インタビュー

一色洋平・廣野凌大「観客ではなく“旅の仲間”として」 “ハガレン”の世界を立ち上げる

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3月8日(水)、大阪・新歌舞伎座にて舞台『鋼の錬金術師』が開幕する。原作は「ハガレン」の愛称で親しまれ、テレビアニメ、映画、ゲームなどの様々なメディアミックスが繰り広げられてきた作品だ。

2.5ジゲン!!では、主人公のエドワード・エルリックをWキャストで演じる一色洋平と廣野凌大にインタビューを実施。長期間にわたったオーディションでのエピソード、お互いへの印象などの他、「お互いに“二つ名”をつけるなら?」などを聞いた。

ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク

▶2023年3月26日(日)17:00東京大千秋楽公演

■販売期間
・2023年3月12日(日)17:00大阪千秋楽公演
2023年3月5日(日)12:00~3月19日(日)21:00まで
・2023年3月26日(日)17:00東京大千秋楽公演
2023年3月19日(日)12:00~4月2日(日)21:00まで

■販売価格
3,700円(税込)

■ライブ配信時間
各公演開始60分前~ライブ配信終了まで(予定)

■ディレイ配信期間
・2023年3月12日(日)17:00大阪千秋楽公演
2023年3月13日(月)18:00~3月19日(日)23:59まで
・2023年3月26日(日)17:00東京大千秋楽公演
2023年3月27日(月)18:00~4月2日(日)23:59まで

■アーカイブ配信販売期間
・2023年3月12日(日)17:00大阪千秋楽公演
2023年4月3日(月)12:00~4月16日(日)23:59まで
・2023年3月26日(日)17:00東京大千秋楽公演
2023年4月10日(月)12:00~4月23日(日)23:59まで

■アーカイブ配信視聴期間
購入から1週間

■DMM.com特設ページ
DMM.com 舞台『鋼の錬金術師』

■キャンペーンページ
舞台『鋼の錬金術師』DMM TV特別キャンペーン

※公演開始60分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※ディレイ配信とは、公演の映像を後日期間限定で視聴出来るサービスです。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。

(C)荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

――本作では、とても長いオーディションがおこなわれたと伺っています。オーディションのときのエピソードと、出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

一色洋平(エドワード・エルリック役/Wキャスト):オーディションに参加されていた方々は素敵な俳優さんばかりで、「勝てないな」と思う瞬間が何度もありました。シーンを作りながらのオーディションだったのですが、シーンごとに「ピカイチだ!」と思う人が変わって誰が受かってもおかしくないと感じていて…。

だからこそ選ばれたときには信じられなかったしプレッシャーもあったのですが、数カ月経って考え方が変わっていきました。信頼している石丸さち子さん(脚本・演出)やプロデューサーさんたちが僕を選んでくれたのだから、それを信じて自信に変えていかなければいけない、と。合格だと聞いた瞬間から、数カ月かけて喜び方が変わっていったな…と今思い返すとそう感じています。

廣野凌大(エドワード・エルリック役/Wキャスト):僕は、オーディションのときに石丸さんへ「受からせろ!」と軽くケンカを売ってしまって(笑)。その負けん気を買っていただいたと思うのですが、そう言ってしまった日はさすがに「やってしまった…」となりました(笑)。

一色:僕はオーディションで、石丸さんに「うん、面白かった」とお言葉をいただいたのですが、それを「もっと上があるんじゃないの?」という意味なのではないだろうか…と少しネガティブな方に受け取ってしまって。

廣野:僕「面白かった」なんて言ってもらってないですよ! 「もっとエネルギーをちょうだい!」って。“ちょうだいおばけ” か! って思いました(笑)石丸さんは、こちらが100%でぶつけたものを120%にして返してくれる方です。だからこそ気づきがたくさんあるし、石丸さんに言われたことはスッと入ってきます。オーディションでのぶつかりと出会いは必然だったのかもしれないですね。とても信頼できる方です。

――原作のコミックスやアニメに初めて触れたときの感想と、今の印象をお聞かせください。

廣野:僕はアニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」(2009年-2010年/TBS系列その他)を見ていました。当時は小学生だったので「エドかっこいい!」「マスタング大佐(ロイ・マスタング)、火を出せてかっこいい!」のような簡単な感想を持っていただけでした。

でも、本作のオーディションを受けるにあたって改めて原作を読みなおしてみたら、テーマや扱っている物事の重さに驚いたんです。母親を錬成するために禁忌(きんき)を犯す兄弟の姿、差別や戦争…。それらを兄弟たちが乗り越えていくさまを見て「これを少年誌で連載していたんだ」と。

一色:僕も、初めて触れたのは小学校の高学年から中学1年生のころですね。親友にコミックスを貸してもらって。当時は凌ちゃん(廣野)と同じく「かっこいいな!」という感想を持って戦いごっこをしていたのですが、大人になって読み返してみたら読み取れるものが大きく変わりました。

特に、スカー(傷の男)の持つ恨みがすごいですね。子どものころは、スカーの恨みに対するマスタング大佐のセリフに納得いかなかったのですが、今は分かります。エドを演じる上では大佐のセリフに反発しなければいけないのですが、理解してちゃんと演じていきたいです。

――お互いに「ここがすごい」と思っている点を教えてください。

一色:凌ちゃんの“少年に見える”点は、やはりすごいです。俳優は、役を当てられたら何歳の役でも演じて体現しなければいけません。少年や子どもに見えるというのがこんなにもすごいことなんだと思っていますし、同時に、自分が凌ちゃんに対して憧れを抱いている部分でもあります。

廣野:洋平さんは演劇に対する熱さや、思いの強さがすごいですね。真似したいと思ってやってみると、さち子さんに「気合入り過ぎ」と言われちゃうんですけれど(笑)。本作の製作発表会でさち子さんが「怒りの廣野、愛の一色」と言ってくださったんですけれど、そのとおりですよね。洋平さんの演じるエドは、エドが愛にあふれているときのオーラをまとっていているんです。洋平さん自身がそうだからじゃないかなと。

役者としての技術ももちろんピカイチなんですけれど、やっぱり「心」ですね。心は役者をやる上で大事なものですし、心が洗練されているから舞台に立ったときの表現がシャープに突き刺さります。素敵だな…と勉強させてもらっています。

――「鋼の」「焔(ほのお)の」のように、お互いに「〇〇の役者」として二つ名を付けるとしたら、何と呼びますか?

廣野:「イカれた役者」ですね(笑)。熱がどうかしています。例えば、本読みのときでもすでにだいたいのセリフが頭に入っていて、1人だけ立ち稽古していたんですよ。それを見て、洋平さんすげえなって思いましたし、演劇ジャンキーなんだなって(笑)。

一色:「包容力の役者」です。先ほども出たように、製作発表会の時にさち子さんが「怒りの廣野、愛の一色」と言ってくださったのですが、凌ちゃんにも愛はものすごくあります。突然エキセントリックなことを言いだしたりもするのですが、本当に柔軟。相手の演技を柔軟に受け入れるし、稽古の外でも包み込むような対応をしてくれます。突っ走っているようでありながら色々なところに目を配ってくれているので、凌ちゃんがいてくれてよかったです。

先日、稽古の帰り道に「Wキャストが凌ちゃんでよかった」とぽろっと言ってしまいました。

廣野:めっちゃ恥ずかしかったです(笑)。

一色:自分がやっている役を俯瞰(ふかん)で見られるのは贅沢(ぜいたく)なことだと思っていて。俳優はどうしても集中が内向きになってしまうので、相手がやっているのを見ることで“開ける”時間が取れるんですよね。

廣野:僕も、Wキャストでよかったと思っています。作品に対する思いを一緒に燃やして、お互いに対してではなく“何か”に負けないようにという気持ちを持って稽古しています。

――同じように、ロイ役(蒼木陣/和田琢磨)のお2人にも二つ名を付けるとしたら何になりますか?

廣野:蒼木さんは「鬼ストイック」。多分、寝るまでずっと台本と向き合っていますよ。真面目だし見習うべきところがたくさんあるし、偉ぶらないしおごり高ぶらない。それが陣さんですね。

一色:うん、ストイックだね。昨日の稽古が彼にとって大事なシーンだったのですが、みんなとワイワイせずに1人でずっと集中していて。自分が演技に臨む上で何が大事なのかを分かっているので、その集中している姿を見て尊さを感じました。

廣野:琢磨さんはね、いい意味で「適当」(笑)。

一色:「適切」な方のね!

廣野:自然にやったことを形にしてしまう説得力があるんですよ。地に足がついているというか。

一色:あの安心感はすごいね。ストン、と立っているだけでいい。その場に、その人物としていることができる、そんな人です。

――本作では「痛みを伴わない教訓には意義がない」という言葉が出て来ますが、これまでの人生や役者人生の中で、痛みを伴ったけれども大きな教訓となったできごとを教えてください。

廣野:Twitterのアカウントが削除(凍結)されたことですね…。

一色:すぐ出てきたし最近の出来事だね!(笑)

廣野:痛みしか伴っていない…。SNSでの数字や反応が大事だと言われている今の時代において、全部を失った男です…本当に教訓になりました…。

一色:僕は、20代前半のころに先輩からものすごく叱ってもらったことがあったんです。小道具の使い方がなってない、と。「役の人物にとって、その小道具はどういうものなのか?」などを本当に細かく言われ続けて。でもそのときは「何でこんなことを言われなければいけないんだろう」と思って、自分の好きだった演劇をどんどん忘れていってしまったんです。

でも、それから何年かしてふっと小道具をいじったときに、「大事に扱おう」と思えた瞬間があって。そこからは、先輩に言ってもらえた言葉がありがたいものだったんだ、と考え方が変わっていきましたし自分の変化にも驚きました。あの時、厳しく教えてくださった先輩にはとても感謝しています。

***

――現在稽古中とのことですが、稽古の様子をお聞かせください。

廣野:(Wキャストの)エドとして統一するシーンの相談は一緒にしていますが、役の作り方が違うのでお互いにアドバイスをし合うことはないです。でも、勝手に参考にしてしまっている部分はあります(笑)。バチバチなライバル関係ではありません!

一色:例えば「このシーンのとき、エドの腕はどのくらいのダメージを受けているんだろう?」のような基準は統一していますね。どこでWキャスト2人の違いを出そう、というところまで考える余裕はまだありません。石丸さんから凌ちゃんに対して言われることは100%自分のこととしても受け止めていますし、きっと凌ちゃんも僕と同じだと思います。

――アクションが多いと伺っているのですが、アクションの稽古はいかがですか?

廣野:アクションは盛りだくさんすぎて「次、何だっけ?」と思ってしまうくらいです。

一色:僕はエンターテインメントとして、アクションは長く見せなければと思っていたのですが、さち子さんの考えはそうではないんです。「なぜ戦うのか、なぜ殴るのか」といった理由や目的、意味を持たせています。必要なぶつかり合いが行われればそれで充分なんですよね。だから、アクションシーンの稽古をしていても余計な疲れがありません。

――カンパニー全体の雰囲気はいかがでしょうか。

廣野:みんな同じように苦しみながら、そして同じように楽しんでいますね。1つの目標に向かって真っすぐに突き進んでいる姿に、みんな真っすぐな心で生きているなと感じています。稽古を重ねるにしたがって信頼関係が高まっていて、芝居中に毎回違うものが生まれるんです。トップに立っている石丸さんや、スタッフさんたちのサポートが強力なので、僕たちは安心して芝居に集中できています。

一色:強豪校の部活のような空気があります。強い選手が集まったときにできる雰囲気は、唯一無二のものがあると感じているんです。個々が良いだけではダメで、集団での時間が良くないといけない、という。困難があっても、必ず前を向く力があります。とりあえず行こう! 行ってから考えよう! というような。

廣野:“令和”の折れ方をする人がいませんね(笑)。

一色:みんな強いです。ハガレンの舞台の世界初演を立ち上げるためには、必要不可欠な力ですね。

――稽古のときに、脚本・演出の石丸さんからいただいた言葉で印象的なものを教えてください。

廣野:常に印象的なことをおっしゃっていますね。「私は演出家だから、厳しいことも全部言う。でも逆に、つらいことがあったら全部私にぶちまけて」って。それを聞いて、仕事人と舞台人としての意地を感じたと同時に、人間としての優しさがあふれ出た愛のある人だ、と。

一色:「真っすぐな心でついてきてくれれば、あとは私がどうにかする」って言ってくださるんですよ。役者やスタッフ一同…ものすごい数の人間の、人生やすべてをひっくるめて「私があとはどうにかする」と言えてしまう。全部背負う覚悟を持っているんですよね。この方はこれまでどれだけ戦ってきたんだろう、と感じています。

だから、疲れたり悩みそうになっても石丸さんの声を聴いただけで元気が出ます。石丸さんのもとで作品を作れるのはありがたいことですし、同時に、甘えたくないと思っています。

――最後に、ファンの皆さまへメッセージをお願いします。

廣野:言葉で伝えきれないほどの愛が詰まった作品です。これまで、たくさんの舞台に出演させていただきましたし、観劇もしてきました。その中でも指折りに入る面白い作品だと自信を持って言えます。迷っている人は絶対に来るべき、迷っていない人も絶対に来るべきです(笑)。

いろいろなものがリンクして、元気が出たり新しい景色が見えたりすると思います。後悔はさせません、ぜひ観に来てください。

一色:この春は面白い舞台がたくさん開幕されますが、その中でも1番を目指します。この大人気の作品を舞台化するにあたり、稽古ではさまざまなものに立ち向かっている最中です。でも光は見えていて、そこに向かって旅を進めています。

お客さまのことも“観客”ではなく“旅の仲間”として強引に連れて行くつもりでいます。この舞台は随一のものがある、というのを必ず見せつけますので、ぜひとも旅路をご一緒いただければと思っています。

取材・文:広瀬有希/撮影:梁瀬玉実

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公演情報

タイトル

舞台『鋼の錬金術師』

公演期間・劇場

2023年3月8日(水)~3月12日(日)
大阪・新歌舞伎座

2023年3月17日(金)~3月26日(日)
東京・日本青年館ホール

原作

荒川弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)

脚本・演出

石丸さち子

音楽監督

森 大輔

作詞

石丸さち子

作曲

森 大輔

出演

エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)
ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨(Wキャスト) リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル マース・ヒューズ 役:岡本悠紀
ジャン・ハボック 役:君沢ユウキ デニー・ブロッシュ 役:原嶋元久 マリア・ロス 役:瑞生桜子
ティム・マルコー 役:阿部 裕 ショウ・タッカー 役:大石継太 イズミ・カーティス 役:小野妃香里
ラスト 役:沙央くらま エンヴィー 役:平松來馬 グラトニー 役:草野大成
傷の男(スカー) 役:星 智也 ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
ピナコ・ロックベル 役:久下恵美 グレイシア・ヒューズ 役:斉藤瑞季
ニーナ・タッカー 役:小川向日葵/尻引結馨(Wキャスト)
キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎 他

協賛

DMM.com

主催

舞台『鋼の錬金術師』製作委員会

公式HP

https://stage-hagaren.jp/

公式Twitter

@stage_hagaren

(C)荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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