『監獄REQUIEM』が2021年2月3日（水）に開幕。初回公演に先立ち実施されたゲネプロの様子を劇中写真と共にレポート。各キャラクターの見どころも紹介する。
同舞台は坂本康太プロデュース第1弾。脚本・演出を初挑戦となる塩田康平が担当。近未来の荒廃した世界を“変える”若者たちの想いが錯綜し、様々な葛藤が描かれた“選択”の群像劇となっている。
物語の舞台は、死ぬまで出られないと言われる特殊監獄ペンタゴン。そんなペンタゴンに新入りの囚人・アキラが入ってくるところから物語は始まる。
アキラは世界を変えるための革命として様々な活動をしてきたため、このペンタゴンにやって来た。そこから出会う、囚人のミロク、ニーナ、看守のケイト、看守長のオオタニ、そして、アキラの友人・コージ。各登場人物の過去と今の思惑が徐々に判明していく構成で、結末までどう展開するのか目が離せない。
タイトルにも曲のジャンルが用いられているように、同舞台は歌やダンスが物語を彩っている。それを象徴するのはM1「監獄ROCK」だろう。
1曲でありながら3部構成という方式で、1部はミロク役の健人がロックテイストで囚人の荒くれ度合いを表現し、2部ではケイト役・磯野大がミュージカルテイストで悪魔的な監獄を表現、最後の3部ではアキラ役・佐藤永典が自分の想いをアコースティック調で歌い上げる。
世界観はやや陰鬱な設定ではあるが、全体的に歌われる曲調はロック、ラップ、バラードと、シーンやキャラクターの心情に寄り添う形で用意されているため、物語の展開にしっかりとした起伏を生む。これにより淡々と進行するだけではない、見ごたえのあるエンタメへと昇華されている。
ペンタゴンに収監された新入りアキラ（演：佐藤永典）。信念をもって世界を変えることを志す。冷静でありながら芯のある青年で、過去の葛藤や世界への不満を抱える難しい役どころを、佐藤は見事に熱演している。
ペンタゴンの看守。オオタニの指示を厳格に順守するケイト（演：磯野大）。今の仕事に実直にこなし、看守としての規律正しい姿が印象的だ。過去のエピソードなど、熱のこもった演技にも注目してもらいたい。
ペンタゴンの囚人・ミロク（演：健人）。ニーナの助言によりアキラを手助けする。明朗快活な性格で、監獄という設定に賑やかさを与える。また、派手な楽曲やアクションシーンなど見どころはたくさん。
ペンタゴンの囚人・ニーナ（演：佐藤友咲）。ミステリアスな設定、本人の表情や声の張りなど、魅力を多分に含んでいる。物語上のキーパーソンでもあり、その行動に一挙手一投に足目が離せない。
アキラの友人・コージ（演：辻凌志朗）。アキラが世界を変えることを志すきっかけになる。
ペンタゴンの看守長・オオタニ（演：兼崎健太郎）。囚人たちの行動に目を光らせている。髭をたくわえた威厳のある役どころで、存在感は圧倒的。囚人には驚異の存在ではあるが、人格者であり、囚人とケイト、それぞれに対する態度の変化は注目だ。
なお、2月6日（土）18:00、2月7日（日）12:00・16:00の3公演はConfetti Streaming Theaterでライブ配信。アーカイブ視聴も可能だ。足を運ぶのが難しい方はもちろん、すでに観劇済みの方もぜひご覧いただきたい。
文：木皿儀隼一
撮影：ケイヒカル
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