魅力的なキャラクターたちがトラウマを抱えながらも音楽で自らの存在証明をしようとステージバトルに挑むドラマ性と、完成度の高いライブ・パフォーマンスとが融合した、舞台「Paradox Live on Stage」。
その第2弾となる「Paradox Live on Stage vol.2」が3月に上演決定。多くのファンを熱狂させた作品の最新作とあって、ファンの注目を集めている。
今回、2.5ジゲン!!では原作ボイスドラマで朱雀野アレン役を演じる梶原岳人、そして舞台で同じくアレン役を演じる佐奈宏紀による対談インタビューを実施。
アレンを演じる2人の役者に、それぞれの視点から作品やアレンの魅力について語ってもらった。役作りについてお互いの解釈を熱く語り合うという、ファンにとっては夢のような対談を、ぜひ堪能してもらいたい。
――原作・舞台を通じて感じる「パラライ」の魅力はどんなところでしょうか。
梶原岳人:この「パラライ」は音楽が軸にあって物語が進んでいくのですが、それまで僕はほとんどHIP HOPに触れたことがなかったんですね。作品に取り組むにあたってHIP HOPの勉強もいろいろとして、僕の中の音楽の間口を広げてくれた作品だなと思っています。
音楽単体で聴いてもアーティストの楽曲だと感じられるくらい、楽曲もパフォーマンスもしっかり作り込まれているので、僕にとっても聴いてくださっているファンの方にとっても、音楽の道を拓いてくれた作品なんじゃないかなと。なので、すごく出会えてよかったと感じています。
佐奈宏紀:まだ“進化”を残しているのが、いまの「パラライ」の魅力なのかなと思っています。キャラクターと音楽、そしてドラマCDから動き出したものが、舞台化をして今度はアニメ化も決まって、どんどん進化していっているし、いま僕たちはその進化の途中にいるんだなというのを感じていますね。
梶原:いくつ魅力を隠しているんでしょうね。
佐奈:今ってきっとまだ序盤だと思うんですよね。進化第2段階くらいじゃないですか?
梶原:たしかに(笑)。まだこれからいろいろ変身してくれそうですよね。
佐奈:最終形態にたどり着くまでまだまだ進化するんじゃないかと。なので、いまから「Paradox Live」に触れても、作品ファンの古参になれると思うんですよ。そういう意味でも、いまが“推しどき”なコンテンツだなと。
これからきっと、原作側もまだまだユニットだったり楽曲だったりと進化していくと思うし、それに伴って舞台も一緒に盛り上げていけたらいいなと思うし、いろんな方向に“進化”の余地を残しているコンテンツなので、そこが魅力だと思っていますね。
――では、アレンの魅力についてはいかがですか。
佐奈:アレンに関しては、僕は「パラライ」で1番物わかりのいい人物だと思っています。
梶原:話が通じる子だよね。
佐奈:ツンデレと紹介されがちで実際そういうところもあるのですが、なんだかんだいってアレンが「1番話がわかるヤツ」だと思っています。でも芯があるんですよね。「俺の音楽で俺を証明する」というキャッチコピーが表しているように、ブレないところのある男の子なので、そこがかっこいいし魅力だと思います。
梶原:アレンは親にレコードを燃やされたというバックボーンがあって、それがトラウマとなってずっと残っていて。抑圧された環境から抜け出すため、自分を否定してきた親に自分自身を表明するため、世の中に自分という存在を証明するためという、彼の芯にあるものが僕はすごく好きなんです。
僕もこうして生きているからには、世の中に何かを残したいと思うし、1回きりの人生で自分にしかできないことをやっていきたいと思うので、アレンの心意気にはすごく共感する部分があります。
――舞台はこれから「vol.2」の上演を控えていますが、初演の手応えはいかがでしたか。
佐奈:やっぱり舞台もまだまだ進化を残しているなと感じていますね。初演ということに加え、ラップに触れるのが初めてというキャストも多かったので、キャスト一丸となって手を携えながら切磋琢磨しあって、よい作品にしようと走っていました。
もちろん本番が始まってお客さんが入ったことで手応えを感じたのですが、それよりも、もう稽古場から体育会系みたいな熱量あるノリで「これは絶対いいものになるでしょ」という手応えがありましたし、それくらい頑張りました。
――梶原さんから見た「パラステ」のアレンの姿はいかがでしたか。
梶原:自分が演じたアレンとはまた違う、「こういうアレンもいるんだな」っていう感覚で、自分の演じるアレンにも還元されるものがすごく多かったです。まだ実際に劇場では観れていないのですが、生で観たらよりいっそう深まると思うんですよ。やっぱり自分の解釈は自分の中にしかないけど、佐奈さんは佐奈さんでまた別に彼なりの解釈をもってアレンを演じているのがすごくおもしろくて。原作と舞台、2人の役者が己の軸を持って演じる意味というのを感じました。
――佐奈さんはアレンの役作りで、梶原さんのお芝居からどんな要素を受け取りましたか。
佐奈:“主人公感”ですね。それはもちろん梶原さんがもともと持っている声質もあると思うのですが、それは僕の演じるアレンにも引き継ぎたいなと思ってすごく意識しましたね。
梶原:そう言ってもらえるとすごくうれしいですね。
――せっかくの機会なので、原作でアレンを演じる梶原さんに佐奈さんから聞いてみたいことがあればぜひ!
佐奈: 僕の解釈では、アレンを演じる上で“切り替え”がすごく重要だと思っていて。誰に話しているか、何について話しているかによって、アレンってけっこうガラッと対応が変わるようなところがあると思っているんですね。
ドラマCDで衝撃だったのが、アレンの西門先生に対する態度で。教授というのもあると思うのですが、それにしてもめちゃくちゃ敬語で誰が見てもわかるリスペクトを出していて。そのわりに、神林に対してはリスペクトがありつつもけっこうグイグイいくじゃないですか。
梶原:確かに…。
佐奈:そういう切り替えはあるけど、でもアレンの芯の部分は変わらないはずじゃないですか。そこの切り替えの塩梅(あんばい)っていうのは、どういう意識で作っていくといいのかなっていうのを知りたいです。
たとえば、各人物との距離感みたいなのをグラフにしてみたらいいのか、それとも行動パターン別で箇条書きにしたら掴めるのか、とか。なんでその切り替えが生まれているのかっていう部分が気になっています。
梶原:う~ん、難しいところですけど…。多分言葉にできるものではない気がしていて。たとえば相手へのリスペクト度合いもあると思いますし、あとは上辺じゃなくて心の深いところでつながれると感じる相手に対しては、わりと近い距離感で話せると思うんです。ほかには、相手への興味の度合いも関係しているのかな。そのあたりは佐奈さんもそうやって演じてらっしゃるんじゃないでしょうか。
佐奈:確かに同じように僕も感じながら、演じているかも、とお話を聞きながら感じました。あと1つ、僕の中でどっちかにしたいなと思っている部分があって、それもお聞きしたいです!
梶原:はい!
佐奈:アレンは人との関わりにおいて、自分から積極的に「行く」のか、「行かない」のか、っていう部分ですね。「こいつ最高!」って思う人に対しては、ズカズカ踏み込んでいけるのかどうか。僕はけっこう積極的にいくという側で解釈しているんですけど…。
梶原:そこは僕も「行く」だと思っています。
佐奈:やっぱり! 「行く」でですよね!
梶原:アレンって顔色をうかがったり配慮したりもできる子だと思っているんだけど、好きなことに関してはそういうのも無視してガッと行くんじゃないかなと。空気も読めるけど、読まないときもある、そんな子だなと僕は思っていますね。
佐奈:は~なるほど。やっぱりアレンって賢いですよね。
梶原:そうですね。周りをよく見ている子だと思います。
――アレンを演じる者同士での意見交換、贅沢な空間ですね。
佐奈:本当にそうですよね。今日でアレンへの理解もすごく深まりました。また悩むことがあったら梶原さんに電話して聞こうと思います(笑)。
――すっかり仲良しですね!
佐奈:はい! 今日がはじめましてですが、すっかり仲良くなりました。
梶原:たくさんおしゃべりできましたね。佐奈さんにはなんだか自分に近いものを感じますね。
佐奈:僕も事前に梶原さんのYouTubeを拝見して、なんとなく雰囲気が自分に似てるなって思っていたんですよ。
梶原:そうなの(笑)?
佐奈:周りからも「2人は似てるよ」「会ったらきっとツッコミ不在でおかしなことになるよ」って言われていて。実際にこうしてお会いしてお話してみて、言われた通りだなと思いましたね。
梶原:確かに(笑)。
佐奈:多分お互い、ふざけ続けるタイプなんだと思います。でもなあ…(梶原さんを凝視して)僕よりちょっと独特な方だと思います(笑)。1回笑いだすとこっちに戻ってきてくれないし!
梶原:そうなの。僕すぐ笑っちゃうし。思い出し笑いしちゃうんだよね(笑)。
佐奈:すぐ話が脱線しちゃうけど、おかげで今日は一緒にいてすごく楽しかったし仲良くなれたと思います。
――仲良しな雰囲気がこの短い時間でもすごく伝わってきました! では最後に、佐奈さんは舞台第2弾への意気込み、梶原さんは今後のプロジェクトへの期待とともに、ファンへのメッセージをお願いします。
梶原:まずは今回こそスケジュールをこじ開けて劇場に足を運んで、舞台を観たいと思っています。この短い時間のやりとりだけでも、お互いの役への解釈を話すことで、より自分の解釈が深まったという感覚がありました。自分と同じだなと思う部分も、ここは違うなと感じる部分も、「パラライ」という1つのコンテンツに還元されていくと思っています。
原作サイドと舞台サイドでお互いにいい影響を与えあいながら相乗効果で高めあっていければいいなと思っているので、頑張りましょう!
佐奈:頑張ります! 僕は今回こうして梶原さんと話せる貴重な機会をいただいて、アレンについて話せたことで、より舞台第2弾では掘り下げたアレンを演じられるような気がしています。それに今回は舞台キャストに(原作にも同役で出演する)竹内良太さんがいらっしゃるので、僕たち舞台キャスト側が迷っていたことが、スムーズに解決されていくんじゃないのかなっていう気がしているんです。
「これ原作を作るときにはどう考えていましたか?」とか「こういうのはどうだと思いますか?」とか聞けると思うんです。もちろん、原作をただただまねしていくことが良いことだとは限らないのですが、原作の現場を知る人に実際に聞ける環境というのは大きいと思うので、取り入れられるものは舞台にも取り入れていきたいですね。僕も困ったらすぐに梶原さんに連絡させてもらいますし!
梶原:(笑)
佐奈:そうやって自分なりの正解を導きだして、より良い作品にしていこうと思います。歌ももう稽古が始まっているのですが、みんな必死に練習しています。舞台でしか見せられない魅力も表現していきたいと思っていますので、ぜひ舞台のほうも応援してください!
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インタビュー中に、2人とも同じバトル漫画が好きだと判明。脱線もしつつ、おおいに盛り上がる対談となった。
まだまだこれから“進化”していくと2人が語る「Paradox Live」。2023年3月に上演される舞台第2弾「Paradox Live on Stage vol.2」では、その進化の一端を見ることができるに違いない。新キャストも迎え上演される「Paradox Live on Stage vol.2」は3月9日(木)に東京・品川ステラボールにて幕を開ける。
取材・文・撮影:双海しお
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