東映ムビ×ステの人気シリーズ『死神遣いの事件帖』。死神遣いの幻士郎と死神・十蘭のタッグが、笑いと涙を携えて江戸の町を久々に暴れまわる映画 『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』が11月18日(金)にいよいよ公開となる。
2.5ジゲン!!では、久坂幻士郎を演じる鈴木拡樹、十蘭を演じる安井謙太郎、さらに本作初登場の空真を演じる北村諒にインタビューを実施。
おさわがせで痛快なやりとりと心に刺さる痛切な思いを、見ごたえあるアクションで包みこんだ人情味ある本作はどんな思いで作られていったのか。本作への意気込みをはじめ、見どころや撮影秘話を聞いた。
――鈴木さんと安井さんは久々のタッグ復活となりました。本作での手応えはいかがでしたか。
鈴木拡樹(久坂幻士郎役):前作で僕は映画に出ていて舞台に出ていなくて、映画からは期間が空いていたのですが、その間を描く安井くんが出演していた舞台(「鎮魂侠曲」)は観ました。映画第2弾に入る際に、自分が描いていない作品をはさんでいたので、どういうふうに十蘭と絡んでいけるのかなというのは考えましたね。でも一緒にやってみると、当時(映画第1弾「傀儡夜曲」)のことをすぐに思い出せましたし、2人のわちゃわちゃした感じがよみがえってきてすごく嬉しかったです。
安井謙太郎(十蘭役):僕もすごく楽しみで。約2年ぶりだったのですが、いい意味でまったく変わっていない拡樹さんがそこにいて、撮影中は毎日癒されていました。変わらず優しいなあって。1作目を経ての今作だったので、幻士郎と十蘭の関係性もまたひとつ深まった感じがあって、そこもすごく楽しかったです。
――北村さんは今作から初参加となります。参加してみての感想を教えてください。
北村諒(空真役):これまで(同シリーズの)映画や舞台の情報はSNSなどで目にしていたので、いいなあ、おもしろそうなことやっているなって思っていて、そこに新キャラクターとして参加できて素直に嬉しかったですね。同時に、映画の2作目として期待値が上がっているのは感じていたので、そこへのプレッシャーもあって。なんとしても成功させたいなという気持ちで挑みました。
――実際に参加されて、すぐにしっくりきましたか?
北村:そうですね。楽しくやらせていただきましたが、拡樹くん以外のキャストにあまり会わなかったので…。
鈴木:たしかに(笑)。
北村:そこは少し寂しさもありましたけど(笑)。でも楽しい撮影でした。
――映画1作目と2作目の間に舞台も上演されています。舞台をはさんだことで生まれた変化はありましたか。
鈴木:リアルな時間軸で言うと、今作の映画を撮ってから舞台「幽明奇譚」の順だったので、映画を撮っている間は舞台でどんなエピソードが描かれるのか分からない状態でした。ただなんらかの成長をして戻ってきたということだけ分かっていたので、そこは想像で補完しながらの撮影でしたね。幻士郎も十蘭もそれぞれ舞台で違うものを持って帰ってきたうえでの(映画での)再会だったのかなと思います。
自分について言うと、撮影自体が久しぶりだったので、そういう意味でも緊張感はあったと思います。ですが、京都のみなさんも「おかえり」と声をかけてくださって。この「戻ってきた」という感覚は自分の役の設定ともリンクする部分があったので、そこも役に反映されているかもしれないですね。
安井:十蘭としては、鬼八一家と一緒に事件を乗り越えたことで、人を大切に思う気持ちが少し芽生えたという感覚で。なので今作の撮影では、1作目よりも人間味をプラスするような意識はすごく持っていました。あとは幻士郎が帰ってきた喜びみたいなものを、久々に拡樹さんとご一緒できるという喜びとリンクさせられた部分もあったかなと思います。
――北村さんは「今までにない役どころ」の空真をどう捉えて演じられたのでしょうか。
北村:いままで悪に立ち向かう役や誰かを救う役というのは経験があったのですが、“壊しにいく役”ってあまりなかったので、個人的にはそういう役をいただけるようになったんだという嬉しさもありました。復讐心に燃えて壊していくのが使命というか、僕の役割だなと思って臨みました。
――幻士郎と空真のアクションシーンは見ごたえがありました。実際の撮影はいかがでしたか。
鈴木:これまでの共演経験では仲間であることが多かったので、対立するのは初めてで(笑)。撮影に入る直前くらいに気がついたのかな。
北村:そうですね。最後、拡樹くんと直接対決か…って。
鈴木:ちょっとした違和感があって、なんだろうと思っていたら、対立したことがなかったんですよ。殺陣がある作品でも共演しているんですが対立したことはないので、細かい(殺陣についての)話をしたことがなくって。
北村:そうなんですよ。これまでは拡樹くんと僕がそれぞれ戦うっていう感じだったので、今回すごく新鮮でした。これだけ一緒にやっていても、まだ初めてなことってあるんだって(笑)。
――新鮮だったとのことですが、実際に手合わせをしてみた感想は?
鈴木:これまでの共演経験もあるので、信頼はすごく強いんですよ。
北村:そう。リズム感とかも分かっているしね。
鈴木:だけど空真は(武器が)長ものだったので、そこは大変だったんじゃないかなと思っていたんですが、実際手合わせをしたらめちゃくちゃ速かったです。
北村:いやもうドキドキでしたよ。舞台と違って稽古をする時間もすごく短くて。撮影の数日前に拡樹くんと一緒に手をつけてもらって、そこから数日空いて本番ですっていう流れだったので。でもさっき拡樹くんも言っていたように、信頼はあったので、自分のことに必死になりつつも拡樹くんに身を委ねる部分もあって、全力でぶつかっていった感じですね。
――安井さんは2人のシーンをご覧になっていかがでしたか。
安井:めちゃくちゃかっこよかったです! 作品の大きな見どころの1つに殺陣があると思うのですが、今作の殺陣シーンを観て、さらにパワーアップしているのを感じました。空真は長ものだったし、衣装も重そうなマントだったので大変そうだなって思ったんですが、それを全然感じさせない軽やかさがあって。僕も観ていて熱くなりましたね。
――それぞれの注目シーンはどこでしょうか。
鈴木:僕はやっぱり十蘭といるシーンですかね。幻士郎は十蘭から強めに攻められてはいますけど(笑)、きっとお客さまから観たらそんな2人の関係はほっこりできるところだと思うし僕もそんな関係性が好きですね。冷静に考えたら、命のやりとりとかけっこう重い話をしているんですけどね。とくに今回は十蘭が変化を披露するんですが、「え? その変化にこれだけ命持っていかれるの?」みたいな。
一同:(笑)
鈴木:そんなやりとりをしている2人の雰囲気が好きですね。
安井:たしかに。変化するときに命使うの、いま言われて思い出しました(笑)。幻士郎は誰かを救うときに躊躇しないんですけど、それ以外も意外と躊躇しないんだなって(笑)。1週間分くらいの命を「はいっ」って軽く渡すんですよね。そういうところも含めて、前作よりもいい意味で遠慮がなくなった2人のツッコミ合いは、演じていても面白かったです。ハナ(演:清宮レイ)が着替えるシーンとか、事前に打ち合わせはしていなくて、その場で生まれたアドリブ的な要素もそのまま使われていて。そういうところも注目してほしいですね。
北村:空真としては、やっぱり幻士郎との最後の対決シーンですかね。というか、そこ以外は静かに企(たくら)んでいる様子ばかりなので(笑)。光の幻士郎と十蘭に対して空真はダークな部分を担っているので、そのコントラストにも注目してもらいたいんですが…やっぱり1番はアクションシーンですね。長ものなので画面映えもしていて、頑張ったかいがあったなと思うので(笑)、ぜひ注目してほしいです。
――アクションも素敵でしたが、幻士郎の「大切なのは今日を生きることだ」というセリフも胸に刺さる作品でした。そんな今作に参加して感じたものがあれば教えてください。
鈴木:まさしくそのセリフが今作のキーかなと思っていて。過去ももちろん大事ですが、いまを生きる強さや美しさをハナが描いてくれていると思います。彼女の生きざまを通して、人間の強さや、「生きることって素敵なことだな」というのを感じました。
安井:僕もそのセリフに物語のメッセージが集約していると思うんです。時代背景とかの違いはあっても、いまある1日1日をどう生きるのかっていうのを考えさせられました。あとはあの丸薬があったらいいですね(笑)。どんな病気も一瞬で治りますし。
鈴木:ただ副作用がすごいけどね。
一同:(笑)
北村:空真に関しては過去を生きている人なので、結果的にいまを生きている人たちには勝てないんだなっていうところが考えさせられました。どうしたって時代は前に進んでいくので、過去を振り返ることももちろん大事ですけど、前を見て生きていかないとなんだなって。みんながみんなそういうふうに生きていけたらいいんでしょうけどね。
鈴木:途中から気づいて前を向ける人がいるっていうのも、また今作のメッセージの1つなのかもしれないですね。
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3人の人柄そのままに、穏やかな時間が流れるインタビューとなった。短い時間ではあったが、自身が演じる役や思い入れのあるシーンを語る姿は、物静かながらもどこか力強く、面白い作品ができたというたしかな自信に満ちていた。前代未聞の事件を解決するべく幻士郎と十蘭が奔走する映画 『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』は、11月18日(金)から公開される。
取材・文・撮影:双海しお
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