HIPHOPメディアミックスプロジェクト『Paradox Live』を原作に、2021年に始動した「パラステ」こと『Paradox Live on Stage』。その最新作となる『Paradox Live on Stage vol.2』の幕が3月9日（木）に上がる。物語はいよいよファイナルバトル。原作でおなじみの楽曲が、今回はどんな“幻影”となってステラボールのステージ上に立ち現れるのだろうか。
2.5ジゲン!!では本番を前に実施されたゲネプロ及び囲み会見の様子をレポート。原作ストーリーを追っていないというファンのためにも、ネタバレは避けて本作の見どころを紹介していこうと思う。
会場に入ってまず目に飛び込んできたのは初演でもきらびやかにステージを照らしたミラーボールだ。今作も初演に続き、熱く魂揺れるパフォーマンスが楽しめるに違いないという予感がふつふつと湧き上がってくる。
幕開けと同時に、全4ユニット総当たりのSTAGE BATTLEがクライマックスを迎えようとしていること、全ユニット1勝1敗の鎬を削るバトルにこれから決着がつくことが紹介される。そして観客を煽りまくる4ユニットの登場とともに、舞台オリジナル新曲「Here We Go」がオープニングを飾る。
今回の新曲も、原作で多くの楽曲を手掛けるクリエイター陣が製作している。オリジナル楽曲ながらも根底に流れる「パラライ」感が、ヘッズ（観客）の心に火を灯すことだろう。
オープニングアクトの圧に気圧されている間に、物語は静かに、けれど大きな波乱を含んで動いていく。
原作7枚目シングル「Paradox Live Stage Battle “LOVE”」での矢戸乃上那由汰（演：大崎捺希）と闇堂四季（演：輝山立）を中心としたcozmezとThe Cat’s Whiskers、8枚目シングル「”VIBES”」での燕夏準（演：小南光司）と翠石依織（演：武子直輝）を中心としたBAEと悪漢奴等。それぞれの間で起きた出来事を縦軸に、そしてSTAGE BATTLEの決勝戦を描くライブパフォーマンスを横軸に、トラウマという痛みを抱えながらも自分たちの存在を証明するかのようにラップで魂をぶつけるあう者たちの姿が鮮烈に描かれていく。
▲矢戸乃上那由汰（演：大崎捺希）と闇堂四季（演：輝山立）
▲燕夏準（演：小南光司）と翠石依織（演：武子直輝）
印象的だったのは、初演やライブ公演などを経て洗練されたパフォーマンスのクオリティだ。それぞれのキャストとキャラクターとの親和性が、初演時よりいっそう深まっていた。それをオープニングでガツンと体感させてくれるので、その後のストーリーも各キャストが演じるキャラクターに対して、圧倒的な信頼を寄せた状態で楽しむことができた。
以前実施したインタビューで、朱雀野アレン役の佐奈宏紀は、パラステのことを体育会系のノリの人が多く熱いカンパニーだと語ってくれたが、情熱的な切磋琢磨の末に生まれたパフォーマンスはまさに天井知らず。ゲネ時点でこれなら、観客が入り千秋楽まで走りきったあかつきには、彼らは一体どこまでいってしまうのか。そんなことが頭を過るほど、初演をはるかに超えた内容に仕上がっていることを肌で感じた。
続投キャストが多い中、西門直明役の竹内良太と矢戸乃上珂波汰役の土屋直武が今作から新たにカンパニーに加わる。
竹内は原作でも同役を演じているので、声を発した瞬間にヘッズは「ドラマCDで聴いた事ある！」と感動を覚えるだろう。セクシーでダンディーな西門先生の低音は、The Cat’s Whiskersのパフォーマンスに深みを与える。若者たちを優しく包み込み教え導く先生の雰囲気と、唯一の原作キャストとして「パラステ」に参加する竹内自身の立ち位置とは重なる部分も多く、これ以上ないほど説得力のある西門先生となっていたのが印象的だ。
今作のThe Cat’s Whiskersは、四季の苦悩にスポットが当たる。包容力と一歩引いた距離感で見守る西門と神林匋平（演：安里勇哉）の大人組と、摩訶不思議な思考回路な棗リュウ（演：堀海登）、そして四季との、ろうそくのような温もりある絆が再確認できるだろう。
▲ジャジーな大人のムード漂うThe Cat’s Whiskers
珂波汰役の土屋は、ニコイチの那由汰を演じる大崎との抜群のコンビネーションを披露。力強い眼差しには、何にも屈せず大事な弟を思い続ける信念が灯ると同時に、弟への深い愛も感じさせた。土屋はダンス＆ボーカルグループAVESTのメンバーとして数多くのライブステージを踏んでいるとあって、魅せ方も見事。大崎とともに誰も入り込めないcozmezだけの濃厚な空間を作り上げていた。大崎に関しては、輝山とともにストーリーパートの見どころとなる部分も牽引しているので、こちらもぜひ注目を。
▲2人だけの世界を作り上げるcozmez
おカシラこと翠石依織が引っ張る悪漢奴等は、相変わらずパフォーマンスが熱い。客席煽りは相変わらずエグく、曲調も相まって会場全体のバイブスを上げまくっていた。若命っぷりにニコニコしてしまう雅邦善（演：川上将大）、喋らずとも抜群のスタイルと不思議な存在感を放つ征木北斎（演：稲垣成弥）、ステージ上を元気に駆け回るピュアヤンキー伊藤紗月（演：小林竜之）、かわいさぴかいちの円山玲央（演：神越将）と、鮮やかに賑やかに作品を盛り上げる。
今作で初披露となる「A.K.Y.R -悪漢奴等 Go over da TRAP-」は、囲み会見で武子もかっこいいと太鼓判を押していたので、ぜひ劇場で彼らの睨みの効いた音に身体を委ねながらノッてみてほしい。
▲5人と最多人数ならではの分厚いサウンドが魅力の悪漢奴等
そしてラストはBAE。太陽のような佐奈が演じる主人公感あふれるアレンを筆頭に、小南の夏準、立道梨緒奈のアン・フォークナーと、磨きのかかった三位一体感を披露。ストーリー面でも、3人の絆を再確認させてくれるので、BAEのヘッズはお楽しみに。
▲今作はとくに絆を感じられるエピソードが登場するBAE
ヘッズ待望の新作となる『Paradox Live on Stage vol.2』。醍醐味はなんといっても原作楽曲を贅沢に使った幻影ライブだ。ステージ上に組まれた立体的なセットは、ライブが始まればたちまち幻影を生み出す装置に。そこにキャストのパフォーマンスが重なり、観客はヒップホップの世界へと誘われるだろう。
今回、本編後には日替わりシャッフルチームによるスペシャルライブも実施される。詳しい規定は公式サイトで確認してほしいのだが、本作ではライブパートでの声を出しての応援が解禁されるとのこと。これまで声無しであれだけ盛り上がってきた「パラステ」に、歓声が加わったらどんな色を放つ作品になるのか。ヘッズも作品を成す1つのピースの心持ちで劇場に向かってみてはどうだろうか。
4人のリーダーが見どころを紹介！ 囲み会見レポート
ここからは囲み会見の様子をお届けする。各ユニットのリーダー4名が登壇し、作品への意気込みや見どころを語ってくれた。
――稽古を経て、初日を迎えた今のお気持ちをお願いします。
佐奈宏紀：初演からライブを経て、今作の稽古に入ったんですが、改めてこのメンバーが僕にとってすごく大事な存在なんだなと感じました。僕の大好きな宝物みたいなメンバーたちと、こうして無事全員で初日を迎えられたことを本当に嬉しく思っています。
竹内良太：僕は今作からの参加ということで、緊張から始まったんですが、稽古が進むにつれ、TCWをはじめ他のメンバーとの絆も深まりました。そのなかで今日を迎えたということで、今は楽しみでしかありません。
僕としてはボイスドラマを経て舞台にも出させていただいて、両方の架け橋になれたということは、自信を持って言えるかなと思っています。
土屋直武：僕も今作から参加させていただいた1人なんですが、本当に最初はプレッシャーと不安と緊張しかなかったです。でも、稽古を重ねるごとにキャスト、スタッフを含めたカンパニーの皆さんが自信をくださって、今は自信を持って堂々と珂波汰くんとしてステージに立てると思っています。なので、それを観ていただけたらと思います。
武子直輝：初演に続きライブ、ステフェスをやって。それぞれが自分たちのチームの絆を深め合っていったり、新しい風が入ってきたり、どんどん進化していく「パラステ」の中でより一層チームとして、カンパニーとしての一体感が生まれたのではないかなと思います。なので、自信を持って全力で臨ませていただきたいと思います。
――ご自身の見どころ、また他のユニットの「ここはすごい」と思うところを教えてください。
佐奈：僕は全体曲じゃなくてチーム曲の1曲目。もうその入り方からしてすごいんですよ。言ってしまうとTCWの曲なんですが、もう僕はそれを聴いて、声の圧でこんなにも食らっちゃうんだ、みたいなのをすごく感じて。
土屋：ストーリーからの入り方もすごくいいですよね。
佐奈：そう。だから、あの曲はすごい見どころだなと思います。自分のチームで言うと、今回は特にアンちゃんがすごく輝いてるなと思っていて。アンちゃんの持ってる宝石の部分を遺憾なく発揮していると思うので、そういうとこも見てあげてほしいと思います。
竹内：TCWでは匋平のお芝居がもう男前だなぁと。その言葉に触れる四季くんやリュウくんの内側から出てくる感情みたいなものを、TCWではすごく大事にしていて。僕たちTCWって適度な距離感を保つユニットだと思っていて。あまりこうがっつりとファミリーっていう感じではないと思うんですけども、だからこそ、匋平から始まるセリフの中で、どんどん距離が縮まったりしていく部分は、今回はとても魅力的だなと思っています。
▲四季（演：輝山立）に声をかける匋平（演：安里勇哉）
他のチームだと、直武くんの珂波汰になったときの眼力がすごいなと。信念の強さが牙みたいで、観ているこちら側の心が震えるんですよ。これは本当にみなさんに観てほしいな。
土屋：（照れくさそうに）ありがとうございます。cozmezって多分他のチームと比べたら静かというか。盛り上げるより魅せる、クールに決める曲が多いと思うんです。そこがやっぱcozmezの良さだと思っています。もちろん盛り上がっていただきたいんですけど、逆にペンライトを振るのを忘れるぐらい聞き入ってもらえたら嬉しいです。
他のチームで言うと、他にはない色を持つ悪漢奴等ですかね。もう稽古場から、自分の歌でこんなことやることはないんですけど、ずっとこうやって（ハンズアップしながら）ノッて楽しんでいたんですよ。皆さんも同じ感覚になっていただきたいなって思います。
武子：僕は「Here We Go」ですね。パラステ2個目となるオリジナル新曲です。初演の時は「Rap Guerrilla」という原作曲が全体曲としてあって、それが始まりを象徴するような曲になっていました。今回はオリジナルの「Here We Go」で始まるということで、「パラステ」が大きく動き出した瞬間なんじゃないかなって。そこに立てていることがすごく嬉しいですし、みんなと一緒に盛り上がれる1発目の曲なので、キャストも皆さんも絶対楽しめるものになっていると思います。
悪漢奴等の曲で言うと、今回「A.K.Y.R -悪漢奴等 Go over da TRAP-」を初めて披露させていただくんですが、激ムズ曲で！ 最初みんなで頭を抱えていたのですが、めっちゃ練習して、振りもついて、歌も完璧にした状態で、いざやったらすごくかっこよくて。今はもう本当に自信を持って、この曲を早く披露したいという気持ちでいっぱいです。
――本番に向けての意気込みとともに、ファンの方へメッセージをお願いします。
佐奈：色々経てきたというのもあって、今回は結構稽古の進みも早くて。自分たちの持ってる武器もきっと各々自覚していて、それを個人個人で磨いていく。その姿を見ていて、僕の個人的な感想なんですが、1人1人がそれぞれ違う宝石みたいに見えてきました。ルビーだったり、サファイアだったり、エメラルドだったり。いろんな宝石の子たちがいるなと思って。各々がそれを存分に生かして、輝いてるような作品になったんじゃないのかなと思うので、そんな宝石たちのライブを、ステージを楽しみにしていてください。
竹内：コメントすごいうまいね、びっくりしちゃった。
僕として1番嬉しいことは、ボイスドラマの収録はやはりみんなで録ることって少ないんですけど、「パラステ」ではみんなと実際に手を合わせられるし、実際に肌で感じられる。そのことが僕はすごく嬉しくて。パラステファンの皆さま、そして原作からずっとファンだったヘッズの皆さまもいらっしゃると思うんですけども、双方、立体的に立ち上がるキャラクターたちを、目で耳で、そして心で楽しんでいただければなと思っています。
土屋：ステフェスを見させていただいた時に、生のパラライ、パラステの良さを肌で感じて、それを今回自分がやるということで。歓声もオッケーということなので、ペンライトとか応援グッズを持ってライブを楽しんでいただけるのも魅力の1つだと思っています。観劇っていうより、本当にライブを楽しむ感覚で来ていただけたらと思います。それぐらいの熱量とパフォーマンスですので、それを楽しんでいただきたいです。
武子：どうも宝石です（笑）。原作でも人気のストーリーを抽出していて、僕が聞いていて電車で号泣してしまった、まさにそのストーリーを今回できるということで。稽古でも泣きそうになるというか、かなりぐっとくるようなシーンがあったので、お客さまもきっと物語にすごく引き込まれていくんじゃないかなと思います。ライブでは今までやっていない曲も多数させていただくということで、より一層バイブスをあげて、この舞台を皆さまに楽しんでいただけたらと思っています。バイブスをバチバチにあげて、ワンワン泣いて、楽しんでください！
©Paradox Live on Stage2023
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