レポート

荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢

画像一覧はこちら

広告

広告

12月9日(木)、東京・かつしかシンフォニーヒルズで舞台「あいつが上手で下手が僕で」が開幕した。

本作は、今年10〜11月に放映されたドラマ「あいつが上手で下手が僕で」(日本テレビ)の舞台版。荒牧慶彦、和田雅成らが演じるお笑いコンビたちが“遭難”劇場と揶揄される寂れた劇場・湘南劇場で巻き起こす芸人青春群像劇だ。

2.5ジゲン!!では、初日に先立ち行われたゲネプロの様子をレポート。人気俳優たちが真剣に漫才に取り組み、笑いを届けようと奮闘する姿をお届けする。

なお、本記事はシャッフルされたコンビの組み合わせに関しても写真も含めて言及するため、まっさらの状態で観劇したい場合は注意してほしい。

若手芸人たちはSNSで“バズり”を命じられて…

ある日、湘南劇場にサカタ(演:六角慎司)と名乗る男がやってきた。とある不祥事でクビになった支配人に代わりやってきたという彼は、劇場を立て直すため、芸人たちにSNSでのブレイクを命じる。さらに「今のコンビの相性は最悪だ」とコンビをシャッフルさせられ、芸人たちは動画投稿SNSでバズるために即席コンビでネタ作りを始めることになる。

しかし折悪く、お笑い芸人たちにとって夢の賞レースである「38(サンパチ)ファンタジスタ」を控えている彼らは、そのネタ合わせもしなければいけない。大事な時期にバラバラにさせられてしまった彼らの運命やいかに…。

時浦可偉(演:荒牧慶彦)と島世紀(演:和田雅成)のコンビ・エクソダス。ネタの深さとマニアックさにこだわる時浦と、それに流されまいと激しいツッコミを入れつつも、時浦の頑固さに折れてしまうなどコンビ愛を感じさせる島。

鳴宮良(演:崎山つばさ)と蛇谷明日馬(演:鳥越裕貴)のコンビ・らふちゅーぶ。彼らの中で随一のネタ作り能力と周りを見る冷静な目を持つ鳴宮も、底抜けに天然でとんでもエピソードを生み出し続ける蛇谷には勝てない。

天野守(演:梅津瑞樹)と現多英一(演:陳内将)のコンビ・アマゲン。ぽわぽわとした雰囲気の中に、何歳になってもお笑い一筋に生きていく覚悟を持っている現多と、突然何をしでかすか分からない天野の“超”年の差コンビだ。

犬飼佑(演:田中涼星)と湾野岳(演:橋本祥平)の幼なじみコンビ・ロングリード。気が強い湾野に犬飼が振り回されているように見えるが、周りに気を遣い場をつくる能力に長けた犬飼が湾野の“リード”を握っている。

この4組が支配人サカタの命令でコンビシャッフルとなり、カラオケボックスでのネタ作りを経てSNSでの動画投稿の日を迎えることになった。

はからずも、解散した元コンビでの組み合わせとなってしまった鳴宮と鳥。元々の相性は悪くないはずの2人の、反発し合いながらも息の合った力技に注目だ。解散しなければ、この2人の力強く勢い100パーセントのネタが見られていたのだろうかとつい考えてしまう。

犬飼と現多は、幅広い層に受けるキャッチーで分かりやすい歌ネタで臨む。普段のネタ作りは相方に任せている2人だが、カラオケで歌いながら楽しんでネタを作っている様子にポテンシャルの高さが見て取れる。

静かな天野が突如むき出しにする狂気に対してひるむことなく瞬時に反応し、激しいツッコミを入れる蛇谷。予想以上にいいコンビだ。

そして時浦と湾野は渾身のフリップ芸を披露するが…。

「離れることでお互いの良さに気付く」とはよく言われることだが、バズり目的でシャッフルを命じたサカタ支配人にも、彼らに相方の良さを改めて考え直すきっかけを与えようとした気持ちがあったのだろうか…。

コンビの片方だけが売れると、相方が「じゃない方」と呼ばれてしまうこともある。ネタを作る方、作らない方で不公平感を感じる時もあるだろう。やりたいお笑いのネタの方向性が違ってきてすれ違い、自分を押し殺して苦しんだり、解散してしまうこともあるかもしれない。

彼らの動画投稿の後に湘南劇場にやってきた片山(演・富田翔)と須藤(小笠原健)の先輩芸人コンビ・マリーゴールドは、まさにそんなコンビだ。須藤の怪談ネタが受けている現状の中、片山は「ただ自分は横で黙って立って怪談を聞いているに過ぎない」と苦しんでいる。

やりたいことを仕事にするのは、時につらいこともある。また、自分が本当にやりたい方向ではないものを求められたら…そうせざるを得なくなったとしたら…。マリーゴールドの2人が希望に燃える若手芸人たちに出会って何を取り戻すのか、若手たちは先輩の2人から何を受け取るのか、劇場や配信でぜひ感じ取ってほしい。

また芝居や漫才の面では、稽古の量を感じさせる“間”が先輩コンビ含めてどのコンビも絶妙だ。たたみかけるしゃべくり漫才はもちろん、シンとした空気やノリツッコミなどで、本業が俳優であることを忘れるほどに笑ってしまう。このような時期でなければ場内は笑いの渦に包まれていただろう。せめて表情や、周囲に迷惑のかからない程度のリアクション、大きな拍手で役者たちの頑張りを称えたい。

舞台上では各コンビのわちゃわちゃが同時多発しているので、目が足りなくなること間違いなしだ。

公演は12月17日(金)までかつしかシンフォニーヒルズ、12月23日(木)〜26日(日)まで大阪・東大阪文化創造館で行われる。

取材・文:広瀬有希/撮影:ケイヒカル

広告

広告

画像一覧

  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像
  • 荒牧慶彦らが挑む漫才に注目、「あいつが上手で下手が僕で」若手芸人たちが追う“お笑い”の夢 イメージ画像

公演情報

タイトル

舞台「あいつが上手で下手が僕で」

公演期間・劇場

2021年12月9日(木)~12月17日(金)
東京・かつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホール
2021年12月23日(木)~12月26日(日)
大阪・東大阪市文化創造館

総合絵出

橋本和明(日本テレビ)

脚本・演出

大歳倫弘(ヨーロッパ企画)

出演

荒牧慶彦、和田雅成、鳥越裕貴、陳内将、梅津瑞樹、橋本祥平、田中涼星、富田翔、小笠原健、宮下貴浩/六角慎司/崎山つばさ

制作

ポリゴンマジック

製作

カミシモ製作委員会(日本テレビ、ポリゴンマジック、読売テレビ)

公式HP

https://kamishimo-stage.com/

公式Twitter

@_kamishimo

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

このライターが書いた他の記事も読む