レポート

迷える人へ…椎名鯛造×ほさかようが送る心優しきエール 「ひとりしばい」vol.9視聴レポ

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講談社とOffice ENDLESSによる共同プロジェクトの配信舞台「ひとりしばい」vol.9が、11月8日に配信された。

Vol.9に出演するのは椎名鯛造。得意のアクションや情熱的な芝居を武器に、舞台「弱虫ペダル」シリーズ(鏑木一差 役)や舞台『刀剣乱舞』シリーズ(不動行光 役)など、数多くの人気作品に出演している。

脚本・演出を手掛けるほさかようは、糸川耀士郎出演の「ひとりしばい」vol.5で脚本を務めたが、同シリーズでの演出は今作が初めてだ。

画面越しでも伝わる圧巻のエネルギーで、常に観客の心を揺さぶり続けてきた「ひとりしばい」。今作も、役者・演出家・スタッフが三位一体となったパワーを存分に感じることができる。

ここでしか実現しない豪華タッグが、次はどんな世界を見せてくれるのか。2.5ジゲン!!では、オンライン配信の模様をお届けする。

【画像(全9枚)は記事下の「画像一覧」に掲載】

※公演写真・ストーリーの一部を掲載しています。ネタバレにご注意ください。

迷える人の背を押す、心優しいエール


本作は、ひとりの青年がピーターパンを演じるところから幕が上がる。

「楽しいことと、妖精の粉。この2つがあれば、体は自然と宙に浮くんだ!」。明るく溌剌(はつらつ)とした表情で語る青年の姿は、きっと誰もが思い描くピーターパンのイメージそのものだ。

青年は、明日に控えたピーターパンのオーディションに備えて稽古をしている真っ最中。アクロバットを取り入れてみたり、風を受けて飛ぶ姿をイメージしてみたり。

試行錯誤の稽古の途中で、突然聞こえてきたノックの音と“誰か”の声により、物語が動き始める。

壁越しに声をかけてきた男は、どうやら役者をしているらしい。最近は同年代の仲間たちと触れ合う機会しかなかった青年は、男にアドバイスを求める。

「10人中、9人が同じ芝居をする」「役者なら、台詞を大事にしろ」「君は明るく書かれた台詞を、そのままなんとなく言ってるだけだ」。予想外のダメだしの数々に、一瞬たじろぐ青年。しかし男は、更に言葉を続ける。

ピーターパンが決して大人になれないように、成長することができない役者だっている。いつだって最悪を想像して、最善を尽くすんだ。――思わず耳を塞ぎたくなってしまうような厳しい言葉の数々は、全ての役者の前に立ちはだかる壁を正面から突き付けるものだろう。

そこで舞台は暗転。視点は青年から男へと切り替わる。

男は、実はもう何年も舞台に立っていなかった。あるワークショップの帰り道で、自分がしていたのは芝居ではなく、モノマネだったのだと気が付き、悩む男。

男がたまたま昔住んでいたアパートの中に入ったところで、隣の部屋から声が聞こえてくる。

元気で明るくて、辛い現実など何も知らない溌剌とした声。それは紛れもなく、過去の自分の声だった。

厳しいアドバイスは、現在から過去の自分自身へと向けたものだったのだ。

過去の自分を変えれば未来も変わって、今のどうしようもない現実から抜け出せるかもしれないと男は語る。人生を終える選択すら考えていた男は、そんな可能性にすがることしかできなかったのだろう。

しかし現実はそんなに甘くないと語る表情は、見ていて息が詰まりそうになるほど痛々しい。自分自身と対話を繰り返す中で、男は最後に何を掴むのか……。

親友である役者とのつらいエピソードや胸をえぐるような痛切な台詞もあるが、物語の結末は温かくて優しい。

主人公が手を差し伸べる姿に、男と同じく救われたような気持ちになる観客も多いのではないだろうか。

今作「ネバーランド・アゲイン」は、迷える全ての人に向けられたエールだと感じた。

甘えなしのタッグが生んだ「宝物」

作中ではひとりの役者の苦悩が描かれているが、自身の生き方についての葛藤は誰しもが抱く共通の悩みだろう。

しかし、いくつになっても、どんなにつらい現実の中でも、夢を叶えることはできる。人は皆、夢に挑むことができる永遠の子ども――ピーターパンなのだ。

それを教えてくれる主人公は、椎名鯛造にしか演じられなかったと筆者は断言したい。10年以上第一線で活躍を続けている椎名だからこそ、主人公の悩みは息苦しくなるほどのリアルさを伴って舞台の上で表現されていた。

彼が演じる役には、いつだって命が宿る。台詞がなくとも表情だけで喜怒哀楽を表現する芝居は、今作でも健在。些細な視線の揺れ動きすら見逃すことはできない。

もちろん、脚本・演出のほさかようの手腕もすさまじい。椎名が演じることを前提として書き上げられた脚本からは、役者の魅力を全て引き出そうというほさかようの愛を感じることができた。

椎名とほさかようがタッグを組むのは、今作が初めて。「知っている方だと甘えが出てしまうから、甘えなしで勝負がしたいと思って、ほさかさんを指名させていただきました」とアフタートークで語った椎名は、「この作品は、僕にとって宝物になりました」と感想を述べた。

演劇を愛する男たちの甘えなし、妥協なしの真剣勝負が、この名作を生みだしたのだろう。

本作は11月10日(火)~11月17日(火)までのアーカイブ配信も予定されている。椎名鯛造の役者人生の刻まれる名作を、ぜひ観劇してほしい。

「ひとりしばい」プロジェクトとは?

「ひとりしばい」はタイトルの通り、ひとりのキャストによる一人芝居。豪華な演出家とタッグを組んだ、完全オリジナルストーリーを見ることができる。

稽古は「Zoom」などを活用、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」で行われ、会場は東京・池袋に誕生したLIVEエンターテインメントの複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)の「Hall Mixa」を使用。

同じ劇場だとは思えないほど多岐に渡った演出方法が用いられている。

「ひとりしばい vol.9 椎名鯛造」
【アーカイブ配信】
チケット販売:11月17日(火)20:00まで
視聴期間:11月10日(火)12:00~11月17日(火)23:59
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=30756

公演情報

主催

舞台「ひとりしばい」製作委員会

企画・制作

講談社/Office ENDLESS

公式HP

http://officeendless.com/sp/hitorishibai

公式ツイッター

@hitoshiba2020 ハッシュタグ「#ひとしば」

(C)舞台「ひとりしばい」製作委員会

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WRITER

水川ひかる
							水川ひかる
						

2.5次元舞台の魅力を全力でお伝えしていきたいと思います。まだまだ駆け出しライター。推しが元気で今日もごはんが美味い!

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