舞台「おそ松さんon STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~2nd SEASON」が11月23日(木・祝)から上演される。
TVアニメ「おそ松さん」を舞台化した『おそ松さんon STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~』は、2016年の舞台化第1弾を皮切りに、2018年に第2弾、2019年に第3弾が上演され、全公演で満員御礼を記録した。
今作からは2nd SEASONと銘打ち、全役が新キャストを迎えるほか、舞台第1弾~第3弾でおそ松役を務めた高崎翔太が脚本に、F6おそ松役を務めた井澤勇貴が振付に参加する。
2.5ジゲン!!では、初代おそ松役の高崎翔太と、新たにおそ松役を演じる中西智也にインタビュー。「松ステ」ならではの魅力や、新たなカンパニーの雰囲気、今作に込める思いなどを語ってもらった。
――制作発表記者会見で、早くも和気あいあいとした雰囲気を滲ませていた新キャストの皆さん。座組の雰囲気はいかがですか?
中西智也:まだ稽古前ですが、とっても良い雰囲気です! 新しい座組での記者会見は、緊張してなかなか話せないことも多いのですが、この「松ステ」の記者会見ではみんな自然とたくさん話せて、楽しみながらのお披露目ができました。
高崎翔太:記者会見で初めて顔合わせしたんだよね? なのに本当に仲が良さそうだった。
中西:そうなんですよ、本当に良いカンパニーだと思います。これから稽古に入るので、ますます仲良くなれるんだろうなって、とても楽しみです。
高崎:記者会見のときの楽屋エピソードで僕が印象に残ってるのは、最年少の松本勇輝くん(F6トド松役)が中心になって、みんなでTikTok用の映像を撮っていた姿ですね。「おお、みんな若いなぁ」って。井澤勇貴くんと2人で、しみじみ「時代だねぇ」って話をしました。
――今回、6つ子とF6には10代~20代半ばのキャストが集まっていますね。
高崎:今までの「松ステ」メンバーには無いフレッシュさですね。
――2nd SEASONへのご出演、ご参加が決まったときの心境はいかがでしたか?
中西:初めて触れた2.5次元作品が「松ステ」なんです。まだ役者になる前の高校生のときに、母の友人が「松ステ」初演のDVDを借してくださって。それが初めて見る2.5次元でした。
先日、オーディションを受けるにあたって改めて見返したんですが、改めて素晴らしい作品だなと思いました。他の舞台作品とは一味違う、「松ステ」でしか感じられないものがたくさんあって。
絶対おそ松役をやりたいと思って、翔太さんのお芝居も含めて自分なりに精一杯研究して、全力でオーディションに臨みました。
高崎:中西くん、初めて会ったときから「映像を見て研究させてもらってます!」って言ってくれて、もうすごくいい子だなあって感動しちゃいました。オーディションで役を射止めたんだね、素敵だね。たくさんの人の中から自分を選んでもらえたと思うと、勇気が出るよね。
中西:はい、本当に。でも合格の連絡をいただいたときはすごく驚いてしまって、なかなか実感が湧きませんでした。前作までの翔太さんの、おそ松としてのストーリーの進め方や、お芝居、空気の作り方…いろんなことを思い返して、「本当に僕でいいのかな?」「自分にできるのかな?」って不安になってしまったんです。
今は、「そんなんじゃいけない」と思って、改めておそ松という役に全力で向き合っています。翔太さんのおそ松の、あの思いきり突っ込んでいくパワーや、“場の荒らし方”など、そういう魅力的なところをどんどん盗んで自分のものにしていきたいです。
高崎:いや、俺より原作のアニメ見た方がいいよ!(笑)
――高崎さんは今回、脚本家としてのご参加ですね。脚本を、というお話が来たときのご感想は?
高崎:いやもう、それこそ「僕でいいのかな?」って思いましたよ。映画の脚本は書かせていただいたことがありますが、舞台作品は初めてでしたし…。
でも、前作でF6おそ松を演じた井澤くんが振付で参加するって聞いて、「あ、なるほど」って。求められている役割についての納得がありました。
――執筆中はどんな感覚でしたか?
高崎:書き始める前は「苦戦するかな」と思いましたが、実際に書いてみたら30分くらいで2本書き上げられたんです。しかも、書きながらすごく楽しかったんですよね。
頭の中に当時の空気が蘇ってきたというか、「松ステ」のメンバーがみんなでわちゃわちゃしている姿がどんどん思い浮かんできて。その様子を文字に起こしていったら自然と脚本になった、という感覚です。「6つ子が喋ったらこうなりました」みたいな…なんか、こういうふうに言うと天才っぽいですね?(笑)
中西:(笑)いや、でも本当にすごいです。30分で2本も!
高崎:「松ステ」はオムニバス形式になっているんですよね。
自分としては、ロジックや理屈よりもスピード感重視にしたことで、「松ステ」らしいものが出来たんじゃないかと思っています。「前半に伏線を張って後半で回収しよう」とか「これで笑わせよう、感動させよう」みたいなことは一切考えていなくて。良い意味で入れ込まずに書いた感じが、「松ステ」らしいんじゃないかなぁと。
中西:翔太さんの脚本で、演じるのがすごく楽しみです。
――高崎さんから新キャストの皆さんに向けて、「こんな作品にしてほしい」という思いはありますか?
高崎:「新しいものを作ってほしい」という気持ちが一番大きいですね。脚本を書くときに思い浮かべたのは前キャストですが、だからといって前作に寄せたものを作ってほしいという気持ちはありません。
稽古の段階で脚本をどんどん変えてもらって構わない、というか、変わっていくものだと思っています。新たなメンバーでまったく新しい「おそ松さん」を見せてほしいです。
その上で、新しい作品の中にどこか第1シーズンの残り香というか、エッセンスのようなものを残すことができたら、僕の役目を果たせたのかなと思います。僕と井澤くんがそれぞれの役割を担うことで、前作を応援してくださった方々にも、もちろん新しいお客さまにも、より一層「松ステ」を楽しんでいただけたら嬉しいですね。
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――お二方それぞれに伺います。「松ステ」ならではの魅力を3つ挙げるなら、どんなところですか?
中西:まだ稽古前なのでお客さま目線になりますが、僕が感じる魅力は「笑顔になる、元気になる、体調が良くなる!」の3つです。魅力がたくさんある作品ですが、3つにまとめるとそれですね。
高崎:笑顔は健康にいいからね。
中西:「松ステ」を見ると健康になります!(笑)
高崎:演じる側から見た魅力は、そうですね。まず「可愛らしさ、かっこよさ、面白さ」のバランスがすごくいいなと思います。それから、兄弟設定なのでキャスト同士が仲良くなりやすいところも魅力ですよね。
あとは、お客さまが最初から笑うためにいらっしゃっているという点も、演じる側としてすごく楽しかったです。ステージの上の役者だけじゃなく、お客さまも積極的に理性のブレーキを外して、思いきり笑って、楽しんでくれる雰囲気がある。これって本当にすごいことで。劇場にいるみんなが一緒に、あんなに笑いあえる作品って、なかなか無いです。
――そんな「笑い」の雰囲気を作るために、稽古や本番で工夫されたことはありますか?
高崎:工夫するという意識は無かったかも…チームワークがカギになったと思います。キャスト各自の役割がわりと明確化していて、稽古中だけじゃなく日常的にもそういった空気が自然とできていた。その中で、普段からお互いを「笑わせてやろう」って感じでみんなが動いていました。稽古も本番も関係なく、いつも笑わせ合っていたんです。
僕(おそ松)の場合はとくに自由度が高くて。というのも、おそ松はある意味、生き方の根っこのところさえ押さえていればOKというか、結構思いきって何でもできるんですよね。他の兄弟たちに比べるとユニークな設定が少なめというか、いろんな捉え方ができるキャラですし。
――押さえておくべき「生き方の根っこ」とは、具体的には?
高崎:僕が意識していたのは主に、「兄弟愛が深い」「基本的にクズな性格」、でもいざとなると「誰よりもお兄ちゃん」という部分ですね。そういう“おそ松としての生き方”さえ間違わなければ本番中に何をしても…極端な話、めちゃくちゃ噛んでも失敗にはならない、みたいな(笑)。
それくらい自由度が高い役どころだと思います。
――なるほど!
中西:あの、ちょっとお聞きしたいんですが、翔太さんも初演ではやっぱり緊張されましたか?
高崎:初演はねぇ、緊張というより恐怖だったよ。
中西:恐怖ですか?
高崎:原作のアニメが大人気だったから、舞台版がちゃんと受け入れられるだろうかっていうのがすごく怖かった。
しかもゲネプロ(最終稽古)に、抽選で当たった一般のお客さまが入ることになったのよ。キャストみんなで、こっちは緊張と恐怖でガチガチなのにどうすんの!? って(笑)。だからっていうわけじゃないけど、初演はアドリブもほとんど無かったんだよね。
中西:え!? 意外です。
高崎:「松ステ」って、他の2.5次元舞台に比べるとアドリブの方向性も変化球なのね。「日替わりシーンどうする? みんなで相談しよう」って形じゃなくて、本番中に思いついたことを思いついたときに出す、みたいなスタイルだったの。
最近になって初演の映像を見返してみたら、そのアドリブがほとんど入ってなくて。稽古でやったことをそのまま本番でやり通してたんだよね。自分でもちょっとびっくりしました(笑)。
――中西さんは、これから演じるおそ松役にどんな印象を抱いていらっしゃいますか?
中西:うーん、一番難しそうだなと思っているのは、やっぱりアドリブの部分ですね。自分の中では、おそ松という役柄はどんどんアドリブを仕掛けていくタイプなので、何か仕掛けて、みんなを巻き込んでいかなきゃというプレッシャーがあって……。
高崎:それ、今言ったらハードル上がっちゃうよ!?(笑) まぁ大丈夫、チョロ松が全部拾ってくれるから、チョロ松さえいれば何も怖くないと思う。俺は(前作でチョロ松役の)植田圭輔がいてくれたら、それだけで何も怖くなかった。
中西:チョロ松、たしかに重要ですよね。貴重なツッコミ役ですもんね。今作のチョロ松(杉咲真広)とは、以前舞台でご一緒して以来仲良くさせてもらっているんですが、すでに随所で鋭いツッコミを見せてくれています。真広くんもきっと全部拾ってくれるに違いないので、めいっぱい困らせていきますね。
高崎:いいぞ、兄弟を信じていこう。
中西:はい!(笑)
――中西さんがおそ松役を演じるにあたって、現時点で一番大切にしたいことは何ですか?
中西:今のお話を聞いていても思ったのですが、アドリブってやっぱりチームワークが大事ですよね。稽古中だけでなくいろんな場面で通じ合えていると、舞台上にもその仲の良さがにじみ出てくるんだなと、改めて思いました。
アドリブは、仕掛ける側と受け止めて打ち返す側の息が合ってこそ面白くなると思うので、お客さまにより楽しい作品を届けるためにも、6つ子の仲の良さ、カンパニーの仲の良さを大切にしていきたいです。
――お2人とも、ありがとうございました。最後に、今作への意気込みと、上演を楽しみにしている方々へのメッセージをお願いします。
高崎:僕は今回脚本での参加で、その脚本はすでに手元を離れています。なので今は、お客さまと同じようにワクワクしているところです。新しいキャストの皆さんで、自分たちらしい「松ステ」を、楽しみながら作り上げていってください。心から楽しみにしています!
中西:ありがとうございます。第1シーズンの良いところを取り入れて活かしつつ、僕たちならではの新しい「おそ松さん」をお届けできるよう、キャスト一同気合を入れて楽しく仲良くがんばります。お客さまは何も考えず、ただただ楽しむために、劇場に来てくださったら嬉しいです!
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舞台「おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~2nd SEASON」は、11月23日(木・祝)~27日(月)に東京公演、11月30日(木)~12月3日(日)に兵庫公演が行われる。劇場を笑顔で満たしてくれる「松ステ」シリーズ、その新たな船出に期待が高まった。
取材・文:豊島オリカ/撮影:泉健也
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