舞台『ブルーロック』東京公演が、大阪公演に続いて5月11日(木)に東京・サンシャイン劇場にて開幕。2.5ジゲン!!では、初日にさきがけおこなわれたゲネプロをレポートする。
記事内の劇中写真はみどころをメインに構成しているため、自分の目での初見を大事にしたいファンは、観劇後にレポートを読むなど注意をしてほしい。
ライブ配信概要
■対象公演・チケットリンク■販売期間
・2公演FULLセット
2023年4月14日(金)16:00~5月13日(土)21:00まで
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
2023年4月14日(金)16:00~5月13日(土)21:00まで
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
2023年4月14日(金)16:00~5月20日(土)21:00まで■販売価格
・2公演FULLセット
6,600円(税込)
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
3,700円(税込)■ライブ配信時間
各公演開始30分前~ライブ配信終了まで(予定)■アーカイブ配信期間
・2023年5月7日(日)大阪千秋楽公演
2023年5月8日(月)18:00~5月13日(土)23:59まで
・2023年5月14日(日)東京大千秋楽公演
2023年5月15日(月)18:00~5月20日(土)23:59■DMM.com特設ページ
DMM.com 舞台『ブルーロック』※公演開始30分前からライブ配信視聴ページに入場可能となります。
※詳しい視聴デバイスに関してはサービスサイトをご覧ください。
本作は、「週刊少年マガジン」(講談社)にて2018年から連載中の『ブルーロック』(原作・金城宗幸/作画・ノ村優介)の舞台化作品。
日本をW杯優勝に導けるストライカーを育てるため、“青い監獄(ブルーロック)”に300人の若きフォワード選手たちが集められた。彼らが自分自身のエゴをぶつけあい磨きながら、世界一のストライカーになるために選考(セレクション)へ挑んでいく物語だ。
物語は、主人公の潔世一(いさぎよいち/演・竹中凌平)が、日本フットボール連合から強化指定選手の通知をもらうところから始まる。指定された場所に行くと、潔と同じように集められた大勢の選手たちの前に、絵心甚八(演・横井翔二郎)と名乗る男が現れた。
自分は日本をW杯優勝させるために雇われたと語り、そのためには革命的な世界一のストライカーが必要だと言う。そして、共同生活をおこないながらサバイバルに勝ち抜けと。
はじめは反発していた彼らも、世界一のエゴイストになれと語る絵心の言葉に触発され、全員が“青い監獄(ブルーロック)”の門をくぐることを決める。
世界で1番フットボールの熱い場所、ブルーロックで生き残るのはいったい誰なのか、そしてそこでは、どのような選考がおこなわれるのか…?
舞台は序盤から、疾走するかのごとく進んでいく。怒涛のように言い連ねる絵心の演説に自分の中のエゴイズムを目覚めさせ、ブルーロックへの扉に駆け込んでいく少年たち。入寮時の「オニごっこ」、一次選考のV・W・X・Yチームと潔が属するZチームとの総当たり戦。
しかし、潔の県大会決勝でのパスによる後悔や千切豹馬(演・佐伯亮)のトラウマからの脱却など、彼らの心理面もクローズアップしている。
ときおりふっと笑えるシーンが差し込まれるなど、緩急がありながらも“緩”の部分で話のペースが落ちることはない。常にトップスピードで2時間10分ほどが過ぎていく。
良い選手ではあるものの、周りに比べれば…と思っていた潔。しかし“世界一”になるためには生まれ変わらなければいけない、そのためには自分より強い相手を倒す、と「オニごっこ」で、最初の殻を破った。
この時点で、気持ちがたかぶってはいるもののまだ自分の中にあるものの存在に気づいてはいない。話が進むにつれ、相手を蹴落として勝ち残ることに気持ちよさを覚え、武器を得て覚醒していく。その成長と表情の変化に注目だ。
潔を演じる竹中は、自身の持つ少年性と、潔が内面に持つ強気さや好奇心などが見事にマッチ。周りを巻き込みながら、階段を駆け上がるように成長していく潔としてハマり役だ。潔がだんだん自分の持つエゴと武器に気づき、自信を持って選考へチャレンジしていく様は観ていて心躍る。
チームZにおける潔の初めての友人とも言える蜂楽廻(ばちらめぐる)を演じるのは佐藤信長。天然で不思議な空気を持っているが、周りに流されずやる時はやる、切り込み隊長のような蜂楽を好演。ドリブルのうまい蜂楽らしく、フィジカル面での表現ももちろん注目ポイント。
ヒーローになるためにサッカーをしている、正々堂々とした誠実な男・國神錬介を演じるのは松田昇大。見ていて癒される、顔全体で笑うようないつもの笑顔は封印。無愛想、しかし性格は律儀で、強靭なフィジカルを持つ國神を印象的に演じていた。その男っぷりに、世界中が國神を好きになってしまう。
言動や容姿に加え、長い髪のケアを怠らないなど「お嬢」と呼ばれるほどの美形だが、中身は負けず嫌いで周りと同じく世界一のストライカーになりたいと夢を持っている千切豹馬。演じる佐伯亮は、千切の激情と、右足負傷の苦しみから脱却を熱演。
特に、鰐間淳壱(演・船木政秀)と鰐間計助(演・川井雅弘)の鰐間兄弟と対戦するW戦では、本作のもう1人の主人公とも言えるほどの活躍を見せる。
他チームの実力者たち。チームXの馬狼照栄を演じるのは井澤勇貴。井澤自身の持つ演技力とフィジカルの強さを存分に発揮し、自身を「キング」と称するほどの自信家、しかし実力は確かな馬狼を「この人しかいない」と感じさせるほどの演技で魅せてくれる。
チームVの剣城斬鉄(演・益永拓也)、御影玲王(演・菊池修司)、凪誠志郎(演・小坂涼太郎)。
俊足、冷静。しかし頭脳は残念の斬鉄(伊達メガネ)。斬鉄と千切とのスピード対決はハイライトの1つと言える。
すべてに恵まれた御曹司、万能型のオールラウンダー・御影玲王。だからこそ、チームが苦境に立たされたときの、驚きと苦悶に満ちた表情が印象的だ。玲王もまた、この試合で自らの殻を破って成長を見せる。菊池のまっすぐな芝居が、玲王の精神的な幼さを、より痛みを持って観客に伝えている。
天才・凪誠志郎。ルーズで面倒くさがりでいつもぼんやりしているが、サッカーの技術、特にトラップ力が並外れている。演じる小坂は、まずビジュアルから二次元。ゆらゆらとした普段の動きから、覚醒したときの表情、試合後に初めてサッカーを面白いと知ったときの雰囲気の変化に注目してほしい。
世界観の説明と同時にストーリーテラーの一端も担う、絵心甚八役の横井翔二郎。他の人物は「現実世界の人間として生きている」と感じるが、絵心に関しては「本人が漫画やアニメからそのまま出てきた」ようだ。よどみなくまくし立てるようなセリフ回し、人であって人でなさそうなサイコパス感。
しかし、要所要所で「才能の原石共よ」と現れては、少年たちへ次の課題でのヒントを伝えていく。言葉は辛らつだが、本心からサッカー界を強くしようと願っている人間なのだと思わせてくれる。
全力で走りながら、ボールを蹴りながらの早口のセリフの応酬。だからこそ、彼らの必死さが伝わってくる。負ければ後はない、今後の未来も絶たれてしまう。他のメンバーを蹴落としてトップに上がるしかなくなった彼らのサッカーに懸ける思いは、観客を興奮の渦に巻き込んでいくだろう。
サッカーシーンは、基本的にはボールは「エアー」だが、シーン冒頭や要所でしっかりと現実のボールを使用している。ボールの存在が頭にすりこまれるので、見ていて偽物感は覚えない。役者たちは、サッカーの実力者を演じるにあたって努力したことだろう。
試合シーンや場面の転換、心理描写には、可動式のパネルを多用している。ここにプロジェクションマッピングでさまざまな情景が映し出されるので、大きなセット転換がなくとも多くの情報が伝わってくる。
中央に固定された大きな八百屋舞台の芝生セット、そこへ稼動八百屋を左右や中央下に組み合わせて動きに変化をつけている。運動量が多く、激しい舞台だ。怪我には気をつけてもらいたい。
原作のストーリーはまだまだ先まで続いている。この先の彼らの成長を見守るためにも、ぜひ続いてほしい作品だ。
東京公演は、5月14日(日)まで。
取材・文・撮影:広瀬有希
広告
広告