ミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageが、10月6日(金)に東京・TOKYO DOME CITY HALLにて開幕。2.5ジゲン!!では、初日公演に先立ちおこなわれた公開ゲネプロと囲み会見をレポートする。
本作は『新テニミュ』シリーズの第3章。約2年ぶりとなる本公演では、日本代表メンバーの他、新たに海外チームのプレイヤーが次々と登場。前作のThe Second Stageで合宿所を退去になってしまった越前リョーマは、アメリカ代表としてU-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーン ワールドカップ)に臨む。
約2年ぶりとなったミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageは、固い地盤の上に新たな試みと挑戦を重ねた公演となった。
まず、『新テニミュ』と『テニミュ』4thシーズンの両方で越前リョーマとして舞台に立ち続けている今牧輝琉の圧倒的な頼もしさが印象的だ。カンパニーの座長としても、主人公である越前リョーマとしても、まさに“真ん中に立つ”力強さを感じさせてくれる。
芝居・歌唱・運動能力…それら今牧自身の成長が、話の中でぐんぐんと成長していくリョーマとシンクロしているようだ。経験に裏打ちされた自信が、リョーマとしての説得力を生んでいた。
今作では数多くのキャラクターが登場するが、全員に見どころが用意されているのもうれしいポイントだ。キャラクター同士の人間関係など、ストーリー面のほか、各キャストが持つ能力を、役として生かしたと思われる見どころも印象深い。特に、フランス代表のエドガー・ドラクロワを演じるロマ・トニオロの歌唱シーンでは、「ここはオペラ座か!?」と錯覚してしまうほどに圧倒される。
アメリカ代表チームの力強さと仲間意識の強さ、ドイツ代表チームの重厚感、フランス代表チームの華やかさ…各国とも個性的で、どのチームを“推し”にしても楽しめるだろう。
試合シーンでは「これぞ」と思える数々の演出でファンへ安心を与え、さすがに無理だろうと思っていた原作のシーンも、あっと驚く手法で再現してみせる。リョーマの進化とともに『新テニミュ』も歩みを止めない。
客降り演出や、初日からのアンコールソングも復活。最後の最後まで楽しめて笑顔で劇場をあとにできる。公演時間は、休憩をはさみ3時間20分ほど。TOKYO DOME CITY HALL公演のあとは、大阪公演、東京凱旋公演が予定されている。
ゲネプロの前におこなわれた囲み取材には、今牧輝琉(越前リョーマ役)、佐々木 崇(平等院鳳凰役)、ザック・コバヤシ(ユルゲン・バリーサヴィチ・ボルク役)、山田健登(手塚国光役)、DION(プランス・ルドヴィック・シャルダール役)が登壇。意気込みやそれぞれの見どころなどについて語った。
まず初日を迎えての気持ちについて聞かれると、今牧は「約2年ぶりの『新テニミュ』本公演です。また帰って来られて本当にうれしいです。今回は、キャラクターもキャストも国際色が豊かなので、日本人だけで稽古するのとは違う刺激をたくさん受けました。すごい舞台になると思います。初日が待ち遠しいです!」とわくわくする気持ちを隠せない様子。
佐々木は「輝琉が言ったように国際色豊かな稽古場で、出演者もスタッフも一丸となって走り抜けました。今日、このミュージカル『新テニスの王子様』The Third Stageがオープンするのが楽しみですし、お客さまと一緒に楽しんでいけるのをうれしく思っております」と笑顔を見せた。
ザックは「これまで、趣味での舞台経験はありましたが、プロとしてステージに立つのは初めてです。ファンの皆さまのために頑張りたいと思います」とにこやかに口にした。山田は「この1ヵ月それぞれのチームで向き合ってきた結果が舞台の上に出ていると思います。キャスト一同、早く届けたいワクワクした気持ちでいますので、楽しみにしていてほしいです」と呼びかけた。
DIONは「今回が初舞台なので、右も左も分からなくて緊張しています。稽古でやってきたことを一生懸命やって、皆さんに楽しんでいただけたら」と緊張した様子。そこに今牧が「DIONが初舞台っていうのは嘘なんじゃないかなって。すごいよね」と突っ込む。
さらに佐々木が「ザックがプロとして舞台に立つのは初めてと言っていたけれど、長いセリフを稽古の序盤から完璧に覚えていて、日本人キャストみんなが焦ってしまいました」と告白し、場内を笑わせた。
次にザックとDIONへ、新キャストとして新たに参加する気持ちについて質問が。ザックは「稽古前は、すでに何年も一緒にやっている皆さんの中にうまく入っていけるか心配していました。でも、皆さんが超優しくしてくれて、手伝ったり教えてくれたりして、ファミリーになった気持ちがあります」と感謝の気持ちを述べた。
DIONは「長い歴史のある作品に新しいキャラクターとして出るので、原作読者の方々のイメージを壊さずに、けれども原作漫画やアニメの中では見られない、歌って踊っている王子を見せたいです」とアピールした。
それぞれのキャラクターのみどころについて、今牧は「前回、徳川(カズヤ/演:小野健斗)さんをかばって合宿を退去になったリョーマですが、まさかのアメリカ代表になりました。見てください、この星条旗。今回は仲間への意識や思いが芽生えて、自分が今までどれだけ周りの人に成長させてもらったかという心情が大きく描かれます。そこを楽しみにしてほしいです。それから、約2年ぶりの『新テニミュ』本公演なので、『新テニミュ』の感覚を皆さんに思い出してもらいたいです」。
佐々木は「テーマのひとつである“義”や“強くある”というものを担っている役だと思っています。常にそこを大切にして、最後まで演じていきたいです」と平等院としての見どころをアピール。
ザックは「ボルクは、とても強くてストイックで、できるようになるまで頑張れる素敵な人です。でも、あまり知られていない面では、ファンからもらったネックウォーマーをいつもつけているので、ファンの皆さんのために頑張る気持ちを忘れないでいるんですね。ボルクの優しくて素敵なところも観てほしいです」とボルクの魅力を笑顔で口にした。
高橋は「手塚がいつも部員たちに言っている言葉をボルクから言われるシーンがあります。そこが個人的にはみどころです」とシーンのヒントを。DIONは「王子なので、気品と誇りが高くピシッとしたキャラですが、ルシャボウ(帽子/リョーマへの呼び名)くんと試合をしていく中で、はじめは見下した感じでいたのがどんどん熱くなっていくのが中学1年生らしいなと。かわいらしい部分とかっこいい部分両方を兼ね備えたキャラクターなので、そのギャップを観ていただけたら」とアピールした。
最後にファンへのメッセージとして、DIONは「僕自身ミュージカル『テニスの王子様』を子どものころから観ていて、影響を受けてテニスも始めました。自分が観た感動やワクワクやテニスのかっこよさを客席の皆さんに感じていただけたらと思います」とコメント。山田は「新たな歴史が刻まれていきます。目を離さずに最後まで応援してくれたらうれしいです」と呼びかけた。
ザックは「ここまでキャストの皆さんと頑張って稽古してきました。皆さまに熱い試合を送りたいです」。佐々木は「これまでに観たことがない舞台だと思います。通し稽古を観ていても初めて観る“絵”でした。ここは日本ではないと思っていただけるようなシーンもあります。終演後、観られてよかったな、明日もがんばろうと思える作品になっていると思います。ぜひ楽しみにしていてください」。
最後に今牧が「やっと過ごしやすい季節になってきましたが、劇場の中はオーストラリアです。『U-17 WORLD CUP(アンダーセブンティーンのワールドカップ)を観に来た!』と思っていただけるほど熱い気持ちで観ていただけたら。『新テニスの王子様』の世界の1人になったつもりで観ていただきたいです」とファンへ呼びかけ、囲み取材は終了した。
取材・文・撮影:広瀬有希
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