ミュージカル『るろうに剣心 京都編』の制作発表会見が、3月29日(火)に都内で行われ、緋村剣心役の小池徹平、志々雄真実役の黒羽麻璃央、比古清十郎役の加藤和樹らが出席した。
本作は、1994年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された、和月伸宏の漫画「るろうに剣心‐明治剣客浪漫譚‐」のミュージカル化作品。原作の中でも特に人気の高い“京都編”が小池修一郎脚本・演出でIHIステージアラウンド東京にて5月17日(火)から上演される。当初は2020年に公演が予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて全公演中止に。この度、再始動が決まった。
会見には、小池修一郎、小池徹平、黒羽麻璃央、加藤和樹をはじめ、瀬田宗次郎役の加藤清史郎、相楽左之助役の岐洲匠、神谷薫役の井頭愛海、巻町操役の鈴木梨央、駒形由美役の伶美うらら、斎藤一役の山口馬木也の10人が登壇した。
会見のスタートは殺陣のパフォーンスから。本作のクライマックスシーンを予感させる緋村剣心(演:小池徹平)と志々雄真実(演:黒羽麻璃央)の視線のやりとりの後、複数の忍びが舞台に現れた。
剣心の流派・飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)は、一対多数を得意とした殺人剣だ。相手の動きを先を読み、最小限の動きで複数の敵に神速の剣でとどめを刺す。その設定の通り、複数の相手に怯むことなく隙を狙って滑り込んだり、鋭い剣をふるう剣心。終了後の場内は大きな拍手で包まれた。
殺陣パフォーマンスの後は一同が登壇。開幕に向けての意気込みを語り、報道陣からの質問に応えた。
脚本・演出の小池修一郎は、「剣心が色々な人たちと接しながら平和を守る戦いを繰り広げます。これまで私は、漫画、アニメ、映画などの“スペクタルな面白いものを見る”という感覚で本作に触れていました。しかし今の世界の情勢を見ると、剣心が訴えることや原作の和月先生が込められたメッセージは、時代を経て世界が動いている時に大変な意味を持つのだと改めて感じました」と原作に込められたメッセージについて触れた。
続けて、主演・小池徹平について、周囲から「彼は本当にいい座長になるでしょうね、本当に謙虚で真面目で」と言われていたことを告白。「すれた所も全くなくて、剣心の持つ純粋さとも共通している。歌えて、殺陣もできて、芝居も上手な何でもできる人だけれど、それ以上に、剣心の純粋さを体現できる役者です。剣心の純粋なところは作品を彩り引っ張っていく要素なので、その点はぜひ皆さまに観ていただきたいです」と“徹平剣心”に期待を寄せた。
そんな小池徹平は、激しい殺陣の一方、本作はミュージカルであることに触れ、「ようやく息が落ち着きました。この後、小池先生に歌えって言われたらちょっと喧嘩するかもしれない」と笑いを誘う。
「激しい殺陣と素敵な音楽がどう融合していくのか、カンパニー一同楽しみにしています。こうして剣心の格好をし、キャストの皆さんが扮装されているを見て、ようやく始まるんだなとわくわくしています」と笑顔を見せた。
冒頭の殺陣パフォーマンスは「緊張しました」と振り返る。「それと同時に達成感もわくわくもあります。本番までにまだ時間もありますので、もっとクオリティが高く、皆さまをわくわくさせるようなものがきっとできると思っています。これをご覧になって、楽しそうだなと思ってくださる方が一人でも多くいらっしゃればいいな、という思いでやらせていただきました」と述べた。
志々雄真実役の黒羽麻璃央。2020年公演が中止になってしまったことに「志々雄真実を演じる心の中の火はずっと消えずに今日まで過ごしてきました。僕自身も原作ファンなので志々雄真実を演じられるのは感慨深いです」と役への情熱を口に。
「少しでも早くこの包帯の暑さに慣れなければ…分かりにくいと思いますが、この(包帯の)下はびしょびしょです。本番までに汗腺をどうにかしたいと思います」と全身びっちりと包帯で巻かれた衣装について苦悩を明かした。
瀬田宗次郎役の加藤清史郎は「京都編は、たくさんのキャラクターがそれぞれの意志や正義をぶつけあいながら成長していくストーリーです。僕が演じる瀬田宗次郎の成長に注目していただきたいですし、この劇場でしか見られない『るろうに剣心』をお届けできますように精進いたします」と誠実に語る。
前回は役と身長・体重が同じだったそうだが、「2年ぶりなのでほんのちょっと体が大きくなりました。殺陣や所作も稽古していますが、筋肉が増えたので、自分の身体を操れるようにしないと刀の切っ先は操れません。稽古の中で宗次郎になっていきたいなと思います」と熱を込めた。
「悪」の一文字を背負う相楽左之助役の岐洲匠は、2020年の公演中止から筋トレを続けていたことを明かし「5キロ増やしました! もう2キロくらい増やしたいです」と笑顔。「これからたくさん自信をつけて頑張りたいです」と意気込み、「稽古前に動画を見ながら胸筋を鍛える上級者向けの筋トレをしています。今度皆さんでやりたいですね」と続けた。
神谷薫役の井頭愛海は、今回が初舞台で初ミュージカル。「芸能界に入るきっかけがミュージカルを観て舞台に立ちたいと思ったので、こうして挑戦させていただくことが本当に嬉しく、毎日稽古をがむしゃらに頑張りたいと思っております」と明かし、「薫は、本当に明るくてまっすぐで、ぶれない芯を持っている女の子です。時に強くかわいらしく、剣心を思う気持ちをうまく表現できるように」とコメントした。
巻町操役の鈴木梨央は「初めてのミュージカルで、不安な気持ちとわくわくした気持ちでいっぱいです。操という役と向き合って、日々お稽古で学んだことを吸収して生かしてステップアップできるように頑張りたいと思います。皆さんぜひ楽しみにしていてください」と呼びかけた。
駒形由美役の伶美うららは「これからいよいよ始まるんだなという、わくわくした気持ちでいっぱいでございます。駒形由美の妖艶さと一途な思い、彼女の生き様をしっかり演じられますよう、お稽古に努めてまいります」。
斎藤一役の山口馬木也は「(相楽左之助役の)岐洲くんとは真逆で、足腰と膝が心配なので2キロ落として作品に挑もうと思っています」と笑う。続けて「今は漫画は日本を代表する文化となりました。『るろうに剣心』は、間違いなくその文化に貢献した草分け的な作品の一つではないでしょうか。原作ファンの皆さまの思いは強いと思いますので、丁寧に慎重に役を作っていきます」と原作へのリスペクトと役作りへの抱負を語った。
剣心の師匠である比古清十郎役の加藤和樹。「僕が演じる比古は、徹平君が演じる剣心に飛天御剣流の奥義を伝授する大変な役割がございます。時代は違えど、人が何のために生き、何を残していくのか…それは今の時代にも通ずることだと思います。比古として飛天御剣流を剣心に託すように、この舞台に立つからには次の世にも残っていくような作品を残していきたいと思っています」と意欲。役と作品に思いを込めた。
作品のポイントについて、小池修一郎は「場面も登場人物も多いので、4時間は超えると言われました」と明かし、「圧縮して、ぱっぱっと展開していくようになっています。音楽は、太田健さんと、2.5次元ミュージカルで大変活躍されている和田俊輔さんのお2人にお願いしています。カジュアルでポップな色合いが増えていると思います」「アクション監督に栗田政明さんを迎えての立ち回りの数々も見どころの一つです」と紹介。
今回の公演会場は、客席が回転するIHIステージアラウンド東京のため、「お客さまが劇場にいながら剣心たちと一緒に旅をする感覚を持てるのではないと思います」とコメントした。
報道陣から衣装について質問が飛ぶと、小池徹平は「包帯ぐるぐる巻きじゃなくて良かったなと」と忠実に再現された志々雄の衣装に触れながらも、自身の衣装について「お着物の色合いも美しいですし、先ほど殺陣をやらせていただいたのですがとても動きやすいです。殺陣で邪魔になりやすい髪も扱いやすくて、重たさも気にせず剣心に集中させてもらえて気持ちを上げてもらえます」と絶賛する。
加藤和樹が「見てのとおり…マントです」とコメントすると、場内と檀上からは笑いが。「軽すぎても動きに説得力が出ないので、ある程度の重みはあります。衣装を着るとカチッとスイッチが入るように思います。これから中身をちゃんと作っていって、衣装に着られないようにしていきたい」と意気込んだ。
最後に小池徹平から「素敵な劇場で、このメンバーでできる喜びを噛みしめて、皆さまに素晴らしい『るろうに剣心』をお届けできるように、全力で励みたいと思います」と挨拶、会見は終了した。
また、制作発表会見に寄せて原作者の和月伸宏より以下のコメントが寄せられた。
原作者・和月伸宏コメント
るろうに剣心の舞台化は宝塚版、前回と続き3回目の今回は満を持しての京都編。原作でも人気の高いパートですが、登場人物が多く、場面転換は目粉るしく、筋書きも複雑で、舞台化はちょっと難しいのではないかと打診当初は思いました。しかし、名も実も有る素晴らしい俳優陣とスタッフ、演劇好きの妻がベタ褒めする素晴らしい劇場、3回目とあって益々冴え渡る小池先生の素晴らしい辣腕と、素晴らしいの揃い踏みで、今では公演が待ち遠しい限りです。コロナ禍という大困難の中、実現に向けて尽力して下さった関係各位の皆様に心から感謝します。自信を持って御送り出来るエンターテイメントミュージカル「るろうに剣心 京都編」、感染対策をバッチリきめて是非劇場に御越し下さい。
取材・文・撮影;広瀬有希/提供写真=引地信彦
(C)和月伸宏/集英社
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