レポート

須賀健太「僕の好きなハイキュー!!のすべてを散りばめた作品です」 劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演で新たな“跳躍”へ

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劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演が、8月19日(土)の“ハイキューの日”に東京・品川プリンスホテル ステラボールにて開幕。これに先立ち、公開ゲネプロと囲み取材がおこなわれた。

劇団「ハイキュー!!」は、2015年~2021年まで熱狂を巻き起こしたハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」に出演したキャストたちが、その演劇にかける熱い思いから自らを総称していた呼び名。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で7作に渡り主人公・日向翔陽を演じていた須賀健太が演出家となり、今回新たに『劇団「ハイキュー!!」』を発足した。

「ハイキュー!!」の世界へ新たな挑戦をする本シリーズは、どんな跳躍を見せてくれるのか。2.5ジゲン!!では、ゲネプロと囲み取材の様子を劇中写真とともにレポートする。演出についても多く触れ、名場面のショットもあるため、初観劇の楽しみを大事にしたい方は観劇後にあらためて本レポートに目を通してほしい。

小学生のとき、電器屋のディスプレイで見た“小さな巨人”の姿に憧れ、バレーボールを始めた日向翔陽(演・加藤憲史郎)は、中学時代の苦い経験を胸に、小さな巨人の母校である烏野高校に入学した。

しかしそこで、中学最後の試合で悔しい思いを味わうこととなった対戦相手・北川第一中学の影山飛雄(演・若林星弥)と再会。倒したかった相手とチームメイトになってしまった日向だが、2人はコンビとしてチームの中でともに成長していく。

新たに始まった劇団「ハイキュー!!」による本作は、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」とはまったく異なりながらも、これまでのファンの気持ちも大事にした、「ハイキュー!!」という作品そのものの良さをあらためて噛みしめられる作品だと感じる。

大きく異なる点は、映像演出の有無だ。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」ではプロジェクションマッピングを多用し、まるで原作漫画の1ページが目の前に現れたかのようなシーンが数多くあった。

しかし本作は、照明効果と音響、セット、キャストたちのメタ的なセリフなどによってそれらをすべて補っている。

変わった点は数多くあるが、同作にあった「これぞ!」という点は引き継いでおり、従来のファンもうれしいと感じるであろう箇所がいくつもあるのもポイントだ。

舞台上に傾斜のついた“八百屋”ではなく、舞台に作りつけられた階段とセットの段差で、跳躍の高さや試合の臨場感、奥行きを表現。奥のポジションまで見やすくなる工夫がされている。リフトなどもあり、運動量の多い作品だけに怪我にはどうか気を付けてもらいたい。

会場に入ってまず感じるのは、劇場全体が物語の舞台となる“宮城県の屋外”になったかのような感覚だ。さわさわと梢を鳴らす風の音、鳥の声、左右に作りつけられた自然物。

夏の盛りではあるが、場内の涼しさも重なり、会場入りしただけですでに物語の世界に入った気持ちになれるので、おのずと期待値が上がっていく。客席を使った演出も非常に多いので、会場全体が「ハイキュー!!」の世界になり、自分もその中の1人だと感じられるだろう。

ストーリー面では、日向の悔しさ、影山の憤り、西谷夕(演・中西智也)と東峰旭(演・河野凌太)の関係性、菅原孝支の心痛(演・野島大貴)など、キャラクター1人ひとりが丁寧に描かれている。「原作のこのストーリーで注目されている人物」がきちんと掘り下げられているので、今後はこの人物のストーリーが展開されていくのだろう…と期待が高まる。

及川徹(演・藤林泰也)と影山の因縁が示唆されてこの先のことを予感させると同時に、金田一勇太郎(演・徳田皓己)と影山の間にあったものはしっかりと解消させているので、観ていて「あれはどうなったのだろう」とストレスがたまらない。

キャストたちはフレッシュな芝居で登場人物たちの“高校生感”を強く感じさせ、今後をさらに楽しみにさせてくれる。次はどんな「ハイキュー!!」の世界を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。

囲み会見へは、日向翔陽役の加藤憲史郎、影山飛雄役の若林星弥、及川徹役の藤林泰也、演出の須賀健太が登壇。本作にかける思いや意気込みなどを語った。

まず、本作の演出を受けることになっての問いに須賀は「稽古が始まってからの1カ月弱、目まぐるしく過ぎていって『1日はこんなにも短いんだ』とあらためて感じました。普段は役者をしているので、新しい形で舞台や表現に向き合った期間でした」と振り返り、キャストたちへは「父性が目覚めました」と笑顔を見せた。

次にキャスト3人へ稽古の感想についての質問がされると、日向役の加藤は「毎日が新しい発見で学びでした。ここまで来るのも早かったですし…楽しいです」と答え、須賀が「大丈夫? (楽しいって)言わされてない?」と突っ込むシーンも。

影山役の若林は初舞台。「劇団員の方々と、部活みたいな感じで楽しく稽古させていただきました」とコメント。及川役の藤林は「暇な時間がないくらい、皆それぞれやるべきことがありました。皆の力でできている舞台だと改めて感じました」と語った。

次に須賀へ、今作の演出についてのポイントや意識したことについて質問が。

須賀は「ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」で日向を演じさせていただいたからこそ、今作のお話をいただけたと思っています。だからこそ、つないできたバトンを渡せるようにしながらも、似たような演出にはせず。(キャスト3人を見ながら)彼らが継いでくれるもの、彼らにしかないものがあります。それらを両方の面から落とし込むのがベストだと考えて、スタッフの皆さんと一緒に演出をさせていただきました」とし、「演出というと、1人でやっているように思われるかもしれませんが、僕が日向を演じていたときから一緒に作ってくれているスタッフの皆さんがいたからこそたどり着けました」と、スタッフたちへの感謝も言葉に乗せた。

改めて本作、劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演の魅力について聞かれると、藤林が「ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」とは違う、というのが大きなテーマとしてあったのを感じています。前作に引っ張られず、個々が思い描くそのキャラクター像を、須賀さんは尊重してくださいました。『藤林が思うように』とおっしゃってくださって。新しく、劇団「ハイキュー!!」として生まれ変わった世界観を楽しみにしていただけたら」と、須賀への信頼を口にした。

若林は、緊張しながらも「前作から観てくださっている方は、『ここは変わっていない』という楽しみ方もできると思います。それから、どの年代の方が観ても楽しいかと。学生時代のことを思い返したり、憲(加藤憲史郎)のようにリアルな年代の方も楽しんでいただける、そういう点が魅力だと思います」。

続けて加藤が「自分の青春時代を振り返れるのが魅力ですね。僕は青春真っただなかです!」とコメントすると、須賀が「僕は青春です! って言えるのいいね!」と笑顔。加藤は「自分で言うのは恥ずかしいですね」とはにかんだ。

キャスト陣へ演出・須賀についての質問が飛ぶと、須賀が「(僕との)関係性が変わってくるよ!(笑)」とプレッシャーをかけ、場内には笑いが。

藤林は「オーディションのとき、役者の方に見られていると思うと、実はめちゃくちゃ怖かったんです。でも、想像の何十倍も優しい方でした。出したものを頭から否定せずに、1回飲みこんでからアドバイスをしてくださる。演出家としてもですし、俳優としても的確に助言をしてくださって、皆やりやすかったと思います」。

若林は「演出家としてはもちろん、いち俳優の大先輩としてアドバイスをたくさんくださいました。初舞台の僕にとって、これからの軸になると思います。本当に頭が上がりません」と感謝を述べた。加藤は「須賀さんの笑顔が大好きです。日向として表現の仕方やセリフなどについてたくさん教えていただいて、頭が上がりません」と信頼を寄せる。

次に須賀へ、あらためて「ハイキュー!!」という作品についての魅力について質問がされると、「すごく共感できる人間ドラマが散りばめられているのが、1番の魅力だと思っています。週刊少年ジャンプ連載のバレーボール漫画、ということで、必殺技が出てきたり派手そうだと想像されやすいのですが、実際に読んでみるとそうではなくて。いろいろな思いを持って集まった子たちがチームになって、バレーボールをとおしていろいろなチームと交流して成長していく。人間ドラマが根本に大きく描かれているので、そこが1番の魅力であり嘘がないというか。人が生きていく中でのいろいろな感情がリアルに落とし込まれているので、演劇にしたときにも嘘がありません。原作自体がリアルで共感性が高いので、それを僕ら人間が演じたら、感情移入できるし、泣けるし、笑えるし、日向も影山も現実世界で飛び回れます。演劇においても親和性の高い作品だと思っていますし、そこが魅力ですね」と熱量たっぷりに語った。

最後に、見どころや意気込みについて聞かれると須賀は「こっち(キャスト)側に立っていたときは、見どころや面白いポイントなどについていくつでも言えたのですが、今はいっぱいいっぱいで(笑)。僕の好きな原作「ハイキュー!!」、体験させていただいたものも含めた演劇における「ハイキュー!!」すべてを散りばめた作品になっていると思います。見どころは、個人的にはオープニングです。開演の瞬間への思い入れが強いです。このお話をいただいたときに、これだけはどうしてもやりたい、とお話しさせていただきました。開演してからの数分間をぜひ注目してください」。

藤林は「劇団、という名前がすごく好きです。泥臭いイメージで、熱量もあって。その名前がしっくりくるような、泥臭くて熱量のある舞台になっていると思います。楽しみにしてください」と締めた。若林は「全員がすごい熱量を持って挑んでいます。その熱を感じ取っていただきたいと思っております」。

最後に加藤が「1人ひとりの思い、部内の雰囲気、試合中の雰囲気を感じていただけたら。お客さまと全員で劇団「ハイキュー!!」を作っていけたらいいなと思っています。ぜひ楽しみにしてください!」と答え、囲み取材は終了した。

公演は8月27日(日)まで、東京・品川プリンスホテル ステラボールにて上演される。

取材・文・撮影:広瀬有希

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公演情報

タイトル

劇団「ハイキュー!!」旗揚げ公演

公演期間・劇場

2023年8月19日(土)~8月27日(日)
東京・品川プリンスホテル ステラボール

原作

古舘春一「ハイキュー!!」(集英社 ジャンプ コミックス刊)

演出

須賀健太

脚本

伊藤マサミ

音楽

和田俊輔

出演

日向翔陽役:加藤憲史郎
影山飛雄役:若林星弥

月島蛍役:灰塚宗史
山口忠役:吉野俊矢
田中龍之介役:熊沢学
西谷夕役:中西智也
緑下力役:益川和久
木下久志役:中村晴彦
成田一仁役:柊斗
澤村大地役:磯野亨
菅原孝支役:野島大貴
東峰旭役:河野凌太

及川徹役:藤林泰也
岩泉一役:鈴木恋
金田一勇太郎役:徳田皓己
国見英役:坂田大夢
花巻貴大役:中原弘貴
松川一静役:上山航平

武田一鉄役:原嶋元久
烏養繁心役:碕理人

主催

劇団「ハイキュー!!」製作委員会

公式HP

https://gekidan-haikyu.com

公式Twitter

@gekidan_haikyu

公式You tube

https://www.youtube.com/channel/UCMWWy6KF5imIq1AbvxlJo0g

(C)古舘春一/集英社・劇団「ハイキュー!!」製作委員会

WRITER

広瀬有希
							広瀬有希
						

金融・印刷業界を経てフリーライターへ。エンタメメディアにて現場取材・執筆の他、日本語・日本文化教育ソフト監修、ゲームシナリオ、ノベライズなどで活動中。感動が伝わる文章を目指して精進の日々を送っています。

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