2019年10月10日、東京・渋谷のCBGKシブゲキ!!にて、舞台「五右衛門マジック」が開幕した。
磯貝龍乎によるオリジナル脚本と、華やかなビジュアルなどで話題になっていたこの舞台。
初日に先立ち行われた囲み会見と、ゲネプロの様子とみどころを、ネタバレ無しでお届けする。
※本文下の「画像一覧」より全ての写真をご覧いただけます
あの活気をもう一度! 奇術師・佐治と五右衛門の、騙し騙されの物語が始まる
かつてこの世には2人のエンターテイナーがいた。天下の大泥棒・石川五右衛門と、幻術士・果心居士(かしんこじ)。
しかし五右衛門は、重税に苦しむ町民のために秀吉の暗殺を試みるも、果心居士の策により失敗、死罪。だが果心居士もまた、その幻術の腕を恐れた秀吉に命を狙われ姿を消す。
そして時が流れた。
街の通りでいんちきくさい奇術を披露している佐治(演:和田琢磨)。そこへ、盗みを働いた小平太(演:山口大地)と鼠(演:末野卓磨)が、追われて駆け込んでくる。
捕まる寸前で2人を奇術で助けた佐治は、小平太の特技に目をつけ「俺と組んでエンターテイナーになろう!」と誘う。
「石川五右衛門と名乗り、人々にもう一度あの時代の活気を!」2人は悪人から金品を盗んではばらまき、着実に名を上げていく。
2人を追う前田玄以(演:小沼将太)と平賀源大(演:松井健太)。いつもすんでのところで逃げられてしまう。
当代一のエンターテイナー・出雲阿国(演:さかいかな)。妖艶な魅力で人々を虜にする阿国に、2人は遠く及ばない。
行き詰まった二人は次なるターゲットを決める。それは、国を揺るがす国家機密だった。
ここから二転三転のドラマと騙し騙されのエンターテイメントが始まる。
張り巡らされた謀略、計略、罠、トリック。話は誰の手の中で踊っているのか?
秀吉の右腕、智将・石田三成(演:小野健斗)。氷のように冷徹な表情と、目を離せない美しさを持つ。三成の頭の中にはどんな策が……?
二転三転する話。巧みに張り巡らされた伏線と罠。「天下」を目の前にした人間の欲と脆さ。
公式サイトにあるあらすじは、導入部分であり同時に、頭に入れておきたい伏線だ。ストーリーは誰の手の中で踊っているのか、誰により仕組まれたものなのか、ひとつ「分かった」と思ってもそれが真実なのかは分からない。
今目の前に見えている、それが答えだとは限らないのだ。最後の最後、まさに最後の一秒まで舞台から目が離せない。
華麗、絢爛、毒、色気。どこを見ても艶やかで粋なこだわりの舞台
登場人物には五右衛門、鼠、出雲阿国、秀吉といった歴史的に個性の強い名前が並ぶが、ファンタジーであり、観るのに特別な事前予備知識は必要無い。
美しい人たちが美しい衣装をまとい、踊り、ふざけ、騙し合う。「ああ楽しかった」だけでは終わらない、「騙された!」という驚きに、二度三度と足を運びたくなるだろう。
独特の強い個性を持つ磯貝龍乎の遊び心と巧みな話作り、発想。それを、ミュージカル「スタミュ」「王室教師ハイネ」などで知られる吉谷光太郎が後ろから支える。時おり感じる吉谷イズムに、思わずニヤリとさせられるだろう。
くるくると変わる和田琢磨の表情。事前におこなったインタビューで、和田は佐治を「二面性のある奥行きの広い人物」と語っていた。それを頭に置いて観れば、なるほど深い闇がある。
真っ直ぐで純粋だからこそ、の山口大地の五右衛門。妖しいばかりに美しい小野健斗の石田三成。
色気のある赤が強めに取り入れられた派手な衣装、陰影をくっきりと際立たせるピンスポット、ばらまかれる金がライトでキラキラと輝く。静かに、そして時に鳴り響く、ROUの創り出す音楽が実にクールだ。まとめてCDで聴きたいほどの音楽にも、ぜひ注目してほしい。
「同世代の仲間と作品を作れるのが誇らしい」笑いあふれる囲み会見
ゲネプロに先立ち、囲み会見が行われた。登壇者は佐治役の和田琢磨、石川五右衛門(小平太)役の山口大地、石田三成役の小野健斗、脚本・演出の磯貝龍乎。
見守るスタッフも思わず笑い出していた、和やかで明るい会見の様子をお届けする。
ーーまず、意気込みと見どころをお願いします。
和田琢磨(佐治役):「五右衛門マジック」というタイトルどおり、二時間最初から最後まで、ひとつのテーマパークの乗り物に乗っているような感覚を味わっていただける作品になっています。飽きるところなく、ご覧になれると思います。
いろんなところに仕掛けがあって面白い要素もあり、心が動くような言葉もたくさん散りばめられています。非常に見ごたえのある作品になっています。
山口大地(石川五右衛門役):奇術師と盗人が天下を変えるお話で、本当に仕掛けが多くあります。最後のどんでん返しを楽しみにしていてください。
今回、龍乎くんが脚本なので笑いも秀逸です(笑)。そこも楽しみに、たくさん笑っていただけると嬉しいです。
小野健斗(石田三成役):最初、台本を見た時は「これどうなっているんだろう?」と、分からない部分がたくさんありました(笑)。でも稽古に入って、実際に演じていくうちに具現化されて、まるでマジックのタネあかしをしているような現象が稽古場で起きたんですね。
そして通し稽古では「これは間違いなく面白い作品になる」という確信が持てました。そんな作品ですので、頑張りたいと思います。
磯貝龍乎(演出・脚本):「マジック」というと手品のイメージがつきがちですが、人の目を欺くといった意味も込められています。
この作品はヒューマンラブコメディですので、家族の大切さ、命のはかなさを感じて頂けたらと思っております。
(「ラブあった?」「台本読みなおそう!」「そんな重いものは」と突っ込みが入る)
最後まで楽しめる作品ですので、ぜひ皆さん、楽しみにしていてください!
――稽古中にあった楽しい思い出や、印象的なエピソードを教えてください。
和田:こんなに明るい演出家の方とご一緒したのは初めてで、楽しかったことがいっぱいあります。
だいたい稽古が始まるときは、普通は「よーい、はい!」なんですが「それじゃあ参りまぁす、よいしょぉおー!」って始まって、それが楽しかったです(笑)。
あと、演出家がすごい褒めてくれるんです(笑)。(「ナイスゥー!」「ナイスゥ!」と周りから声がかかる)
山口:僕は稽古期間が短くて楽しむ余裕が無くて。それで、切羽詰まって台本を必死に覚えている時に、みんなが「大丈夫だよ!」「できるよ!」と言ってくれたあたたかさが支えになりました。
ここにいるみんなも小沼将太(前田玄以役)くんも、ギャグセンスが高いので、すごく支えになったのが思い出です。
小野:今回のメインキャスト、ほぼみんな30オーバーなんです。一人、松井健太だけ若いんですけれど、ほぼ初舞台の彼がすごく初々しさが溢れていて、新鮮な気持ちになりました。
磯貝:キャストさんがみなさん面白い方ばかりだったので、楽しい稽古でした。一番面白かったのが、プロデューサーの吉谷さんが代役を一生懸命誠心誠意込めてやってくださって、本当に胸が熱くなって……。翌日熱が出ました。(場内笑い)
――ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
磯貝:本当に皆さんに助けられてこの作品ができあがりました。とても素晴らしいものに仕上がっています。最後まで楽しめますし、何回見ても楽しめる作品になっています。ぜひ皆さま、お楽しみくださいませ!
小野:ちびっこから大人まで楽しめる作品になっています。30オーバーの我々が、誠心誠意込めて全力で頑張っていますので、その姿を観に来てください。
山口:何も考えずに、ただただ「楽しかった」と思っていただけるような作品です。僕は今回、戸谷公人さんの代役で入らせていただいたのですが、彼の思いもしっかり背負い、他のメンバーと一緒に物語を作っていきます。
台風もあり、本当にご足労をいただいてしまうのですが、楽しんでいただけたらと思います。
和田:磯貝龍乎くんの演出の舞台のお話をいただいて、すぐに「出させてほしい」とお返事をしました。小野くんも山口くんもそうですが、何年も舞台を一緒に頑張ってきた同世代の仲間でひとつの作品を作れるのは、誇らしいことです。
この舞台を見たお客様や同世代の俳優の方々にとって、刺激になるような作品になればいいなと思っています。
僕たちも千秋楽まで楽しみます。お客様も隅から隅まで楽しんでください!
舞台「五右衛門マジック」は2019年10月10日(木)~10月20日(日)まで、東京渋谷・CBGKシブゲキ!! にて上演中。
東西東西、百花繚乱神出鬼没、騙し騙され振り振られ、誘い謀り企てる。2時間ばかりの夢の中、「五右衛門マジック」をご覧あれ。
広告
広告