12月31日に公開される「映画演劇 サクセス荘」。2019年に始まった「テレビ演劇 サクセス荘」シリーズ(テレビ東京ほか)の映画版で、ドラマ3期までの全キャストが集結するほか、豪華ゲストが発表されるなど注目を集めている。
ひと旗上げてサクセス(成功)したいと夢を持っている若者たちが集まる一軒のアパート「サクセス荘」で巻き起こるストーリー。映画版はどのような話が展開されるのか…。
2.5ジゲン!!では、弁護士を夢見るミスター役の高橋健介にインタビュー。本作の見どころやサクセス荘で得た経験、ヒーローショーへの夢などについて語ってもらった。
映画化は「純粋に嬉しい」
――映画化が決まった時のお気持ちを教えてください。
純粋に嬉しかったです。まずドラマの時から、舞台を中心に活動しているこのメンバーで地上波の番組をやらせてもらうことがすごいと思っていました。それが3期続いて映画化までされるのは本当に嬉しいです。
もし1期が話題にならなければ、2期、3期とは続かなかったでしょうし、メンバーとスタッフの皆さんと一緒に結果を出せたから今回の映画化に繋げられたのかなと思っています。
――映画撮影中の雰囲気はいかがでしたか?
とてもいい雰囲気でした。慣れ親しんでいる人たちばかりなので、部活のような感じでしたね。撮影中は、レギュラーメンバーたちよりもS4の4人(佐藤流司、北園涼、橋本祥平、北村諒)の方が落ち着いていたように思えます。僕たちは1期からやってきて慣れているはずなんですけれど(笑)。
S4の4人はみんなどっしりと構えていて、聞いたら「内心緊張した」なんて言っていたんですけれど、あれは嘘なんじゃないかなって思っています(笑)。彼らがしっかりしていたので、僕たちも頑張らなきゃと刺激を受けました。
――演じられる「ミスター」は、メンバーの中でどういう役割の人物だと捉えていますか。
みんなとは少し違う視点や新しい視点を持っているように思います。全体を見渡していったん状況を整理する。そして「これってこういうことじゃない?」と提案したりする。その意見が必ずしも採用されるわけではないけれど、ミスターのその指摘で、違う方向から物事を考えることもできるようになります。
僕自身も“全体を見る”というのは役者にとって大事だと思っています。サクセス荘はただでさえ人数が多いですからね(笑)。例えば反省会の時も、まだ話していないなと感じるメンバーがいたら話を振ったりします。その時もただ話を振るのではなく、話しやすいように質問をしたり、話すきっかけを作るのが大事です。お芝居が好きであってもトークは苦手だという人もいますから。
――ミスターの持っている要素は高橋さんご自身と近い部分が多そうですね。
僕を含めて多くのメンバーも元々あてがきのような形で、自身が持っている要素を強く引き出してくれるようなキャラクター作りになっていました。その人物に寄せていったり、キャラクターを作っていくというよりは、元々の僕に寄せてもらったのかもしれません。本来持っているパーソナルな部分を色濃く昇華させて、サクセス荘の登場人物が出来上がっていったのだと思います。
逆に、キャラクターを強く作りこんでいるのは玉さん(玉城裕規/ムーさん役)ですね。でも「玉さんならこういうことができる」と見込まれたからこそ、ああいう人物を充てられたのでしょうね。
――ドラマ版も含めて「サクセス荘」で得られたものは何でしょうか
セリフ覚えが早くなったように感じます。それからセリフに関してだと、自分が覚えやすい傾向のものと、逆に覚えにくいものが如実に分かるようになりました。覚えやすいのは会話のセリフ、覚えにくいのは説明的なセリフですね。
ミスターは、その場にいるメンバーたちに説明すると同時に、見ている方にとっても説明になるようなセリフを喋ることがあります。そういう整然とした言葉はもともと自分が持ち合わせていない部分のものなので、会話のようなセリフよりも練習する時間を長く取りました。
あと助け合いの精神と、いい意味での「何とかなるだろう!」を学んだことですね(笑)。
でもこれらは、僕にとって今後の課題でもあります。サクセス荘は元々気心の知れた仲間たちと作ってきたものなので、この先1人で初めての現場に行った時もそれらができるようにならなければいけません。知らないところや新しい現場でも同じようにできるかが、課題になってくると思っています。
自身が抱くヒーローショーへの夢
――サクセス荘の住人たちにはそれぞれ夢がありますが、ご自身の夢について聞かせてください
まずはこの仕事を続けること。それから、僕がプロデュースしてヒーローショーを作りたいという夢があります。
僕は、毎年夏にやっているウルトラマンフェスティバルと年末のヒーローショーに必ず行っているんです。なぜかと言うと、子どもたちの「頑張れ!」という声に元気をもらえるからです。今はコロナ禍で大きな声は出せないけれど「頑張れ!」という気持ちはすごく伝わってきます。
現役で「ウルトラマンX」(2015年~)に出演していた時はもちろん、今観客としてショーを観に行っても、子供たちのその声に嘘偽りなく元気をもらっています。僕らヒーローが子供たちに元気を与えているとよく言われますが、僕らもあの「頑張れ」で元気をもらっているんです。
でもコロナ禍で例年に比べて観客が少なくなっているのを見て、何とかしてたくさんの人にヒーローショーを観てもらいたいなと思いました。大人が観てもものすごくエネルギーをもらえるものなので、幅広い年代の方がヒーローショーを気軽に観に行けるようにしたいんです。
ヒーローショーは子供が観るもの、大人は連れて行く側というイメージがありますが、僕の中でその考え方は大きく変わってきました。ストーリーも演出も照明の効果なども素晴らしく、本当に面白いんです。
でも、例えば大人がふらっと観に行くのかと言われると、なかなかそうではないかもしれません。たくさんの人がヒーローショーを観に行ける機会を増やすためにも、何か力になれたらと強く思っています。
それから、コロナ禍で仕事が減ってしまったというスーツアクターの人たちにもっと仕事を作りたいという気持ちもあります。ショーがたくさんあれば仕事もできますしね。その人たちのためにも、大人や子供たちのためにも、ヒーローショーを作りたいというのが僕の夢です。
――最後に「映画演劇 サクセス荘」の見どころをお願いします。
今回の「映画演劇 サクセス荘」は、本当に楽しい作品です。仲の良いメンバーで楽しくやっている、その楽しさが伝わることはもちろん、“夢”を再認識できる作品だと思います。
皆さん、これまで生きてきて夢というものを持ったことは必ず一度はあるんじゃないかと思うんです。そういうものを思い出して、夢について改めて考えることができます。
事前の知識は必要ないので、まっさらな気持ちで観てください。こういうご時世ではありますけれど、ぜひ映画館で、友達やお子さんと一緒に観てもらえたらと思います。
取材・文:広瀬有希/撮影:梁瀬玉実
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