ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝頂の景色・2〞が2021年3月20日(土・祝)に幕を開ける。
原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で2020年7月まで連載された古舘春一によるバレーボール漫画「ハイキュー!!」。2015年11月の初演から様々な挑戦を続け、熱狂を巻き起こしてきた。シリーズ第11作目にしてついに終幕を迎える今作で、日向翔陽は〝小さな巨人″ の名をかけて鴎台の星海光来と戦う。
2.5ジゲン!!では、初演から約5年半にわたり及川 徹を演じる遊馬晃祐にインタビューを実施。今作への想いや役者としての今後のビジョンなどを聞いた。演劇「ハイキュー!!」への熱い気持ちが溢れるインタビューとなった。
――〝最強の場所(チーム)〞以来、及川を演じるのは今回2年半ぶりですね。出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか。
まさか演劇「ハイキュー!!」に戻れる日が来るとは思っていませんでした。だから出演が決まった時はすごくうれしかったですね。今回は青葉城西高校から僕一人の出演になります。寂しい気持ちや皆の気持ちを背負うというプレッシャーもありますが、そこに打ち勝ちたいと思っています。
――遊馬さんは、演劇「ハイキュー!!」で俳優デビューされました。今回で及川を演じることは最後になるかと思いますが、心境を教えてください。
演劇「ハイキュー!!」のおかげでこれまでやってこられたと思っているので、本当に感謝しているんです。こんなに長く同じ役をできることはないので、一番愛着がありますし、自分が誰よりも及川のことを分かっているって思いたいです。
今までの11作品の集大成として、スタッフ、キャスト全員の気持ちを詰め込んだ一番いい作品にしたいと思っています。そこがこのカンパニーで目指す“最高の頂点”なので、僕もその一部になりたいですね。
――青葉城西高校からは遊馬さんお一人でご出演ですが、意識していることはありますか?
及川一人いるだけで、舞台上の空気が変わると思うんです。一人だからこそ、より自由に及川という存在を出していきたい。演出家さんに止められるくらい、稽古場でも及川の存在をアピールしていきたいですね(笑)。
まだ僕は稽古に合流できていないんですけど、僕だけは初演からの参加なので「過去の公演のこれをやって」「お手本を見せて」って言われると思うんですよね。多分できないと思うので…(笑)、きっと「全然駄目じゃん」ってツッコまれたりもすると思うんですけど、そういうところでも現場の空気を明るくしたいです。
あと、年齢的にカンパニーの中間くらいになるのは今回が初めてなんです。いつもは先輩にいじられてばかりなんですけど、初演から演じている分、たくさんの景色を見てきたので、アドバイスができたらいいなと思っています。
――遊馬さんは及川に似ていると思う性格や共通点などはありますか?
周りからは似ていると言われることも多いんですけど、僕はそう思っていないんです。最初は似ているところもあるかなと思っていたんですが、役に入り込むにつれてだんだん言えなくなってきたんですよね。今は尊敬してばかりです。
及川の好きな台詞の一つに、「才能は開花させるもの センスは磨くもの!!!」という言葉があります。天才って、この世の中になかなかいないじゃないですか。及川は努力でのし上がっていて、この台詞を言えるところがかっこよ過ぎると思います! 過去の公演のDVDを見返しても、すごい台詞を言っているな…って感じることが多いです。
岩ちゃん(岩泉 一)にも「お前は多分じいさんになるくらいまで幸せになれない。たとえどんな大会で勝っても完璧に満足なんてできずに、一生バレーを追っかけて生きていくめんどくせえ奴だからな」って言われるくらい、バレーボールを愛して突き詰めている姿は尊敬しかないですね。
――普段からご自身の出演作品を見返されますか?
恥ずかしさもありますが、よく見返しますね。今観ると下手くそだなって思うこともあるんですけど、特に〝勝者と敗者〞や〝最強の場所(チーム)〞は違う作品に出演している時でもよく見返します。「これほどきつい舞台はなかったよな。頑張ろう!」って奮い立たせてもらえるんです。メンバーもみんな、仲良いですしね。仲間っていう感じがすごいんですよ。
――仲間といえば、青葉城西高校のキャストさんとのお付き合いも長くなりましたね。過去の公演で、絆を感じたエピソードがあれば教えてください。
今だからこそ言えることも結構ありますよ。みんな先輩だったんですけど、当時は喧嘩もたくさんしました。お互い譲れないことがあったんですよね。本番期間中でも上下関係なく言い合って、作品を作り上げていました。
〝最強の場所(チーム)〞で及川が「3年間ありがとう!!!」って言うシーンがあるんですけど、みんなの顔を見た瞬間に涙が溢れてきて止まらなかったです。そこまでのいいチームになれたことが本当に嬉しかったですね。
――演劇「ハイキュー!!」のシリーズを通して、遊馬さんが選ぶ及川のベストシーンを教えてください。
一つ目は、初演のオープニングです。僕は上手からカウントに合わせて飛んできて、ダブルピースをするんですよ。それが僕の役者人生で初めてのシーンでした。当時はその1回のジャンプに対してもすごく緊張していたんですけど、正面を向いた瞬間の景色が忘れられません。台詞はないんですけど、僕の中でとても思い入れが強いシーンですね。
あともう一つは、〝最強の場所(チーム)〞で京谷(賢太郎)が自分に打ち勝って青城の仲間になるシーンです。及川が京谷を信じ続けて歯車が嚙み合った結果、青城が団結して烏野に立ち向かっていくんです。その瞬間をDVDで見返したら、僕すごくいい笑顔をしていたんです。それまでは、真剣な顔をしているんですけど。その変化が大好きですね。
――今作での及川の見どころを教えてください。
高校生の時と根本的には変わっていないとは思うんですけど、年齢を重ねた分の変化が見どころです。原作では描かれていない部分も多いのですが、そこを自分でどう作って舞台上で出せるのか、僕自身も楽しみです。台詞だけではなく立ち振る舞いなども意識して、その差を出せたらいいなと思っています。
あと、ジャンプサーブをもっと磨きたいです。今のジャンプサーブは高校生バージョンなので、フォームや力強さの変化を見てほしいですね。
――先程おっしゃっていた「才能は開花させるもの、センスは磨くもの!!!」という台詞。遊馬さんが今後開花させたい、磨きたいことは何でしょうか。役者としてのビジョンを教えてください。
僕、自分の才能っていうのが何なのか正直分からないんです。でも今こうしてお仕事をいただいているので、目の前の仕事を真剣にやる中で見つけていきたいですね。
今後は海外に行きたくて、今は英語や中国語を勉強しています。「ハイキュー!!」って、世界中ですごく人気なんですよね。色んな国に行くたびに「演劇「ハイキュー!!」、観ました!」って声をたくさんいただくんです。
日本はもちろん、世界でこんなに愛されている作品を演じさせてもらったんだから、「俺も世界に行かなきゃダメじゃん!」って思うようになりました。今後は世界で活躍できる役者になっていきたいと思っています。
――最後に、意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
こんなご時世ではありますが、エンタメって絶対に必要なものだと思います。気持ちが落ち込んでしまうことも多いかと思いますが、だからこそ、演劇「ハイキュー!!」を観て頑張ろうって思っていただきたいです。
劇場はもちろん、この作品は画面越しでも伝わる熱量が絶対にあると思うので、配信やDVDでも見てほしいですね。いよいよファイナルです。最後まで応援よろしくお願いします!
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