関西を拠点に活動し、近年では東京公演も好評を博している劇団Patch。
その本公演最新作となるPatch stage vol.13『カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!』が2019年10月・11月に上演される。
「2.5ジゲン!!」では今回ビジュアル撮影の現場を取材した。
演じるだけでなく、制作者としても積極的に作品に関わっていくメンバーたち。
彼らの賑やかな声が飛び交うビジュアル撮影の様子とともに、メンバーたちに作品への熱い思いを語ってもらった。
今回は劇団Patchの1期生として、これまでの本公演で作品を引っ張ってきた松井勇歩のインタビューをお届けする。
ーー約1年ぶりとなるPatch stage。この作品にこめる思いを聞かせてください。
劇団Patchとして、全員でひとつの作品をつくるということに重きをおいてやってきました。
最近は、ありがたいことにメンバー各々が劇団以外での仕事が増えてきて、なかなか全員で集まれる機会もなくなっていたんですが、やっぱりPatch stageというものは全員でつくりあげるものでありたいという気持ちがあって。
今回はそれが叶って、メンバー3人は日替わりではあるんですが、日替わりとしてちゃんと作品に関われて、全員で出来るのが嬉しいですね。
1作品前のPatch × TRUMP series 10th ANNIVERSARY『SPECTER』は、Patch stageという名前ではなかったんですけど、ずっとお世話になってきた末満健一さんと作ってきた作品で、本当にたくさんの人に観ていただけました。
ピロティホールっていう大きな劇場でやることができて、今回はそのあとの作品になります。
ピロティホールや本多劇場で上演できるのは本当にありがたいこと。そういう大きな劇場でやることも大事だけど、そこでやれたあとの公演がすごく大事、というのを1期生とよく話してますね。
そこで僕たちを知ってくださった方、劇団Patchが気になってくださった方。そういう方たちが来てくれるかもしれないっていうのがこの『カーニバル!×13』なので。
劇団員が自分たちでできるところは全部自分たちで作ったりしてるんですね。今回だとビジュアル撮影の構図とかもメンバーが考えてくれていて。
そういう僕たちがずっと積み重ねてきたものをなくさずに、僕たちを知ってくださっている方にも新しいPatchをみせていきたいし、初めての方にはPatchから離れられなくなるような作品をお届けできればいいなって思っています。
ーー「新しい」と感じる部分はどんなところになりそうですか?
大きな点でいえば、(脚本・演出に)細川博司さんを迎えて初めてやるっていうことで、まず観たことない作品になるだろうなって感じています。
あと今回は4期生の田中亨がPatch stageでは初めて1番上に名前があるというポジションなので、それが新しい空気になるんじゃないかな、と。
座組を引っ張る人がひとり増えることになるので、それがいい化学反応になればいいなと思っています。
今回は、僕が演じる無銘と田中演じる浦のお話なんですけど、僕は僕で座組を引っ張ることに関してとか、亨に伝えられることは伝えたいと思っています。
だけど、亨にとって“でかい壁”でありたいとも思っていて。
僕は僕で亨の新しい面をみて刺激をもらうと思うし、逆に亨には先輩としてみせられるものはみせてあげたいな、と思っています。
ーー普段のお二人はどんな関係性ですか?
Patch自体が男だらけで、普段からもう部活動みたいな感じなんですよね。先輩が絶対みたいなのも特にないので、わきあいあいとしてて仲いいですよ。
今日とかも撮影終わってるメンバーいるのに帰らないでしょ? 集まったらみんなでずっとおるし。
作品のなかでも基本的に浦と無銘はずっと一緒にいるので、この前も亨と一緒にご飯を食べに行ってふたりで話しましたね。
本当に気兼ねなく話せる、形としては後輩ですけど、男友達・仲間……うーん、弟みたいな感じですかね。
ーー楽しみにしているシーンはありますか?
殺陣……ですかね。
出来上がった部分の台本を読んでみて、僕の役(無銘)は記憶失ってるんですよ。最初のシーン。
だけど、記憶がないけど襲われたら身体が勝手に反応してすごい強い! みたいなシーンがところどころにあるんですよ。
本番どうなるかまだ分からないんですけど……。普通は1回刀を抜いたらそのまま戦うところを、1回1回納刀してるんですよね。基本的に居合で倒している様子が台本に書いてあって。
だから、そこはすごい苦労するだろうなって。
抜刀して納刀して、って繰り返してるシーンが序盤だけでも何回もあったので、そこは練習せんとあかんな、っていうのと同時に、楽しみだなって思ってるところですね。
バチッと決まったらめちゃくちゃかっこいいですけど、ちょっとでも失敗したらめちゃくちゃダサなるんで、そこはちょっと頑張ろうと思っています。
ーー今回初めてご一緒される細川さんの印象はいかがでしたか?
もうご飯食べに行ったりもしてるんですけど、いい意味で“ふざけたおじさん”やな、と(笑)。
個人的にはすごく気が合いそうだな、と思ってます。
楽しいこととか面白そうなことを追求しはる人なんですよね。
ご飯食べながら作品の構成の話とかをしてたんですけど、「こんなんやったら面白いんちゃうか」っていうのを発信したときに、どうしたらできるのかっていう形をすぐに考えてくださる方です。
面白いと思ったものをより面白くするためのエッセンスとか、プロなので引き出しがすごい多いので、話していて興味深いし、個人的にすごく波長が合うな、と思いました。
ーー松井さんとの雑談から生まれたアイディアやシーンも本番に入っているかもしれませんね。
絶対あると思います!
日に日に変わるんちゃうかな、って思ってますね。
1回ご飯行っただけでもアイディアがすごい増えたので、劇場入ってから変わることとかもありそうだし、本番始まってからも常に追求しながらやっていけるんじゃないかな。
“毎回変わる公演”っていうのを、お客様にも実感してもらえるんじゃないかなって思います。
ーー自分たちで公演の詳細なども決めていらっしゃるとのことですが、今回の作風はどうやって決めたのでしょうか?
みんなで話し合ったっていうのもあるんですが、僕は「祭りにしたい」って言いましたね。
明日も頑張ろうと思える作品を届けたいというのがあったので。
1作品前は『SPECTER』、Patch Stageとしては前回が『ボクのシューカツ。』で会話劇をやったんです。
どちらも、どちらかというと暗い部分のある話だったので、今回は久しぶりに祭りにしたいと思っていて。僕はPatchの良さが出るのはそっちだなって思ってるんです。
僕はその「祭り」っていうのだけを伝えて、そうしたらわりとみんなもそう思ってたみたいで、どんちゃん騒ぎのエンタメを届けたいっていうことで今回の形にまとまりました。
まさかタイトルまで「カーニバル」になるとは思ってなかったですけど(笑)。
ーー今後Patch stageでやってみたい作風・テーマはありますか?
劇団10周年が迫っているので、10周年はなんとか生みの親である末満健一さんと一緒に作品をやれたらいいな、と思っています。
僕の勝手な願望ではあるんですが(笑)。
ーー最後に作品を楽しみにしているファンの方へのメッセージと、意気込みをお願いします。
僕たちがずっと言い続けている“明日も頑張ろうと思える演劇”。それを間違いなくお届けします。
観終わったときに、「私は何をみせられたんだろう、でもなんか楽しかったな」「明日も頑張ろう」「もう1回観てみよう」「劇団Patchっていいな」って思ってもらえる作品にするので、ぜひ待っていてもらえればと思います!
時折前のめりになりながら、自分たちが届けたいものについて語ってくれた姿が印象的だった。
撮影に入る前はきらびやかな衣装にテンションが上った少年のような顔をのぞかせたが、カメラの前に立つと次々とポーズを決めていく。
撮影を見守っていたメンバーやスタッフからも「さすが」の声が上がる姿からは、貫禄すら感じられた。
劇団Patchらしさが詰まったPatch stage vol.13『カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!』は10月31日初日を迎える。
記憶を失っている無銘はどんな結末を迎えるのか。ぜひ劇場でその結末を見届け、彼が語った「祭り」を体感してみてほしい。
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