プロジェクトリコロ第5回公演「Lilac-side Wizard-」が10月19日(水)から東京・萬劇場で上演される。
2.5ジゲン!!では、初日に先立って行われた公開ゲネプロの様子を写真とともにレポートする。
本作は、8月に上演された「Lilac-side Witch-」のセルフリメイク。脚本は共通ではあるものの、役の性別をまるごと変更することで見え方が変わる仕掛けがなされている。
物語の中心は、2人の人間と魔法使いだ。
エミル(演・森輝弥)は貧しい家に生まれた魔法使い嫌いの人間。
アンリ(演・土屋シオン)は名家の生まれだが退学間近の落ちこぼれ魔法使い。
偶然か必然か、彼らが出会うところから物語は始まる。種族はもちろん性格や育ちも異なる2人は、とある事情で期間限定の契約を結ぶ事になり…。
彼らは最初、水と油のように相性が悪いが、物語が進んでいくにつれ、お互いの存在に価値を見出していく。
設定だけでは学園もの、はたまた青春ストーリーかと思われるが、今作は一味違っている。「魔法使いは“魔法を使うことができる存在”だが、魔法使いと契約した人間は潜在的に秘めている魔力を魔法使いに供給し、より強い魔法が使えるようになる」。この設定において「魔力を供給するためには肉体が触れる必要がある」が、手と手を取り合いその点を視覚化することで、“バディもの”としても楽しむことができる。
ストーリーの中で生徒たちは、授業の一環でペアを組み、魔力の供給について学ぶ。この組み合わせのおかげで、バラエティに富んだキャラクター達の魅力に拍車がかかり、それぞれの授業に対してのアプローチや価値観のぶつかり合い、困難に立ち向かう様子が見ていて飽きない。“推し”の組み合わせを決めて楽しむのも良いだろう。
ストレートプレイのため、楽曲による大幅な転換や派手な演出はなく、ライティングと効果音で魔法シーンまで再現される。いわば、観客の想像力に期待をしている内容であるが、魔法が使われる条件や魔力の特殊な設定を追いつつも、演者の表現力と観客の想像力で魔法が生み出される感覚は、体験していて気持ちが良かった。
くすりと笑ってしまう箇所が多々ある反面、シリアスな面も兼ね備えているストーリーは、笑いとシリアスの高低差により緊張感が高まる部分もあるので注目だ。
「Lilac-side Wizard」は東京・萬劇場で10月23日(日)まで上演予定。バディものであり、学園ものであり、青春ものでもある。魔法使いと人間が共存する不思議な学園生活をぜひ楽しんでみてほしい。
取材・文:木皿儀隼一/撮影:ケイヒカル
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