“客席にこそドラマがある”をテーマとする舞台「観劇者」が6月30日（水）、東京・シアターグリーンBIG TREE THEATERで開幕した。
劇場に集まった男女9人の観劇者は、どのような経緯で舞台を観劇することになったのか――客席の開場から終演後までが描かれる。開幕前に行われたゲネプロの様子とキャストコメントを紹介する。
客席から目にするのは、舞台上に並ぶ観客席。東京のある劇場の客席Ｍ列5番から13番に、男女9人の観劇者たちが次々にやって来る。たまたま居合わせた9人の抱える事情はさまざまだ。
かつて芸能養成所に通っていた元俳優の高木蓮（演：堀田竜成）。同期が主演を務めることになった舞台を観るために来た。現在はホームセンターでアルバイトをしている。なぜ俳優を辞め、どんな思いで舞台を見つめるのか。
出演する一人娘を観にきた一条勉（演：長戸勝彦）・かなえ（演：斉藤レイ）夫婦。勉は娘が心配で気が気でない。
推しの俳優を観にきた田淵舞（演：大滝樹）は、彼氏候補の大澤亮太（演：林明寛）を連れている。ここ数年、“推し活”に忙しく、恋愛に対しては臆病な舞。亮太はそんな舞に渡すものをポケットに忍ばせている。
地方の高校に通う高校生の林田未来（演：わたなべかすみ）は、ずっと憧れていた作品を観劇するために上京した。
昼間はカフェ、夜間は工事現場でアルバイトをしている野間洋平（演：岩佐祐樹）。月に数回の観劇が生き甲斐となっている。
とある事情により、少しでも早く終演してほしいと願っている佐々木真（演：吉田翔吾）。
日々の生活で行き場のないストレスを抱える中、たまたま劇場の前を通りかかって当日券で入った松下彩夏（演：外岡えりか）。
9人はそれぞれなぜ劇場に足を運んだのか。そして終演後、どのような思いを胸に、劇場を出て行くのか。同じように客席に身を置く観客はそのどこかに、共感を抱くポイントを見つけられるかもしれない。
ゲネプロ終了後、キャストたちが公演の意気込みなどを語った。
堀田竜成（高木蓮役）
（登場人物）それぞれのストーリーがあり、（実際に観劇する）皆さんにもきっとストーリーがあると思います。自分に置き換えられるものとか、感じられるものがたくさんある舞台になっています。次の何かの一歩に繋がる作品になると思いますので、一生懸命頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。
外岡えりか（松下彩夏役）
キャスト、スタッフ誰一人欠けることなく、今日無事に幕が開くことが今とてもうれしいです。私たち一人一人が背負っている物語だったり思いだったりを、来てくださるお客さんも一人一人背負って劇場に来てくれていると思うので、お届けするのが今から楽しみです。最後まで駆け抜けられるように頑張ります。
林明寛（大澤亮太役）
この脚本は、長い間、演出や役者をされている開沼さんだからこそ書けたものだと思っていまして、一回舞台を見たことがある人であれば、引っかかるポイントが絶対にあると思うので、楽しんでいただけると思います。個人的には開沼さんの頭の中を見られた感じがして、楽しく本読みをやらせていただきました。楽しんでいただければなと思います。
大滝樹（田淵舞役）
私はとにかく“推し活”をしている女性の代表だと思って、今この場にいると思っています。見に来てくださる方は誰か推しの方が必ずいると思うので、その人に失礼のないように精一杯演じさせていただきたいと思います。
岩佐祐樹（野間洋平役）
お客さんが劇場に来た段階で、何か共感ができる作品だと思っています。よくある言葉ですが、一人一人が主役の舞台だと思いますので、誰か、もしくは複数人に共感して楽しんでいただけたらうれしいですし、これからもっともっと観劇が好きになってもらえたら嬉しいです。
吉田翔吾（佐々木真役）
僕の役は仕掛けが一つしかないから、みんなと比べて言ってしまえば単純なことなんですけど、僕の中ではお客さんから一番共感を呼ぶようなことをやっているし、（開沼）豊さんからは「お前はそうだ、そういう単純なことだけど、お前は一番劇的であれよ、一番ドラマティックであれよ」と言われているので、照明さんも音響さんも僕をめちゃくちゃドラマティックにしていただいて。だから僕はドラマティックに初日を迎えたいと思います。
脚本・演出は開沼豊。舞台「観劇者」は7月4日（日）まで。
（C）2021kangekisha
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