「ツキプロ。」シリーズのうち、まだ舞台化されていなかったALIVEの物語が、2019年5月15日(水)、ついに草月ホールで動き出した。
初めて2.5次元化されるGrowth。そのはじめの一歩となる2.5次元ダンスライブ「ALIVESTAGE」Episode 1 Let us go singing as far as we go: the road will be less tedious.- 歌いながら歩こうよ -(通称「イブステ」)のゲネプロの様子をお届けする。
また、筆者は初日公演も個人的に観劇した。ゲネプロとはまた違った初日ならではの熱も乗せて、大ボリュームで見どころを紹介していきたいと思う。
全体の構成はほかのツキステ。やスケステの2.5次元ダンスライブシリーズと同様に、1幕に芝居パート、休憩を挟んでの2幕のライブパートとなっている。
今回シリーズ初観劇というファンは、公式Twitterが諸注意をわかりやすく説明してくれているので、事前に読んでから劇場で出かけよう。
もくじ
優しさに包まれたGrowth絆の物語〜芝居パート〜
Growthはツキノプロダクションに所属しているユニットのなかでも幻想的で民族的な音楽を得意としている。
これまで声優陣によるライブイベントなどでも、Growthのフォークロア調の楽曲は異彩を放っていた。
そんなGrowthを今回ついに舞台化するということで、どんな作風になるのだろうかとワクワクしながら観劇に挑んだ。
※この先、芝居パートのあらすじなどに触れてしまうため、まっさらな気持ちで観たいというファンは、自身の観劇を終えてからゆっくり読んでもらえたら、と思う。
物語はすでに売れっ子として活動している、結成からしばらくが経ったGrowthを軸に進んでいく。
1枚目のドラマCDで描かれた結成までの出会いを織り込みながら、Growthの3人とZIXとの関係なども盛り込まれている。
そこに、藤村衛(岩佐祐樹)をめぐる、あるトラブルが舞い込んでくるのだが――。
Growth4人、そしてZIXの2人。全部で6人のアイドルたちが登場するが、今回はプロローグを挟んですぐにライブパートが始まる。
各メンバーの自己紹介や2つのグループの関係性などを、この音楽番組の公開収録という名のライブで掴むことができる。
ZIXとの関係性は、2枚目のドラマCDを聴いておくとさらに分かりやすいので、もし予習するなら1枚目と2枚目を聴いておくことをおすすめしたい。
また、このライブシーンでは、ツキステ。ファンなら思わずニヤッとしてしまう名司会者のショーン(鈴木翔音)が登場する。
突然のライブに戸惑う観客を、彼があふれるパッションとともに誘導してくれるので安心してほしい。
ちなみにこのライブシーン、GrowthとZIXで2曲ずつ披露するのだが、スタンディングOK・サインライトOKとなっている。
芝居パートでサインライトを使うのはこのシーンのみだが、1幕始まってわりとすぐに使用シーンがやってくるので、取り出しやすいところに置いておくといいだろう。
Growthを印象づけるあの2曲を披露。
幻想的な世界観から一転、ロックでダンサブルなZIXが登場する。
お披露目も兼ねたライブシーンが終わってから、物語は本筋へと進んでいく。
人気プロダクションに所属するアイドル達の物語として事前に想像していたものが、筆者は今回いい意味で裏切られた。
劇場で目にしたのは、素朴さと優しさにあふれた作品であった。
木々が光合成をしてゆっくり育っていくように、Growthが日々を重ねながら絆を深めていく姿がステージには描き出されている。
アイドルというアイコンを背負った姿とは違う、ひとりの人間としての人となりに丁寧に光を当てているように感じた。
Growthが結成時に掲げた思いが、どのように彼らのなかに息づいているのか。それを感じられる時間となるだろう。
さて、この後は各キャラクターの見どころを熱い感想つきで徹底解説していこうと思う。
衛藤昂輝(塩澤英真)
まずはGrowthのリーダー衛藤昂輝(塩澤英真)。
他メンバーから天然と称される彼は、つねにプリンス系なマイナスイオンを放っていた。
一歩引いて「うんうん」と小さく頷く仕草がとても昂輝らしく、常に美しい姿勢での立ち姿に目を奪われるだろう。
いざというときには核心をつく冷静さと、涼太いわく“フワフワっとした”浮世離れしたカリスマ性。
どちらも嘘くさくならない範囲で演じられていて、塩澤の器用さを感じた。
日替わりシーンでは、塩澤のお茶目な一面が出ているとか出ていないとか!?
ぜひファンは楽しみにしていてほしい。
八重樫剣介(石川翔)
次はGrowthの元気印・八重樫剣介(石川翔)。
ぴょこぴょこと動き回る姿が可愛らしく、メンバー間であっちに行ったりこっちに行ったりと大忙しだ。
石川翔にとって初の2.5次元舞台、しかもこれだけのメインキャストでの舞台出演は初めてとなる。
ゲネプロではかなり緊張した様子で、手が震えている姿も見受けられた。
しかし、剣介として元気いっぱい動き回っているうちに、自然な笑顔が増えていったのが印象的だった。
初日公演では、堂々とした姿でステージをところ狭しと動き回っていたので、多くの観客のハートに記憶が刻まれただろう。
サインライトが揺れる客席を眺めて、本当に嬉しそうに太陽のような笑顔をみせてくれた。
くりっとした大きな瞳で客席を見渡し、ニコニコと手を振る姿に虜となるファンが続出しそうである。
桜庭涼太(三谷怜央)
そんな石川とのいいコンビを発揮していたのは、桜庭涼太役の三谷怜央だ。
天然キャラにポジティブ思考、お人好し……そんなメンバーのなか、クールで現実的な感情をチラっとみせてくる役どころだ。
基本的にはクールな言動が多いが、メンバーの前ではこっそりデレたり、照れ隠しをしたりと、キュンとするシーンがつまっている。
また、彼が早口でまくしたてるシーンは、会場の笑いを誘っていた。千秋楽まで噛まずにいけるのか、毎公演観るファンは見届けてみてはどうだろうか。
もうひとつ、日替わりシーンでの彼にも注目してみてほしい。
三谷に流れる関西人の血が騒ぐのか、とても生き生きと無茶振りを仕掛けて楽しそうにしていたのが印象的だった。
またダンスシーンは圧巻。
長いことダンスの世界で勝負をしてきた三谷の技術が、Growthという木々に華麗な花を添えていた。
藤村衛(岩佐祐樹)
Growthの作曲を担当する元サラリーマンの藤村衛(岩佐祐樹)は、今作のキーパーソンといえる。
とても自由で、どこまでも優しい。
子供のころから芸能界で活動してきた他3人と違って、つい最近まで一般人だったという設定を、人懐っこい笑顔と、少しどんくさく見える動きでうまく表現していた。
彼の過去の出来事もメインストーリーに関わってくる。
ファンはハンカチを用意して挑んだほうがいいかもしれない。
家も家族も持たない彼が、ようやく見つけた大切な唯一無二の居場所、Growth。
その場所がどれだけ特別なものなのか、ストーリーのなかで感じられるだろう。
ZIX & オリジナルキャラクター
▲この格好の正体は……
Growthの紹介が終わったので、次にZIXの見どころを紹介したい。
須貝誠(五十嵐拓人)は圧倒的な高身長と小顔で存在感を放っていた。
低音ボイスの再現度が高く、思わず「イケボ」と心のなかで感嘆をもらしてしまったほどだ。
それでいて、昂輝とのやり取りは分かりやすいツンデレを発揮するのでとても可愛い。
相棒の菱田満(山根理輝)との息もバッチリあっていて、2人の登場シーンはシルエットだけでその格好良さが伝わってきた。
その満は涼太との舌戦が見どころ。
いつか2人をメインにした物語も観てみたい、そう思わせる2人の完成度に注目してほしい。
今作のオリジナルキャラクターである飯島(倉貫匡弘)と門脇(鈴木翔音)が、実はかなり重要な役を担っている。
2人のどっしりとした安定感のある演技が、ふわりとした空気感を纏うGrowthに対していいアクセントになっていたように思う。
圧巻のライブパート! 一風変わったコーレスも爆誕!?
今回、セットリストのネタバレはできないのだが、そのかわりライブの興奮を切り取ったライブ写真を多数掲載している。
どの写真がどの楽曲か、まだ観劇していない人は想像しながら楽しんでもらえたら嬉しい。
初期の楽曲やソロ曲なんかを予習しておくとより楽しめるだろう。
後半ではメンバー考案のコール&レスポンスも登場する。
「藤ー!」\藤ー!/
「樫ー!」\樫ー!/
「桜ー!」\桜ー!/
「ファンのみんなとー!」\一緒にGrowthー!/
一瞬「え?」と戸惑ってしまう、一風変わったコーレスが出来上がっているので、全力で声を出してGrowthとの一体感を味わおう。
ついに第一歩を踏み出したGrowthに会えるイブステは、5月15日(水)から19日(日)まで草月ホールで上演。5月の新緑にも負けない、彼らの息吹を劇場で感じてほしい。
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