「刻」シリーズ完結の物語となる舞台「メサイア ー黎明乃刻ー」が、9月5日(木)に幕を開けた。
今回はゲネプロの様子とともに作品の見どころを紹介する。
波乱に次ぐ波乱が巻き起こる今作。
正直、どのシーンを切り取ってもネタバレになってしまう。そこで今回は、ストーリー展開の紹介ではなく、各キャラクターにスポットを当てていこうと思う。
前回のゲネプロレポート
絆と憎しみが交錯する!舞台「メサイア トワイライト ー黄昏の荒野ー」ゲネプロレポート
https://25jigen.jp/report/3960
完結を彩る裏切りと絆の物語
▲かつてメサイアだった2人は敵対関係に……
まず今回のストーリーの前提となっているのが、前作「メサイア トワイライト ー黄昏の荒野ー」のクライマックスで起きた出来事である。
チャーチのサクラ候補生である小暮洵(橋本真一)が北方連合に囚えられ記憶も操作されてしまい、北方連合の手駒となってしまった。
彼の唯一無二の相棒ーーメサイアである雛森千寿(山本一慶)は、前作では小暮を奪還することができないまま、2人は敵対する立場として幕が閉じた。
▲敵意をぶつける小暮(橋本真一)とそれに相対する雛森(山本一慶)
そして本作。
小暮と雛森がメインキャストとなり、「刻」シリーズ完結にふさわしい物語が紡がれていった。
いまのメサイアとかつてのメサイア、敵と味方、叶えたい思いと守りたい思い……。
それらを善悪というものさしで明確に線引きすることはできず、曖昧に揺れ動きながらもそれぞれが“自分の信じる道”を突き進んでいく姿が印象的であった。
必ずしもみんなが同じ方向を向いているわけではない。ときに信念や思惑が交わり衝突してしまうこともあるだろう。
そのぶつかりあいのなかで、“自らの人生を生きること”の意味を見出していく。そんな魂の物語に感じられた。
各キャラクターの見どころ ※ネタバレなし
▲2人の汗と涙がまざりあう熱演に心奪われる
▲雛森が構えた銃口の先にいるのは……
小暮役の橋本真一、雛森役の山本一慶は観ているのも辛いほど、運命に翻弄される役どころとなった。
クールで余裕のあった過去作の姿からは一転、まるで重い十字架を背負っているかのような苦しさのにじむシーンの連続である。
自分の在り方に苦しむ小暮、そして未練の残る過去に囚われる雛森。
しかし2人が立ち止まることは許されず、チャーチや北方連合をとりまく状況は刻一刻と変化していく。
2人をこれまで結びつけていた“メサイア”という絶対の絆が揺らいだとき、彼らはどう生きることを選ぶのか。ぜひその決断を劇場で見届けてほしい。
▲御池(長江崚行)とレネ(近藤頌利)は本当のメサイアになれるのか
前作で新たにメサイアとなった御池万夜(長江崚行)とレネ(近藤頌利)。気さくなレネの性格のおかげもあって順調にいい関係を築いているようにみえた2人だが、2人もまた見えないしがらみにがんじがらめにされていた。
メサイアとは命を預け合う存在だ。相当な覚悟が必要な関係性である。
2人のやり取りからは、メサイアとなることの重みを改めて感じさせられた。
▲祖国への思いを貫いてきたガラ(輝馬)の真意とは
▲穂波(石渡真修)や昴流(三原大樹)もまた、歩むべき道を見出していく
北方連合のガラ(輝馬)、穂波葉礼(石渡真修)、及川昴流(三原大樹)、園之人(村上幸平)の4名も、今作で自らの生きる道と向き合っていくことになる。
彼らのキーワードは“過去”。
今ここに至るまでの彼らの物語を知っていると、今作はより胸えぐられる内容となるだろう。
この作品を観劇する前、もしくは観劇してから、ぜひ過去作品のDVDを見返してみてほしい。
▲キュートな百瀬(小谷嘉一)に会場が笑いに包まれた
そしてこの作品に欠かせない係長代理の百瀬多々良(小谷嘉一)は今回も絶好調だ。相変わらずいいアクセントとなっていた。
前作よりも“色んな意味で”パワーアップした百瀬の笑いは期待を裏切らない。さらに今作はかっこいい姿も観られるかも!? かっこかわいいという百瀬ならではの味は健在だ。
▲新キャラクターの藤戸(山崎大輝)とラスール(菊池修司)の狙いとは
今回新たに登場となった新キャラクター藤戸要(山崎大輝)とラスール・ミハイロヴィッチ・カレージン(菊池修司)はメインビジュアルにもある通り“あの制服”を着ている。
しかし、彼らには彼らの、また別の目的が存在していた。
今作では敵や味方という概念が非常に曖昧になっている印象を受けた。チャーチ崩壊の危機の中、組織や国家よりも大きな流れに飲み込まれていくサクラ候補生や北方連合の諜報員たち。
激流にもがき苦しんだ末、彼らのもとには一体何が残るのか。そしてチャーチという存在はどこへ向かうのか。ぜひその結末を見届けてほしい。
また、ラストにはシリーズファンの涙腺が刺激されるであろう演出も用意されていた。過去の作品を観てきたファンはきっと心ゆさぶられるだろう。
「刻」シリーズ最終章にふさわしい“終わり”と“始まり”を味わえる舞台「メサイア ー黎明乃刻ー」は、東京公演がシアターGロッソにて9月5日(木)~9月8日(日)、大阪公演が大阪メルパルクホールにて9月13日(金)~9月16日(月・祝)、東京凱旋公演がなかのZERO大ホールにて9月19日(木)~9月23日(月・祝)の日程で上演される。
これまで受け継がれてきた“刻(とき)”を劇場で感じてみてはどうだろうか。
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