は心から嬉しかったです。
石原月斗(不二裕太役):前作の不動峰公演戦(ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs不動峰)を観た時、すごく熱い気持ちになったんです。「すごいな、僕も出てみたい! 」と思ってオーディションを受けることにしたんですが、ダンスは少しやっていたけれど演技も歌もまだまだで…。でもどうしても出たかったので、原作コミックスやアニメを見て裕太について研究したり、歌のレッスンなどをして備えました。出演が決まったと教えてもらった時は、嬉しかったのはもちろんですが「僕が? 」とすごくびっくりしました。不安や緊張もありましたが、嬉しさの方が勝ったのを覚えています。
――初対面の印象はいかがでしたか?
三井:月斗と初めて会ったのはビジュアル撮影の時でした。お互いにウィッグを被ってメイクをしての初対面だったね。
石原:そうでした。だからビジュアルからもう、「わ、すごく観月だ! 」って感じたんです。そのあと素顔でお会いした時も“観月感”があってびっくりしました。大人っぽくてちょっと色気があって…。あと、すごく優しそうなのに怒ると怖そうだなって思いました(笑)。稽古が始まってから実際に注意していただくこともあるんですけど、静かに「もう次はないぞ」っていう怒り方ですね(笑)。優しさと厳しさを兼ね備えています!
三井:ふふ、嬉しいね。「…だめだよ? 」という感じで優しく怒っています(笑)。
――稽古で現在重点的に取り組んでいることや、難しいと感じていることは何ですか?
石原:僕は考え込みすぎたり間違えたりすると、ふと自分自身に戻ってしまうような時があるんです。誰よりも裕太のことを知っていて、裕太にならないといけないのに。それを克服するためには、お芝居や歌をもっと努力すると同時に、もっともっと原作やアニメをたくさん見て裕太を研究していかないといけません。これからの稽古、そして本番まで、もっと力を伸ばしていってみせます!
三井:僕は“4thシーズンならではの聖ルドルフ”を作るために努力しているところです。これまで1st、2nd、3rdと公演がおこなわれてきて、それぞれに素晴らしい聖ルドルフが作り上げられてきました。僕たちはこれまでの聖ルドルフにリスペクトを払いながら、ファンの皆さんの期待を超えていかなければなりません。
演出家の三浦 香さんからも、さまざまな課題を出されています。原作で描かれていない部分で彼らは何を見て何を感じて生きているのか? 部員たちの関係性はどういうものなのか?彼らの中身を大事にしなくてはなりません。そういうことを考えながら、僕たちの聖ルドルフを作り上げていきたいと思っています。
――聖ルドルフメンバーの中でムードメーカーやけん引役は誰でしょうか?
石原:ムードの中心はノムタク(野村拓也/演・八重澤就土)です!
三井:うん、ノムタクだね。演じる八重澤くんは「明日の稽古は〇時から」と毎晩稽古の情報を共有してくれたり、稽古の前にはビブス(キャラクターの名前が入ったベスト)を用意して配ってくれたりするんです。おちゃらけているところもあるけれど、マメだしかわいいやつですね。しっかり副部長役をしています。けん引役は…キャラクター性もありますけれど僕ですかね(笑)。
石原:そう思います! 稽古が終わってからも細かいダメ出しやアドバイスをたくさんしてくれて、こんなに細かいところまで見てくれてたんだ! って思います。…スゴク、イイ方デス。
三井:言い方が引っかかるなあ(笑)。それから、部長(赤澤𠮷朗/演・奥村等士)も頑張ってくれていますね。演出の香さんから、僕たち聖ルドルフにも、それから山吹、青学(せいがく)、不動峰にも「部としての関係性でいてほしい」と言われているんです。後輩が何かミスをすれば部長や先輩が責任を取ったり面倒を見たりしますし、稽古の前には各校の部長が点呼を取ったりします。僕はマネージャーとして、奥村くんは部長として、それぞれの役目を担っているという感じです。本当に部活のようですね。
――カンパニー全体での稽古場の雰囲気はいかがですか?
三井:試合では対戦校であっても、公演の成功に向かって4校がひとつになっているのを感じます。例えば僕たち聖ルドルフが何かの課題に行き詰まって解決するために奮闘していると、他校の人たちが来てくれて一緒に考えたり意見を出したりしてくれるんです。その雰囲気が好きですね。
石原:僕もそう思います。淳くんに全部言われちゃいました!(笑)
――稽古前のアップにされている『聖ルドルフ第1体操』について少し詳しく教えてください。
三井:聖ルドルフ戦は、原作コミックスで言うと6巻から9巻で終わってしまいます。他にもいろいろなところから情報を集めようとファンブックを読み込んでいたところ出てきたのが、40.5巻にあった『聖ルドルフ第1体操』です。これだ、と7人でアイデアを出し合って動きをみんなで考えました。
石原:スタッフさんも覚えて一緒にやってくれているんですが、けっこうキツいって言っています(笑)。しっかりと汗をかきますよ。
――Twitterに載っていたものの他にも、どんな動きがあるのでしょうか?
石原:全体としては普通の体操っぽいんですが、キャラクターごとにそれぞれ特徴的なポーズや動きを取り入れています!
三井:その特徴的な動きを全員が一斉にやるのではなくて、例えば胸を開く運動の時に赤澤だけ59話扉の「ぬあああっー!! 」をモチーフとした動きをしていたり、他のところでは木更津(木更津 淳/演・佐藤 光)だけちょっと回っていたりします。そういう遊び心を取り入れた体操なのですが、お見せできる機会があるといいですね(笑)。
――聖ルドルフのテニス部は、スクールに通っている補強組と生え抜き組、寮生と通いの部員で構成されている特殊な部です。
三井:特殊な環境にありますよね。地方から集められた補強組と元々いた生え抜き組に分かれていて、寮生もいれば自宅に帰る部員もいる。補強組は週に何回かしか部活に来ないので、部内にはすごく微妙な空気感があると思うんです。
全員が観月を心から慕っているかと言えば、そうではないかもしれません。例えば生え抜き組の金田(金田一郎/演・二宮来夢)は、観月よりも赤澤を慕っているでしょうしね。それぞれが違うベクトルを持ちつつ、でも全員が全国を目指しているんです。それは部員全員の共通の認識として存在していると感じています。微妙な空気を感じながらも必死にひとつの目標のために毎日練習している…その部内の空気感については、7人で話し合っています。
――裕太はスクールで観月にスカウトされて聖ルドルフ学院に転校してきました。
石原:裕太はずっと“不二の弟”と呼ばれて、いつも兄貴と比べられていたんですよね。でも観月は、“不二の弟”ではなく不二裕太として見てくれたんです。自分を選んでくれた、認めてくれた、と感じてすごく嬉しかったんだと思います。観月自身も実力がありますし、この人と一緒に全国を目指したいと思って尊敬するようになったんじゃないかなと…。でも、試合の中で観月のさまざまな面を見ていくことになるので、その気持ちの変化も舞台では表現していきたいです。
――役を離れたご自身として伺います。もしご自分が聖ルドルフの生徒だとしたら、寮と自宅通いどちらを選びますか?
石原:僕は寮です! 家を出て一人暮らしをするのに憧れているのもあります。
三井:でも1人部屋とは限らないよ? 2人か3人部屋かもしれない。
石原:あっ、そうか…! もし1人部屋じゃなかったら自宅からの通いにします(笑)。
三井:僕は寮ですね。ご飯が作れないので、寮母さんにご飯を作ってもらって大きくしてもらいます(笑)。ちなみに1人部屋でなくても大丈夫です。
――聖ルドルフのキャラクター、寮生の誰とだったら同室で暮らしていけそうですか?
石原:柳沢(柳沢慎也/演・久保侑大)ですね。裕太とは一緒に出掛けたりしていますし、よく喋っているので。あとはノムタクかな、ムードメーカーとして一緒にいてほしいです。
三井:僕は…ううーん! 消去法でいきますね。淳はちょっと…柳沢も…(笑)。ノムタクはうるさいし…そうしたら裕太かな! でも寮生の部員は5人だから、もし2人部屋だとしたら2・2・1に分かれますよね。そうなったら観月の権限で1人部屋にします!(笑)
――観月と裕太、それぞれの座右の銘について、共感する点はありますか?
※観月「敵を知り己を知らば百戦危うからず」
※裕太「成し遂げんとした志をただ1回の敗北によって捨ててはならない」
三井:僕も、周りと自分をよく観察して知ろうとするタイプです。出会って本番まで1カ月から2カ月ほど。その間でできるだけ皆と近い関係になりたいですし、良いところが分かればお芝居もしやすいです。今作で言えば、聖ルドルフのメンバーには初舞台の子も多いので、彼らをたくさん観察して良いところを引き出したいんです。
自分の観察については、僕は稽古の動画を誰よりも見ていると思います。その日の動画を見ながら寝落ちすることもよくあります(笑)。観察するのが好きなんですよね。このダンスはよくできたな、今日の僕はうまいね…と巻き戻して何度も見たりしています(笑)。
石原:僕はずっと兄に負けっぱなしでした。僕がすごく時間をかけてやっとできたことも、兄は一瞬でできてしまうんです。勉強も体操もバレエも、ずっとずっと負け続けてきました。でも、負けて終わるのではなく、悔しいから頑張ろうと努力してやってきました。
だから、1度負けたくらいでという裕太の座右の銘はすごくよく分かりますし、兄弟関係の面でも裕太との共通点はすごく多いと思っています。
――最後に、本作の見どころとファンの皆さんにメッセージをお願いします。
石原:聖ルドルフは、他の学校とは少し違うかっこよさがあるのでそこを観てほしいです! 観てくださった皆さんに「今回の聖ルドルフもすごい! 」と思ってもらいたいですし、僕自身も、歴代の先輩たちに負けないくらいの裕太を演じられるように頑張ります!
三井:演出も楽曲も、聖ルドルフの色が表れた本当に素敵なものを用意してくださっています。皆さんにお見せするのが楽しみでなりません。1stとも2ndとも3rdとも違う、僕たち4thシーズンの聖ルドルフを、ぜひ観に来ていただけたら嬉しいです。
取材・文:広瀬有希/撮影:友野雄
(C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
広告
広告