インタビュー

「青山オペレッタ」長江崚行&下野紘 舞台と声優、それぞれの魅力と共通点とは?

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メディアミックス演劇コンテンツ「青山オペレッタ」。現在ビジュアルボイスドラマが配信中、2021年4月には舞台化となる『青山オペレッタ THE STAGE~ノーヴァ・ステラ/新しい星~』の上演を控えている。

主人公・宮嶋あさひを演じる長江崚行と、舞台版にも声の出演が決定したノーヴァのプロデューサー・夢咲辰樹を演じる下野紘が出席した取材会の様子をお届けする。

舞台と声優業での表現の違いについてや稽古時のエピソードなどが飛び出した。ときに真面目に、ときに賑やかに、終始笑い声が溢れる対談となった。

同じ役を演じ続ける、声優の醍醐味

――お二人が演じる役について教えてください。

長江崚行(宮嶋あさひ役):僕が演じる宮嶋あさひは、すごく純粋で真っ直ぐで、田舎のお母さんと一緒に青山オペレッタをすごく愛していた男の子で、母の憧れもあって劇団に入団します。自信が無いところもあるんですが、周りに助けられながら、一歩一歩前に進んでいくキャラクターです。

下野紘(夢咲辰樹役):夢咲辰樹は青山オペレッタの新チーム「ノーヴァ」のプロデューサーなんですが、彼自身は自分の会社を大きくしていこうという気持ちは持っているんですが、演劇自体には全く興味がない。とにかくノーヴァの公演が成功して、営業利益的な部分が望めるかどうかを見極めるためにいる…というのが現状ですね。

なので、利益が望めないとなればいつでもノーヴァは切るという考え方を持つくらい、冷静で利己的な考え方の持ち主です。ノーヴァのメンバーというよりかは、ノーヴァを指導している演出家や講師陣と言い合いというか意見のぶつかり合いがあったりするので、そういった部分が見え隠れするようなキャラクターです。

――長江さんは声優初挑戦となります。半年間、役に向き合ってみて感想や舞台との違いはありましたか。

長江:めちゃくちゃ楽しい半年間でした! マイク前でキャラクターの心情を表現する難しさを知ることができたし、声を扱うプロの方々に囲まれてご指導いただけたので。舞台って1カ月単位で作品が変わっていくので、半年間も同じキャラクターを深め続ける機会がなかったんですよ。

下野:なるほどね~。たしかにそうかもしれない。

長江:ぎゅっと短い期間で毎日(役と)向き合って、作品が終わったらまた次の作品が始まって…っていうのを繰り返すので、半年かけてあさひと向き合っている時間が、自分の中で経験したことのないもので。

だからすごく迷いました。舞台だと台本で最後までお話がいただけますけど、今回のボイスドラマでは「◯話まで録ります」という形で進んでいくので。今後自分たちがどうなっていくんだろうと予想しながら芝居を作っていたので、どの方向にキャラクターが落ち着いていけばいいのかな、とか。

下野:たしかにね。話が進んでいくほど、自分の中で「このキャラクターってこうだよな」って吸収していくことはあるかもしれない。それは舞台とはちょっと違うかもしれないね。それこそ今回で言うと、最初にノーヴァや演劇に全然興味がないと思っていた辰樹だけど、意外と芝居の良し悪しに口を出すんだなって(笑)。

ノーヴァに全く期待していないわけではなく、もしかしたら今までにない利益や客層だったり、自分にプラスになる要素があるんだったらっていう意味で興味を持ち始めているんじゃないのかなって、最近は思うようになったし。キャラクターと共に成長していくっていうのを経験できるのは、一つの役を数カ月、数年と構築していく中で生まれるものなのかもしれない。

長江:そうですよね。舞台では経験できない時間でした。最初は半年間って長いなって思ったんですが、今振り返るとあっという間にボイスドラマも第2部まで完結していて。

下野:気が付くと何年もずっと付き合わせるのよ。

一同:(笑)。

下野:びっくりするよ、気が付くと10年くらい同じキャラクターと付き合っていたりするから。

長江:僕、今22歳なんですけど。

下野:え…! 若いね~。

長江:(謙遜しつつ)でも10年後、32歳になると顔つきも変わってくるだろうし、そうしたら役も変わってくると思うんです。だけど声優さんって10年も同じ役に寄り添うことができるって、素晴らしいなって。

下野:そうだよね、歳をいくつ取ろうともやるもんね。それを考えるとさ、改めて大ベテランさんってすごいなって。もう10年どころじゃないからね。そう考えると、声優ってすごいね!

一同:(笑)。

下野:舞台は舞台で、年齢と共に見た目も変わっていくから、同じ道をずっと歩んで行けばいいわけじゃなくって、少しずつ登ったり下ったり、いろんなことを自分の中で感じてやっていかなきゃいけないっていうのは、それはそれで大変だよね。

僕も養成所の頃は、舞台の演出をやっている方からの指導が多かったから、それこそマイク前の芝居は最初1~2年はやったことがなかった。ずっと舞台。

発声とか滑舌とかの基礎的なことももちろんだけど、僕が習った講師の方々は感情開放の部分かな。声で芝居をしてそれをマイクに乗せるためには、やっぱり声の振れ幅は感情に左右されるところが大きいし、そういうのを重視してやっていたかな…ってごめんなさい、これ今何の質問でしたっけ?(笑)

長江が抱える役作りの苦労、下野も共感

――では今回のついてお伺いします。長江さんはキービジュアルではベネラに扮していますが、ビジュアル撮影時のエピソードや稽古での印象的なエピソードを教えてください。

長江:ビジュアル撮影が去年の冬で。最初にフィッティングをした際に、ここ(ウエスト)が全く閉まらなかったんですよ。これはまずいと思って、1カ月で7キロ落として。

下野:うぅぅぅわぁぁぁぁ、まじかぁぁ!

長江:わ~すごく素敵なリアクションしてくださった! (満面の笑みで)ありがとうございます!

下野:いやぁ、これは大変。あとこの年齢になると、ここ(ウエスト)減りにくいんだよ! まだ若いから平気かもしれないけど、やっぱりここ減らすって大変よ。しかも筋肉も落とさなきゃダメでしょ?

長江:はい。ほぼ動かず、お肉も食べられず。玄米を炊いては食べるを繰り返していました。

下野:草食動物じゃない(笑)。

長江:大変だったんですけど、おかげで自分でも満足のいくビジュアル撮影ができたのかなと。今は6センチくらいのヒールにスカートをはいて稽古で踊っています。声を半年間やってきてから舞台に立ったので、声でキャラクターの解釈は深まったんですけど、いざ動いてみたら女性の動きってめちゃくちゃむずいなって。

下野:(笑)。

長江:ちょっと内股にしても「完全に男だな」って(笑)。でも声をやってきたから、今自分が(舞台で)やっていることを声で演じたら何が変わってくるんだろうなとか。今まででは考えなかったことを考えることができているので、改めて実のある半年だったなと。

下野:女装する役だったり、女の子に見えるけど実は男の子っていう役も演じる機会があるけど、声をどうにかするっていうよりも、気持ちから入ることが多いなって思う。多分それって動きとかにも影響してくると思うし、声にも影響してくると思う。根本が違うんだよね、男性と女性って。だからその苦労はちょっと分かります。だって無理だもん、女声じゃないからさ!

長江:そうですよね! 22年、男として生きてきて、急に2~3週間で女性にはなかなかなれないですね(笑)。少しでも女性らしさをと思って、街ですれ違うヒールを履いている女性をなるべく見るようにしています。どう歩いてるんだろう~って。でも見すぎるのもよくないよなって(笑)。

下野:通報されないことだけを願うよ(笑)。でもやっぱり女性に適した顔をしているんだよなあ。めっちゃ似合うもんね。

長江:ありがとうございます! (ビジュアルを眺めながら)お母さんそっくりです。

一同:(笑)。

下野:お母さんこういう顔してるの!? お綺麗ね!

長江:小さい頃からすごく似ていて。こういうことやると、だいたいお母さんになっちゃいます(笑)。

――下野さんは舞台では本編以外にも、影ナレや館内アナウンスを担当されます。収録の感想はいかがでしたか。

下野:キャラクターとしてはクールな人物なので、彼が館内アナウンスをするとどういうふうになるのかなって考えつつ収録しました。辰樹は普段、威圧的な言い方が多いんですが、さすがにお客さんに威圧感を与えるのはどうかなと(笑)。なので、キャラクターの気持ちを持ちつつも、いつもよりは柔らかめに。気持ち的には彼がナレーターになったら、という感じで読ませていただきましたね。

本編に関しては僕自身が出るわけではないので、ボイスドラマと同じく(ダンス講師の)相良や(演出家の)慎と会話をしているんですけど、いかんせん今回は2次元ではなく、相良たちは舞台の上にいますので。彼らがどう来るのかなっていうのを想像しながら演じるようにしましたね。

実際、舞台上でどういう掛け合いが生まれるのかは分からないので、どこかのタイミングでどうなっているのか観てみたいですし、もちろんあさひたちノーヴァの動く姿も観てみたいなと思っています。

舞台へ向けて、プレッシャーと期待を糧に

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

下野:じゃあ私から。

長江:(恐縮した表情で)え、本当ですか。

下野:…なんて顔をするの(笑)? 当たり前でしょ、主演でしょ。こういうのは座長が締めるものって知っているでしょう(笑)?

長江:いや、そうなんですけど…。

下野:声優業でもそうだから。主役は最後よ!

長江:そうですよね…はい…!

下野:では改めまして。

舞台に関しては声だけの出演ですが、次の公演も決まっておりますし、「青山オペレッタ」自体これからも様々な展開が待っていると思いますので、舞台から入ってボイスドラマを聴いていただいてもいいですし、ボイスドラマから入って舞台に足を運んでいただいてもいいですし。

まさにこれから始まっていく「青山オペレッタ」を、ぜひこれからも応援していただけるとありがたいです。「まだ聴いたことがないよ」という方も、これから興味を持っていただけるとありがたいなと思います。

長江:半年間をかけてボイスドラマを通じて声優として役を深めさせていただいて。本来は舞台役者という立場なので、声優としては至らぬ点や苦労もたくさんあったんですが、今回は舞台をやらせていただくということで、やっと舞台役者としての本領をお見せできるなというタイミングだと思います。

その分、皆さんからプレッシャーや期待をいただいていると思うので、誠心誠意主人公として皆さまに楽しいものをお届けできたらなと。

今後もたくさんの展開が用意されています。最後まで面白い作品だと思っていただけるよう頑張りますので、今後も応援よろしくお願いいたします。

* * *

長江は今回の下野との取材を振り返り、「すっごく緊張した」と自身のSNSで語っていた。スタート時は緊張が窺える表情を見せていたが、下野の気さくで軽快なトークに引っ張られるように、次第に柔らかい表情になっていったのが印象的だった。

『青山オペレッタ THE STAGE~ノーヴァ・ステラ/新しい星~』は4月22日(木)に初日を迎える。劇場に向かうファンは、下野による館内アナウンスや影ナレも楽しみながら、ノーヴァの物語を楽しんでほしい。

取材・文:双海しお

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公演情報

タイトル

『青山オペレッタ THE STAGE〜ノーヴァ・ステラ/新しい星〜』

企画・原案

サイバード

キャラクターデザイン

滝田ちひろ

キャスト

宮嶋あさひ役:長江崚行、斎鷹雄役:中山優貴、櫻井ノエ役:大隅勇太、長衛輝夜役:矢部昌暉、矢地桐久役:大平峻也、加賀見祥太役:友常勇気

相良明之介役:杉江大志、美園爽人役:丘山晴己、南雲朝斗役:北川尚弥

槙晋作役:利根健太朗

夢咲辰樹役:下野紘(声の出演)

公演情報

会場:東京・渋谷区文化総合センター大和田4階 さくらホール
日程:2021年4月22日(木)〜4月25日(日)

スタッフ

脚本:伊勢直弘
演出:村井雄(KPR/開幕ペナントレース)
製作・著作:青山オペレッタTHE STAGE製作委員会

舞台公式サイト

https://stage-aoyamaoperetta.com

(C)青山オペレッタ

WRITER

双海 しお
 
							双海 しお
						

アイスと舞台とアニメが好きなライター。2.5次元はいいぞ!ミュージカルはいいぞ!舞台はいいぞ!若手俳優はいいぞ!を届けていきたいと思っています。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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