一騎討ち Project 舞台「忘華 ~ボケ~」が9月28日(水)に東京・草月ホールで初日を迎えた。
本作は、清水一輝が企画する“一騎討ち Project”の舞台第3弾。お笑いの天才と呼ばれた漫才コンビ「プラタナス」のボケ担当・鈴木(演:高崎翔太)。彼がある日、突然若年性認知症を患ってしまうとこから物語は始まる。「プラタナス」にとって、今年は漫才グランプリ出場のラストイヤーとなる特別な年だった。
「好きなことを続けさせてあげるのが病状改善にも効果的」という医者からの言葉と、自分が認知症であることに気づくも「漫才を続けたい」と言う鈴木自身の言葉を信じ、自分が支えながら2人で漫才を続けることを決めたプラタナス・つっこみ担当の野原(演:清水一輝)。
「どんなボケでも俺がつっこむから」とステージに立ち続けるも、病状は悪化していくばかり。物忘れの症状や気分のむらから野原にきつく当たるようになる鈴木。自分が笑わせているのか笑われているのかすらわからなくなっていってしまう。
そんなプラタナスを見守るのは、同期のピン芸人・朝尾(演:松村龍之介)、後輩コンビ「バカす」の羽田(演:前川優希)と葵(演:三浦海里)、先輩芸人の望月(演:宮下貴浩)らだ。
それぞれの視点で鈴木を見てきたからこその行動に、「正解」がないことを痛感し、またそれぞれに自分を重ねてしまう。
昨日と今日とで、ひどいときには数秒前と打って変わる鈴木の言動に、支えようと誓うも何を信じればよいのかわからなくなる野原は、見ていて辛くなる瞬間が多いが、彼もまた周囲の人々に支えられ、何気ない言葉に救われながら鈴木と向き合い続ける。
コンビの相方という、他人だが家族よりも深い、不思議な関係。彼らが育んできたものとは…。
日々状況が変化する中で、完治はしない病気との付き合い方。小さな違和感が大きな不安へと変わっていく鈴木の様子が、高崎によって繊細に描かれる。
憧れの人物が変わり果てていく姿にどうしようもない感情を抱く朝尾と羽田は、松村と前川によって表現される。憧れだったが故の怒りや嫉妬、やるせなさを互いが爆発させるシーンは、胸が張り裂けそうになる。
誰も間違っていない、ただ彼のためには何が正解なのか。明日わが身に降りかかってもおかしくない“現実”だからこそ、観終わった後、「感動の作品」と一言では済ませられない何かがある。タイトルである「忘華 ~ボケ~」、その意味を深く理解させられる2時間となっている。
「なぜ彼だったのか」というどうしようもないその問いに、終わりはなくとも1つの向き合い方を提示してくれる作品なのではないだろうか。
キャストコメント
高崎翔太
いよいよ本番です。舞台『忘華 ~ボケ~』たくさんの方にみてもらいたい作品。お笑いコンビ「プラタナス」のボケ担当鈴木役です。それぞれのコンビの生き様。ぜひとも見届けてください。はっきりと、笑えて…泣ける作品。と、言いたい。皆さま。草月ホールでおまちしております。
清水一輝
たくさんの方のご協力があり、本日いよいよ初日を迎えることができました。
お笑いコンビ「プラタナス」のつっこみ担当野原役です。相方が突然若年性認知症を患ってしまい、いろんな葛藤と闘ってる模様を演じています。突然の予期せぬ出来事でも僕たちは前を向いていかないといけない。形は違えど今の世の中に当てはまるメッセージがたくさん詰まっている作品だと思います。一騎打ち Projectとして3年ぶりのプロデュース公演。ぜひ劇場に足を運んでもらえたら嬉しいです。
松村龍之介
朝尾健吾役の松村龍之介です。今回、『忘華 ~ボケ~』に出演できることを心から嬉しく思います、これは稽古が始まる前から抱いており、稽古を経て、初日迎える本日、より強く感じております。素敵な物語と気の良い共演者の皆さんとともに、千秋楽まで全力で今作を届けていきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
前川優希
羽田役前川優希です。ついに今日、忘華の初日を迎えることができました。お話をいただいたその瞬間から、この日が楽しみで仕方ありませんでした。舞台上で、儚く(はかなく)淡い華のような生き様を、全員でお見せできたらなと思います。
三浦海里
本日より舞台『忘華 ~ボケ~』始まります。コンビのボケ担当が若年性認知症になってしまう。それに対してそれぞれがそれぞれの思いを持っていて、だからこそぶつかり合うこともある。共感できる役が絶対にいます。笑いあり、涙ありのとても心にグッとくる作品になっています。ぜひ、ハンカチやティッシュを持ってご来場ください。お待ちしています。
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