インタビュー

【2.5の前、何してた?】佐藤たかみち「この世界が大好きです!」 初心と強みを胸に、より深みへ(後編)

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ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」や舞台『ブルーロック』など、2.5次元作品で頭角を現す佐藤たかみちに、この度ロングインタビューを実施した。

前編では、これまでの軌跡を振り返ってもらったが、この後編では、「好きなことが武器になっている」と語る佐藤にその愛や今後のビジョンを聞いた。

――出演されてきた舞台それぞれで、まったく異なる経験を得てきた印象を受けました。原作のある2.5次元舞台で役を演じる楽しみはどこにありますか?

僕は非現実的な世界が大好きなので、キャラクターとしてその世界で生きられるのは本当に楽しいですね。日常生活では着ないような衣装を身にまとって、武器を手に敵と戦う。

子ども時代って、アニメや漫画を見て、その中で生きているヒーローになりたくて「ごっこ遊び」をするじゃないですか。今はそれを、真剣に向き合ってお仕事にできているような…恵まれていると思います。

――非現実的な世界と言えば、佐藤さんは漫画・アニメ・ゲーム・ライトノベルなどの“2次元の世界”がとてもお好きだと伺っています。これらの世界のどういう点に惹かれましたか?

例えば、僕は『ソードアート・オンライン』(SAO)という作品がすごく好きなのですが、SAOは現実の世界がありながらゲームの世界の中に閉じ込められてしまう話なんです。ゲームの中で死んでしまえば現実世界でも死んでしまう…。

僕自身、小さい頃からゲームをやったりアニメを見たりしながら、「この世界の中に入れたらどんなに楽しいだろう」とずっと思っていました。SAOは、そんな子ども時代の気持ちとリアルが融合している話で、その点に強く心惹かれます。

キャラクター設定や衣装、バトル方法も、自分の中の“厨二病”を刺激するものばかりです。例えば黒の剣士・キリト。ロングコートの裾をひるがえしながら、数多くあるソードスキルを駆使して戦うんです。その、スキルを出すときのエフェクト(特殊効果)がかっこいいんですよ、剣が光ったりしてね!

それから、『ようこそ実力至上主義の教室へ』。

これもライトノベル作品なのですが、実力至上主義の学校の中で繰り広げられるストーリーです。この学校は全寮制で、外には出られないし外部と連絡を取ることもできません。

主人公・綾小路清隆は、勉強にもスポーツにも高い実力を持っているのですが、それを隠して学園生活を送っています。でも、実力が垣間見える瞬間があったり、能力を隠し通しながらも最終的に強敵に勝ったりするんです。

SAOや『ブルーロック』もそうですが、僕は、こういう“隔離された環境”の設定や、弱かったり平凡なように見えていたりする人が実はものすごい力を隠し持っている、という設定や作品が大好きです!

――他にも、お好きなもので言えばピアノの演奏もとてもお上手ですね。ピアノを始めたきっかけは何だったのでしょうか?

自分では覚えていないのですが、母が言うには幼いころに「(機関車)トーマスの曲をピアノで弾きたい」と言い出したらしいんです。それで、まずは小さい子たちが集まって楽器を演奏するアンサンブル教室でキーボードや木琴を使った演奏を始めて、小学生になってからきちんとピアノを習い始めました。

現在もピアノ教室にはたまに行っていて、その先生には長くお世話になっています。

ピアノ歴が長いとはいえ、クラシックのものすごい曲を弾いているのかと言えばそういうわけではなく、弾きたいものを楽しく弾いています。これも、アニメ・マンガ好きであることとつながるのですが、アニメのサントラやBGMを聞けば「あ、これピアノで弾いてみたいな」と思うんですよね。

今で言うとアニメ『ブルーロック』の「カオスが極まる」(UNISON SQUARE GARDEN)とか。ブルステ(舞台『ブルーロック』)主題歌の「UNLOCKED BAROQUE」(Kradness)も練習しているんですけれど、楽譜がないので耳コピでやっています。

――好きなものを楽しくやるのが、長く続けるコツですね。

そう思います。芸能の仕事も、はじめは「かっこいい!」から始めましたが、お芝居の楽しさも少しずつ分かってきましたし、大好きな2次元の世界のキャラクターになれるのも楽しいです。きっかけになった「かっこいい!」の気持ちだけでいたら、ここまで続けて来られなかったかもしれません。

――「キャラクターになれること」以外で、舞台で楽しいと感じる瞬間はどんな時ですか?

やっぱり自分は、見られることや注目されることが好きなんだろうな、と感じます。スポットライトが当たったときやセンターに立ってお芝居をするときに「お客さまの視線と意識がすべて自分に向いている」と感じると本当に気持ちがいいです。

今のように、視線と空気を肌でダイレクトに感じられる舞台作品と、はじめに感じた画面の中の世界に憧れた気持ちも大事にして、映像のお仕事もこの先やっていけたらいいなと考えています。

とはいえ、今の僕には引き出しや経験値が足りません。どの現場に行ってもそう実感しています。

特に映画の撮影のときには、現場での要求にすぐ対応している共演者の皆さんを見てすごいと感じましたし、自分もそうならなければ、と思いました。足りないものがあったとき、自分で努力して身に付けられるものなら人の何倍も努力してでも身に付ける。分からないことがあれば先輩や知識のある方に教えを乞う。

やればやっただけ自信につながるし、できなかったことができたときは、とてもうれしいです。この努力は間違っていなかったんだ、と実感します。

演劇「ハイキュー!!」では経験のなかったダンスを、『映画刀剣乱舞』では近所の公園で毎日刀の素振りをたくさんしていました。舞台『ブルーロック』では何カ月もかけて体を作って、サッカーの実力者に見えるようにボールの扱い方も練習しました。

この先いろいろな現場に行くたびに足りないものを感じるでしょうけれど、そのたびに努力して身に付けていきたいです。

――今後、どのようになっていきたいかのビジョンがあれば教えてください。

さまざまな作品に出演したいですが、中でも、漫画・アニメなどが原作の“2.5次元作品”の世界で活躍できたらと思っています。僕は2次元の世界が大好きですし、それを原作とした舞台作品も大好きです。この「大好き」の気持ちは武器になると思っています。

大好きな2次元の世界のキャラクターとして、必殺技名を叫んだりアクションをしたり、泣いたり笑ったり…。そんなとき、舞台の上では誰よりも生き生きとしているんじゃないかな、と思っています。

このお仕事を始めて今、7年目です。もっともっと深い所まで潜れると信じています。「この世界が大好きだ!」という気持ちに自信を持って、これからも励んでいきたいです。

――最後に、応援してくれているファンの皆さんへメッセージをお願いします!

いつも応援してくださってありがとうございます。ファンになってくださったということは、僕のお芝居を見て評価して好きになってくれたのかなと、とてもうれしく思っています。やっぱり、やったものに対して評価をいただけるのは幸せなことですから。

少し気持ちが沈んだり、落ち込んでしまったりしたときにも、SNSやお手紙などでいただいた言葉が支えになっています。よかったら、作品を観終った後に感想をたくさん伝えてもらえると励みになります。直接僕あてにじゃなくても、Twitterならハッシュタグをつけてくだされば見つけやすいので(笑)。

「2.5次元舞台と言えば佐藤たかみち!」と言われるところまで頑張っていきたいです。これからも応援よろしくお願いいたします!

***

好きなものを「好き」と言い切るのは、大人になると気恥ずかしさも手伝ってなかなかできない。しかし「この世界が大好き」と言い切る佐藤の素直さとまっすぐな思いは、本人が言うとおり大きな武器になるだろう。今後、さらに活躍の場を広げていくことを期待してやまない。

取材・文:広瀬有希/撮影:友野雄

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WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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