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舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」開幕 舞台写真とコメント、公演レポートが到着

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6月9日(金)、舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」が大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて開幕し、舞台写真、演出及び出演者コメント、公演レポートが到着した。


中島 敦役:鳥越裕貴

2017年から始まった“舞台 文豪ストレイドッグス”今作で8作目となります。そして今回で終劇。この6年間でたくさんの出来事がありました。いろんなバトンがつながれ、得たもの失ったもの、世界情勢も変わったり、振り回されたりと本当にたくさんの事がありました。ですが、文ステの作品に入ると変わらないものがありました。シンプルに皆で演劇を楽しむ。なんて素敵な現場なんでしょうか。そんな素敵な文ステカンパニーも今回で最後。今回の“共喰い”舞台ならではの文スト、文ステの世界になっております。これは、朝霧先生・春河35先生の協力がなければ生み出せない世界。皆さまも覚悟を持って劇場へお越しください。僕達も覚悟を持って毎公演挑みます。


芥川龍之介役:橋本祥平

6年前に文ステと出会い、初演の頃20代前半だった僕も今年で30歳。初演から現在までの間で年号が変わったり、コロナの影響で環境そのものが変わったり、色々なものが変わりました。その中でもブレずに変わらないものがある。それが、このカンパニーです。失敗を恐れない積極性や挑戦した人へのリスペクト。楽しみながら演劇を作れる最高の場所です。そんな大好きな作品の終劇。寂しさよりも、作品の終わりを見届けられる嬉しさ。そして終劇と銘打つ愛の深さ。作品、役、ずべての方へ感謝を込め、これまで歩んできた集大成を皆さまにお届けいたします。


太宰 治役:田淵累生

舞台『文豪ストレイドッグス』いよいよ終劇となりました。太宰治として途中参加で出演させていただいて早くも2年が経ちました。15歳、16歳、そして織田作の死を経ての太宰治の余生を見ていただければ嬉しいです。今作は舞台オリジナルのシーンも多くこれまでの作品を観ていただいていた方にはかなり刺さるものになっています。終劇に向けた集大成を皆さまにお見せできることを楽しみにしております。


フョードル・D役:岸本勇太

今作で文ステシリーズ終劇ということで、物語りとしてどんな最後を迎えるのか。また、作中にて1つのキーワードとなる「不幸」。ご観劇後に皆さまにとってどの様に捉えていただけるのか。僕自身としても作品と向き合う中で1つのポイントです。大きな物語の中に、其々抱えているバックボーンも描かれているので、色々な角度から楽しんでいただけるかと思います。ぜひ、見届けてください。


イワン・G役:松田 岳

今作から「文ステ」に出演させて頂きますイワン・G役の松田岳です。「文ステ」の歴史と熱を浴びている日々に幸福を感じています。異能力者の名の通りの力を魅せてくださるキャスト様、スピーディーで驚きの展開と情景描写を衝撃の演出で、文学作品が持つ芸術的な言葉達、それらを舞台公演へとまとめる構成力。他にも言い尽くせないほど溢れている素晴らしさにこれが6年間か! と作品とカンパニーに魅了されまくっている私、文ステの一員となる責任と誇りを背負うと同時にこの偉大な集団に一石を投じる挑戦心も持って。見どころ、、すみません開幕から終幕までずっとです!!!


脚本・演出:中屋敷法仁

6年にわたり公演を続けてきました舞台「文豪ストレイドッグス」。シリーズ最後の作品にして究極の作品が誕生しました。原作でも非常に人気の高い「共喰い」のエピソードを中心に、これまで描かれてきたストレイドッグスの物語がエンディングを迎えます。さらば文ステ! 最後までごゆっくりご堪能ください!


公演レポート

以下、本作品に関するネタバレを含みます。

実在の文豪の名を懐くキャラクターたちが、その著作をモチーフとした力で戦う“異能”アクション大作『文豪ストレイドッグス』。朝霧カフカ原作、春河35漫画による漫画および小説を原作に幅広いメディア展開を通して人気を博し、今夏にはTVアニメ第5シーズンが放送されることでも注目を集めている。アニメを原作とし、2017年に始まった舞台、通称「文ステ」は、実写映画化という新たな境地へと作品の可能性を拡げながら、第8弾となる今作へと歩みを進めてきた。

だが、中屋敷法仁の演出、中島 敦役・鳥越裕貴、芥川龍之介役・橋本祥平を中心とする座組の到達点として、ここで“了”を打つことを宣言。物語は、北米の異能者集団「組合(ギルド)」が巻き起こす巨大異能戦争を描いた『三社鼎立』(2019年上演)、敦が己と向き合い「生命の輝き」を魅せた『DEAD APPLE』(2021年上演)の続きとなる『共喰い』。文ステは、その間にも、ときにまだアニメ化されていない原作を用いて、さまざまなキャラクターたちに血肉を与えながら作品の持つ豊穣な世界を現実へと呼び起こしてきた。

また、原作者の朝霧カフカはこの『共喰い』が「1人ひとりが、一番その人らしいことをするよう考えた、その時点におけるキャラクターの総決算」だと語っている。そうした背景をもって登場する総勢23人ものキャラクターたちが、魂を震わせて叫び、走り、ぶつかり合う様は、まさに終劇にふさわしい。毎回、幕開けを告げてきた汽笛の音が、いつになく寂しくも誇らしく――劇場に鳴り響いた。

組合(ギルド)からヨコハマの地を守るべく結ばれたポートマフィアとの停戦協定は継続し、武装探偵社は燃え尽き症候群とでもいうべきぼんやりした日常を送っていた。敦への「復讐」を果たすべく、武装探偵社と同じビルの喫茶店で働き始めた元・組合(ギルド)のルーシー・M(エリザベス・マリー)との掛け合いも微笑ましい。しかし、武装探偵社の社長・福沢諭吉(和泉宗兵)が「仮面の暗殺者」の襲撃を受け、やがてポートマフィアのボス・森鴎外(根本正勝)も凶刃に倒れたことから悲劇は始まる。48時間かけて成長し、宿主の体を食い破るウイルス型の異能を仕込まれてしまう2人。「共喰い」という名のそれは、その前に宿主のどちらかが死ねば停止するという。組織の長が、そこに属する者たちの掲げる信念そのものであるならば、互いに絶対に退くことのできない戦いとなることは、容易に想像されるだろう。すべては、組合(ギルド)戦でも暗躍していた“魔人”フョードル・D(岸本勇太)の策だった。

見どころは、枚挙にいとまがない。第一には、やはり舞台化にあたり大きな挑戦となった「異能」の表現。役者のアクション、「ドッグス」チームと呼ばれるアンサンブルの動き、プロジェクションマッピングの投影の三位一体であらわされるキャラクターたちの“核”が、これまで築き上げてきたものすべてを盛り込んだ究極ともいえる熱量をもって、観客を舞台へと引きずり込んでいく。次々と異能が繰り出される武装探偵社とポートマフィアの激突、そして落石の衝撃さえ伝わるほどの岩場で繰り広げられる敦と芥川の息の合ったコンビネーションには、沸き立つものを抑えられなかった。

そうした派手な組み合いの一方で、互いに何手先をも読み合い、同じ舞台上に在りながらも身を削り合う者たちともまた異次元の静かなる戦いを繰り広げる太宰 治(田淵累生)とフョードル・D。「魂の抜けた吸血鬼」といわれるフョードル・Dからはぬらりとした闇が広がる。太宰は、信頼こそ武器に、敦、そして芥川をペアとして未来を勝ち抜くための勝負に出る。孤児院時代に院長より与えられた「地獄」に秘められた真実を知った敦のかたわらにそっと掛ける言葉も胸を打った。

必死に打開策を求める敦たちの前に立ちふさがるのは、フョードル・Dを頭目とする盗賊団「死の家の鼠」だ。「少年。何を恐れているんです」――。紳士的な上品さをまといながらも何かが欠けた異様さをもって「幸福」へと誘うイワン・G(松田 岳)の声色、関節を失ったかのような奇怪な動きに肌が粟立つ。
仮面をつけ、どこか空虚な言葉をつぶやきながら襲いかかるナサニエル・H(香取直登)も、振付の折々に『三社鼎立』での場面を想起させる。他方で、ウイルスの異能者A・プシュキン(鹿野宗健)の繊細な文学的苦悩とは一線を画す、野蛮な、ともすれば親しみのある振る舞いは、客席と舞台の距離を近づける。

自身の命を賭してポートマフィアの人質となった谷崎潤一郎(桑野晃輔)が、愛する妹・谷崎ナオミ(齋藤明里)への脅迫を受けて放つ一瞬の殺気が会場を凍らせる。かつて暗殺者だったことを否が応でも思い出させる身のこなしで尾崎紅葉(夢月せら)と剣戟を繰り広げ、だが、その頃とは違う光を帯びたまなざしで芥川に立ち向かっていく泉 鏡花(桑江咲菜)が魅せるドラマにも心を奪われる。

福沢を失うかもしれないという焦燥に駆られた江戸川乱歩(長江崚行)は、声を震わせて決断を求めた。

「戦ってはならない」という社長命令に背いてでも、森を殺めるか。敦は戸惑うが、いつもの天真爛漫さからは意外なほどの強い言葉を漏らした宮沢賢治(堀之内仁)、与謝野晶子(今村美歩)の肝が据わった号令、ポートマフィアへと突撃する探偵社員たちが握る拳には、覚悟が満ちていた。国木田独歩(輝馬)も、杓子定規では測れない苦悩を抱えることなりながらそこに立ち止まりはしない。

今作が初登場となる元・武装探偵社の凄腕ハッカー・田山花袋(大石 樹)の「黒髪の撫子」への恋物語は哀れみと笑いを誘うが、彼もまた自分に居場所を与えてくれた者のために奮い立っていた。

そして災厄の種であるウイルスは、福沢と森がまだ組織の長となる前、若き日の二人が共闘を果たすに至る原点をも浮かび上がらせることとなる。彼らもまた、かつてとある人物によってあるべき未来へと導かれていた。また、先の戦いで敗れ、貧民街へと身を落としていた組合(ギルド)のフランシス・F(君沢ユウキ)も、情報参謀のルイーザ・A(永田紗茅)から差し伸べられた手を取り、文無しのお尋ね者から華麗なる転身を遂げる復活劇がしかと描かれる。「特売」の歓びを知ってしまった彼の陽気さもまた、劇場を熱くする一因だった。むろん、明るさの点ではあらゆる煩悶をドカン、ドカンと吹き飛ばしてくれる「檸檬爆弾」で大暴れする梶井基次郎(正木航平)が期待を裏切らない。

そうしたなか、中原中也(植田圭輔)が見せる覚悟は、『STORM BRINGER』(2022年上演)などを通して掘り下げられてきたからこその要素だった。原作者監修によるオリジナルシーンとして「首領代理」として対武装探偵社の陣頭指揮に立つ経緯とともに、彼の「兄」ポール・ヴェルレエヌとの対話も描かれる。

それぞれに譲れない覚悟を持ち、共に喰らい合いながら織りなしていく物語。「幸福とは?」「何故、闘うのか?」。舞台上から投げかけられる問いが、ウイルスがごとく観劇する者の人生をも侵食していくだろう。

「文豪ストレイドッグス」という作品で紡がれてきた「救済」の連鎖は、常に誰かの覚悟とともに固く輪を掛けられてきたことを再確認する。物語は、TVアニメ版ともまた違う結末へとたどり着いた。キャラクターたちの、そして作品に誠実に向き合い続けてきたカンパニーの“覚悟”を見届けてほしい。


取材:キツカワ トモ/撮影:宮川舞子
(C)舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」製作委員会

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公演情報

タイトル

舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」

公演期間・劇場

2023年6月9日(金)~6月11日(日)
大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

2023年6月22日(木)~7月2日(日)
東京・日本青年館ホール

原作

TV アニメ「文豪ストレイドッグス」

脚本・演出

中屋敷法仁

協力

朝霧カフカ、春河35

出演

鳥越裕貴、田淵累生、輝馬、長江崚行、桑野晃輔、堀之内仁、桑江咲菜
今村美歩、齋藤明里、和泉宗兵/
橋本祥平、植田圭輔、正木航平、夢月せら、根本正勝/君沢ユウキ、永田紗茅/
大石樹、エリザベス・マリー/岸本勇太、香取直登、鹿野宗健/松田岳
岡村樹、山中啓伍、小林らら、美守桃、よし乃

企画

舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」製作委員会

制作

バンダイナムコミュージックライブ/ゴーチ・ブラザーズ

公式HP

http://bungo-stage.com/

公式Twitter

@bungo_stage

(C)舞台「文豪ストレイドッグス 共喰い」製作委員会

WRITER