CONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」が7月13日(木)に初日を迎える。
本作は薫原好江による漫画『ケイ×ヤク -あぶない相棒-』を原作に、立花裕大&長田光平が2人芝居に挑む生演奏×コンテンポラリーダンス×芝居の新感覚な舞台作品だ。
2.5ジゲン!!ではゲネプロの様子をレポート。劇中写真とともに本作の見どころを紹介する。
生演奏とダンスと2人の役者だけで綴られるCONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」。幕で生み出されたステージ上の閉鎖空間は、まるで2人の秘められた関係性のよう。幕が揺らめく度、契約で結ばれた2人の関係の歪さが浮かび上がった。
スーツをパリッと着こなした、ザ・仕事ができる男風の公安捜査官・国下一狼(演:立花裕大)。それとは対照的に顔にかかる金髪が妖艶で謎めいた雰囲気を持つヤクザ・英獅郎(演:長田光平)。捜査官である一狼は、政治家相手に男娼まがいなことをしている獅郎への内偵調査の仕事を言い渡される。
上司から告げられたのは、バイセクシャルである獅郎に近づいて気に入られ、親密な仲になれというものだった。
▲公安捜査官・国下一狼(演:立花裕大)
そんな2人には、とある共通点があった。一狼が長年追っていた謎の失踪事件で行方不明となった先輩捜査官は、獅郎の愛する姉だったのだ。警察すらそうそうに手を引いたこの失踪事件の裏にはなにが隠されているのか。2人は恋人として周りの目を欺きながら、この事件の真相を共に追うという契約を交わし――。
▲ミステリアスなヤクザの若頭・英獅郎(演:長田光平)
契約が、契約だけではない絆へと変容していく。その過程が2人芝居だからこそ表現できる濃度で描かれていった。話が進むなかで、2人はそれぞれ孤独を抱えていることが見えてくる。
立花が演じる一狼であれば、仕事のために多くを手放し犠牲にしてきた。長田が演じる獅郎は、その生い立ちから、自分が得ることができなかった温もりがこの世にあることを知っている。そんな2人が契約を結び一緒に日々を過ごすなかで、その心は微(かす)かに色付いていったのだろう。
2人の些細な感情の動きは、そのまま2人しかいないステージの上にこだまする。さらにそこへ生演奏とコンテンポラリーダンスが加わり、それぞれの心の動きが可視化されていった。
事件の真相を追うというサスペンスの軸に、バディとして信頼を築いていく2人の関係性が掛け合わさったことで、原作『ケイ×ヤク -あぶない相棒-』は実写ドラマ化されるほどの人気を得た。ド派手なアクションが映える作品でもあるが、そこはあえてシンプルに表現し、2人の関係性にフォーカスを当てたことで、捜査官×ヤクザという関係性の妙が際立っていたのではないだろうか。
今回は2人芝居なので、ファンにとってはどの瞬間を切り取っても楽しめる構成になっている。2人はほとんど出ずっぱりのため、頻繁にある衣装チェンジの多くもステージ上で行われるのだが、そういった部分もこの規模感だからこそ楽しめる見どころだろう。
▲それぞれが提案するデートコーデには思わずニヤニヤしてしまう
小道具やセットも最小限の環境で、2人の等身大の芝居がぶつかりあいつながっていく。
一狼の内に燃える正義感と真っ直ぐさは、立花自身の強烈な眼力と親和性が高く、一狼の人物像に説得力を与えていた。一方で、長田はするりと指の間をすり抜けていくような獅郎の掴みどころのなさを好演。どちらも関係が深まるにつれ、不意に子どものような無邪気な表情を見せるようになる。その表情を引き出せるのは、獅郎にとっては一狼だけ、一狼にとっては獅郎だけだと考えると、込み上げてくるものがあった。
ゲネプロ後のカーテンコールでは、立花が各方面へのお礼の言葉を述べ、実に一狼らしい真面目な挨拶をすると、その横で長田が拳を突き上げ「頑張るぞ!」とひと言叫び、劇場に笑いをもたらした。
バディとしての絆はばっちりであろう立花と長田がW主演を務めるCONTEMPORARY STAGE「ケイ×ヤク」は、7月13日(木)~23日(日)まで、東京・Mixalive TOKYO 6F Theater Mixaにて上演される。2人の秘密の“ケイヤク”を覗きにいってみてはどうだろうか。
取材・文・撮影:双海しお
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