インタビュー

【2.5の前、何してた?】佐藤たかみち、着実に進んできた自信から放つ等身大の輝き(前編)

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『映画刀剣乱舞-黎明-』の髭切役、舞台『ブルーロック』の雷市陣吾役など、近年の2.5次元作品での活躍がめざましい佐藤たかみち。

2次元の世界から飛び出してきたようなビジュアルとスタイルを持ち、作品ごとにまったく違うキャラクター性を演じ切ることで、その存在感を示してきた。

2.5ジゲン!!では、佐藤に単独のロングインタビューを実施。前編では、芸能を志したきっかけからこれまでの軌跡を振り返ってもらった。

――まず、このお仕事を始めた経緯からうかがっていきます。どのようなきっかけがあったのでしょうか?

子どもの頃からテレビの中の世界にあこがれていました。敵と戦うヒーローやバトルもののドラマや映画を見て、その登場人物たちを「カッコイイ!」と感じて。僕は小さい頃から漫画やアニメの世界が大好きだったので、彼らの独特な存在感や常人離れした強さに心惹かれたんです。

そのうち、その人物たちは“俳優さんたちが演じている”のだと徐々に気づき始めて「僕もこういうカッコいい人になりたい」と思うようになりました。同時に、自分がその人たちをそう思っているように「僕も、テレビを見ている人に『この人すごい!』って思われたい」という気持ちも生まれてきて。

この道に進むにはどうしたらいいだろう? と考え、いろいろなコンテストに応募して今の事務所の方に見つけていただき、今に至ります。

――芸能のお仕事には歌やダンスなどさまざまなものがありますが、ヒーローにあこがれてということは、はじめから“お芝居”を希望していたのでしょうか?

今思えば、やっぱりお芝居を1番やりたかったんだと思います。でも、事務所に入りたての頃は何もかも未経験だったので、お芝居の魅力などは味わえていなくて。レッスンに行き始めてからは、お芝居に触れて楽しさに気づけたという感じです!!

――では、出演された作品で得たものなどについてお聞きしていきます。原作ありの“2.5次元作品”では、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!! 」〝東京の陣〞(2019年/広尾倖児役)が最初ですね。この現場はいかがでしたか?

演劇「ハイキュー!!」では、『腹をくくって物事に向き合う』ことを学びました。

僕の所属していた戸美(のへび)学園高校のメンバーが初めて集められたとき、制作の方から「ダンスができる人たちを集めました」と言われたんです。でも僕はダンス未経験だったので「待って!」となってしまって(笑)。

けれども、選んでいただいたからには泣きごとは言えませんし、言い訳もできません。僕は、何でも器用にできるタイプではなくて、とにかく数をこなして身に付けていく人間です。だからこのときも、ひたすら練習を重ねて努力しました。

また、『この先の自分がどうありたいか』をあらためて見つめ直して、覚悟を決めた作品でもあります。自分自身や周りに対しても、見方が変わりました。

演劇「ハイキュー!!」は芸能界に入る前から好きで、映像も観ていたんですよ。そして出演が決まっていざその現場に行ったら、画面の中にいた人たちがその場にいるじゃないですか。「うわっ!」「あの人も、あの人もいる!」ってなってしまって。

でも、自分もその人たちと同じ板の上に立ってお芝居をするからには、「すごいなぁ」と思っているだけじゃダメなんです。

この人たちはもう、遠い世界の人たちじゃない。ひょっとしたらこの先、オーディションで同じ役を争う相手になるかもしれない。この人たちとぶつかりあえるだけの力を持たなければ…そんな風に考えを大きく変えるきっかけにもなりました。

――次に出演された「東京ワンピースタワー ONE PIECE LIVE ATTRACTION『MARIONETTE』 」(2020年/サボ役)は、アニメの声優さんの声に合わせてお芝居をする、特殊なステージショーでしたね。

通常のお芝居とは違って「声のお芝居と自分のお芝居のテンションを合わせる」難しさがありました。声優さんの声のセリフと役者の口の動きが合っていたとしても、声で表現してくださっているものと全身からあふれ出るものが合っていなければ、お芝居がちぐはぐに見えてしまうんです。

ずっとやってきている先輩方を見ると、本当にその声で喋っているように見えるんですよ。動きそのものはある程度自由だけれど、お芝居に制限はあるという…難しかったですね。

それからアクションも。僕の演じていたサボは、168センチもの長い鉄パイプを持って戦うキャラクターです。ショーが行われるステージはそれほど高さがなく広くもないので、そんな中で長い武器を思い切り振り回すと本当に危なくて! 登場人物が多いので、武器が当たらないように視野を広く持ってアクションをするスキルが身についたと感じています。

――次に『映画刀剣乱舞-黎明-』(2023年/髭切役)ですね、佐藤さんにとって初めての映像作品となりました。

アクションは「ワンピースタワー」で経験しましたが、刀を使った殺陣はこの作品が初めてでした。他の多くの共演者の方々が、舞台『刀剣乱舞』のシリーズでずっと役と向き合ってきたのとは違って、僕はこの映画で髭切と“はじめまして”だったので、まずは役を研究するところからスタートしました。

映像作品への初めての出演であることも含めて、初めてづくしの作品でしたね。

役作りにあたっては、髭切の背景などはもちろん、声にもとても意識を置きました。原作での声があるからには、そこに寄せていった方がファンの皆さんにとっても受け入れやすいんじゃないかと思って。花江夏樹さんのあててくださった髭切の声とセリフを徹底的に聴きこみました。

でも、そのまま再現したのではものまねになってしまう、僕が演じる意味がなくなっちゃうんじゃないか、とも考えて…とても悩みました。僕がたくさん悩みながら髭切の雰囲気や空気として表現したものを、観た方が「いいな」と受け取ってくださっていたら嬉しいですね。

撮影の現場で気づいたのは、瞬発力の重要性です。舞台でももちろん瞬発力は必要なんですが、長い時間をかけて稽古と公演を重ねていく舞台と違って、映像はその時に生まれた1度のものがすべてです。

当時の自分の全力で役にも殺陣にもお芝居にも向き合いましたが、振り返ってみれば、もっとやれたんじゃないかと反省することばかりです。でも、「時間がなかった」「初めて」は言い訳になりません。もしも、またあの役に向き合う機会をいただけたら、もっともっと上を目指して努力しようと思っています。

――舞台『ブルーロック』(2023年/雷市陣吾役)では、これまでの役とはまったく違う、攻撃的な面が表に出ている人物を演じられましたね。

『映画刀剣乱舞』で声のバランスに深く悩んだこともあり、ブルステでは稽古が始まってからはあえてアニメを見ずに過ごしました。もともと原作が大好きで、漫画もアニメも全部見ていたんですけれども、「(アニメの雷市役の)松岡禎丞さんのお芝居や声に引っ張られたらいけない!」と思って。

ブルステは、これまで出演させていただいた舞台や映画、すべての作品で得てきた経験をすべてつぎ込み出し切った作品でした。この現場で得たのは、『たどりついた答えに自信を持つこと』です。自信を持って、本当にたくさんの人に見てもらいたい作品になりました。熱い現場でしたね。

実は大阪公演のゲネプロで、舞台袖にボールを蹴ったらそのまま跳ね返って来て自分の顔面にヒットしてしまったんです(笑)。もともとミスをしやすいシーンだったこともあって、これはいけない、と船木さん(船木政秀/鰐間淳壱役)とアンサンブルの安藤(勇雅)さん・牧野(裕夢)さんに練習につきあっていただいて。おかげで本番では1度もミスをせずに済みました。

苦手を克服する、練習したことが形になる、そういった自信も得られた作品でした。

***

前編では、これまで出演してきた作品で得てきたものや、そこでの思い出などを語ってもらった。初めての物事に対して「とにかく努力するしかないので」と素直に向き合う姿勢に、謙虚さを強く感じた。

後編は、大好きだという2次元の世界への思いや、今の自分自身をどう感じているか、そして今後の展望などについて聞いていく。

取材・文:広瀬有希/撮影:友野雄

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WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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