舞台「メサイア トワイライト ー黄昏の荒野ー」の初日に先駆けて2月7日におこなわれたゲネプロの様子をご紹介する。今作も「メサイア」らしい任務・絆・アクションが複雑に絡み合う内容に仕上がっていた。
注目したいのは、なんといっても今回はサクラ養成機関のチャーチではなく、北方連合のスパイ養成機関・ボスホートにスポットが当たっている点。
物語は、ボスホートのエリートであるサリュート(山田ジェームス武)、スーク(宮城紘大)、ガラ(輝馬)の3人に卒業ミッションが与えられることで動き出していく。
新たに描かれるボスホートや北方連合の世界に、これまでシリーズを追ってきたファンも新鮮な気持ちを抱くのではないだろうか。
ボスホートで「ビーツの祝祭」のミッションに挑むことになった3人。同時に、スパイが潜んでいるという情報が浮上する。お互いに腹のなかを探り合いながら、それぞれ宿命とも呼べる因縁に導かれるように自らの道を歩んでいく。
同じ機関に属してはいるものの、その信念や在り方は大きく異なっている。彼らの行動の意味するところを探りながら観ていくのも面白いだろう。
サリュートは壮絶な生い立ちを抱えている。山田ジェームス武の野性味のなかに信念を感じさせる演技が、そのまま作品の重みへとつながっていた。
▲生まれ育った国に思いを馳せるサリュート
スークもサリュートも過去作品に登場したキャラクターだが、今作で新たな一面を観ることができた。スークの軽やかな華のある存在感とクライマックスの演技は必見だ。
▲サリュートとスーク。2人の絆ははたして……
今回初登場となるガラ。ボスホートの制服と輝馬の長い手足が見事にマッチしていた。大胆なアクションには間違いなく瞳を奪われてしまうだろう。
▲ミッション達成に意欲をみせるガラ
もちろんお馴染みのキャストが続投したチャーチのサクラ候補生たちも健在だ。
係長代理の百瀬多々良(小谷嘉一)は、ダークな世界観において唯一の癒し系要員として大活躍。サクラ候補生たちの世話係らしくバリバリ仕事をこなしながらも、張り詰めた空気に笑いをもたらしていた。
▲的確な指示を出すかっこいいターンの百瀬多々良
今回は第3世代のサクラ候補生たちが登場する。御池万夜(長江崚行)に小暮洵(橋本真一)、雛森千寿(山本一慶)に、新たなサクラ候補生・杉浦レネ(近藤頌利)。
▲メサイアとの別れを乗り越えた御池万夜を待つのは……
▲新たなサクラ候補生・杉浦レネ
彼らも任務のなかでボスホートと関わっていくことになる。今後の展開を予感させる重要なシーンもあるので、彼らのファンは覚悟を持って挑んだほうがいいかもしれない。
▲任務をまっとうする小暮洵と雛森千寿
さらに照る日の杜に属していた穂波葉礼(石渡真修)、及川昴流(三原大樹)、園之人役(村上幸平)がどんな形でボスホートとチャーチに関わってくるのか。ぜひ劇場で彼らの複雑な想いが交錯する物語を確かめてみてほしい。
▲数奇な運命をたどることになる穂波葉礼
後半は怒涛の人間ドラマとアクションが続く。とくにアクションは見応え十分。ガンアクションをメインに、キャラクターの特性を活かしたアクションが見どころ。
各戦闘員の衣装はいずれもアクションが映えるデザインとなっている。ひるがえる裾がアクションに躍動感を与え、より迫力を感じられた。
圧巻の物語を演じ終えたキャストたちは、カーテンコールでは一様にホッとした表情を浮かべていた。
座長の山田が「ゲネプロはいつも緊張するんですが、百瀬さんがたくさん笑わせてくれたので……」と小谷に話を振ると、唐突なフリにフリーズしてしまいなんともいえない静寂が客席の笑いを誘っていた。
長く続くシリーズだからこその安心感と、新たな境地を切り拓こうとする挑戦する気持ちを感じられた舞台「メサイア トワイライト ー黄昏の荒野ー」。このタイトルに込められた意味は、ラストシーンで明らかとなる。
さまざまな人間たちの命を賭けた戦いの末に広がるラストシーンは感動なしに観られないだろう。ぜひ、彼らの生き様を劇場で味わって欲しい。
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