目を引く高身長と2次元顔負けのスタイルで、2.5次元作品でも活躍中の俳優・小坂涼太郎。
様々な作品に挑戦した2019年。その締めくくりとなる舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)の本番を控えた彼に、「2.5ジゲン!!」ではインタビューを行った。
俳優としてのこれまでのこと、そしてこれからのこと。仕事に対する熱い想いを聞いてみた。
ーー芸歴20年ということでたくさんのお仕事をされてきたと思います。そのなかで、ターニングポイントだと感じた作品や瞬間はありますか?
こうやって立て続けに舞台に出させていただけるようになったのは、やっぱりハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」があったからこそ。だから作品におけるターニングポイントは演劇「ハイキュー!!」だと思っています。
学生の頃、身長が急激に伸びた時期があったんです。中学1年から2年の間にグンと伸びて。その期間があったから月島蛍役ができたのかなって。
実は中学1年くらいで一回伸びるのが止まった時期があったんですよね。それまでは一番後ろで堂々としてたんですけど、この頃にどんどん抜かされて(背の順で)前の方にいっちゃって。
「やばいやばい」って思ってたんですけど、その期間にすごく伸びました。自分が身長高くなかったら月島を演じられてなかったんだろうなって思うので、その身長が伸びた時期には感謝してます。
ーーこれまでたくさんのご出演経験がありますが、舞台と映像、演じる際に感じる違いはありますか?
違いは……あんまりないですね。ただ映像の場合は、目で演じたのがそのまま伝わるじゃないですか。でも舞台は目でやっても、伝わる人もいれば伝わらない人もいて、難しいです。
ただ僕がやってることとしては、どっちもあんまり違いはないかな。舞台だと動きを少し大きくはしますけど、演じるっていう部分で大きな意識の差はないですね。
ーー舞台は目の前に観客がいるという環境ですよね。
そうですね。でも僕はあんまりお客さんいるからどうこう、っていう感じじゃなくて。周りのキャストにあわせて自分がアガるっていうことはありますけど、お客さんが入っているからアガるっていうのはないですね。「稽古でちゃんと作ったものをやろう」と思って挑んでいます。
ーー2018年に演劇「ハイキュー!!」を卒業して、2019年はいろんな作品に出演されていましたが、2019年で印象に残っている作品や出来事はありますか?
舞台『刀剣乱舞』の次郎太刀役ですかね……。役として初めてやることが多かったので、印象に残っていますね。着物の裾捌きとか日本舞踊とか、大太刀での殺陣とか。芝居と一緒にやっていかなきゃいけなかったので大変でした。
あと舞台劇「からくりサーカス」では演出家の方と芝居のことについて話したり、作品のなかでいろんな役をやったりして、印象に残っています。
ほかにも、すべての作品、役が僕の身になっているので全部が思い出深いですね。
ーー次郎太刀は大太刀なのでステージ上の存在感もひときわありましたね。
目立つからこそ、小さなミスも大きく見えてしまうので苦労しました。僕は舞台上で噛むのはそれほど悪いことだと思っていなくて。もちろん噛まないに越したことはないんですけど。でも次郎太刀に関しては「噛めない、噛んだらやばい」って思っていました。
ーーまた演じてみたいですか?
そうですね。でも僕、全部の役をもう1回やってみたいです。当時やってたときの感情と違うものが生まれている可能性があるので、自分のどういう視点が変わったのか知りたいんです。
ーー同じ役というと、年末に舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)の上演が迫っていますね。2019年2月に第一弾があり、他の作品を経ての今作。いかがですか?
どの作品でも同じなんですが、前作でやってた感触を忘れてました(笑)。取り戻そうと思いつつ、前作からの期間で得た経験を取り入れて、前回を追うけど追いすぎないで作っていこうと思って稽古に取り組んでます。
違う役を演じると、それまで演じてたものが白紙に戻っちゃう感じで。だから、いま坂口安吾も一から作ってるっていう感じです。
ーー前作は無頼派3人で一緒という印象が強かったんですが、今作は無頼派は坂口安吾1人となっていますね。なにか違いはありますか?
単純にもう自分の立ち位置が分からなすぎて(笑)、いま稽古ですごく考えてます。
いままでは何にも頼らないから無頼派っていうけど、なんだかんだ3人で一緒にいたじゃないですか。それがいないから、周りの面倒をみていいのか、それとも堕落していいのか。侵蝕者に対して立ち向かうべきなのかどうか、すごく悩んでて。どうしようかなって。
まだ模索中なので、いま思い描いている安吾もあるんですけど、本番までには全然違うものになってる可能性もありそうです。
今回は芥川龍之介と絡むシーンが割と多くて。前回はそんなに絡んでないので楽しみですね。いまは坂口安吾と芥川龍之介が昔どういう感じの関係性だったのか、などについて掘り下げて考えてみています。
ーー今作から新たに登場する文豪もたくさんいますが、坂口安吾との絡みはありますか?
あります! とくに萩原朔太郎役の三津谷 亮くんと多いですね。稽古中の5分休憩とかでも彼と一緒に話して、どうやって演じていこうか考えてます。
ーーキャストが半数近く変わっていますが、カンパニーの雰囲気はどうですか?
すごく仲がいいですよ。今回はW主演(谷佳樹・杉江大志)で座長が2人いるので、「みんなで協力してやっていこう」という雰囲気ですね。いまの時点では、稽古自体も模索中っていうか、いい形を探してる感じです。だからこそ、それが完成した姿をみなさんには観てほしいです。
ーー坂口安吾は武器がクナイですが、今作もまた見応えあるアクションシーンに期待してもいいでしょうか?
もちろん! アクションシーンけっこうありますね。久々のクナイは、その前が(舞台『刀剣乱舞』の)大太刀だったので間合いのギャップがすごくて(笑)。勘を取り戻すまでは、なんか変な感じでした。
ーー武器の大きさの違いでなにか意識している部分ってあるんでしょうか?
僕もそんなに殺陣歴が長いわけじゃないんですけど……。あんまりそこは意識してないですね。大太刀のときはゆっくり振っていて……って、やっぱり意識してるわ(笑)。
そう、大太刀のときは美しく見せるためにゆっくり動いて、クナイのときは短い分、大きく見せるように動いてますね。
ーー今後舞台で挑戦したい役どころってありますか?
全部! なんでもやってみたいですけど、病んでる役をやってみたいかもしれないです。自分に重ね合わせて、やりやすい気がするんで。
そういう役って映像だと目の動きとかで見せやすいじゃないですか。それを舞台でやるならどう演じようかなって、すごくいま気になりました。勉強になりそうで。以前「ジュブナイル」という主演舞台でちょっと病んでる感じの役はやったことはあるんですけど……。改めてやってみたいですね。
僕けっこういろんな役やらせてもらってて。演じる役のイメージが、みんなバラバラなんですよね。あとやったことないのは、警察モノくらいかなあ……。あ、あと舞台に関わらず学校の生徒やってみたいです!
でもやっぱり1番はもう1回、(須賀)健太くんと共演してみたいです。それがやっぱり大きいですね。
最後に彼が大好きな人の名前が出たところで、インタビュー前編はここまで。
小坂涼太郎が出演する舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)は2019年12月27日から大阪森ノ宮ピロティホール、2020年1月8日から品川プリンスホテル ステラボールにて上演される。無頼派の2人がいないなか、新たな坂口安吾を探究している姿がとても印象的だった今回のインタビュー。その完成形をぜひ劇場で観てほしい。
次回、インタビューの後編では仲良しなあの人の名前も飛び出すプライベート編をお届けする。
撮影:梁瀬玉実
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