現在ビジュアルボイスドラマが配信中で、2021年4月には舞台化も決定したメディアミックス演劇コンテンツ「青山オペレッタ」。
未婚の男性のみで構成される歌劇団「青山オペレッタ」の新チーム「ノーヴァ」には、経歴も性格も様々な個性豊かな6人のメンバーが揃っている。そんな「ノーヴァ」の魅力を紐解くキャストインタビュー第2弾となる今回は、櫻井ノエ役の大隅勇太と長衛輝夜役の矢部昌暉にインタビューを実施。
第一印象から変わらないというお互いの印象や、役作りのこだわり、共演者とのエピソードなどを聞いた。二人の「早く舞台をしたい」という気持ちが溢れるインタビューとなった。
お互い「不思議」でも違ったタイプ
――お二人は初共演とのことですが、お互いの第一印象はいかがでしたか。
大隅勇太(櫻井ノエ役):「ふわふわした人だな」でしたね。その第一印象から始まって、今も変わらずそう思っているし、彼自身からも「そう思っている」って言われました(笑)。
――では、今もあまり第一印象から変わっていないんですね。
大隅:そうですね。でも、(印象が変わったところを)探すとしたらどこだろうね。
矢部昌暉(長衛輝夜役):……いや、ないかな?
一同:(笑)
大隅:以前ノーヴァで生配信をしたときに、休憩時間に「お腹空いたね」って二人でコンビニに行ったんですよ。僕は普通にサンドイッチを買ったんですけど、「なんか食べるもの買いに行こう」って言って出かけたのに、この人はカニかまぼこを買っていたんですよ。単品で(笑)!
矢部:カニかまぼこ、好きなんですもん。
大隅:そう、好きなんだよね。でもそのときに、「面白い人だな」って思いましたね。
――お互い似た印象を抱いているとのことですが、似た者同士なのでしょうか。
矢部:“不思議”っていうジャンルではあるんですけど、お互いのタイプはちょっと違うかな。似ている感じはあんまりしていないですね。でも、二人とも「変な人」だと思います(笑)。
大隅:二人でいるとき以外の方が、「昌暉はこういうことを言うんだ」とか「こういうこと考えているんだ」とか思うことが多いかもね。
この前も二人でアフレコをしているところに、大平(峻也)くんが来て。「昌暉って先輩と喋るときはそんな感じなんだ」って、いつもとちょっと違う一面が見られて面白かった。
矢部:なんか恥ずかしい(笑)。
――普段とはどんなところが違ったんですか。
大隅:二人でいるとそんなに喋らないんですけど、大平くんが入ったことで結構喋っていましたね。
矢部:大隅くんといると、大隅くんがたくさん話しかけてくれるので、そこに僕が乗っかることが多いんですよ。だから、僕は相槌を打っていることが多いかもしれません。
大隅:舞台だと顔合わせの段階で何十人かでお会いして、それから稽古に入っていくじゃないですか。だけど、この作品は一人とか二人でのレコーディングが多くて、皆で一緒にやるっていうタイミングがすごく少ないんですよね。
舞台の稽古が始まったら、他のキャストの皆さんと過ごす時間も多くなるので、その中で「昌暉はこういうときはそういうキャラなんだ」みたいなものが見えてきて、より面白そうだなって思っています。
――声の芝居はいかがですか。
矢部:難しいですね。最初の頃よりは出来るようになったと思うんですけど、自分では上手くなったかどうかが分からないし、もどかしさがあります。舞台をやってきているので、マイク前でどうしても身体が動いちゃって、マイクから外れちゃうんです。収録中も「マイクから離れちゃってるよ」って、よく言われちゃいます。
大隅:あ~あるね。
矢部:「もっと動きたい!」ってなっちゃうんですけど、声だけで表情や感情を伝えるっていうのは、絶対に今後の芝居人生に役に立つので、毎日が勉強ですね。
大隅:自分が聴こえている声とボイスドラマを通して聴く声が全然違って聴こえるので、それは発見でしたね。「自分ではこうやっていると思ったのに、こう聴こえているんだ」とか。
矢部:それ、めっちゃありますね。
大隅:だよね。だから、次に録るときはこういう雰囲気でやってみようとか、こう変えてみようとか思うんですけど、実際に上達しているかどうかは分かんないですね。自分じゃ分からないから、ディレクターさんに褒められるとめちゃくちゃ嬉しいです。
――原作キャラクターを演じる作品と本作を比べて、役作りの部分で違いがあれば教えてください。
大隅:お話を頂いたときは、自分がいわゆる“初代キャスト”になるので、自分ベースで作っていけるのかなと思っていたんですけど、キャラクターの設定が思っていたよりもかなり濃くて(笑)。
ノエは実力派オペラ歌手ですし、出身地はパリですし。本当に個性が強いので、役作りもそれに合わせていくっていう感じでしたね。
どの役でもそうなんですけど、役作りでは「実際にはこういう人はなかなかいないけど、いたら面白いだろうな、楽しいだろうな」っていうのを意識して作るようにしていて。今回のノエも、そういう気持ちで取り組んでいますね。
矢部:輝夜はやりやすかったですね。2.5次元作品をやらせていただく場合、原作の漫画やアニメがあって、アニメの場合は声優さんが演じた声があって。その声も含めて色々な情報を受け取って、「このキャラはこういうときどうするんだろう」って考えるんですけど、ある意味自分で作り上げたわけではないから、たくさん考えなきゃいけなくて大変なときもあるんです。
でも今回は設定はあるにしろ、一から作れるので、結構自分が思うようにやっていますね。アフレコ現場でも、自分で「彼ならこう言うんじゃないかな」って語尾の言い方のニュアンスや感情を変えてやってみたら、それでOKをもらえたり。なので、楽しみながら役作りもやれています。
――ノエは人気オペラ歌手、輝夜は元天才子役と、個性の際立つキャラです。ご自身の役の魅力はどこでしょうか。
大隅:ノエは歌が上手いところですね。現時点ではまだ彼の実力を発揮するようなシーンが登場していないので、もし舞台で歌うシーンがあれば、しっかり実力を発揮しないといけないなと思っています。
あとはギャップですかね。ボイスドラマのストーリーでは、ノエがスランプに陥る場面があって、ヘタレというか「そんなことで悩んでいて、ノエ大丈夫なの?」って心配になるようなところがあるんですが、その姿と「真剣なときはすごく格好いいノエ」とのギャップをしっかり見せて、魅力としてお伝えできたらいいなと思っていますね。
矢部:「超絶俺様な元天才子役」という人物なんですが、根はすごく真面目でいいヤツだし、小さい頃から仕事をしてきたから礼儀もちゃんとわきまえているし。
なので、演じていくうちに僕の中では「超絶俺様」というよりは、「年相応」っていう印象が強くなっていますね。他人に対して「めんどくせぇ」って言っちゃうのも、ちょっとツンデレな要素が入っているのかなって。
「超絶俺様」と言いつつも、かわいらしいキャラクターだなと思いながら作り上げていますね。
大隅:16歳だからね。
矢部:ノーヴァの最年少ですからね。礼儀正しさとかでは最年少を感じさせないのに実は16歳っていうギャップもまた、彼の魅力だと思います。あと、芝居に対して人一倍熱意があって、誰にも負けないと思っているところも良いですよね。
なので、第1シーズンで役を勝ち取れなかったっていうのは、彼にとって大きな出来事だったと思うんです。それを経験して、これからどう成長して変わっていくのかっていうのを楽しんでもらいたいですね。
高まる“キャラへの愛”と“舞台への想い”
――春に控えている舞台作品についてお伺いします。個性の強いキャラが舞台上でどう表現されるのか、楽しみにしているファンも多いかと思います。
矢部:普段の舞台だと1カ月くらい前から稽古に入って、役を作って…っていう流れになるんですが、この作品に関しては舞台が始まる何カ月も前から役を知っている時間があるので、いつもよりお芝居の感覚もつかみやすいと思いますし、キャスト同士の関係性も出来上がっているので、舞台化に向けて不安とかは全然ないですね。むしろ、早く皆とお芝居をしたいですね。
大隅:早くやりたいよね。(しみじみと)稽古って楽しいんですよ。劇場入りとか本番とかもすごく楽しいので、早くこのメンバーで味わいたいです。
矢部:僕、稽古あまり好きじゃなくて……(笑)。
一同:(笑)
矢部:本番はすっごい好きなんですけど。
大隅:なんで稽古嫌いなの? あの期間も学校みたいで楽しくない?
矢部:キャストの皆さんと関係を築けるので楽しいんですけど、お客さんに観てもらいたいっていう気持ちがすごく強いので、「早く観てほしい!」ってなっちゃうんですよ。
稽古は当たり前なんですけど、通しをやっても反応がすぐにあるわけではないので…。
大隅:稽古独特の雰囲気のやつね。あと、稽古場だと日替わりのアドリブシーンをやると「次は何やるの?」「今日は昨日と違うことしろよ」とか、期待の眼差しを向けられたりね。独特なプレッシャーがあるよね。
でもこの作品はいい人たちばかりだから、いい雰囲気の座組になるんじゃないかな。アフレコとかもすごく新鮮でありがたい経験をさせてもらっているなって思うんですけど、このメンバーで早く舞台の作業に入りたいです。
――ノーヴァの演目が劇中でどう表現されるのかも気になりますね。
矢部:アフレコでも、キャラとしてもう一つ役を演じるっていうのが難しかったんですよね。でも、せっかくこういうプロジェクトなので、今後色んな展開ができたらいいなって。そのためにも、舞台第1弾を大成功させなきゃいけないと思うので、気合はめちゃくちゃ入っています!
――今後、舞台上でノーヴァとして演じてみたい演目はありますか。
大隅:ノエとしてはやっぱり歌だと思うので、ミュージカルをやってみたいですね。
矢部:今は、ベネラ(女役)とマルテ(男役)が分かれていますけど、全員ベネラの劇中劇とか!
――ベネラの宮嶋あさひ役を演じる長江崚行さんのインタビューでは、ハイヒールの大変さを力説されていました。全員ベネラというのは面白そうですね。
大隅:え……嫌だな。
矢部:(笑)
大隅:マルテがいいな。でも、やっぱりハイヒール大変なんだね。崚行は撮影に合わせてかなり体重落としたって言っていたし。すごく綺麗だったけど、僕は男役がいいです……(笑)。
不思議なほど打ち解けられる、ノーヴァの空気
――ノーヴァの雰囲気がすごく良いとのことでしたが、お二人から見た他のメンバーについて教えてください。
矢部:僕すっごい人見知りで、皆さんと打ち解けるのにすごく時間が掛かるんですよ。なんなら、劇場入りしてからようやく打ち解けることもあるし、劇場入りしてもまだ深く入り込めないってこともよくあるんです。
でも、このカンパニーは初日からいい空気で「楽しい」って思えたんですよね。会って2回目で、皆で打ち解けて盛り上がれたし、自分としては珍しいことなので「なんだこれは」って不思議になるくらい、めちゃくちゃいい雰囲気です。
大隅:僕も距離が縮まるのが速いなって感じた。でも、皆すごく変わっているよね。本当、個性的。
矢部:(加賀見祥太役の)友常(勇気)さんを中心に、このカンパニーは回っています。
――前回の長江さんと(斎鷹雄役の)中山優貴さんのインタビューでも、真っ先に友常さんの名前が挙がっていました。
大隅:最年長ムードメーカーなんですよ、本当に。
矢部:皆のことをすごく見てくれているし、自ら「イジってもOKだよ」っていう空気を出してくださるので、僕からも話しかけやすかったりします。
大隅:優しいよね。友常くんくらい年齢が上の先輩だと、打ち解けるのに時間が掛かることも多いと思うんですけど、初日から「オープンだぜ!」っていう空気でやってくれたので、ノーヴァのいい雰囲気ができたのは彼の存在が大きかったかもしれないです。
――舞台では相良明之介役の杉江大志さん、美園爽人役の丘山晴己さん、南雲朝斗役の北川尚弥さんも加わることで、またカンパニーの雰囲気が変わりそうですね。
大隅:関係性とかも変わってきそうですよね。面識ある方はいる?
矢部:大志くんは舞台で共演したことがあります。他のお二人ははじめましてですね。
大隅:僕は逆に杉江くんだけ共演したことがないんだよね。丘山晴己くんはめっちゃクセの強い人だよ。レベルが違う(笑)。
矢部:美園のお芝居で、独特な雰囲気のある方だなっていうのは感じました。
大隅:美園のときはすごくしっかりした方の一面が出ているけど、普段はいい意味で強烈な人だから共演するの楽しみだな。
――新たに3名が加わったカンパニーで、どんな作品が観られるのか楽しみにしています! では最後に、改めて本作への意気込みをお願いします。
大隅:「ラジオペ」やボイスドラマを楽しみにしてくれている方たちは、演劇ファンだったり僕たちの俳優活動を応援してくれる方だったりが多いと思うんです。なので、「舞台お待たせしました!」という気持ちです。舞台本番まで、あともう少しだけ楽しみに待っていてください。
矢部:この作品は友情も青春もあるし、僕自身も観ていて楽しいなと思える作品です。もうすぐ舞台になるということで、生でお届けできることが楽しみです。このコンテンツは色んな展開ができると思うので、今後も応援してくれたら嬉しく思います!
* * *
お互いを「不思議」と表現する大隅と矢部のインタビューは、和やかながらも言葉の端々に「早く舞台の上に立ちたい」という想いに溢れていた。
ボイスドラマの中で様々な困難を乗り越え成長しているノーヴァの面々。4月に上演される舞台「青山オペレッタ」では、どんな姿を見せてくれるのだろうか。初日を迎えるその瞬間が待ち遠しい。
撮影:ケイヒカル
大隅勇太 衣装:シャツ(SHAREEF/Sian PR)、パンツ(CULLNI/Sian PR)、usedのシューズ(what’z up原宿店)
矢部昌暉 衣装:usedのカーディガン、usedのTシャツ、usedのパンツ(すべてwhat’z up原宿店)、usedのベルト(SIGMA)、ネックレス、バングル、リング(すべてSHINGO KUZUNO/Sian PR)、ブレスレット(LEMONTEA)、シューズ(SIGMA)
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